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欧州委員会が中国の「市場経済国」認定問題を審議(EU)

●EU

2016年7月20日、欧州委員会は、中国を「非市場経済国」として規定した中国の世界貿易機関(WTO)加盟議定書の条項が本年12月に失効することに伴い、それ以降中国を「市場経済国」として扱うことによってどのような政治的、経済的及び法的な影響がもたらされるかを中心に審議したことを発表しました。

 

中国は、2001年のWTO加盟に際して、加盟後15年間についてダンピング防止税や相殺関税等の認定について不利な条件となる「非市場経済国」として扱われることを受け入れましたが、この規定は加盟から15年後の2016年12月11日に失効することになります。中国が「非市場経済国」とした扱われることとなった背景は、同国内での補助金等の支給によって生産価格等が不透明であるとされ、通常の場合には正常な国内価格と輸出価格との比較でダンピング等の算定が行われますが、「非市場経済国」とされた場合は、このような国内価格に替えて第三国の価格等を算定の根拠とすることが認められます。

 

この問題についての欧州連合(EU)内での検討は、本年になって本格化し、5月には欧州議会は中国の「市場経済国」としての扱いに反対するとの決議を採択し、欧州委員会に対して本件についての適切な措置を提案するよう求めました。

 

今回の欧州委員会の審議では、

 

①中国を「非市場経済国」としているEUの現行法制を維持する、
②中国を「非市場経済国」のリストから外し、ダンピングの認定手続き等について通常の方式を適用する、
③WTO加盟国としてのEUの国際的な義務を履行する一方で、貿易上の防御制度を抜本的に見直し、新たな方式によりダンピング問題等に対処する、

 

との3つの選択肢について審議されたと説明されています。

 

審議の結果、欧州委員会はWTOの法的な枠組みの下でのEUの国際的な義務を尊重するとともに、現在の実態―特に、現存する鉄鋼製品等の過剰生産問題―に対処することができる新たな貿易上の防御手段を備える必要があるとの点で意見が一致したとされています。欧州委員会としては、WTO上の義務に違反して中国から損害賠償を求められるおそれのある事態を回避し、同時に「市場経済国」として認定することによってもたらされると考えられる安値競争に対抗できなくなるという事態をも回避するために、EU域内での新たな通商上の救済措置を策定することを選択したこととなります。

 

カタイネン欧州委員会副委員長(雇用、成長、投資及び競争政策担当)は、フェアで、開放的な貿易の欧州経済にとっての重要性を強調するとともに、今回の審議は中国が「市場経済国」であるかどうかについて行ったわけではなく、過剰生産能力という実態、さらには変貌しつつある国際的な法的枠組みに対処する上で我々の貿易防御手段をこれにどう適合させるかについて行ったものであると述べています。

 

また、マルムストロム通商担当委員は、欧州連合は世界最大の貿易パートナーであり、自由貿易及び開放された市場を強く求めるものであるが、貿易はフェアでなければならず、特に鉄鋼製品に見られるように過剰生産能力といった現状に鑑みるとフェアな貿易を支え、市場の歪みに対処するための効果的な通商上の貿易手段が今後必要になるとし、新たな経済の実態に適合し、臨機に活用することのできるツールを確保することが必要であると述べています。

 

今回の欧州委員会による審議結果を勘案して、同委員会は本件についての提案を本年末までに行うこととなりました。

 

一方、7月14日に開催されたWTOの「物品の貿易に関する理事会(物品理事会)」において、米国代表は、中国の「非市場経済国」としての扱いが本年12月に失効する問題について発言し、本年12月に中国は自動的に「市場経済国」として認められるものではない。中国のWTO加盟議定書には中国の「市場経済国」問題は、各加盟国がそれぞれの国内法に照らして中国の状況をどう評価するかによるとされている。すなわち、中国が各加盟国の国内法で「市場経済国」として認定されて初めて「非市場経済国」に関する加盟議定書の規定は失効することになると述べました。さらに、中国における市場改革は各国の期待を裏切るものであり、特に鉄鋼やアルミ関係の企業にとっては中国製品の浸透によって供給過剰の事態が引き起こされ、世界的にその健全な競争が脅かされているとして懸念を表明しました。

 

これに対して、中国は、加盟議定書の規定の失効は「市場経済国」としての自動承認を意味するものではないことを認めつつ、失効後は差別的な法的な措置の撤廃につながることになるとの見解を表明しています。

 

(出典:2016年7月20日付けの欧州委員会のプレスリリース及び7月14日付けのWTO「物品委員会」のプレスリリースより)

 

過去の関連ニュース
2016年5月31日「欧州議会が中国の市場経済国としての認定に反対を決議(欧州議会)」等