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USTRが中国のWTOルールの順守に関する年次報告書を発表(USTR)

USTR

米通商代表部(USTR)は2022年2月16日、「中国のWTOルールの順守状況に関する議会への報告書(2021年版)」を公表した。この年次報告書は国内法の規定に基づいてUSTRが毎年議会に提出することを義務付けられている。

 

報告書の発表に際してUSTRタイ代表は、WTO加盟20年目の節目を迎えた中国について、同国が加盟時に表明したにもかかわらず、WTOのルールに基づく市場志向型に向かわず、それとは反対に国家主導で、非市場的なアプローチを維持、発展させている。その過程で中国の政策や慣行はWTOの基本的な原則へのチャレンジとなり、世界中の労働者や企業は、特に中国の産業政策の目標となっている産業部門では、深刻な損害を受けていると述べた。

 

報告書は大きく4部に分かれている。

 

第1部(中国の加盟国としての評価)では、中国がWTOへの加盟時にWTOの開放的で、市場志向型の経済を目指すと約束し、合意したにもかかわらず、今日に至っても中国の約束の履行状況は全く不十分で、WTO加盟国の期待に反して、いまだに国家主導で、非市場的な政策を維持している。しかもこの傾向はさらに強化され、この中国の重商主義的な政策等のため米国の企業や労働者は被害を受けている等、中国のこれまでの対応について厳しい評価を下している。

 

第2部(過去の戦略)では、これまでの対応の効果について分析されている。これまで20年間にわたって二国間、多国間ベースで中国に対応してきたが、中国の国家主導で、非市場的な政策等には大きな変化が認められない。米国はこれまでWTOで27件もの中国の貿易措置を提訴し、そのすべてで勝訴したが中国の根本的な政策面での改革、変更をもたらすことはなかった。特に二国間ベースでは2020年1月にいわゆる「第一段階の合意」が成立し、農産品や金融サービス面での市場アクセスをはじめ、知的財産や技術移転のついての改善、さらには米国産品の輸入拡大について合意されたが、中国側のとった対応の多くは、中国の利益に沿うものに限定されている。この「第一段階の合意」の内容は、中国の国家主導、非市場的な政策や慣行に取り組むには十分なものではなく、中国政府は様々な形で、中国の産業政策の目標達成に向けた政策等を続けており、その過程で市場アクセスを制限し、外国の企業が中国で事業することを制限し、さらに違法な手段を含む様々な手段で外国の知的財産や技術を窃取し、自国の産業政策のためにこれを利用していると述べている。

 

第3部(新たな戦略)では、今後の取組みについて触れ、中国に対処するには新たな戦略が必要であるとの立場から、2021年10月に発表されたバイデン政権の対中戦略について触れ、「第一段階の合意」の履行を含む中国との二国間交渉の継続、新たな貿易上のツールの導入、さらには米国の同盟国や共通の考えを持つ国とのより緊密で、広範な形での協力関係の構築を目指すとしている。

 

最後の第4部(重要な懸念分野)では、中国の不公正で、非市場的、貿易歪曲的な政策・慣行を具体的に取り上げ、非関税障壁、知的財産権、農産物、サービス、透明性の分野別に多くの具体的な政策や慣行が分析されている。

 

(出典:2022年2月16日付けのUSTRの報告書「2021 Report to Congress On China’s WTO Compliance」)