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EUが中国の原材料輸出規制についてパネル設置を要請(EU)

●EU

欧州委員会は、2016年10月26日、中国が12品目の原材料に適用している輸出税及び輸出割当ては世界貿易機関(WTO)のルールに違反するとして、WTOの紛争解決手続きに従って紛争解決小委員会(パネル)を設置するよう求めました。このパネルは、裁判での第一審に相当するものとされています。

 

本件に関して、本年7月19日に欧州連合(EU)は中国に対してWTO協議を申し入れ、9月に協議が行われましたが不調に終わり今回のパネル設置要請になったものです。問題とされる原材料は、アンチモン、クロム、コバルト、銅、フェロニッケル、黒鉛、インジウム、鉛、マグネシア、タルク、タンタル及び錫の12品目です。これらの原材料は、鉄鋼、自動車、航空宇宙、建設、エレクトロニクス等の基幹産業にとって重要な原材料とされています。

 

欧州委員会は、今回のパネル要請の背景として、これらの原材料の最大の産出国は中国であり、輸出規制の対象とすることは、外国の製造者や消費者を犠牲にして、自国の製造者に対して実質的に競争面で有利に扱うこととなり、また世界的な供給や価格への影響も大きく、その結果外国企業はその製造、雇用、さらには技術までも中国に移すことを考えざるを得ない大きな圧力になっていると説明しています。

 

WTOルールとの関連で欧州委員会は、中国がWTOに加盟した際に一部の指定された品目以外の品目については輸出税をすべて撤廃することを約束しており、今回問題となっているインジウム以外の原材料はいずれもこの指定品目には含まれておらず、さらに、アンチモン、インジウム、マグネシア、タルク及び錫に適用している輸出割当ては、WTOのルールである関税、課徴金等以外による輸出制限を禁止するとの一般原則に照らして問題であり、中国もWTO加盟に際して輸出権を制限しないことを約束しているとしています。さらに、中国の輸出規制措置は多角的貿易システムの核心的な原則を蔑ろにするもので、すでにWTOにおいてこの種の制限措置は違法であるとの判断が下されており、限りある天然資源を保存し、環境及び国民の健康を保護するための措置であるとする中国側の主張は2度にわたる類似の事案においてすでに退けられているとし、中国が原材料の輸出制度をWTOでの約束に沿って改正しようとしないことに対して強い懸念を表明しています。

 

このEUのパネル設置要請は、2016年11月8日に開催された紛争解決機関において審議され、中国の反対でパネルの設置は見送られました。米国は、今回のEUの案件と類似した案件についてパネルの設置を要請していましたが、米国からの2度目の要請を受けて紛争解決機関ではその設置が認められています。米国は、今回のEUの案件とパネル設置が認められた米国の案件は類似しており、パネルを一本化して審議すれば効率的であるとし、今後EU案件についてのパネルの設置が決まれば、両案件を単一のパネルで審査することが望ましいとの見解を述べています。

 

今回の紛争解決機関ではパネルの設置が中国の反対で見送られましたが、次回会合において再度パネルの設置の要請が出されればWTOの紛争解決手続上中国はこれを拒むことはできないことになります。

 

(出典:2016年11月8日付けの欧州委員会のプレスリリースより)

 

過去の関連ニュース
2016年7月29日 「米国が中国をWTOに追加提訴―中国の原材料の輸出制限措置―」
2016年7月29日 「EUが中国の原材料の輸出制限措置をWTOに提訴」