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ロシアの小型商用車へのアンチダンピング関税の賦課はWTOルール違反―WTOパネル報告―(EU)

●EU

2017年1月27日付けの欧州委員会のプレスリリースによれば、同日公表された世界貿易機関(WTO)の紛争解決小委員会(パネル)の報告において、ロシアが欧州連合の一部の加盟国(イタリア及びドイツ)からの小型商用車(LVC)の輸入に対して賦課しているアンチダンピング関税はWTOのルールに違反しているとの判断が下されました。ロシアが賦課しているアンチダンピング関税は2013年以降導入され、その税率は23%~約30%とされています。

 

欧州委員会は、ロシアの今回の措置は、近年になって欧州連合に対して多くとられている措置の一部に過ぎないもので、このパネル報告の内容はロシアが国際的な義務を無視していることへの警告でもあると述べています。

 

欧州委員会は、欧州連合が主張した手続き上の瑕疵についてその主張がパネル報告で全面的に認められたとしています。またロシア当局のアンチダンピング関税の導入にいたる分析にいくつもの問題があったとし、この中には、ダンピング認定の要件とされる国内生産者への被害要件を算定する際に一部の国内生産者を除外する等非現実的な数値を用いていることも挙げられると述べています。また、ロシア国内における小型商用車の過剰生産が全く度外視され、措置が導入された当時においては、ロシア市場では小型商用車の生産能力は市場規模の7倍近くにもなっていたとも指摘しています。

 

パネルは裁判の一審に相当するもので、パネル報告の内容についてはいずれの当事国も60日以内であれば異議を申し立てることができ、異議申立てがあれば上級委員会で審査されることとなります。ロシアが異議を申し立てなければ、是正措置をとる必要があり、欧州連合から輸入している小型商用車に対するアンチダンピング関税の撤廃が求められます。

 

今回問題とされた小型商用車(LVC)に対するアンチダンピング措置は、イタリア、ドイツ及びトルコからの輸入車をターゲットとしてユーラシア経済連合によって採択され、2013年5月に導入されたもので、その構成国のアルメニア、ベラルーシ、カザフスタン、ロシアへの輸入に対して適用されています。LVCは、重量2.8トン~8.5トンのバンタイプのもので、排気量3千CC未満のディーゼルエンジンを搭載し、2トンまでの貨物の輸送や貨物と人の輸送に使われるものとされています。なお、欧州連合が本件についてロシアのみをWTOに提訴したのは、この当時ロシア以外の国はWTO協定上の義務を負っていなかったからであると説明されています。

 

欧州連合がロシアを相手取ってWTO紛争解決機関に訴えた件数は今回の措置を含めて4件に上り、他の3件には、豚肉等の輸入禁止措置、紙製品等への関税問題、及び自動車へのリサイクリング・フィーがあり、前2件についてはいずれもロシアがWTOルールに違反しているとのパネル報告が出されたと説明されています。

 

(出典:2017年1月27日付けの欧州委員会のプレスリリースより)