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米国がウイグル自治区からの輸入を原則禁じる「ウイグル強制労働防止法」を施行(CBP)

●CBP

2021年12月23日に成立した「ウイグル強制労働防止法」(以下「ウイグル法」)では強制労働を理由に中国の新疆ウイグル自治区からの輸入を原則禁止することが定められ、同法の規定に基づき国土安全保障省(DHS)は6月17日付けで「ウイグル法」実施戦略(「中国における強制労働で製造等された物品の輸入を防止するための戦略」)を発表、また米税関・国境警備局(CBP)も6月13日付けで「輸入者のための運用ガイダンス」を発表し、同法は2022年6月21日から施行される運びとなった。
「ウイグル法」は、強制労働等によって作られた物品の米国への輸入を禁止することを規定した関税法307条を強化するもので、「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」の実施法に基づいて設置された関係省庁間の「強制労働執行タスクフォース(FLETF)」が「ウイグル法」を執行するための戦略を策定することが定められている。このタスクフォースの議長はDHSが務め、通商代表部(USTR)、商務省、司法省、労働省、国務省、財務省で構成されている。
ウイグル法の施行に伴い、ウイグル自治区において製造、採掘等された物品は、強制労働によって作られたものと「推定」され、関税法307条に基づき輸入は禁止される。ただし、「反証可能な推定(rebuttable presumption)」の規定が設けられ、輸入者がこの法律の執行機関であるCBPに対して、「明確且つ説得的な証拠(clear and convincing evidence)」に基づいて輸入品が強制労働によって製造されたものでないことを立証すればその輸入を認める例外規定が設けられている。
輸入者が強制労働によって製造されたものでないことを立証するためには、輸入者はウイグル法に定められている「一定の条件」を遵守していること、さらに「明確で、説得的な証拠」によって輸入される物品の全部または一部が強制労働によって製造等されたものでないことをCBPに対して示す必要がある。
この「一定の条件」として「ウイグル法」では、特にウイグル自治区の強制労働によって製造されたものでないことを確保するためのデュー・デリジェンス(企業等に要求される当然に実施すべき注意義務及び努力)、サプライチェーンの効果的なトレーシング(生産履歴の追跡)およびサプライチェーンの管理措置を完全に遵守すること、並びに輸入品の全部または一部が強制労働によって製造等されたものかどうかについてのCBPからの照会に対して、完全で、内容のある回答を行うことである。
この「推定」の範囲には、新疆で製造、採掘等された部材等を含むものであれば、製品が中国以外の国で製造されたものであっても、中国以外の国を経由して輸入されたものであっても含まれる。
DHSの「実施戦略」には、強制労働に関連する中国の企業名及び執行上の優先対象品目としてアパレル、綿花・同製品、ポリシリコン、トマト及びトマトペースト等の製品が挙げられている。
今後、特に新疆ウイグル自治区に絡む物品を使った製品を米国へ輸出するに際しては、厳しい証明等が求められ、関係企業にとってはサプライチェーンを含め新たな対応が求められる可能性がある。
なお、関税法307条では、強制労働等によって、その全部または一部が採掘、生産、製造された物品等はすべて米国への輸入を禁止する旨が定められており、これまでも新疆ウイグル自治区その他中国からの輸入品(44件)に限らず、マレーシア(8件)、メキシコ(以下1件)、ブラジル、インド、ネパール、トルクメニスタン、ジンバブエ、コンゴ民主共和国、マラウィ、日本からの輸入品に対しても強制労働等を理由に輸入差止めの措置がとられている。

 

(出典:2022年6月13日付のCBPの「輸入者のための運用ガイダンス」、2022年6月17日付DHSの「ウイグル法の実施戦略」等)