保税蔵置場の許可の特例について

 

(質問)

関税法第50条に基づく保税蔵置場の許可の特例(AEO倉庫業者)による届出による保税蔵置場、及び関税法第42条に基づく許可保税蔵置場の2種類の保税蔵置場を有しています。関税法第54条(承認の取消し等)に該当し、AEOの承認を取り消された場合、関税法第42条に基づく許可保税蔵置場の許可も取り消されるのでしょうか。

 

(回答)
  • 関税法第50条第1項の規定により、特定保税承認者(AEO倉庫業者)が税関に届け出を行い、同法第42条の許可を受けたものとみなされた保税蔵置場(以下「届出蔵置場」という。)の許可の期間は、関税法第42条の規定により、許可を受けた保税蔵置場(以下「許可蔵置場」という。)の許可の期間と異なった取扱いがされており、届出蔵置場の許可の期間は、届出を行った時期に関わらず、特定保税承認者の承認の効力を有する期間と同一とされています(関税法第50条第2項)。このため、関税法第54条の規定により、当該特定保税承認者に係るAEOの承認が取り消された場合、当該特定保税承認者に係る承認の効力が失われることに伴い、届出蔵置場に係る許可の効力も失われることとなります。一方、許可蔵置場については、届出蔵置場の許可の期間のように特定保税承認者の承認の効力と連動していないため、関税法第54条の規定により、許可蔵置場の許可が失効することはありません。

 

  • ただし、関税法第54条に規定する取消しの事由の一つに関税法第51条第1号ハがあり、同号ハにおいて関税法第43条第2号から第7号まで(許可の要件)に掲げる許可蔵置場の許可の要件が引用されているため、特定保税承認者の承認の取消しの事案の内容によっては、関税法48条第1項に規定する保税蔵置場の許可の取消しの事由に該当し、許可蔵置場の許可が取り消される場合も考えられます。

 

  • また、許可蔵置場について、関税法第50条第1項に基づき税関への届出を行い、届出蔵置場として手数料の免除を受けることは可能ですが、当該届出により届出蔵置場に変更した許可蔵置場についても、上記1の特定保税承認者の承認の効力が失われることに伴う届出蔵置場に係る許可の効力の失効が適用されます。

 

  • 特定保税承認者の承認を受けるためには、例えば監視カメラ等を導入し物理的セキュリティーを強化する必要がありますが、一方で毎月納付しなければならない保税蔵置場の許可手数料の納付免除、新たな保税蔵置場を届出により設置することができる等のメリットがあります。全ての保税蔵置場を関税法第50条第1項の規定により届け出て届出蔵置場とするか、一部を関税法第42条に基づく許可蔵置場として維持するかは、経営者の戦略と関係する重要な部分と思われます。