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USTRがEUのエアバスへの補助金支給への対抗措置強化を検討(USTR)

●USTR

米通商代表部(USTR)は、2019年7月1日、欧州連合(EU)の大型民間航空機への補助金支給への対抗策として検討しているEUへの追加関税の対象品目を拡大するため、パブリック・コメント等を求めることを発表した。

 

今回のコメント等の対象は、89品目¹(米関税率表8桁分類での品目数)、約40億ドル(約4,320億円)相当の輸入品で、2019年5月14日に発表された当初案317品目²(同上分類の品目数)及びヘリコプターや航空機を含む10桁統計細分の9品目³の併せて約210億ドル(約2兆2,700億円)相当の輸入品に追加されるものである。USTRは、今後予定されている公聴会で表明される意見(2019年8月5日の予定)やパブリック・コメントの内容(提出期限は2019年8月5日)を踏まえ、追加品目の最終案を決定する。上乗せされる関税率は最大100%である。

 

以上のいずれの追加関税も、対抗策の規模等についてWTOが下す裁定内容を踏まえて発動される。ただし、その裁定が追加品目を確定させる前に出された場合は、まず当初案の210億ドル相当の輸入品について追加関税を発動し、追加品目についてはその後発動される。

 

本件のエアバスへの補助金支給を巡るWTOでの紛争は長い歴史を持つ。米国はEU及びその加盟国(フランス、ドイツ、スペイン、英国)に対してエアバスへの補助金支給を停止するよう長年にわたり求めてきたが、EU側が米国の求めに応じなかったため、2004年本件をWTOに提訴した。この提訴に対してEUは米国がボーイング社に対してより巨額の補助金を支給しているとして対抗した。米国及びEUの提訴は異なるパネルで扱われることとなった。

 

WTOは、2011年、EUがエアバスに対して180億ドル(1兆9,440億円)(1968年~2006年)の補助金を支給し、これにより米国のボーイング社は300機以上の航空機の販売の機会を失い、さらに世界での市場シェアの喪失につながったとした。このWTOの判定を受け、EUは一部の補助金を廃止したが、それ以外の多くの補助金をそのまま維持した。その上、EUはエアバスの新機種(A350XWB)の開発に50億ドルを超える額の補助金を支給したため、米国は2012年3月、当初問題とした補助金の支給をEUが停止していないことに加え、新たに補助金を支給したことを問題としてWTOに提訴し、紛争解決小委員会(パネル;裁判の第一審に相当)の設置を求めた。パネルからの報告を受け、上級委員会(控訴審に相当)は、2018年5月、A350XWB及びA380(スーパージャンボ)への補助金の支給によってボーイング787及び747(ジャンボ)の販売に大きな損失が生じ、さらにEU、豪州、中国、韓国、シンガポール、アラブ首長国連邦(UAE)において市場を失うこととなったと結論付けた。

 

この上級委員会の報告に基づき、米国はEUの補助金によって生じた悪影響に見合った損害額に相当する対抗策を課す権限を求めたが、EUは米国の算定額に異議を申し立てたため、米国は対抗策の規模についてWTOの裁定を求めた。

 

このWTOの裁定は本年夏に出されることが見込まれている。追加関税が発動されれば、EUの補助金支給が停止されるまで継続する。

 

なお、本件とは別に、EUが米国のボーイング社への補助金支給を訴えた件に関しては、WTOは、2017年、研究開発資金や税制面での利益の提供の形でボーイング社に対して32~43億ドル(3,500億円~4,600億円)の補助金が支給されているとしたが、市場への影響はEUのエアバスへの補助金に比べ限定的なものとされた。米国政府の説明では、WTOの報告内容を踏まえ、研究開発資金の支給を見直し、税制上の利益も廃止している。

 

出典:2019年5月14日、7月1日等のUSTRのプレスリリースより)

 

¹ 乳製品、オリーブ、果実、豚肉等、パスタ、化学品、鉄鋼製品等
² 魚類、酪農品、果実、オリーブオイル、ワイン、繊維製品、セラミック、ガラス、鉄鋼その他の金属製品、機械類等
³ ヘリコプター、航空機、部品等