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品目分類の勉強に早めに取り掛かることがポイントです!

~品目分類の勉強に早めに取り掛かることがポイントです!~

2019年度通関士養成通信教育講座、スクーリング、特別答練受講(受験2回)

全国通関士模試受験

S・Nさん

【はじめに】
令和元年度、2度目の受験でどうにか合格することができました。この間の勉強方法について、今後受験される皆様に少しでもお役に立てればと思い、合格のために「やったこと」に「やらなかったこと」を織り交ぜつつご紹介したいと思います。

【1回目の受験を振り返って】
1回目は他社教材を用い勉強期間約6か月で試験に臨み、通関業法33点、関税法36点、通関実務21点という結果で不合格となりました。その際の反省点は以下の3つです。

①複数選択式問題の正答率が低かったこと。
②教材の構成上、品目分類が後回しになり、直前期に分類の勉強を開始したものの、付け焼刃でなんとかなる代物ではなかったこと。
③通関実務の課税価格の決定において、算入・控除すべき費用を正確に理解していないこと。

おそらく受験経験のある方には少なからず思い当たるのではないかと思います。これらにどう対策をとるか考慮し、後述する学習方法を自分なりに採用して2回目の試験に臨みました。

【①の複数選択式問題対策】
やったこと;一つ目は通関手続ドリル・関税評価ドリルの復習です。この中に通達に関係する設問が出てきますが、1回目の受験勉強時にテキストや条文を読んだだけで理解できなかったので、基本通達をダウンロードし、どこからどのように出題されているかを1度目の不合格確定の12月頃~4月頃にかけて目を通しておきました。すると、通達の表現そのものという問題が多い事に気づくことができましたので、おそらく本試験でも問題作成者は基本通達を傍らに置いて問題文を作成するのだろうと考えました。二つ目、模試と特別答練受講時のレジュメ、不正解だった箇所のテキストでの再確認の繰り返しです。これは8月~本試験直前まで行いましたが、この勉強で急激に正答率が上昇しました。ここで特別答練のレジュメと記載しましたが、特別答練は是非受講を検討ください。この際配布されるレジュメの復習の有無で、相当に(合否を分かつほど)差がつくと思います。

やらなかったこと;きれいにノートをとること、これはしませんでした。勉強途中で学習範囲が想像以上に広いと感じられたため、一つの論点をきれいにまとめるより、あやふやな箇所多数を何度も繰り返し学習して、テキストに付箋を貼り、印をつけながら範囲全体の中で間違いを減らしていく方が点数に結びつくだろうと考えました。なので受験勉強の思い出になるようなノートはなく、暗記のためのメモ・落書きレベルのものしか残っておりません。(その代わり、繰り返しで覚えたためか、意外と頭の中に残っています。)

 

【②品目分類対策】
1度目の受験時には、品目分類の問題を見ても「合格したら関税率表見ながら調べればよいのだから、こんな問題を出す意味がわからない!」と感じていましたが、2年目の勉強開始の際には、そういう考え方はきっぱり捨て、出題者の意図を酌み、「関税率表の見方・品目分類ができないようでは、修正申告ばかりする破目になるので、そういう人が合格しては困る!だから、ある程度品目分類に慣れ親しんでいる人とそうでない人を選別するために出題しているのだ!」と認識しなおして勉強しました。この認識はとても大切だと思います。

やったこと;様々なテキストに品目分類の過去問をまとめ一覧表にしたものがありますが、自分にはどうしても合わず点数に結びつかないと感じたため、その方法は途中でやめ、テキスト中の関税率表の部分をコピーして持ち歩き、隙間時間に読んで蛍光ペンでマークする方法をとりました。また、スーパーに買い物に行った際・街を歩く際など、目に飛び込んできた物が何類に分類されるかを思い浮かべる練習をしました。鮮魚コーナーでは、殻付きの生鮮のえびのコードは○○、殻をむいてボイルしているサラダえびは○○、ノルウェー産のサバのフィレは○○、IQ品目に該当するものは「“コレ”と“コレ”」というように頭を巡らし、家に帰って確認するということをやりました。

さらに小間切れ時間、例えば風呂で頭を洗っている際、1~49類まで、50~97類までというように順番に答えられるよう繰り返し、そして逆から言えるようになるまで練習しました。覚えるコツとしては、自分の興味あるもの・把握しやすいものを確実に押さえ、最初は断片的でよいので全体通しで暗記していくのが良いとおもいます。すると、なかなか暗記できない類が目立ってきます。「この類はなかなか暗記できないなぁ!」ということがわかってくると、そう遠くないタイミングでその類も答えられるようになります。語呂合わせ・勝手なつじつま合わせも有効です。例えば30類~34類までなら医・肥・染・香・石鹸。シャンプーは泡立つけど34類ではなく33類(たぶん決めた人が欧米人でシャンプーは身だしなみ・オシャレととらえて香料の類に入れた!)とか、プラスチック製の洗面器を見たら「Thank you(39類)プラスチック!・(つづいて風呂の栓を指差して)40ゴム!」など言いながら暗記していきました。これは試験直前まで続け、「85類に入りそうで入らない84類の電化製品はコレ!」というように繰り返し行いました。

