通関業法関係(問題) | 関税法等(問題) | 通関書類の作成要領(問題) |
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通関業法関係(解答・解説) | 関税法等(解答・解説) | 通関書類の作成要領(解答・解説) |
第1問 輸出申告(機械製品等) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》(a)⑫、(b)③、(c)⑤、(d)⑩、(e)⑨ 〈解説〉 設問の「機械製品等」の品目分類では、まず、輸出申告事項登録画面作成の問題文(以下「問題文」という。)の記7に記載されている「カメラ」と「カメラケース」との関係から、関税率表の解釈に関する通則(以下「通則」という。)5(a)の適用が可能かどうかを確認し、次に、問題文記5に記載されている「仕入書記載の各品目の価格に含まれている費用の額」について、別紙1の仕入書価格が「CIF」契約であることを踏まえ、これらの費用の取扱い(控除など)を判断する必要がある。 次に、問題文記4により、少額貨物で一欄に一品目のみ掲げる場合については、10桁目の番号を「E」とする。 (1) 仕入書第1項「Digital cameras with a through-the-lens viewfinder(single lens reflex)」➡8525.80‐0006 (2)仕入書第2項「Digital camera cases with a shoulder strap with outer surface of leather」➡8525.80‐0006 したがって、品目分類に当たっては、通則5(a)の要件を満足するものとして、本品は当該デジタルカメラに含まれるものとされることから、上記(1)と合わせて分類する。 (3)仕入書第3項「Smartphones(telephones for cellular networks)」➡8517.12‐0006 (4)仕入書第4項「Tablet computer weighing 1kg」➡8471.30‐0003 (5)仕入書第5項「SD flash memory cards」➡8523.51‐0004 (6)仕入書第6項「DVD-ROM, unrecorded」➡8523.41‐0000 2.同一統計品目番号のまとめ 上記1から、仕入書第1項「Digital cameras with a through-the-lens viewfinder(single lens reflex):US$100,000.00」に第2項「Digital camera cases with a shoulder strap with outer surface of leather:US$2,000.00」を合わせて分類するので、統計品目番号は同一の「8525.80−0006」であり、合計後の仕入書価格は、「8525.80−0006:US$102,000.00」となる。 3.大額貨物/少額貨物の判断 少額貨物の場合には、問題文記2及び記4により、10桁目のNACCS用品目コードを「X」又は「E」とするため、上記1により、統計品目番号を決定した各品目について、申告価格が20万円以下となるかどうかを判断するため、少額判断基準価格を計算する。 申告価格(FOB)の算出に当たって、問題文記5により仕入書価格に含まれている費用区分について、「認定」又は「控除」と認められるかどうかの判断を行う。 本設問では、仕入書価格は、CIF(指定仕向港運賃・保険料込み条件)価格であり、売手は、本船の船上で貨物を買手に引き渡す必要があり、指定仕向港へ貨物を運ぶために必要な運送契約を結び、かつ、その費用と運賃を支払わなければならない。さらに、売手は、指定仕向港までの運送中における貨物の滅失又は損傷についての買手の危険に対する最低限の保証範囲の保険契約を締結して、その費用と保険料を支払わなければならないので、注意を要する。 なお、当該費用を申告価格に振り分ける場合は、問題文記5の費用設定(%)から、価格按分となる。 記5: 以上から、申告価格(FOB)は、仕入書価格に算入済み費用のうち、上記「ハ」を「控除」したものとなるので、少額判断基準価格は、少額貨物の基準価格(20万円)を仕入書価格の控除割合(申告価格総額÷仕入書価格総額)で割って、それを適用為替レートで除して算出した米ドル価格で、次のように計算する。 (1) 少額判断基準価格の計算 仕入書価格総額(CIF)US$268,000.00・・・・・・・A 控除額:ハ=A×15%=US$40,200.00・・・・・・・B 申告価格総額:A−B=US$227,800.00・・・・・・・C ∴少額判断基準価格:US$2,139.03 したがって、US$2,139.03が少額判断基準価格となり、この価格より各統計品目番号の仕入書価格が小さければ、少額貨物と判断する。 (2)少額貨物の判断結果 4.申告欄の決定及び各品目の選択肢番号の決定 申告欄の順序は、問題文記3により、申告価格の大きいものから順に決定することとなる。 ①US$102,000.00〔仕入書第1・2項〕:8525.80−0006 → 第1欄(a) ⑫8525800006 ②US$ 90,000.00〔仕入書第4項〕:8471.30−0003 → 第2欄(b) ③8471300003 ③US$ 70,000.00〔仕入書第3項〕:8517.12−0006 → 第3欄(c) ⑤8517120006 ④US$ 5,000.00〔仕入書第5項〕 :8523.51−0004 → 第4欄(d) ⑩8523510004 ⑤US$ 1,000.00〔仕入書第6項〕 :8523.41−000E → 第5欄(e) ⑨852341000E 【参考】輸出申告価格の計算 輸出申告価格は、本船甲板渡し価格(FOB価格)を円貨により記載することとなるので、申告価格(US$)の本邦通貨への換算は、当該輸出貨物に係る輸出申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の週間平均値をもって行う。 輸出申告年月日が、平成30年10月1日であるので、その日の属する週「平成30年9月30日〜10月6日」の前々週「平成30年9月16日〜9月22日」における平均値「110.00円」を適用する。 各品目の申告価格(FOB円)は、上記3(1)の数値を参照し、次のように計算する。 1 第1欄:仕入書第1・2項 価格(CIF)=US$102,000.00→9,537,000円 |
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第2問 輸入(納税)申告(紡織用繊維から成る衣類等) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正 解》(a)⑬、(b)③、(c)⑪、(d)⑦、(e)①、
〈解 説〉 ⅰ)品目番号は、別冊の実行関税率表(抜すい)を参考に、対応する選択肢番号を選定して解答の番号とする。 1.各貨物の品目番号の決定 上記を踏まえた各貨物の品目分類は、次の通りである。 (2)仕入書第2項「Ladies’ raincoat, L size(textile fabric(not knitted), of polyester 100%, coated with polyurethane)」➡6210.30−2000(協定:9.1%) (3)仕入書第3項「Babies’ mittens(knitted, of polyester 40%, wool 30% and cassimere 30%)➡6111.90−1003(協定:5.3%) (4)仕入書第4項「Babies bibs(knitted, of cotton 90% and polyester 10%)」➡6111.20−3000(基本:10.8%) (5)仕入書第5項「Stole(knitted, of wool 85% and rayon 15%;size, 40cm×140cm)」➡6117.10−1001(基本:8.4%) (6)仕入書第6項「Men’s handkerchief(30cm×30cm; knitted, of cotton 90% and polyester 10%)」➡6117.80−2902(基本:8.4%) 2.同一品目番号のまとめ 上記1.から、同一の品目番号となるものはない。
3.申告価格の算出(少額貨物の判断及び合算) まず、問題文記6から記8までに記述されている費用について、各貨物の申告価格への算入の要否を検討して、次に各貨物の申告価格を算出する。 (1)問題文記6から記8までの費用の各貨物の申告価格への算入の要否 ⅰ 問題文記6の費用(買手と売手のために輸入貨物の受注、発注、交渉等の輸入取引成立のための業務を行うA社に対する仲介料として、買手及び売手の双方が、それぞれ仕入書価格の10%を手数料として支払う費用):買手支払分のみ算入 輸入貨物の輸入取引に関し買手により負担される「仲介料その他の手数料(買付けに関し、当該買手を代理する者に対し、当該買付けに係る業務の対価として支払われるものを除く。)は、加算要素の一つとされる。A社は、売手と買手の間にあって仲介業務を行う者であり、買手がA社に支払う手数料は、加算要素である「仲介料その他の手数料」に該当する。なお、売手がA社に支払う仲介料は、仕入書価格に含まれ、現実支払価格を構成しているので、更に当該手数料を加算する必要はない《関税定率法第4条第1項第2号イ、同法基本通達4−9》。 ⅱ 問題文記7の費用(仕入書第1項のパジャマの生産に関し、買手が売手にボタン5,100個(生産ロス分100個を含む。)を無償提供するための運賃を含む費用306,000円):仕入書第1項の仕入書価格に個別加算 当該ボタンは、仕入書第1項のパジャマに取り付けられているボタンであり、買手がこのボタンを売手に無償提供したものであるので、加算要素に該当し、仕入書第1項の仕入書価格に加算する《関税定率法第4条第1項第3号イ》。なお、予備のボタンについては、生産ロスを見込んだものであり、この額も仕入書価格に加算する《同法基本通達4−12(6)イ》。 ⅲ 問題文記8の費用(仕入書第4項のよだれかけの生産に関して、本邦での「家庭用品品質表示法」に基づき義務付けられている事項のみを表示した洗濯ラベル3,600枚を調達し、輸出者に無償提供した費用及び輸出者へ送付する運賃380米ドル):不算入 輸入貨物の生産に関連して、買手により無償で提供された物品で、当該輸入貨物に組み込まれている材料、部分品などに要する費用は、加算要素の一つとされている。これらには、商品ラベル、商標ラベルなどを含むが、本邦の法律等に基づき表示することが義務付けられている事項のみが表示されているラベル等は除くものとされている。なお、当該表示に併せて法律等に基づかない表示がされているラベル等の費用は、加算要素に該当する《同法第4条第1項第3号イ、同法施行令第1条の5第2項、同法基本通達4−12(1)》。
