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欧州連合が新たなダンピング判定ルールを施行(EU)

●EU

2017年12月20日、欧州連合(EU)は、政府の介入により重大な市場の歪みがあると判断された国からの輸入品について新たにダンピング防止関税を課すためのルールを定め、このルールは同日施行された。政府の介入によりEUへの輸出価格に歪みを生じさせている国として最初に調査された国は中国で、同国に関する詳細な報告書も公表された。

 

今回の新ルール制定の背景には、2001年に中国が世界貿易機関(WTO)に加盟した際、当初15年間は同国を「非市場経済国」として扱うこととされ、ダンピング輸入に該当するか否かを決める要素の一つであるダンピング・マージンの算定に関して中国の輸出価格と中国国内での販売価格等との比較を使用せず、その代わり市場経済国の国内販売価格を使って中国の輸出価格との差異を算定し、ダンピング・マージンの有無を判断することが認められていたが、2016年12月、中国の「非市場経済国」としての規定が失効したため、中国を他の多くのWTO加盟国と同じように「市場経済国」として扱うかどうかが問題となったことがある。

 

そのため欧州委員会は、新たなルールの策定に取り組み、2016年11月にダンピングの新たな算定方式を提案し、その後欧州議会及び理事会での審議を経て昨年10月3日にこの新ルールが合意された。

 

欧州委員会は、このルールの目的について、貿易上の実態に有効に対処できるような法的なツールを整備することによって、一方で国際的な貿易環境の現状(特に、過剰供給問題等)に見られる政府の介入による貿易の歪みに有効に対処し、他方でWTOの法的枠組みの中でのEUの国際的義務を履行することであると説明している。

 

WTOのルールでは、ダンピングの有無の算定に当たって、輸出価格と輸出国における国内価格又はコストとの比較で算定される。中国が「非市場経済国」の扱いが認められていた間は、政府の経済活動への介入によって国内価格やコストが歪められていれば、このような国内価格等は根拠とされず、それに代えて市場が歪められていない国の生産コストや販売価格(代替国の価格等)を反映させることができることとなっていた。

 

今回の新方式は、中国に限定せず、すべてのWTOの加盟国に適用するルールとなっている。そのためこの新方式を適用するに当たっては適用に先立ち政府の介入によって輸出国において重大な市場の歪みが生じているかどうかを実証する必要がある。この関連で、委員会は特定の国の経済又はセクターについて分析した報告書を作成するとしており、今回の新ルールの発表に併せてその最初の国として中国に関する報告書を公表した(第二弾はロシアの予定)。この報告書では中国のマクロ経済、同国の製造過程で使われる主要な生産要素(例えば、労働やエネルギー)及び鉄鋼やセラミックスを含む特定の経済セクターに焦点を当てて中国経済の様々な側面が分析されており、特に資源配分等について中国政府が強い影響力を発揮して価格面に重大な歪みが生じているとしている。

 

この報告書は、EUの業界がダンピング調査に関する新方式の適用を申請する際の証拠として活用することができ、委員会は個別の事案の調査の過程で提示された資料等のすべての証拠を踏まえて新方式を適用するかどうかを審査することとなる。この調査の過程では、調査に関係する当事者はすべて(関係国の政府や輸出品の生産者を含む)報告書に記載されている事実関係につきコメント等を行う機会が与えられる。なお、代替国の国内価格やコストを選定する際には、一人当たりの所得その他の経済指標に加えて、代替国における社会的な状況や環境上の保護等の状況についても勘案される。

 

また、この新ルールは、外国政府の補助金に対する相殺関税の適用にも関係する。調査の過程で新たな補助金の支給が判明すれば、最終関税にこの調査結果を上乗せすることができる。

 

中国政府は、EUが新ルールを検討中の段階からEUの対応に強く反発し、WTOの紛争解決機関にEUを提訴し、昨年4月第一審に当たる紛争解決小委員会(パネル)が設置され、審査が行われている。

 

今回のEUの発表を受け、2017年12月21日中国外交部の報道官は記者会見で、EUは中国の経済について無責任な分析を行い、中国に対して差別的で、不公正な制限措置を取っている。それにもかかわらずEUはその対応がWTOルールに違反していることを認めようともせず、ダブルスタンダードを適用している。中国の経済社会制度は中国の実態に適したもので、新たな時代の中国の経済開発の必要性に合致しているとコメントし、さらにEUの措置はWTOルールに違反し、WTOのダンピングルールの法的な価値を損なわせるもので、中国は自己の正当な権利や利益を守るために必要な措置を取るとし、今回のEUの措置に強く反発している。

 

(出典:2017年12月20日付けの欧州委員会のプレスリリースより)

 

過去の関連情報
2017年4月28日 「中国の「非市場経済国」の扱いを巡りパネル設置を決定(WTO)」