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(WTO紛争解決)USTRが、中国側にWTO協議を申入れ (2011/01/05)

USTR

USTRが、風力発電用タービン等に交付される補助金につき中国側にWTO協議を申入れ

米通商代表部(USTR)は、12月22日、中国が交付している風力発電のための特別基金プログラムによる補助金について、世界貿易機関(WTO)の紛争解決手続に従って、中国側に協議を申し入れたことを明らかにした。USTRは、中国がこの特別基金を使って、国内で生産された風力発電用のタービンや部品等を使用する中国国内の生産者に対して補助金を交付しており、WTOのルールで禁止されている補助金に該当するとしている。USTRが抵触するとしているWTOのルールは、「補助金及び相殺措置に関する協定」第3条1(b)の規定で、中国の本件補助金は、同項で禁止されている「輸入物品よりも国産物品を優先して使用することに基づいて交付される補助金」に該当するとしている。

カークUSTR代表は、「輸入代替的な補助金は、特に有害で、本来的に貿易を歪曲するものであり、そのためこのような補助金はWTOルールで明示的に禁止されている」、「この補助金は、米国から中国への輸出に対する障壁として効果的に機能している。米国から輸出される商品への障壁を除去することによって、市場開放を図ることは、オバマ大統領の貿易戦略の要である」と付言した。

USTRによれば、この特別基金に基づいて、個々に利用できる補助金の額は、6.7百万ドル~22.5百万ドルとされるが、この補助金を受ける生産者(風力発電用のタービンやその部品等の生産者)は、風力発電用タービンのモデルに応じて種々の補助金を受けることができるとしている。USTRは、2008年以降この基金を通じて交付された補助金の額は、あわせると何億ドルにも達すると試算している。

今回の決定は、全米鉄鋼労働組合(USW)から出された米国内法(修正1974年通商法301条)に基づく申入れを受けて、USTRが行った調査の結果とられたものとされる。10月15日に開始された調査では、環境技術(Green Technology)に係わる貿易や投資に影響を及ぼす様々な中国の慣行(補助金、輸出規制、外国企業や輸入品に対する差別、技術移転の要件等)が取り上げられたとされる。USWが、中国の大規模風力発電プロジェクトへの参入に関連して直面した差別的な措置として挙げている項目は多いが、12月14日~15日に開かれた米中合同商業貿易委員会(JCCT)ではこのような問題点について両国間で協議され、その一部は解決の方向で合意されたとされる。その中には、従来中国での大規模風力発電プロジェクトへの供給実績があることが新規プロジェクトへの承認要件とされていたが、この要件が緩和され、中国以外の国や地域での供給実績があれば承認要件に適合するよう修正された模様である。また、風力発電分野でローカル・コンテンツに関連した差別的な規定を削除することが再確認されたとされる。さらに、USTRの調査の過程で問題となった2件の別の補助金問題(輸出調査開発基金及びRide the Windプログラムを通じた輸出補助金や輸入代替的な補助金)については、その適用を停止することが中国側との間で確認されたとされる。

カーク代表は、今回協議を申し入れた事項以外についても、今後とも調査を続行するとしており、USWの申立てに十分な根拠があれば、WTOへの提訴も辞さないとしている。

なお、今回の中国側への協議申入れ事項には、透明性の問題も含まれ、具体的には、WTOの「補助金及び相殺措置に関する協定」において加盟国の義務となっている補助金の通報義務を中国が怠ったこと、補助金交付の根拠規定をWTOの公用語に翻訳していないことを問題としている。

今回の米国側の申入れに対して、中国側は、12月23日概ね次のような内容のコメントを発表した。
「いずれの国も、気候変動問題に対処するため新たなエネルギー源を開発している。風力発電について中国がとっている諸措置は、エネルギーの節減、排気ガスの削減、環境の保護に資するものであり、持続的な発展にとって重要な措置で、WTOのルールに適合したものである。中国は、米国の申入れに対して重大な懸念を有しており、本件を真剣に検討する。WTOのルールに従い、本件について中国が有する権利を留保する。」

今回米国が中国に申し入れた協議は、紛争解決の第一段階をなすもので、協議が不調に終われば、WTOの紛争解決小委員会(パネル)の裁定による解決を図るため、その設置を求めることができる。

USTRは、2010年12月29日付の連邦官報(Volume 75, Number 249)において、本件の紛争に関するコメントを一般から募集する旨を公示した。コメントの提出期限は2011年1月31日とされているが、本件の紛争が継続中であれば、その間に提出されたコメントはすべて受け入れるとしている。

(出典:2010年12月22日付のUSTRプレス・リリース及び2010年12月23日付の中国商務省のプレス・リリース