(2)少額貨物判断基準価格の算出 (注)1米ドルの本邦通貨への為替レートは、輸入申告年月日が平成30年10月1日であるので、その日の属する週「平成30年9月30日〜平成30年10月6日」の前々週「平成30年9月16日〜平成30年9月22日」における平均値「110.00円」を適用する。
上記(2)から、少額貨物は、仕入書各項の品目の仕入書価格がUS$1,652.89以下のものであり、本設問では、次の項目が少額貨物に該当する。 ①仕入書第4項の貨物 US$900.00 6111.20−3000(基本:10.8%) 本設問では、問題文記2により、少額貨物の場合は、関税が有税である品目と無税である品目に分けたうえで、有税のものは関税率が最も高いものの品目に一括したうえで、各々の10桁目を「X」とすることとされている。
4.各品目番号の申告価格 (1)6208.22−0001 =US$ 7,000.00→1,153,000円(仕入書第1項) 5.申告欄の決定 上記3及び4の結果から、問題文記3、記4及び記5に従って申告欄を決定すると、(a)から(e)までの選択肢番号及び(f)から(j)までの申告価格は、次のようになる。
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【選択式】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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第3問(関税の確定及び納付) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》1、3 〈解説〉 1 税関長は、納税申告に係る貨物の関税の納付前にする更正であって、課税標準又は納付すべき税額を減額するものについては、更正通知書の送達に代えて、当該納税申告をした者に当該納税申告に係る書面に記載した課税標準又は納付すべき税額を是正させることによってすることができる《関税法第7条の16第4項ただし書》。輸入の許可前にする更正のうち、関税の納付前で税額を減額するものについては、輸入者の利便性に配慮して、このような簡易な方法が認められているが、税額を増額するものについては、輸入者に不利益を与えるものであり、原則どおり更正通知書の送達により行われる。 3 税関長は、輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けて引き取られた貨物に係る課税標準又は納付すべき税額につき、その納税申告に誤りがないと認めた場合には、当該申告に係る税額及びその税額を納付すべき旨(関税の納付を要しないときは、その旨)のほか、当該貨物に係る輸入申告書の番号及び品名その他参考となるべき事項を、書面により、当該引取りの承認を受けた者に通知する《同法第7条の17、同法施行令第5条》。 (誤=2、4、5) 2 申告納税方式が適用される貨物については、納付すべき税額又は納付すべき税額がないことが納税義務者(輸入者)のする申告により確定することを原則としており、関税が無税の場合であっても、輸入しようとする貨物に係る関税の納付に関する申告が必要(「要しない」ではない。)である《同法第6条の2第1項第1号》。 4 税関長は、賦課課税方式による関税を徴収しようとするときは、原則として納税の告知をする必要があり、この納税の告知は、税額、納期限、納付場所を記載した納税告知書を送達することにより行われるが、過少申告加算税を徴収しようとするときは、納税の告知は不要(「納税の告知をしなければならない」ではない。)とされている《同法第9条の3第1項第3号》。この場合、過少申告加算税の徴収は、賦課決定に係る課税標準、納付すべき税額等を記載した賦課決定通知書を送達して行われる《同法第8条第4項》。 5 関税については、設問のようなクレジットカードの決済に係る業務を行う会社に納付委託をするような制度はない。 (参考)国税については、国税通則法第34条の3第1項第2号及び同法施行規則第2条第1項第1号により、設問のようなクレジットカードの決済に係る業務を行う会社への納付委託制度が設けられているが、関税法ではこれを準用していない。 |
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第4問(関税率表の所属の決定) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》3、5 〈解説〉 3 アセトンは、有機化合物のケトンとして、第2914.11号に属すが、NMR(核磁気共鳴)分析用の試薬として分子中の水素を重水素で同位体置換したアセトンは、同位元素の有機の化合物として、第28.45項に属する。 5 飲料水は、第22類に含まれるが、蒸留水は、第22類注1(c)により、第22類には含まれず、その他の無機化合物として第28.53項に属する。 (誤=1、2、4) 1 銀は、第71類注4(A)において、貴金属であると規定されていることから、硝酸銀は、銀(貴金属)の無機化合物として、第28.43項(第2843.21号)に属する。 2 第29類注2(b)において、第29類には、エチルアルコールを含まないと規定されている。エチルアルコールは、第22.07項又は第22.08項に属する。 4 有機界面活性剤は、第34.01項及び第34.02項に規定されているが、第34類注1(b)において、化学的に単一の化合物は、第34類に含まないと規定されている。 |
