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受益国をより限定した一般特恵関税制度(GSP)(案)を発表(EU)(2011/05/16)
EU
受益国をより限定した一般特恵関税制度(GSP)(案)を発表
5月10日、欧州委員会は、現行の一般特恵関税制度(GSP)を見なおし、受益国を特恵関税の必要性のより高い途上国に絞った形で供与する方針を打ち出した。
現在、GSPの受益国・地域として、176の国・地域が指定を受け、関税の適用面で優遇措置(軽減税率あるいは無税の適用)を享受しているが、今後はすでに競争力を備えた新興国等をGSPの対象国から除外して、GSPを真に必要としている途上国の約80か国に限定して供与する方針を明らかにした。今後GSPの受益国から除外される国として、世界銀行の基準で一人当りの所得が一定の基準を超えた国(クウェート、ロシア、サウジ・アラビア、カタール等)、GSPと実質的に同等の特恵待遇を享受している国(EUが締結している自由貿易協定や経済連携協定、あるいはバルカン諸国のための特別制度の対象国)等が含まれるとされる。ただし、除外される国に関しては、将来状況が変わり、必要な要件を満たせば受益国に復帰できる。なお、受益国の最終確定は、実施に先立つ直近の過去3年間のデータに基づいて今後行われる。
卒業条項(特定の受益国を原産国とする特定の商品グループの特恵輸入が一定割合を超えた場合、当該商品グループについての特恵関税の供与を停止する措置)については、基準の変更が提案されている。現行のスキームでは、特定の受益国からの特定の商品グループの特恵輸入が、全特恵受益国からの当該商品グループの特恵輸入額の過去3年間の平均で15%を超えた場合、特恵供与が停止される(織物、衣類については、12.5%に引き下げられている)。今後は、商品グループの数を21から32に増やして各グループの商品を細分化し、グループの商品の同種性、同質性を高めることによって卒業条項の適用をより客観的に行うことができるようにし、併せて現行の15%の基準を17.5%(織物等は12.5%から14.5%)に改定するとしている。なお、卒業に関する規定は、後出の「GSP+」及び「EBA」の対象国には適用されない。
GSPの対象品目や特恵マージン(一般税率と特恵税率の差)は、現行通りに据え置かれる模様である。
EUのGSPのスキームには、いわゆる「GSP+」として、二つの基準(輸出力や輸出商品の多様化の面で脆弱なこと(vulnerability)、及び、重要な人権、労働基準、環境及び優れた統治能力(good governance)に関する国際協定を尊重していること)を満たす国を対象として、一般特恵関税制度以上の追加的なベネフィット(特恵対象商品が拡大され、そのほとんどの商品は無税扱い)を供与する制度が設けられているが、この制度についてもその本来の目的が達成されるよう一部見直しが行われている。脆弱性に基準に関しては、現行スキームでは二つの基準が適用され、輸出力の基準として、受益希望国からのEUの特恵対象品目の輸入額が、全受益国からのEUの輸入額の1%以下であることが必要とされ、また多様性の基準として、GSP対象品目を21の商品グループに区分したもののうち、受益希望国の輸出額がもっとも大きな5グループの商品の合計額が、EUへの全輸出額の75%を超えることが必要とされている。今回提案されているスキームでは、輸入シェアが1%から2%に変更され、多様化の基準については、75%の基準はそのまま据え置かれるが、商品グループは、現行の5グループから7グループに変更される(商品グループの数自体も変更され、現行の21グループが、提案では32グループとなる)。EUは、これらの緩和措置により、「GSP+」の対象国が拡大されるとしている。
