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インドの太陽光発電計画の自国製品使用要件はWTOルールに違反―WTOのパネル報告書―(WTO)

●WTO

2016年2月24日付けの世界貿易機関(WTO)のプレスリリースによれば、インドが太陽光発電用のソーラーセル及びソーラーモジュールについて自国製品の使用を要件としていることは世界貿易機関(WTO)のルールに違反しているとして米国がインドをWTO紛争解決機関に提訴した案件に関して、同日WTO紛争解決小委員会(パネル)の報告書が出され、その中でインドが設けている自国製品の使用要件はWTOルールに違反しているとの判断が下されました。

 

本件は、2013年2月6日、太陽光発電用のソーラーセル及びソーラーモジュールについて「ジャワハルラール・ネルー国家ソーラー計画(NSM)」のフェーズⅠにおいてインドが自国製品の使用を要件としているとして米国がインドに正式協議を申し入れたことに始まります。米国政府はその申し入れの中で、NSMに基づいてインド政府に電力を販売する太陽光発電デベロッパーに課される自国製品の使用要件は、内国民待遇を定めたWTO協定(GATT規定、貿易関連投資措置協定及び補助金相殺措置協定)に違反しており、米国がこれらの協定から直接的にあるいは間接的に享受する利益を無効にし、またその利益を損なうものであると述べています。

 

その後(2014年2月10日)、米国はさらにNSMのフェーズⅡの自国製品使用要件に関してもインド側に追加的な協議を求めました。
米国は、これらの協議が不調に終わったため2014年4月14日、紛争解決手続きに基づいてWTOにパネルの設置を要請し、同年5月23日に開催された紛争解決機関の会合でパネルの設置が決定されました。

 

パネルの報告書では、インドがNSMに基づき自国製品の使用を要件としていることは、1994年のGATT及び貿易関連投資措置協定(TRIMs協定)に定める内国民待遇の規定に抵触するとされ、またこの措置は「国内原産の同種の産品に許与される待遇より不利でない待遇を許与」するとのGATT規定にも違反しているとされました。

 

インド政府は、内国民待遇に対する例外を規定した「政府用として購入する産品の政府機関による調達を規制する法令又は要件」(GATT第3条8項)、さらに一般的例外を定めたGATT第20条(d)(「この協定の規定に反しない法令の遵守を確保するために必要な措置」)あるいは同条(j)(「一般的に又は地方的に供給が不足している産品の獲得又は分配のために不可欠な措置」)等をNSMの根拠としてあげましたが、いずれも本案件には適用されないとして、あるいはインド側の立証が不十分であるとしてインド側の主張は斥けられています。

 

このパネル報告は、裁判での第一審に相当するもので、いずれかの当事国が60日以内に異議を申し立てなければ報告書は採択され、インドはパネル報告書の内容に従って是正することが求められることとなりますが、いずれかの国がパネル報告の内容に異議を申し立てれば紛争解決上級委員会に上訴されることとなります。

 

USTRのフロマン代表は、今回のパネル報告書について触れ、この報告書の内容は本件に留まるものではなく、差別的な自国製品使用政策を採用しようとしている他の国に対してもメッセージを送るものであるとして本件の重要性を強調し、さらに、今回の勝訴は、現在締結されている通商協定に基づく権利行使についての現政権の積極的な対応を示すにとどまらず、環太平洋パートナーシップ協定(TPP)において設定されている労働、知的財産権あるいは環境等の分野での高い基準について権利行使をするとの現政権の決意をもあらわすものであると述べています。

 

USTRは、オバマ政権の方針として通商協定に基づく権利行使をこれまでどの国よりも多く、積極的に行っており、現政権になってWTOでの提訴の件数は20件に達し、そのいずれについても米国の勝訴に終わっていると述べています。

 

米国の発表によれば、インドが2011年に自国製品の使用要件を立法化して以来、米国からの太陽光発電用の製品のインドへの輸出は90%以上も落ち込んだとしています。

 

(出典:2016年2月24日付けのWTO事務局及びUSTRのプレスリリースより)