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米中間での第一段階の合意を踏まえ米国が対中制裁措置の一部を緩和(USTR)

●USTR

米通商代表部(USTR)は、2020年1月22日付け連邦官報で対中制裁措置第4弾の追加関税を緩和することを発表した。緩和される措置は昨年9月に第4弾の制裁措置の一部として発動されていた1,200億ドル相当の輸入品への追加関税15%を2020年2月14日から7.5%に引き下げることを内容とする。第4弾の残る1,600億ドル相当の輸入品に対する追加関税については昨年12月15日に発動されることとなっていたがその発動は見送られる。

 

今回の緩和措置は2020年1月15日米中間で第一段階(Phase One)の合意として署名された米中経済貿易協定の発効に伴う措置である。中国政府の技術移転、知的財産、技術革新に関する政策や慣行等を巡り米中間でこれまで何か月間にもわたり断続的に協議が行われてきたが、昨年12月13日第一段階の合意が成立し、両国政府は2020年1月15日に協定に署名し、2020年2月14日に発効した。
合意内容は、①知的財産、②技術移転、③食糧・農産品貿易、④金融サービス、⑤マクロ経済政策・為替レート・透明性、⑥貿易の拡大、⑦二国間での履行検証・紛争解決の7分野をカバーしている。

 

注目されていた米国製品の輸入拡大に関しては、2020年と2021年の2年間で中国は米国から2017年の輸入水準から2千億ドル(約22兆円)を下回らない額の工業製品、農産物、エネルギー製品、サービス製品の輸入を上乗せすることで合意された。2年間での輸入額に関しては1年毎にその目標値が定められ、例えば工業製品に関しては1年目329億ドル、2年目448億ドルの計777億ドル、農産品は1年目125億ドル、2年目195億ドルの計320億ドルと決められている。エネルギー製品やサービス製品についても同様で2年間でそれぞれ524億ドルと379億ドルの輸入値が定められている。

 

また、知的財産については、営業秘密の保護と機密情報の悪用の防止、医薬品の特許や試験データの保護、特許の有効期間の延長、電子商取引のプラットフォーム上での海賊行為や模倣行為の抑制、地理的表示についての透明性や手続面での公平性の確保、海賊版・模倣品の製造・輸出阻止のための持続的・効果的な対応、輸出貨物・通過貨物を含む水際での取締りの強化、模倣品・海賊版を扱う実店舗等の取締りの強化、公的機関等でのソフトウェアの無許諾での使用の排除、悪意の商標登録への対応の強化、抑止効果のある罰則の適用等の内容が含まれる。

 

技術移転に関しては、技術移転が強要や圧力によることなく、開放的で、自由に行えるものとし、その移転や供与は自主性、市場原理に基づいて行われる必要があること等が規定されている。

 

さらに金融サービス市場の開放、競争的な通貨切下げの自制、通貨政策面での透明性の向上等も合意されており、さらに以上の合意内容に関してはその履行状況をモニターするためのメカニズム、紛争解決手続きも組み込まれている。

 

なお、USTRは上記の合意内容の履行状況をモニターするための組織を2020年2月14日に立ち上げ、その責任者はUSTRのゲリッシュ次席代表が務めることを発表した。

 

米国政府は、中国の技術移転、知的財産及び技術革新に関する政策や慣行等についての米通商法301条調査の結果を踏まえて2018年7月以降追加関税による対中制裁措置を順次執ってきた。具体的には、中国からの2,500億ドル(約27兆円)(第1弾~第3弾)相当の輸入品に対して25%の追加関税を、さらに1,200億ドル(約13兆円)(第4弾の一部)相当の輸入品に対して15%の追加関税を適用し、残る第4弾の1,600億ドル(約17.5兆円)相当への15%の追加関税は昨年の12月15日から発動されることが予定されていた。

 

今回の合意を受け第4弾の1,200億ドル相当分については15%から7.5%に追加関税が引き下げられ、第4弾の残る部分はその発動が見送られる。それ以外の追加関税は今後も維持される。
今回の合意では、301条調査で指摘されている産業補助金支給の構造的な問題等は含まれておらず、今後も協議を継続することが合意されている。

 

(出典:2020年1月15日付USTR発表の米中間の経済貿易協定、1月22日付連邦官報等)