保税地域の許可の要件

 

保税地域の許可の申請があった場合に、許可をするか否か税関の具体的な審査事項を定めたものが「許可の要件」です。

既に保税地域の許可を受けている者(法人)でも、許可の要件を欠くこととなった場合には、保税地域の許可の取消しが行われることがあります。

 

 

保税蔵置場の許可の要件(保税工場、保税展示場、総合保税地域においても準用)

 

 出典:保税ハンドブック改訂7版(日本関税協会発行)

 

許可の要件を欠く場合

保税蔵置場の許可を取り消された者

保税蔵置場の許可が取り消された日から3年を経過していない場合

関税法違反で処罰等された者

 

関税法の規定により刑に処せられ、又は通告処分を受け、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又は通告処分を履行した日から3年を経過していない場合
 

参考1:

  • 関税法の規定により処罰等を受けた者で、所定の年数を経ていない者にあっては、法令を遵守した保税蔵置場の業務の処理が期待できないとのことから欠格者とされているものです。

参考2:罰金刑を受けた者の例

  • 罰金を納付してから3年間は、保税蔵置場の許可を受けることはできません。

他の法令に違反して禁錮以上の刑に処せられた者

 

関税法以外の法令の規定に違反して禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経ていない場合
 

参考1:

  • 禁錮以上の重い処罰を受けた者にあっても、犯罪の種類・性質を問わず、法令を遵守した保税蔵置場の業務の処理が期待できないとの趣旨によるものです。

参考2:1年の執行猶予付き禁固刑を受けた者の例

  • 執行猶予期間の経過により禁固刑の執行を受けることがなくなった後2年間は、保税蔵置場の許可を受けることはできません。                                      

暴力団員対策法等の規定に違反した(の罪を犯した)者

 

暴力団対策法等の規定に違反し(の罪を犯し)、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から2年を経ていない場合
 

参考:暴力団対策法等の規定(の罪)とは、次の規定等です。

  • 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定
  • 刑法第204条(傷害)、第206条(現場助勢)、第208条(暴行)、第208条の3(凶器準備集合及び結集)、第222条(脅迫)、第247条(背任)の罪
  • 暴力行為等処罰に関する法律の罪

暴力団員等

 

申請者が、暴力団員(又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者)(「暴力団員等」といいます。)である場合
 

参考:

  • 輸入してはならない貨物である不正薬物(麻薬、向精神薬、覚せい剤等)、けん銃等の密輸事犯の多くに暴力団員等が関与しており、暴力団員等が保税蔵置場において輸入貨物の管理を行うことは、不正薬物等の密輸を容易にする可能性があります。このため、申請者が、暴力団員等である場合には、保税蔵置場の許可をしないことができる旨の規定(次の⑥、⑦の規定を含めて「暴力団排除規定」といわれています。)が設けられました。

法人の役員

 

申請者(会社、組合)の役員(代理人、支配人等)に上記①から⑤までに該当する者がいる場合
 

参考:

  • 会社は、その役員により会社の運営が行われます。役員の中に、例えば、関税法の規定に違反して通告処分を受けた者がいるとすれば、このような会社については法令遵守が期待できないというおそれがあります。このため、欠格事由に該当する役員を交代させない限り、保税蔵置場の許可を受けることはできません。

暴力団員等に支配されている者

申請者が、暴力団員等によりその事業活動を支配されている者である場合

資力、業務遂行能力等

 

申請者の資力が薄弱、業務遂行能力が不十分であると認められる場合
 

参考:

  • 「申請者の資力が薄弱」とは、亡失貨物に係る関税や保税蔵置場の手数料などの負担に耐えないと認められる場合であり、「業務遂行能力が不十分である」とは、保税蔵置場の業務を行う上で必要な法令等についての知識、記帳能力が十分でない、又は外国貨物の保管に関して十分な管理、業務処理能力を有しないと認められる場合です。

場所的要件等

 

許可を受けようとする場所、設備が保税蔵置場として不適当であると認められる場合
 

参考:

  • 関税法基本通達43-1(保税蔵置場の許可の基準)において、場所的要件、施設的要件、量的要件の観点からの申請審査の基準を規定しています。

利用見込等

 

保税蔵置場の利用見込み、価値が少ないと認められる場合
 

参考:

  • 関税法基本通達43-1(保税蔵置場の許可の基準)において、量的要件の観点からの申請審査の基準を規定しています。

 

 


 

(参考)保税地域の種類とその機能

種 類 設置目的 主な機能 蔵置期間 設置の態様
指定保税地域 通関手続の簡易化 外国貨物の積卸し、運搬、一時蔵置 1ヵ月 財務大臣の指定
保税蔵置場

通関手続の簡易化

商取引の便宜供与

外国貨物の積卸し、運搬、蔵置

一時蔵置:3ヵ月

長期蔵置:2年(延長可)

税関長の許可
保税工場 加工貿易の振興 外国貨物の加工・製造

一時蔵置:3ヵ月

長期蔵置:2年(延長可)

税関長の許可
保税展示場

貿易の振興

文化の交流

外国貨物の展示・使用 税関長が必要と認める期間 税関長の許可
総合保税地域

輸入促進地域整備

輸入品流通円滑化

保税蔵置場、保税工場、保税蔵置場の総合的機能

一時蔵置:3ヵ月

長期蔵置:2年(延長可)

税関長の許可