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米国政府が太陽光パネル及び大型家庭用洗濯機の輸入に対してセーフガード措置の発動を決定(USTR)

●USTR

2018年1月22日、米通商代表部(USTR)ライトハイザー代表は、太陽光パネル及び大型家庭用洗濯機の輸入に対して通商法201条(緊急輸入制限条項)に基づきセーフガード措置を発動すると発表した。この決定は大統領の承認を受けて行われたものである。

 

今回決定されたセーフガード措置のうち太陽光パネル(ソーラーセル及びソーラーモジュール)については、4年間にわたって1年目30%、2年目25%、3年目20%、4年目15%の追加関税が課される。ただし、各年の最初に輸入されるソーラーセル2.5ギガワット分についてはセーフガード措置は免除される。

 

USTRはその発表の中で、中国政府は様々な補助金の支給等を行ってソーラーセルやソーラーモジュールの増産を奨励しており、その結果、中国の世界総生産に占める比率は2005年の7%から2012年には61%に急増、現在では世界のソーラーセルの60%、ソーラーモジュールの71%を製造していると述べている。

 

今回の決定に至る経緯については、先ず米国の製造業者が中国の太陽光パネルの輸出は不公正な貿易慣行に当たるとして救済措置を求め、2011年、商務省は、中国政府が国内の製造業者に補助金を支給しており、これらの業者は公正な市場価格以下の価格で米国に販売し、米国の製造者に損害をもたらしているとして、翌2012年ダンピング防止関税及び相殺関税を課すことを決定した。しかしながら、中国の業者は様々な抜け穴を見つけダンピング関税等の徴税を免れる一方、製造場所を台湾に移し、米国の制裁から逃れる措置を取った。2013年、米国の製造業者はこのような抜け穴や製造地の移転に対して新たに調査するよう申立てを行ったところ、今度は中国の業者がその製造拠点をマレーシア、シンガポール、ドイツ、さらには韓国に移し、「いたちごっこ」の様相を呈することとなった。

 

2012年から2016年の間についてみると、輸入は500%拡大し、一方ソーラーセルやソーラーモジュールの価格は60%低下、米国の製造業者のほとんどは製造を止めるか、他の国に製造場所を移すか、破産宣告をするかといった状況に追い込まれた。2012年以降25社が閉鎖に追い込まれ、2017年には2社のみがソーラーセルとソーラーモジュールの製造を行い、8社が輸入品のソーラーセルを使ってモジュールの製造を行っていたが、この2社のうちの1社が昨年破産宣告に追い込まれた。

 

2017年5月7日、米国のサニバ社(後にソーラーワールド社も参加)からの救済措置の申請に基づいて、国際貿易委員会(ITC)は輸入の増加が国内産業への損害の重大な要因となっているかどうかを決定するため通商法201条による調査を開始し、ITCの重大な要因となっているとの調査結果に基づき、USTRが主導して関係業者からの意見の聴取や公聴会の開催、さらに通商政策スタッフ委員会(TPSC)での協議を経て上記セーフガード措置の決定となった。

 

一方、大型家庭用洗濯機についてのセーフガード措置は、今後3年間にわたって適用されるもので、完成品に関しては最初の120万台までは1年目20%、2年目18%、3年目16%、この数量を超える部分については、1年目50%、2年目45%、3年目40%の追加関税が課される。

 

今回の決定に至るまでの経緯は太陽光パネルの場合と類似し、先ず2011年、米国の製造業者のワールプール社が、韓国のLG電子及びサムスン電子が補助金の支給を受けて不当に安い価格で洗濯機を輸出しているとして商務省に申立てを行い、2013年、商務省は当該輸出は不公正な貿易慣行に当るとして両社から輸入される洗濯機についてダンピング防止関税及び相殺関税を課すことを決定した。その後LG電子及びサムスン電子は製造拠点を中国にシフトさせ、制裁措置から逃れることとなった。2015年になってワールプール社は中国からの洗濯機の輸入が著増しているとして貿易救済措置を申請、2017年商務省は中国から輸入される洗濯機についてダンピング防止措置を発動したが、今度は製造拠点をタイとベトナムにシフトさせる措置を取るに至った。そのため2017年6月5日、ワールプール社はさらに救済措置を申請し、これを受け国際貿易委員会(ITC)は通商法201条に基づく調査を開始した。なお、2017年、サムスン電子及びLG電子は、サウスカロライナ州のニューベリー郡及びテネシー州のクラークスビル市の大規模な工場を建設する計画を発表している。

 

ITCは、調査の結果、両社からの輸入が重大な損害の要因となっているとの決定を下し、大型家庭用洗濯機についてセーフガード措置を発動するよう勧告、USTRは関係企業からの意見の聴取や公聴会を行ったうえで、通商政策スタッフ委員会(TPSC)との協議を経て、上記のセーフガード措置の決定に至っている。

 

なお、NAFTA加盟国のカナダ及びメキシコについては、そのいずれかの国からの輸入のシェアが大きくなく、国内産業へ重大な損害をもたらしていないと大統領が決定すればセーフガード措置の対象から除外される。今回の決定ではカナダについては洗濯機に関してはこれらの基準に合致しているとされたが、メキシコはこれらの基準を満たしていないとされている。また、太陽光パネルについては、両国ともに制裁の対象に含まれている。また、FTAを結んでいる韓国については両セーフガード措置の対象とされている。

 

一般特恵関税制度(GSP)の受益国である開発途上国は原則として総輸出額の3%未満であれば両セーフガード措置の対象から除外されるが、タイは洗濯機について3%の基準を超えており対象国に含まれる。また太陽光パネルについてはタイ及びフィリピンが3%の基準を超えており対象国とされている。

 

セーフガード措置は、特定の企業や特定の国を対象として発動されるダンピング防止措置や相殺措置とは異なり、原則として無差別に適用される措置であるためその及ぼす影響は大きく、また関係する国や企業も多くなる。そのため今後輸出国等からの反発が予想される。報道では中国や韓国が今回の米国の措置に反発し世界貿易機関(WTO)等への提訴も辞さないとされており、場合によっては報復措置が発動される可能性もあり、今後の本件の推移が注目される。

 

今回の米国政府のセーフガード措置の発動は2002年に鉄鋼製品の一部について発動されて以来のもので16年振りとなる。

 

(出典:2018年1月22日付けのUSTRのプレスリリース等より)