もう一方の基準である国際協定の尊重については、「GSP+」の受益国となるためには、例えば、「児童の権利に関する条約」、「結社の自由及び団結権保護条約」、「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」等の条約の履行があげられるが、今回の提案では、現行の27の条約からアパルトヘイトに関する条約を削除し、「気候変動に関する国際連合枠組条約」を加えるとしている。 なお、「GSP+」の受益国としての申請に関しては、現行では1年半毎となっているが、今後は随時申請できるように改正される。また国際条約の遵守に関して、その履行状況についての立証は、供与する側(EU)ではなく、受益国側が行うこととなる。さらに、「GSP+」の受益国のモニタリングを強化し、国際公約を履行していない国があれば、直ちにこのスキームから除外するとしている。
EUのGSPスキームには、後発途上国(LDC)のためのスキームとして、武器や弾薬以外のEUへの輸出に対して、特恵枠を設けないで無税を適用する「武器以外すべて:EBA(Everything But Arms)」が設けられているが、これについては特段の変更は提案されていない。ただし、GSPの受益国が減ることによって、「EBA」の受益国は、これまで以上にEUへ輸出しやすくなるとしている。
今回の提案は、今後欧州議会及び閣僚理事会で審議されることとなるが、欧州委員会は、遅くとも2014年1月1日までには実施したいとしている。なお、現行のスキームは本年12月末で期限が到来するため、2013年末まで現行スキームを継続させるための繋ぎとなる理事会規則は、すでに欧州議会及び閣僚理事会において承認され、5月中には公布される予定である。また、現行スキームは期間を10年間として、3年毎に立法措置をとっているが、今後は期限を設けないスキームとし、これにより予測可能性、安定性を高める効果が期待できるとしている。
今回の発表に当って、欧州委員会で通商を担当しているデ・フフト委員は、「グローバルな貿易バランスは、過去数十年の間に大幅な変貌を遂げた。各国の関税率は、これまでになく低い水準となった。このような競争的な環境下で、特恵関税を供与する場合、これを最も必要としている国が、その最大のベネフィットを享受する必要がある。貿易と開発は、密接に関係しており、特恵関税はグローバルな市場において相対的に貧しい経済が自己のプレゼンスの重みを増すのを支援するための広範にわたるEUのアジェンダの一部を占めるものである」とのコメントを出した。
欧州委員会がまとめた現行のGSPの適用状況は次の表のとおりである。2009年のGSPによる輸入額は、約600億ユーロで、EU全輸入額の4%相当、途上国からの全輸入額の9.3%相当であったが、欧州委員会は新たな提案が実施されれば、GSPによる輸入額は、377億ユーロになると試算している。
| GSP | GSP+ | EBA | |
|---|---|---|---|
| 受益国 | 176か国・地域(GSP+及びEBAの受益国等を含む) | 15か国(注) | 49の後発途上国(LDC) |
|
EUの輸入額 (2009年) |
€480億 | €53億 | €62億 |
| ベネフィット | センシティブ品目以外の品目約2,400品目については、無税。その他の品目については軽減税率(3.5%減等)を適用 | 人権等の国際条約に加盟し、かつ脆弱な途上国についてはほぼ無税適用 | シーリング枠なしの無税適用 |
| 対象品目数(税目数) | 6,244品目 | 6,336品目 | 7,140品目 |
| GSPの主な利用国(2009年) |
インド(€131億)、 バングラデシュ(€45億) タイ(€42億) インドネシア(€34億) ブラジル(€34億) ロシア(€29億) |
スリランカ エクアドル ペルー ベネズエラ コスタリカ |
バングラデシュ カンボジア セネガル マラウィ エチオピア |
| 主な商品 |
織物及び衣類(€142億) 鉱物製品(€56億) 化学品(€51億) 機械(€48億) プラスチック及びゴム(€47億) |
野菜 調製食品 織物 生きた動物 鉱物製品 |
織物 生きた動物 調製食品 履物 野菜 |
(注)15か国とは、アルメニア、アゼルバイジャン、ボリビア、コロンビア、コスタリカ、エクアドル、エルサルバドル、グルジア、グアテマラ、ホンジュラス、モンゴル、ニカラグア、ペルー、パラグアイ、パナマ
(出典:5月10日付の欧州委員会のプレス・リリースより)




