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米国際貿易委員会がTPPの米国への影響に関する報告書を提出(USITC)

●USITC

2016年5月18日、米国際貿易委員会(USITC)は、環太平洋パートナーシップ(TPP)協定が米国にもたらす影響についての調査報告書を議会に提出しました。この報告書の提出は、大統領への通商協定締結権限を定めた2015年貿易促進権限(TPA)法において求められているものです。この報告書では、TPP協定がもたらす影響を、米国経済全般、個々の産業セクター、米国の消費者について分析したもので、米国の国内総生産、輸出及び輸入、雇用、TPPによって大きな影響を受けそうな産業の生産、雇用及び競争上の地位等に対する影響が取り上げられています。

 

この影響分析では、まずTPPがないとした場合の予測値をベースラインとしてとり、それとの比較で15年後の2032年時点での様々な影響が分析されています。その結論としてはTPPのもたらす効果はポジティブなものであるとしつつも、その効果は米国経済全体の規模からみて小さいものにとどまるとしています。具体的には、2032年までに米国の年間実質所得は基準となる予測値に比べ573億ドル(0.23%)増え、また国内総生産は実質で427億ドル(0.15%)押し上げられ、雇用(正規雇用に換算)も128,000創出され、0.07%の拡大が見込まれるとしています。米国の輸出及び輸入については、それぞれ272億ドル(1.0%)及び489億ドル(1.1%)押し上げられるとし、また日本等のこれまでに自由貿易協定を結んでいなかった国については、輸出は346億ドル(18.7%)、輸入は234億ドル(10.4%)の拡大が見込めると推計しています。

 

セクター別の効果については、農産品、食品への効果が最も大きく、生産額は100億ドル増え、0.5%の拡大となるとしています。またサービスセクターへの効果も大きく423億ドル押し上げられるとしていますが、一方、製造業、天然資源及びエネルギーのセクターではTPP協定がないとした場合の基準予測値と比較して108億ドル(0.1%)のマイナスになるとしています。

 

また、利害関係者の多くがTPPに規定されている電子商取引に関する新たな規定(国境を越えたデータフローの保護及びデータの現地化要件の禁止)は国境を越えるサービス貿易を発展させるうえで最も重要なものと考えており、米国企業が、その規模の大小を問わず、あらゆるセクターにおいて世界において最適な事業展開を実現するためには死活的に重要なこととして重視していると述べています。

 

TPPは貿易に関連した規律を確立せんとするもので、様々な規制の強化や調和をはかり、予測可能性を高め、TPP地域において通商、投資を行う企業にとってのコストを削減させる効果を持つもので、この関連で利害関係者がTPPの規定の中で特にその重要性を強調したのは、知的財産権、通関、投資、貿易の技術的障壁、衛生植物検疫、国家所有企業の分野であったとしています。

 

通商代表部(USTR)のフロマン代表は、この報告書に記載されている輸出額や年間実質所得の拡大等に関する推計値を引用しつつ、TPPを本年中に議会を通過させなければならないとの現政権の主張を強く裏付けるものであると述べ、またTPPは国内経済に利益をもたらすとともにアジア太平洋地域の貿易ルールを設定することに資するものであるとの主張を繰り返し述べています。さらにUSITCの報告書の内容はやや限定的な予測にとどまっているとし、米国のシンクタンクであるピーターソン研究所が行ったように知的財産権の保護、サービス分野への影響、国家所有企業についての規律、非関税障壁の削減、デジタル貿易に関する条項等のTPPがもたらすすべての効果を含めると、その効果はさらに高くなるだろうと述べています。さらに、TPPを発効させないことの危険について、その重大性に言及し、今年初めに発表されたピーターソン研究所の予測ではTPPの発効が1年間遅れると米国経済にとって940億ドルの影響があるとされているとしています。同代表は、さらに、定量化できない問題ではあるとしつつ、TPPが失敗した場合の米国のリーダーシップに対するコストを看過してはならず、中国が独自の通商協定を通じてアジア太平洋を分断することを認めることとなろうと述べ、このような事態を許せば、労働者の権利を改善し、知的財産の保護を強化し、環境を保護するために必要となる措置をとることができなくなるとして、TPPのもたらす定量化できない効果の重要性を強調しています。

 

(出典:2016年5月18日付けのUSITCのプレスリリースより)