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米商務省が安全保障上の理由で鉄鋼、アルミニウム製品の輸入制限措置を大統領に勧告(米商務省)

●米商務省

2018年2月26日、米商務省は、米国の鉄鋼及びアルミニウム製品の輸入によって国家の安全保障が損なわれるおそれがある(通商拡大法232条)との調査結果を発表した。

 

調査報告書では、鉄鋼製品に関して、米国は世界最大の輸入国で、輸入は輸出のほぼ4倍に達している。2000年以降、稼働高炉数は減少し、雇用についても1998年以降35%減少した。世界の生産能力は24億トンで、2000年に比べ127%増加、一方需要の増加率は低迷している。近年の世界の過剰な生産能力は7憶トンで、米国の年間使用量のほぼ7倍に達している。中国が最大の製造国、輸出国で、中国の過剰生産能力だけでも米国の生産能力を超え、また中国の1か月平均の生産量は米国の1年間の生産量に匹敵する。2018年2月15日現在、鉄鋼に関して169件のダンピング防止関税及び相殺関税が発動されており、その内29件は中国に対するもので、さらに25件について調査中である等の調査結果が報告されている。

 

その上でロス商務長官はトランプ大統領に対して次の3つの代替案を検討するよう勧告している。

 

1.すべての国からの鉄鋼輸入に対して最低24%の追加関税を課す。
2.12か国(ブラジル、中国、コスタリカ、エジプト、インド、マレーシア、韓国、ロシア、南アフリカ、タイ、トルコ及びベトナム)から輸入されるすべての鉄鋼に対して最低53%の追加関税を課し、それ以外の国からの輸入については2017年の輸出実績に相当する割当枠を設ける。
3.すべての国からの鉄鋼輸入に対して、それぞれの国の2017年の輸出実績の63%に相当する割当枠を設ける。

 

以上の救済措置によって、国内の稼働率を現在の73%から80%程度に高めることができ、この稼働率は長期的に生産を行う上で必要最低限のものであるとし、また迂回防止のため上記のそれぞれの措置はすべての国及びすべての鉄鋼製品に適用されるとしている。

 

一方、アルミニウム製品については、輸入は一次アルミニウム製品の総需要の90%に達し、2012年の66%から拡大している。2013年~2016年の間で雇用は58%減少し、6か所の精錬所が閉鎖され、残る5か所のうち2か所のみが稼働している状況にある。軍需用の高品質のアルミ合金を製造する企業は1社が残っているのみである。2018年2月15日現在、2件のダンピング防止税及び相殺関税が課されており、いずれも中国からの輸入に対するものである。現在4件の調査が中国について行われている等の調査結果が報告されている。

 

その上でロス商務長官は大統領に対してアルミニウムの過剰な輸入を解決するため次の3つの代替案を検討するよう勧告している。

 

1.すべての国からのアルミニウムの輸入に対して最低で7.7%の追加関税を課す。
2.中国、香港、ロシア、ベネズエラ及びベトナムからのすべての製品に23.6%の追加関税を課し、それ以外の国からの輸入については2017年の輸出実績に相当する割当枠を設ける。
3.すべての国からの輸入に対して米国への2017年の輸出実績の86.7%相当の割当枠を設ける。

 

以上の3案は、アルミニウム製造の現在の平均製造能力の48%から80%に増やすことを目的とするもので、このレベルは長期的に稼働する上で必要な率であるとし、また迂回防止のため上記のそれぞれの措置はすべての国及びすべてのアルミニウム製品に適用されるとしている。

 

大統領は、鉄鋼に関しては本年4月11日までに、またアルミニウムに関しては本年4月19日までに決定するよう求められている。

 

通商拡大法232条は、商務長官に国家安全保障に対する物品の輸入の影響を決定するための調査を開始する権限を付与している。調査開始は利害関係者(業界、議会)の申請又は政府機関の長の要請に基づいて行うこともできる。大統領は、商務長官の勧告が輸入によって国家の安全が脅かされるおそれがあるとされた場合には、90日以内にその当否を決定し、執るべき措置やその期間を決定する。

 

世界貿易機関(WTO)のルールでは加盟国は一方的に輸入制限を課すことを禁じられているが、安全保障上の例外として、国際関係の緊急時に措置を執ることが認められている。本件についての大統領の決定如何によってはWTOルールとの整合性が問題となることも考えられ、またいずれかの措置の導入が決定された場合そのもたらす影響も大きいことから各国の反発も予想される。

 

(出典:2018年2月16日発表の商務省のプレスリリースより)