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日米中印等の貿易・投資障壁として21の分野を特定(EU) (2011/04/26)
EU
日米中印等の貿易・投資障壁として21の分野を特定
-日本については、政府調達、医療機器、日本郵政の3分野-
欧州委員会は、今年3月、EUの戦略的貿易パートナーとして最も重要とされる6カ国・地域を取り上げ、それぞれの国・地域の貿易・投資分野での障壁を取りまとめ、これを取り除くための今後の指針についての第一回目の報告書を公表した。この報告書は、「欧州2020戦略」に基づき欧州委員会が作成したもので、同月に開催された閣僚理事会に提出されている。また、来年以降についても毎年報告書が作成される。
具体的に取上げられている貿易相手国・地域としては、中国、インド、ロシア、日本、南米南部共同市場(メルコスール構成国のうちブラジル及びアルゼンチン)及び米国の6カ国・地域が選ばれている。欧州委員会によると、これらの国・地域を併せると、EUの財及びサービスの貿易額の45%を占め、EUの対外直接投資額の41%を占めるとされる(2009年の実績)。
この報告書では、あわせて21の障壁がリストアップされているが、その対象は、関税障壁等の国境措置ではなく、国内での非関税障壁、直接投資等に照準を当てたものである。例えば、知的財産権や政府調達と密接に関係する中国の自主的な技術開発政策、インドの電気通信分野における煩瑣な要件や米国の政府調達面の「バイアメリカン」政策等の問題点が取上げられている。また、欧州企業が原材料として輸入するレアアースを含む輸出規制をも重大な障壁として本報告書において取り上げられている。
欧州委員会によれば、この報告書に記載されている障壁により潜在的な影響を被っているEUの輸出総額は、1,000億ユーロに及ぶとされ、また潜在的に影響を受けている原材料のEUの輸入額は60億ユーロに相当するとしている。ただし、この数値は影響を受けているとされる貿易額の推計値であり、貿易の減少額の推計値を示すものではない。
日本については、政府調達、医療機器、日本郵政の3分野が障壁として取上げられている。①政府調達に関しては、EUが参入するに当たっての鉄道、都市交通、建設分野での制約や地方自治体の調達が対象とされていない点があげられている。②医療機器については、国際基準の導入が十分でなく、承認手続きに過大な時間を要するとし、欧州や米国で使用されている医療機器の半分程度しか日本では利用されていないとしている。③日本郵政に関しては、その優遇的な扱いを問題とし、新たな立法措置によって、競争条件が同等になるのではなく、逆に外国の保険会社等が差別されることになるとして懸念を表明している。
中国に関しては、①原材料、特にレアアースの輸出に対する輸出税や輸出割当てによる制限措置、②政府調達や知的財産権に関係する自主的な技術開発政策による自国企業に対する支援策、③国際的な基準や慣行と異なる基準認証等の制度、④透明性や予測性に欠ける投資上の障壁やその閉鎖性、が挙げられている。
インドに関しては、①今後導入が予定されている電気通信分野での調達の差別的な要件(安全基準、技術移転、技術者等に関する要件)、②綿花、綿製品の輸出規制、③制約や規制の多い投資政策、④衛生植物検疫措置による過剰な輸入要件、の4点が取上げられている。特に、①の電気通信分野での差別的な要件については、国際的に前例のない要件であるとしている。
南米南部共同市場メルコスールの構成メンバーのブラジル及びアルゼンチンについては、①制限的な政府調達(ブラジル)、②海上輸送面の制約(特に、ブラジルとアルゼンチン間の海上輸送)(ブラジル、アルゼンチン共通)、③原材料品(食品や皮革等)の輸出制限(ブラジル、アルゼンチン共通)、④輸入規制の拡大(アルゼンチン)、を取上げている。
ロシアについては、①税関手続上の問題(恣意的な関税評価を含む)、②知的財産権の執行面の問題、③投資面の制約(ローカルコンテンツ、国内販売、輸出実績、技術移転等の様々な要件)、④衛生植物検疫上の問題、の4点が取上げられている。①の税関手続に関しては、ロシア、カザフスタン及びベラルーシ間での関税同盟の発足(2010年1月)により、事態は悪化しているとしている。また、②の知的財産権の執行に関しても、関税同盟の一員であるカザフスタンの制度に欠陥があるため、模倣品等の流入が多くなっていると指摘している。
最後に、米国については、①政府調達(バイアメリカンを含む)、②米国税関が導入を予定しているセキュリティ対策としての米国向けコンテナの100%スキャニング要件(2012年7月1日からの予定)、の2点を取上げている。
この報告書においては、今後のとるべき措置として、EUの関係機関、各国代表等が一致結束して各国に対して働きかけを強めることが最も重要なことであるとし、具体的な場としては、米/EU大西洋経済委員会やEU/中国ハイレベル経済対話、日/EUのハイレベルグループといった場の活用、さらには二国間での首脳会議等の最高レベルの政治的な会合をも活用して問題解決を図って行くとしている。EUはこの報告書で特に政府調達分野について具体的な対応を記述し、WTOの政府調達協定の加盟国は、現時点ではここで取り上げている6カ国・地域のうち、米国、日本のみが加盟している状況(中国は、加盟準備中)であることから政府調達協定の加盟国を増やすこと、さらに加盟国であっても加盟に際してさまざまな制限(最低入札基準、一部のセクターや機関の協定対象からの除外等)を付していることを取り上げ、EUとしては、各国との政府調達面でのアクセスを均衡させるために、また各国がEUと同じようなレベルにまでアクセスを改善させるために域内で新たな基準を設けることを検討しているとしている。
EUとしては、以上の分析結果を踏まえ、今後の二国間協議等の場で攻勢をかけてくることが予想され、また自由貿易協定(FTA)等の交渉において以上の問題点を取り上げることが予想される。
(出典:2011年3月10日付の欧州委員会のプレス・リリース及び“The Trade and Investment Barriers Report 2011"(PDF) より)