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第5問(事前照会) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》1、2 〈解説〉 1 事前照会制度の趣旨は、申告納税制度が輸入者からの正しい納税申告を前提に成立することに着目し、輸入される貨物についての関税率表の適用上の所属、税率、課税標準等の教示を求められたときは、税関に対し適切に教示する義務を課すことにある。このような趣旨から、実際に輸入される貨物について事前照会が認められるものであり、存在しない架空の貨物は、その対象とはされていない《関税法第7条第3項、同法基本通達7−18(2)イ》。 2 事前照会は、申告納税方式が適用される輸入貨物を対象とするものであり、輸出予定の貨物はその対象とされていない《同法第7条第3項》。 (誤=3、4、5) 3 輸入申告中の貨物については、事前照会制度の趣旨に反するものとして、事前照会の対象とはされていない(「事前照会の対象とされている」ではない。)。事前照会制度の対象とされるのは、輸入者(納税義務者)が輸入しようとする貨物についての照会である《同法第7条第3項、同法基本通達7−18(2)ハ(ロ)》。 4 文書により行われた回答について、照会者が再検討を希望して意見を申し出る場合には、当該照会者は、当該回答の交付又は送達を受けた日の翌日から起算して2月以内(「3月以内」ではない。)に、「事前教示回答書(変更通知書)に関する意見の申出書」を、当該回答を行った税関に提出しなければならない《同法基本通達7−18(8)イ》。 5 事前照会に係る貨物の内容及び回答の内容については、原則として公開されるが、照会者から一定期間(180日を超えない期間内)公開しない求めがあった場合は、申出に係る期間経過後に公開される。ただし、その内容が行政機関の保有する情報の公開に関する法律に定める不開示情報に該当する場合には、当該不開示情報に該当すると考えられる部分は公開されない(「その回答書の交付又は送達のあった日の翌日から起算して180日を経過した日後に公開する」ではない。)《同法基本通達7−18(6)》。 |
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第6問(特恵関税における原産品認定) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》1、2、5 〈解説〉 1 第三国から輸入した第三国産の綿糸(第52.05項)を使用して製造した第61.09項のTシャツについては、第61類の衣類の原産品としての資格を与えられるための条件が「紡織用繊維の織物類又は編物からの製造」とされ、綿糸から綿織物が製造され、綿織物から衣類(Tシャツ)が製造されるので、この条件を満たしており、原産品と認められる《関税暫定措置法施行令第26条第1項第2号、同法施行規則第9条第1項かっこ書、同施行規則別表第61類》。 2 日本から輸入した第三国産の紡毛織物(第51.11項)を使用して製造した第62.06項の女子用のシャツについては、第62類(第62.13項から第62.17項までに該当する物品を除く。)の衣類の原産品としての資格を与えられるための条件が「紡織用繊維の織物類又は編物からの製造」とされ、紡毛織物から女子用のシャツが製造されているので、この条件を満たしており、原産品と認められる《同法施行令第26条第1項第2号、同法施行規則第9条第1項かっこ書、同施行規則別表第62類》。 5 日本から輸入した日本産の絹織物(第50.07項)を使用して製造した第62.07項の男子用パジャマについては、第62類(第62.13項から第62.17項までに該当する物品を除く。)の衣類の原産品としての資格を与えられるための条件が「紡織用繊維の織物類又は編物からの製造」とされ、設問では、日本から輸入した日本産の絹織物のみを使用して男子用のパジャマが製造されており、原産品と認められる《同法施行令第26条第1項第2号、同法施行規則第9条第1項かっこ書、同施行規則別表第62類》。 (非原産品=3、4) 3 第三国から輸入した当該第三国産の半合成繊維の長繊維の糸(第54.03項)を使用して製造した第63.03項のカーテンについては、第63類の紡織用繊維のその他の製品の原産品としての資格を与えるための条件が「紡織用天然繊維、人造繊維の短繊維等からの製造」とされており、半合成繊維の長繊維の糸からの製造はこれに該当せず、原産品とは認められない《同法施行令第26条第1項第2号、同法施行規則第9条第1項かっこ書、同施行規則別表第63類》。 4 非原産品である合成繊維の紡績糸(第55.09項)を最終産品の総重量の15%、他の材料はすべて原産品を使用して製造した第63.01項の毛布については、他の材料はすべて原産品を使用しているので、最終製品の総重量に占める非原産品の合成繊維の紡績糸(第55.09項)の割合が10%以下であればこれを考慮しないものとされ、当該国の原産品と認められるが、非原産品の割合が15%であるため、原産品と認定されるためには、関税暫定措置法施行規則別表の条件を満たす必要がある。当該別表では、第63.01項の毛布の原産品としての資格を与えられるための条件は、「紡織用天然繊維、人造繊維の短繊維等からの製造」とされており、合成繊維の紡績糸からの製造はこれに該当せず、原産品とは認められない《同法第26条第1項第2号、同法施行規則第9条第1項かっこ書、第2項、同法施行規則別表第63類》。 |
