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EUとカナダが包括的経済貿易連携協定に調印(EU)

●EU

欧州委員会は、2016年10月30日、欧州連合(EU)とカナダが「包括的経済貿易連携協定(CETA)」に調印したことを発表しました。調印式は、ベルギーのブリュッセルで開催された第16回サミット会合において行われ、EU側からはユンケル欧州委員会委員長、トゥスク欧州議会議長らが、またカナダからはトルドー首相らが出席しました。

 

欧州委員会の通商問題担当のマルムストロム委員は、この連携協定は「グローバリゼーションをどのように形成するか」を示すもので、貿易に関連する「不必要なコストや重複する煩瑣な手続きをなくせば、企業は新たな市場に乗り出し、より多くの雇用を生み出す」ことになるとし、この協定は通商上の新たな世界的な基準を設定するものであると述べて、この協定の意義を説明しています。

 

連携協定は、EU・カナダ間の貿易を促進し、経済関係を強化することを通じて、雇用の創出及び経済成長を促進するためのもので、EU・カナダにおけるビジネス環境の整備、関税の撤廃、公共入札制度の改善、サービス市場の新セクターの開放、投資家への予測可能な条件の設定、更には地理的表示の保護等の幅広い分野を網羅しており、規制の撤廃等を通じて相互に大きな利益が享受されることになるとされています。

 

関税の引き下げに関しては、最終的には99%に相当する関税が撤廃されることとなり、協定発効時でそのほとんどが履行され、欧州連合を原産地とする貨物に関しては初年度については4億ユーロの関税が節減され、最終的にはこの額は5億ユーロを超えることになると説明されています。

 

公共調達へのアクセスに関しては、欧州連合域内の企業はカナダの連邦レベルにとどまらず、連邦の調達額の2倍とされるカナダの州、地域、都市等のレベルの公共調達にも参加する途が開かれることになり、このような扱いはカナダ国外の企業にとっては初めてのこととされています。

 

また、サービス市場の開放については、海運、環境、テレコム、金融等の分野で市場アクセスが保証され、この分野においても初めて連邦レベルでの開放にとどまらず、州レベルでもアクセスが保証されることになります。さらに欧州連合のエンジニア、会計士、建築家等の一定の専門職業の資格が相互に承認されることとなり、専門家がより活発に働くための枠組みが整えられたとされています。

 

地理的表示については、欧州産品への特別扱いが認められ、チーズ、調味料、ハム等143品目に上る欧州産品をカナダが保護することを定めています。

 

以上のほか、欧州連合とカナダのそれぞれで必要とされている試験等の要件については、電気・電子製品、玩具、機械、計測器等についての試験結果等の重複が廃止されることとなり、特に中小規模の企業にとっては大きなメリットになるとされています。

 

一方、消費者等の安全・安心に関しては、欧州連合の市民の健康や安全、環境等について設定されている基準は維持され、カナダからの輸入品についても欧州連合の基準を満たすことが必要で、例えば遺伝子組み換え食品の規制やホルモン使用牛肉等の輸入禁止はこれまで通りの扱いとなると説明されています。

 

この協定では、投資紛争の解決について新たな規定が設けられています。従来欧州連合が締結した二国間通商協定では概ね投資家と国との間の紛争解決(ISDS)について国際仲裁の規定が設けられていましたが、これに代えて新たに投資裁判制度(ICS)が規定されています。欧州委員会は、この制度は、関係当事国の公共の利益についての権利に配慮しつつ、透明性を確保し、差別を排除する形で紛争解決を図るものと説明しています。連携協定は、今後欧州議会が同意すれば暫定的に発効することとなり、暫定適用については理事会において欧州連合加盟国の承認及び欧州議会の承認が必要とされています。しかし、投資裁判制度は、これまでに前例のない制度で、多くの加盟国で十分な議論が尽くされていない等の理由で、連携協定の暫定適用の対象から除外され、全加盟国が国内批准手続きを了してはじめて適用されることになります。それまでの間、欧州委員会はカナダ政府との間で、裁判官の選定方法、小規模企業の裁判所の活用策、控訴手続き等についての検討を行うとされています。

 

欧州委員会は、今回の調印に関連して、自由貿易協定(FTA)が欧州連合の経済成長や雇用にもたらすメリットの一例として、2011年に発効した韓国とのFTAを取り上げ、発効後5年間で韓国向け輸出は55%を超える伸びを記録し、中でも一部の農産品については70%増、自動車については約3倍に増えたとしてFTAのもたらすプラス効果を説明しています。

 

欧州連合及びカナダは、包括的経済貿易連携協定の調印に併せて「戦略的連携協定(SPA)」をも調印しました。SPAは欧州連合とカナダの政治的な対話と協力関係を一段と強化するための基盤となるもので、外交、安全保障を始め、研究やイノベーション、気候変動、テロ対策等の幅広い分野について連携を図るためのものとされています。

 

(出典:2016年10月30日付けの欧州委員会のプレスリリースより)