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中国のWTOコンプライアンスに関する報告書発表(USTR) (2011/01/17)

USTR

中国のWTOコンプライアンスに関する報告書発表
-レア・アースの輸出問題にも言及-

2010年12月23日、米通商代表部(USTR)は、中国の世界貿易機関(WTO)諸協定等のコンプライアンスの状況をまとめた「2010年中国のWTOコンプライアンスに関する報告書(2010 Report to Congress on China's WTO Compliance)」を議会に提出した。本報告書は、米国内法によって毎年議会への提出が義務付けられているもので、WTO加盟に際して中国が負うこととなった多国間、二国間の義務についての履行状況を、米国政府の立場から取りまとめたものである。

報告書では、これまでの9年間に中国が払ってきた努力に対して様々な評価を下している。例えば、関税の引下げ、これまで内国民待遇や市場アクセスを拒んできた非関税障壁の撤廃、知的財産保護のための法制面の改善、透明性の向上等の中国側の努力を評価し、こうした中国側の努力もあり米国から中国への輸出が大幅に拡大したとしている(米国から中国への輸出は、2001年から2009年の9年間で、260%も拡大し、北米以外の地域では中国が米国の最大の輸出先となっている)。

同時に、中国には依然として大きなWTO上の課題も見られるとし、特に国内産業や国営企業を保護し、その発展をはかるため、中国政府は、過剰なまでに、貿易を歪曲する形で介入していることを重視している。このような政府が介入する形の産業政策が近年顕著になってきたのは、中央計画経済から自由市場経済への移行が未だに完了していないことの反映であるとしている。特に2006年以降、中国の自由化への動きが遅延しはじめ、WTOの基本原則である市場開放、無差別原則、透明性の確保といった原則から乖離した政策等が打ち出され、さらに中央政府と地方政府の間の考え方やアプローチの乖離がこれに拍車をかけていると分析している。

本報告書の対象期間である2010年については、自主開発政策の奨励、知的財産権の執行上の問題、政府調達協定への加盟手続の遅延、市場障壁の存続、外国企業への差別等、様々な面で介入政策が蔓延っているとしている。

本報告書の中で、優先的な分野のひとつとして、いくつもの産業政策を問題視している。なかでも、中国が世界的に高いシェアを有する原材料への輸出規制を問題とし、中国はこれらの原材料の輸出を規制することによって、原料からそれを使用したダウンストリーム製品に至るまで、国内市場のみでなく、外国市場においても優位性を保っていると強く批判し、このような中国の規制措置に対して、米国政府は、EU、メキシコと共同で、鉱物性原材料9品目(ボーキサイト、コークス、ホタル石、マグネシウム、マンガン、シリコン・カーバイト、シリコン、黄リン、亜鉛)に対する輸出規制問題をWTOに提訴(2009年6月)し、その解決を求めているところであるとしている。

以上の規制に加え、2010年になって中国はさらにレア・アースの輸出割当てを削減(日本については輸出停止)する措置をとったことを問題視し、レア・アースはWTOへの提訴品目には含まれていないことから、米国は2010年12月の米中商業貿易合同委員会(JCCT)等の場において、レア・アースへの輸出規制を撤廃するよう強く求めたとしている。しかしながら、これまでのところ中国は自主的にこの措置を撤廃する姿勢をみせておらず、本件については今後とも中国にその解決を強く働きかけるとし、必要となれば、WTOの紛争解決による決着を求めることも辞さないとしている。

報告書では、以上の鉱物性の原材料の輸出規制のほか、様々な一次製品、中間製品、ダウンストリーム製品の輸出を管理しようとしていることも問題としており、輸出に伴って払い戻される付加価値税を操作し、また輸出税率を上下させることによって輸出を管理しようとしており、特に、鉄鋼製品やアルミ製品、ソーダ灰のような中国の生産、輸出のシェアが大きな商品については、国際市場を大きく撹乱させる要因となっているとしている。

また、政府調達面で中国の知的財産を使って開発した製品を優遇する自主開発政策(indigenous innovation policies)、さらに、多くのハイテク分野に見られる国際標準に逆らった中国独自の標準の設定(例えば、国際標準のWiFiに代わる中国独自のWAPI標準の採用)等を問題視している。

米国は、2011年においても、引き続き中国がWTOのルールを完全に履行するよう求めるため、米中戦略経済対話(S&ED)や米中商業貿易合同委員会(JCCT)等の二国間の協議の場を活用したいとしているが、二国間協議で問題が解決されなければ、WTOの紛争解決手続に訴えること、さらに中国からの不公正な輸入が急増するような場合には、国内法に基づき積極的に救済措置をとるとしている。

中国は9年前の2001年12月11日にWTOに加盟し、今回の報告書は9回目の報告書となる。これまでの報告書と同様、中国が履行すべきWTO上の義務を、貿易権、流通、輸入規制、輸出規制、貿易関連の国内政策、投資、農業、知的財産権、サービス、法的枠組みの分野に分けて詳細に分析されている。

(2010年12月23日、USTRから公表された「2010 Report to Congress on China's WTO Compliance」より)