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EU、カナダ等が米国の鉄鋼・アルミ製品に対する追加関税をWTOルール違反としてWTOに提訴(EU)

●EU

欧州委員会は、米国政府が2018年6月1日欧州連合(EU)からの鉄鋼及びアルミニウムの輸入にそれぞれ25%及び10%の追加関税を適用すると決定したことを受けて、当該決定は世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとしてWTOに提訴することを発表した。

 

欧州委員会は、米国の措置は、その主張する国家安全保障を理由としたものではなく、輸入競争から国内産業を保護することを目的としたもので、WTOのルールに違反しているとし、WTOへの提訴に留まらず、WTOのルールに従って米国産品に追加関税を課すことによってリバランスを図ることを考えているとしている。追加関税の対象物品のリストは2018年5月18日にWTOにも通報されており、その中には鉄鋼製品、オートバイ、バーボンウィスキー等の品目が含まれている。さらに、米国市場が閉鎖された結果、仕向地が米国から欧州連合に転換され、欧州連合の市場への鉄鋼等の輸入が増え、そのために生じる損害から欧州の鉄鋼・アルミ市場を防護することも決定しており、鉄鋼に対するセーフガード措置の適用についての調査をすでに3月26日から開始しているとも述べている。またアルミについても輸入監視システムが作動しているとしている。

 

米国政府が国家安全保障を理由に本年3月23日に発動した鉄鋼・アルミ製品に対する追加関税の適用は欧州連合については2018年5月末までは適用免除が認められたが、6月1日にはその猶予期間が切れた。

 

今回の発表に際して、欧州委員会のユンケル委員長は、米国の一方的な関税引上げ措置には正当性はなく、WTOのルールに違反するもので、単純な保護主義そのものである。これまで何か月間にもわたって鉄鋼関係の過剰生産問題に共に取り組むためあらゆる可能なレベルで協議を続けてきた。本件の問題の核心は過剰生産であり、過剰生産をもたらしたのはEUではなく、EUも同じように被害にあっている。そのため貿易パートナーと一緒に構造的な解決を図るための作業を進めてきた。さらに、米国とはバイの貿易関係を改善するための方策をいつでも検討する用意があることを説明してきたが、同時にEUは脅しの下で交渉する用意はないことも明確にしてきた。過剰生産の問題に責任のない国をターゲットにすれば、本件に責任のある国を利するだけである。このような状況においてEUとしてはWTOに提訴し、さらに米国からの輸入品に対して追加関税を適用する以外に選択の余地がなくなっていると述べた。

 

さらに、欧州委員会で通商問題を担当しているマルムストローム委員は、米国に対してあらゆる機会をとらえて貿易上の課題に前向きに取り組むよう、また鉄鋼やアルミへの追加関税についてEUに対して完全で、恒久的、且つ無条件にその適用を免除するよう求めてきた。こうした話し合いの過程で米国はEUから譲歩を引き出すための梃子として貿易制限という脅しを用いてきたが、これは我々のビジネスのやり方ではなく、特に長年にわたるパートナーであり、友好国であり、同盟国である国同士の間ではあってはならないことである。ここに至ってはEUとしては米国の措置に見合った対応をWTOのルールに従ってとらざるを得ない。WTOでの紛争解決に訴えるとともに、さらにリバランスを図るための措置を適用し、また米国の制限措置によって生じる貿易の転換からEUの市場を保護するために必要な措置をとると述べた。

 

欧州委員会の説明によれば、米国の追加関税によって2017年の実績で欧州連合からの輸出額64億ユーロ(約8,200億円)に影響が及ぶ。

 

米国の鉄鋼・アルミ製品への追加関税措置はカナダ、メキシコについてもEUと同じように2018年5月末に免除措置が期限切れとなった。カナダ政府も2018年6月1日声明を出し、その中で前日に発表した米国への報復措置に加え、カナダからの鉄鋼・アルミの輸入に対して保護主義的な目的のために国家安全保障に名を借りて適用している米国の不適切な行為に対して、米国側にWTOの協議を申し入れたことを発表した。さらに、NAFTA(北米自由貿易協定)の規定に基づき、NAFTA違反としてパネルの設置を求める意向であるともしている。

 

カナダ政府は、2018年5月31日、米国の鉄鋼及びアルミについての追加関税への報復措置として米国から輸入される鉄鋼、アルミその他の物品で、米国の措置によって影響を受けるカナダの輸出額(166億カナダドル:約1兆4千億ドル)に相当する物品に対して関税を引き上げる措置をとる意向を発表している。その対象物品のリストは2種類で、米国の追加関税率に見合った25%適用リストと10%適用リストが用意されている。適用開始は2018年6月1日で、米国がカナダに対して制限措置を撤廃するまで適用されるとしている。

 

メキシコ政府も同じように報復措置をとるとの方針を表明したことが報じられている。

 

またインド政府は、2018年5月23日、米国の追加関税の適用に関して米国政府にWTOの紛争解決手続きに基づき協議を申し入れたことを発表した。インドは、米国の追加関税の適用はGATT条項やセーフガード協定を含むWTOの協定に違反するものであるとし、さらに一部の国がその適用対象国から除外されていることについてもWTOの協定上問題があるとしている。

 

(出典:2018年6月1日の欧州委員会、カナダ政府の発表、2018年5月23日のWTOのプレスリリース等より)

 

過去の関連ニュース
2018年5月15日「欧州委員会が、米国の追加関税適用除外の1か月延長に反論―鉄鋼・アルミニウム製品への追加関税問題―」