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WTO紛争解決制度の解決に向けた動き(EU)

●EU

2020年1月24日、スイスのダボスにおいて、欧州連合(EU)及びWTO加盟国16か国はWTOの紛争解決制度の麻痺状態を打開するため暫定的な解決策についての検討を開始することで合意した。今回の合意は、2017年以降新たな上級委員会の委員の任命が米国等の意向で阻止され、紛争解決制度が麻痺状態に陥ったためそれを打開する目的で昨年12月以降一部のWTO加盟国・地域が協議を重ねてきた結果である。

 

合意に参加した加盟国・地域は、豪州、ブラジル、カナダ、中国、チリ、コロンビア、コスタリカ、欧州連合(EU)、グアテマラ、韓国、メキシコ、ニュージーランド、ノルウェー、パナマ、シンガポール、スイス及びウルグアイの1地域と16か国である。

 

合意内容は、現行のWTOの紛争解決制度の2段階の手続き(第一審に当たる小委員会(パネル)と最終審に当たる上級委員会)を念頭に、将来WTO制度が正常に機能するまでの暫定的な制度として検討される。EUは、プレスリリースで独立・公平な紛争解決制度はルールに基づく貿易制度を担保する上で不可欠なものであると述べ、本件の検討を積極的に進めるよう求めている。作業は今後事務レベルで進められ、WTO改革についての米国の意向についても勘案される。

 

2020年2月11日、米通商代表部(USTR)はWTOのこれまでの紛争解決制度に関して包括的な報告書を発表した。ここでは紛争解決制度の具体的な解決策を提示することを目的としたものではないとした上で、紛争解決制度は加盟国が合意した権利や義務に変更を加えるものであってはならず、これが担保されていればWTO加盟国の権利や義務を執行する上で不可欠のツールとなるが、この20年以上にわたりWTOのルールを無視する上級委員会についての懸念が深刻になってきていると述べ、これまでの紛争解決制度の問題点を個々の事例について詳細に分析し、特に上級委員会がWTOのルールを遵守せず、解釈面で多くの間違いを繰り返してきたためWTO制度は様々な面で蝕まれてきたと述べている。

 

USTRは、その結論として上級委員会はパネルから上がった報告を覆し、上級委員会の決定を先例として扱うよう求め、個々の事案に直接関係のない勧告的意見を出し、さらにWTO協定に直接規定されていない問題についてそのギャップを埋めるとして加盟国の権利や義務を新たに設け、あるいは縮小させており、そのためパネルの報告のほとんどは上級委員会に控訴され、紛争解決の件数が増え、また処理に要する期間が延びる結果となっており、さらにWTO加盟国によって与えられている権限を越えて権限を行使し、加盟国に対して不当な介入を行っているとしている。

 

USTRはこうした様々な問題点を各加盟国が共有した上で解決策を検討しなければ、間に合わせの解決策に終わり、永続的で、効果的な制度をつくることはできないと結んでいる。

 

(出典:2020年1月24日の欧州委員会のプレスリリース、2月11日のUSTRのプレスリリース)