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WTOがG20の貿易制限措置の増大に警鐘―貿易制限措置に関する調査報告書―(WTO)

●WTO

世界貿易機関(WTO)事務局は、6月21日、G20がとっている貿易制限措置に関する調査報告書を公表しました。第1回目の報告書は2009年に公表され、今回の報告書は第15回目となります。今回公表された報告書の調査対象期間は2015年10月中旬から2016年5月中旬までの期間(7か月間)となっています。この調査報告は、貿易面や投資面での保護主義的な動きを阻止するとのG20の公約について、それがどこまで遵守されているかを調査し、公表するようにとのG20からの要請を受けて行われているもので、分析はG20の政府等から提供された情報がベースとなっています。

 

今回の報告書によれば、2009年の調査開始以来G20によって調査期間内に導入された貿易制限措置の数は145件で、月平均に換算すると21件となり、この月平均の件数は調査開始以来最も高い水準に達しています。一方、G20ではこの調査期間において貿易を促進するための措置の導入も図られているが、その件数は100件(月平均で14件)に留まっています。

 

2009年の調査開始以降に導入された貿易制限措置は年々累積し、その件数の累計は1,583件に達し、そのうち撤廃された措置の件数は約四分の一に相当する387件に留まり、2016年5月中旬時点で1,196件の措置が適用中となっています。このような措置の多くは、ダンピング防止税、相殺関税、セーフガード関税といった貿易救済措置に関わる調査の開始に伴うもので、貿易救済措置は貿易制限措置全体の61%を占めます。中でもダンピング防止措置に関する調査が最も多く、2015年の1年間(報告書の調査対象期間とは異なります。)で調査開始件数は176件を数え、国別では米国42件、インド30件、ブラジル23件、トルコ16件、欧州連合(EU)12件、中国11件、豪州10件等となっています。日本は報告書では2件の調査開始が記されています。また、相殺関税に係る調査件数は2015年の1年間に29件で、そのほとんどを米国による調査(内22件)が占めています、貿易救済措置の調査の対象とされた商品は、金属関係(特に、鉄鋼)、化学品、プラスチック等の分野が多くなっています。

 

ただ、WTOの加盟国では、前向きに問題を解決しようとの動きもあり、一方的な措置の導入等の手段に訴えることなく、潜在的な貿易摩擦に対して建設的で、透明性の高い方法で、国際機関等の場を活用して問題の解決を図る努力もなされており、この関連でWTOの果たす役割の重要性が強調されています。

 

世界貿易の見通しについては、金融市場や一次産品価格、為替レートの急激な変動等により、先進国のみならず、開発途上国についても不安定要素が多く、貿易の見通しにも不確かなものがあるとしつつ、昨年と同様世界貿易の拡大は2.8%の増加に留まると予測しています。

 

なお、G20は、アルゼンチン、豪州、ブラジル、カナダ、中国、フランス、ドイツ、インド、インドネシア、イタリア、韓国、日本、メキシコ、ロシア、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、英国、米国及び欧州連合(EU)の20の国・地域を指します。

 

(出典:6月21日付けのWTOのプレスリリース及び同日公表の“REPORT ON G20 TRADE MEASURES”より)