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ギリギリ合格、やはり合否は通関実務

~ギリギリ合格、やはり合否は通関実務~

2019年度通関士養成講習会受講(受験2回)

全国通関士模試受験

K・Kさん

第52回の受験に続き、今年2回目の受験でようやく合格することができました。講師の皆様、関係者の皆様、合格の導き手となっていただきまして、心から感謝申し上げます。

 通関士試験受験の動機は、どうしても貿易実務関係の仕事に就きたいという思いのほか、高齢の母の通院の付き添いなどのため、当面は通常どおり勤務することは難しいとの判断によるものでした。すでに50代という年齢から、仮に合格したとしても、果たして仕事はあるのだろうかという不安を抱えながらも、やむにやまれない状況の中での試験勉強でした。

 前回の第52回試験の受験に際しては、他の通信講座を利用して、夏場に集中して一日8時間程度は勉強していました。通関業法こそ合格水準に達していたものの、関税法は5点足らず、通関実務では10点ほど足らず、涙を呑みました。関税法は努力がもう一歩だったと納得できましたが、通関実務では「見たことも無い剛速球」を見せられたような印象であり、これではバットにかするわけがない落胆しました。試験直後からしばらくするまでは放心状態が続いておりましたが、ふとしたきっかけで関税協会の通関士養成講座(講習会)の存在を知り、無料ガイダンスを受講してみると、これならもう一度トライする価値があるかもしれないと意を決し、再受験に踏み切りました。

 講義を受けてみると、長年にわたって通関実務に携わってこられた講師の方々の非常に興味深い講義内容でした。一見、無味乾燥に思える条文も、講義を熱心に聞くとともに自習を進めてゆくと、その味気なさそうに見える条文が相互に関係し、影響し合って相互に支え合っていることが徐々に分かってきました。

 8月下旬に行われた全国通関士模試受験の結果は「E」判定でした。いわゆる、このままでは合格には届かないという結果です。52回の受験に引き続き、またしても通関実務にしてやられました。通関実務の解答は、受験生が総じて苦手とする輸出入申告書の作成から取りかかりました。しかし当問題は、解答を導くために、正確な品目分類と輸入割当品目の指定、申告額の計算の前の算入・控除などを誤りなく行うことが必要なもので、当問題に70分(全100分)も費やしてしまったのです。時間を費やしたにもかかわらず、自信の無い解答であることから心理的な焦りも手伝い、結果は散々でした。

 しかし結果的に、この模試で見事に打ちのめされたことで、現在の自分に必要な努力の箇所が何であるかが分かり、本試験までの取り組みを明確にしてくれました。当協会でも、繰り返し唱えられ、また、多くの受験生が実感しているように、「通関実務の成績が合否を左右する」ことは疑いようが無く、常に意識していなければならないことだと思います。

 53回試験の結果は、当協会の回答と照らし合わせた自己採点で、通関業法37点(82%)、関税法52点(87%)、通関実務28点(62%)です。試験問題は終了後持ち帰ることができるため、問題に正誤や該当・非該当の印を付けていましたが、通関実務の問題は複数選択肢の一問(一問2点)だけ、その印が抜け落ちていました。記憶ではここを○としているはずだけど、まさか×としていないだろうなあという不安が抜けきれませんでした。その問題を除く点数は26点(合格水準6割は27点)であり、その問題があっていれば合格、間違っていれば不合格という瀬戸際だったのです。今回の輸出入申告書作成の問題は、基本的な易しい問題であったため、合格水準が55%、50%になることはないだろうなという実感がありました。すでにご存じと思いますが、特に、輸出入申告書作成の問題が難しい年は、通関実務の合格水準が上記の水準に引き下げられることがあるのです。

 結果的にギリギリで合格です。そのような私ですが、一受験生としての実感を、これから受験勉強を行う皆様にお伝えしたいと思います。第一に、通関士試験の勉強は、関税法や通関業法等を中心とする法律の勉強だということです。そして通関実務における品目分類は、日常生活で接する農産物や鉱工業製品、雑品などもありますが、その分類は通関実務独特のものです。さらに、輸出入申告書の問題に出てくる品目は英語です。日本語でさえ難しい品目分類に、見たこともない英語表記の単語が加わることが、問題を実際以上に難しく感じさせているように思われます。品目分類に出てくる英語くらいは咄嗟にどの類に分類できるのかが推測できるように備えておく必要があります。

 合格のための必要な勉強時間に関しては、様々な意見があるようですが、一人一人違うことが当然のように思われます。もともと貿易実務関係の仕事に従事している方とそうではない方、英語表記に落ち着いて対処できる方とそうではない方、法律の固い文章表現に慣れている方とそうではない方など、受験に取り組むまでの経歴は千差万別です。私は大学で法律を学び、英語は金融関係を中心に仕事で使ってきた経緯がありますが、それでも品門分類の英語には苦労しました。過去2回の総受験勉強時間は優に1000時間を超えています。

 勉強スケジュールの立て方に関しましては、思い立ったが吉日です。早めに取りかかるに超したことはありません。当協会の講習は4月開講ですが、教材が送られてきたら、ガイドを精読してできることからすぐに取りかかるべきです。開講当初はある程度の余裕をもって対処できますが、だんだんと内容が難しくなり、講義に出るだけが精一杯のような状態だとついて行けなくなります。本試験が近づくと、あと2〜3週間、いや2〜3日でもいい、いやいや2〜3時間でも余裕が欲しいという気持ちになります。今冬〜春先頃から、10月上旬の本試験に常に注意を向けながら、6月までにはテキストの精読が完了し、遅くとも7月以降は問題演習を中心に取り組めるように、早め早めの対応が求められます。

 以上は、あくまでも一受験生の体験記に過ぎませんが、これから受験される皆様に少しでもお役に立つ箇所がありましたら幸いです。合格までの手助けをしてくださった全ての皆様に、心からの感謝を申し上げ、喜びの報告とさせていただきます。勉学は辛くとも、本当に楽しい学生生活でした。ありがとうございます。