取捨選択!!

~一度決めたことを信じて突き進む~

 

平成28年度・通関士養成通信教育講座受講(受験1回)
全国通関士模試受験
N・Dさん

はじめに

受験の動機は社内での異動でした。これまでの実際に通関に携わる営業部門から管理部門に異動し、社内の通関体制を取り仕切る「総括管理部門」担当となったことで身が引き締まり、「これは勉強しなければならない…」と思ったことがきっかけです。

勉強方法

私はちょっと切り口を変えて「どのように取り組むべきか?」ということを僭越ながら寄稿させていただきます。

私の場合「取捨選択」というのが一大テーマであり、それを細かく分けた取り組み方の3本柱として下記を上げさせていただきます。

① インターネットの有効活用 ~ 情報の取捨選択
② 頑固さ ~ 学習方法の取捨選択
③ 浮気をしない ~ 使用教材の取捨選択

まず1つ目ですが、私の場合、受験の意思を固めたところで最初にやったことが、インターネットでの試験の傾向と対策の調査でした。スタート時点での理解度、その後の知識吸収スピードは十人十色です。従いましてこの時点での一番重要なことは「適切な情報の取捨選択による、最適情報の活用」だと思います。

たとえば、一見もっともらしい「A」という情報があったとします。しかしそれは、数回目の受験であるあなたの友人には確かに有益な情報かもしれませんが、初学のあなたにはガラクタのような情報かもしれません。逆もまた然りです。

「通関士学習」と検索しただけでも、おびただしい数のウェブサイトがヒットします。しかしそこで紹介されている全てがご自身に適した方法とは限りません。中には、明らかに間違った情報が記載されているウェブサイトもあります。たとえば私が見ていた中で、試験の非常に基本的な情報である、問題の採点方法が誤っているサイトがありました。そういったサイトも見た目は非常に「もっともらしい」のです。インターネットは便利なようで危険だと改めて感じました。試験勉強のスタートの段階で正しい選択をし、正しい道筋で学習していくことが非常に大事です。

2つ目に、「頑固さ」です。私は集中力がなく、静かな空間も苦手なので、机と向き合って学習することができません。そんな私の学習方法は、テレビやyoutubeを点けっぱなしにしながら、ソファやベッドに寝っころがってテキストを眺めるというものです。妻からは幾度となく「それほんとに勉強しているの?」と嘲笑され苦言を呈されておりましたが、そこも「頑固」に自分のやり方を貫き通しました(笑)。なぜなら、私にとってはその方法がベストであるとこれまでの人生においても信じて取り組んできたからです。

このように勉強しなければ合格しないなどというものは存在しません、当然のことですが。自分を一番理解しているのは自分自身です。勉強の仕方も人それぞれですので、ご自身にもっとも適している方法の採用をお勧めします。周りに惑わされずに頑固にご自身のやり方を信じて貫いてください。

3つ目に、比喩的に表現しましたが、ご自身に最適なテキストの選択をし、それを理解し尽くす、ということをお勧めします。色々目移りするかもしれませんが、あれこれと色々なテキストに手を出さない方が良いと思います。私のお勧めは関税協会の「通関士養成通信教育講座」にて配付される「オリジナルテキスト」です。とてもわかりやすく要点がまとめられており、数年分の過去問を解いていても出題内容はほぼ網羅されていると感じました。従いまして、テキストは本当にこの1種類しか使用しておりません。通関士試験では過去問を解けるようになるだけではなく、しっかりと本質を理解していないと解答できない問題が多く出題されます。そういった観点からも、最適なテキストの熟読による本質の理解~知識の定着は絶対に必要であると感じます。実際に2016年の試験では、過去問にない問題が多く、しっかりと本質を理解していないと合格できない構成になっていたように感じます。おそらく過去問演習ばかり繰り返していたら、試験当日狼狽してしまっていたかもしれません。幸いにもオリジナルテキストを熟読していたお蔭で、目先の変わった問題や初見の問題にも落ち着いて対応し、正答を導き出すことができました。

また、上述のとおり2016年の試験は難問が多く、関税法の(問28-廃棄物の処理)に関して、関税協会の解答速報のみがその他多数の予備校や個人サイトの解答速報と異なっておりました。多数決なら圧倒的に「その他」の勝利ですが、果たして財務省より公表された解答は関税協会と同じものでありました。私もオリジナルテキストで取り組んできたので、関税協会同様に正答を導くことができました。やはり、通関士試験に関して関税協会は非常に信頼できると実感した出来事でした。

最後に注意点ですが、資格試験受験者にとって忌むべき存在の一つに、過去の合格者の一見励ましにも似た甘言があります。過去の合格者の方々には「これくらいで合格したから、君も大丈夫」とか「何か月前から取り組めば大丈夫」とおっしゃる方々もいらっしゃいます。しかしながら、簡単な資格試験なんて存在しないと私は思います。ましてや皆さんご存知のとおり通関士試験は合格率10%前後の一般的に難易度の高い試験です。辛い勉強中には甘い言葉に逃げたくなりがちです。試験へのプレッシャーから劇的な成功例を信用してしまいがちです。そこで固い意思をもって学習に取り組めるかどうかが合否の分かれ目になると思います。あなたの友人は3か月で合格したかもしれませんが、あなたは半年かかるか、あるいは1か月で合格してしまうかもしれません。ご自身の感触や感覚に頑固に学習スケジュールを遂行されることをお勧めします。

最後に

長々と書いてしまいましたが、ソフト面もハード面も正しい取捨選択をし、一度決めたことは過去の自分を信じて突き進むのが良いと思います。

使用教材は関税協会のオリジナルテキスト、非常にお勧めです。長年蓄積されたノウハウはさすがです。内容理解には、これ一種類で十分だと思います。

この私の体験談自体も取捨選択していただき、もしこれから受験される皆様のお役に少しでも立てるのであれば光栄です。皆様が今年の冬に良い結果を出されることを祈っております。