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米政権が中国の知財侵害等の不公正な貿易慣行への制裁措置を決定(USTR)

●USTR

2018年6月15日、米通商代表部(USTR)は中国の不公正な貿易慣行とされる技術移転の強要や知的財産の窃取に対する制裁措置として追加関税の対象となる中国からの輸入品リストを発表した。

 

この制裁措置は、トランプ大統領の5月29日の声明を踏まえたもので、大統領はその声明の中で2018年6月15日までに中国の戦略的な産業政策とされる「中国製造2025(Made in China 2025)」に関連する産品を含む産業上重要な技術を使った中国からの輸入品500億ドル(約5兆5千億円)相当に対して25%の関税を上乗せすると表明していた。

 

制裁措置は米通商法301条調査に基づくもので、中国政府がとっている技術移転、知的財産及び技術革新に関係する措置、政策及び慣行は、不合理で、差別的なものであり、米国の通商の妨げとなっていると結論付けている。

 

今回発表された対象品目リストは米国の関税率表(HTSUSの8桁細分)で1,102品目から成り、2018年の貿易額で約500億ドル相当とされる。このリストの作成に当たっては関係省庁間で分析したうえで、さらに利害関係者から出されたコメントや証言を十分に勘案したものとされ、具体的な対象品目は「中国製造2025」に関連するセクターに含まれるものが多い。この「中国製造2025」のセクターには情報通信技術、航空宇宙、ロボットや工作機械、新素材、自動車等の10の産業セクターが含まれ、2025年までに世界的な地位を確立することを目標としている。一方、今回の措置には携帯電話やテレビ等の米国の消費者が通常購入する物品は含まれていない。

 

関税の上乗せは2段階に分けられている。第1段階は、818品目(340億ドル相当)の中国からの輸入品に対して25%の関税を上乗せするもので、税関・国境警備局(CBP)は2018年7月6日からこの上乗せ分を併せて徴収することになる。第2段階では284品目(160億ドル相当)が対象となり、今後公聴会を含め関係者等からのコメント等に基づき更なる検討を行うとしている。USTRは、米国企業の一部には追加関税の適用によって利益が害されると考えている向きもあるとして品目リストからの削除についての意見をも求めるとしている。

 

トランプ大統領は今回の制裁措置に関して、米中間の貿易関係は長年にわたって極めて不公正なもので、このような状況を持続させてはならないと述べ、その上で中国政府が米国への報復措置として関税の引上げや非関税障壁の強化、米国企業への懲罰的措置等をとれば更なる追加関税措置をとることになろうとした。

 

米国政府の発表の翌日、中国国務院は米国の措置に対抗して米国からの輸入品659品目(500億ドル相当)に対して25%の関税を上乗せすることを発表した。中国政府の発表内容は米国政府の発表に対応させたものとなっており、この659品目の内、大豆等の農産品、乗用車、水産物等の545品目(340億ドル相当)については7月6日に実施し、化学品、医療用機器、エネルギー関連製品等の他の114品目については今後その実施について発表するとしている。

 

2018年6月18日、USTRライトハイザー代表は、上記の500億ドル相当の中国からの輸入品に対する追加関税は、中国の技術移転の強要や知的財産の窃取に見合ったものとして決定したものであるが、中国政府はこのような不公正な貿易慣行を是正する代わりに米国に対して不当な報復的な追加関税を課すとの声明を出したことは誠に遺憾なことである。このような中国の対抗措置を相殺するために大統領の指示にしたがって追加関税として2,000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入品に対して10%の関税を適用するため対象品目の特定を行っている旨の声明を出した。

 

今回の米国の措置及び中国の対抗措置が実際に発動されることになれば、米中に限らずそれ以外の国にも大きなインパクトをもたらすことが予想され、加えて鉄鋼、アルミニウムの米国の関税引上げへの欧州連合、カナダ、メキシコ、インド等の対抗措置も打ち出されており、米国の一連の関税引上げ措置等に対する懸念が深刻化している。

 

(出典:2018年6月15日のUSTRのプレスリリース等より)