【8月;模試の受験】
やったこと;8月に日本関税協会の模試を受検したところ、総得点で約1000人中50番という結果でしたが、申告書の点数が伸びず結果E判定となりました。しかし、「なんだ!申告書で点数とってたら全国で10番以内だったかも!」とか、「分類にある程度自信がついてきたので、課税価格の決定の精度をあげれば大丈夫いける!」と、喜々として勉強に向かいました。なお、模試は日本関税協会の他、他社のものも申し込んで複数受験されることも良いと思います。私はTPPなどの新作問題対策に活用させてもらいました。

【③課税価格の決定・申告書対策】
やったこと;模試後から試験直前までは、帰宅するなりゼロからの申告書や市販の問題集などを1日3~4問解き、課税価格決定の原則・例外、および問題パターンを頭に入れ、テキスト中の課税価格に算入するもの・控除するものに星印をつけ、日常の隙間時間に頭の中で反復させ、定着させるという方法をとりました。輸入・輸出どちらも30問程度こなしたあたりから、だいたい問題作成のパターンが見えてきます。自分はこのパターンが苦手だ!と認識することもでき、対策もとれます。すると不安な気持ちもなくなります。またインボイスに出てくる英単語も一つ、また一つと頭の中にストックされていきます。

品目分類が苦手だった時期は、1問解答するのに45分もかかったあげく間違うことが多々ありましたが、品目分類にある程度自信がつくようになってくると輸入申告書を20分くらいで解けるようになってきます。あとは算入・控除の判断精度を上げるだけと頑張りました。なお、申告書を先に勉強し、直前期になってから品目分類の暗記に取り掛かるというのはお薦めしません。あくまで本体験記のタイトルどおり品目分類の暗記を先にすることをお勧めします。直前期に品目分類の暗記に取り掛かると、せっかく今まで覚えた関税法などまできれいさっぱり忘れてしまい、直前でパニックになりますのでご注意ください。1年目の私がそうでした。

やらなかったこと;電卓の操作テクニックで計算時間を短縮する方法もあるそうですが、私はその方法は採用しませんでした。課税価格決定の原則・例外の精度アップをしない限り、電卓の操作がどんなに早くなっても点数に結びつかないと考え、今の自分には不要と割り切りました。

また、申告書問題を解く際に少額判断基準価格を計算するというのも行いませんでした。輸入申告書の場合、どっちみちすべての品目で課税価格を計算する必要があるので、解答途中で基準価格を算出する必要はないと考えたことと、輸出の場合、品目分類が適切で算入するものが価格按分であれば、外貨建てのまま電卓を使わずに解答欄をすべて埋めることができます。(このことに試験の1週間前になってやっと気づきました。なお、重量按分であれば順番が変動する可能性がありますので、この場合は電卓を使います。今はこの意味がわからなくとも、出題のパターンがわかるほど勉強が進んでくれば、どういう意味か理解できるはずです。)

【試験本番の通関実務で問題を解く順番】
1回目の受験の際には、申告書を飛ばし計算問題から解きましたが、計算と検算に慎重になったのと、頭に入っていない品目分類を試験中に悩み、考えることで申告書解答の時間が足りなくなったと反省し、2回目の受験時は2問目の輸入申告書から解くという方法を採用しました。試験開始から30分後に「30分経過・退出可能」のアナウンスがありますので、このタイミングまでに輸入申告書を確実に解答し得点する!というように考えたからです。実際100分の試験時間で45点の問題です。最初の30分で15点分の問題をきっちり取りに行くというのは戦術として正しかったと今も思っています(実際は25分で輸入・輸出と解き、この2問で18点確保できました)。

【2回目の本試験の結果】
自己採点の結果、通関業法38点、関税法47点、通関実務37点で、通関士試験受験生活を無事終えることができました。通関実務も約20分時間を残して終えることができましたので、1回目の反省を踏まえた作戦が功を奏したと考えています。

【最後に】
よく通関士試験合格までの学習時間はおよそ350時間という記載をみかけますが、今だから感じられるのは、「合格してからも法改正や商品分類などで勉強する必要がある。だったら先にもっと時間をかけて勉強しておいても損は無いのではないか?」ということです。私の場合、間違いなく2年目だけでも倍の時間は勉強しました。社会人が勉強時間をどうやって確保すればよいのかという議論もありますが、通勤時間(私の場合、片道1時間)を勉強時間にあて、2時間×半年で250時間くらい捻出しました。これにネット・テレビやお酒などの誘惑を期間限定で断ち切って、買い物の時間・シャワーを浴びている時間・食事をしながらメモを見るなど隙間時間・ながら勉強の積み重ねを行い、最後に机でじっくり勉強する時間を足せば、5~600時間程度は楽に確保できるはずです。なお、繰り返しになりますがオプションとなっている特別答練については是非受講をご検討いただき、レジュメの復習に数十時間は確保してください。あの答練で配布されるレジュメは、試験会場で「筆記用具と計算機以外カバンにしまってください!」と言われる瞬間まで必ず手元において役立てていただきたいと思います。今年度はオリンピックイヤーでもあり誘惑も多い年ですが、目の前にある日本関税協会の養成講座は通関士試験合格までの最短ルートです。誘惑に負けてせっかくの最短ルートをわざわざ遠回りしてしまいませんように!そしてこの試験は頭の良し悪しではなく「こなした時間・慣れ」だと思います。自分が覚えやすいよう若干の創意工夫を加えることで、必ず合格できる試験です。

本年11月には皆様の元に合格証書が届きますことを陰ながら応援しております。