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日米豪印等14か国が「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」の交渉開始に合意(USTR)

USTR

2022年9月8日と9日の両日、「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」交渉への参加意思を表明している14か国の閣僚による第1回目の対面による会合がロサンゼルスで開催され、「IPEF」の柱(Pillars)となる4分野について交渉を開始することが合意された。交渉参加国は、豪州、ブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、日本、韓国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、米国及びベトナムの14か国である。これら14か国を合わせると世界の国内総生産(GDP)の40%、モノ及びサービス貿易の28%を占める。

 

交渉入りが合意された4分野は「貿易」、「サプライ・チェーン」、「クリーン・エコノミー」及び「フェア・エコノミー」で、各国経済の強靭性、持続可能性、包摂性、成長、公平性、競争力を高め、ハイ・スタンダードで、包摂的な経済の枠組みの構築を目指す。

 

「貿易」の分野では、労働、環境、デジタル経済、農業、透明性、規制上の慣行、競争、包摂性、貿易の円滑化、技術支援、経済開発等の課題を取り上げ、強靭で、持続可能で、包摂的な経済成長の基礎となる貿易分野での高い基準作りを目指す。これらの課題の中のデジタル経済の分野では包摂的なデジタル貿易を推進し、安全で、信頼される越境データ・フローを促進し、持続可能なデジタル経済の成長を目指す。また、農業分野では食料安全保障や持続可能な農業政策を推進し、WTOルールに合致する方法で、食品・農産物のサプライ・チェーンを強靭化し、相互の繋がりを高め、食品・農産品の輸出入を制限する不当な措置の導入を避けることを目指す。貿易円滑化については、WTOの貿易円滑化協定を含め、国際的なベスト・プラクティスを活用し、税関手続きの簡素化と税関の貨物管理の両立を図る形で貿易の円滑化を図る。また税関のデータや文書の電子化を促進し、貿易業者のデータの扱いについてのルール作りを目指す。

 

「サプライ・チェーン」の分野では、将来のサプライ・チェーンの途絶、混乱を防止し、迅速に回復できる強靭なサプライ・チェーンを目指す。そのために特に重要なセクターや物品についての基準を設け、これらのセクター等の強靭性を高め、投資を拡大させる。さらに情報の共有化や危機に対応するためのメカニズムを設ける。またサプライ・チェーンのロジスティックスの強化を図る。

 

「クリーン・エコノミー」については、クリーン・エネルギーの使用と脱炭素化を図るため投資機会を拡大し、技術革新を加速化させ、国民生活の改善を図る。加盟国はクリーン・エネルギー及び気候に優しいテクノロジーについて協力を進め、炭素の排出量を抑え、排出量の少ない、またゼロの物品やサービスに投資し、その利用を促進する。その転換を進めるため民間セクターを含む利害関係者の活発な参加を確保し、この分野での技術革新を進める。

 

「フェア・エコノミー」の分野では、公正性、包摂性、法規範、説明責任及び透明性の重要性を認識し、腐敗行為の防止、課税逃れの阻止、透明性の向上を図って公平な競争の場を目指す。腐敗行為の防止策や課税上の措置を実施するための革新的で、強力なアプローチを共有して投資環境を改善し、貿易や投資の流れを促進させ、開放的で、豊かなインド太平洋地域を目指す。

 

なお、「貿易分野」の交渉にはインドを除く13か国が加わり、他の3分野の交渉には14か国すべてが参加する。インドに関しては環境、自由なデータのやりとり等に関して一部の国との隔たりが埋まらなかったためと報じられている。

 

米商務省は9月8日、IPEF参加の新興国の女性を主な対象としてデジタル・スキルを習得するための研修を官民協力の形で実施すると発表した。当面、対象国はブルネイ、フィジー、インド、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ及びベトナムである。

 

このイニシアティブに関してレモンド米商務長官は「IPEFに参加する国々に対して目に見える、具体的な利益をもたらす」ものであると説明している。また、米通商代表部(USTR)のタイ代表は「我々は将来のデジタル経済、グリーン経済において女性が活躍できるように、女性が必要なスキルを身に付けることが必要である」ためと述べた。参加企業は14社で、アマゾン、アップル、シスコ、デル、グーグル、HP、IBM、マスターカード、マイクロソフトなどの企業が含まれる。2032年までの今後10年間をかけて各参加企業は50万回を超える研修の機会を提供する。

 

 

(出典:2022年9月9日付けのUSTRのプレスリリース、4分野に関する閣僚声明、9月8日付けの商務省プレスリリース等)