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第7問(経済連携協定における原産品認定) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》1、3、4 〈解説〉 1 設問のオリーブ油(第15.09項)は、第15類以外の類の材料(A国以外の国(=非原産国)で収穫された生鮮オリーブ(第07.09項))から変更されているが、第7類の物品からの変更であるため、品目別原産地規則「第15.07項−第15.18項」を満たさず、「原産品」の(c)に該当しない。しかし、材料である生鮮オリーブは、日本で収穫されたものであるため、「累積」の規定を適用してA国の原産品とみなすことができる。 3 設問のオリーブ油は、A国で収穫した生鮮オリーブから得られた物品であるので、「完全に得られる産品」の(d)に定める産品であり、「原産品」の(a)に該当するので、A国の原産品とされる。 4 設問のラード(第15.01項)は、C国から輸入した非原産品の豚(第01.03項)を材料として生産しているので、品目別原産地規則「第15.01項−第15.06項」を満たし、「原産品」の(c)に該当することから、A国の原産品とされる。 (原産品とされないもの=2、5) 2 設問のオリーブ油は、B国(=非原産国)で収穫した生鮮オリーブ(第07.09項)からの変更であるため、品目別原産地規則「第15.07項−第15.18項」を満たさず、A国の原産品とはされない(当該品目別原産地規則では、第7類の物品からの変更は除かれている。)。 5 設問の化学的な変性加工をしたラード(第15.18項)の品目別原産地規則を満たすのは、「他の類の材料からの変更」であり、材料であるC国(=非原産国)で生産したラードは、同類の第15.01項に属するものであるため、A国の原産品とはされない。 |
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【計算式】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第8問(修正申告により納付すべき関税額と延滞税の額の合計額) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》226,500円(0226500) 〈解説〉 I.修正申告により納付すべき関税額の計算 1.修正申告時の正しい関税額 2.当初申告により納付した関税額(誤って計算した関税額) 2,851,325円 3. 修正申告により納付すべき関税額 Ⅱ.延滞税額の計算 1.延滞税の対象となる関税額 2.延滞税の計算期間 3.延滞税率は、年2.6%(本件は、修正申告をした日に追加関税を全額納付しているので、年8.9%が適用になる日はない。) 4.計算 220,000円×2.6%×106日÷365日= 1,661円 ▼(百円未満の端数切捨て) Ⅲ.合計=③+④=224,900円+1,600円=226,500円 |
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第9問(関税額の計算) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》345,400円(0345400) 〈解説〉 (計算) 3,561,729円 ▼(百円未満の端数切捨て) 345,400円 |
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第10問 (課税価格の計算) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》5,529,000円(5529000) 〈解説〉 (3,000個×1,800円/個=)5,400,000円となる。 ・・・・ ① 2.加算要素 「イ」のA国のX工場から本邦の輸入港に到着するまでの運送に要する運賃(120,000円) ・・・・ ② 「ロ」のA国から輸出する際の通関手続に要した費用(9,000円) ・・・・③ 3.非加算要素 (2)「輸入港における当該バッグの船卸しに要した費用」(設問4ハ)は、輸入貨物が本邦に到着した後に発生した費用であるため、加算要素に該当しない《同法施行令第1条の4第2号、同法基本通達4−8(7)イ》。 4.課税価格の計算 |
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第11問(課税価格の計算) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》2,150,000円(2150000) 〈解説〉 設問では、本邦のMが、A国の家具製造者Xとの間で家具(一式)を本邦に到着させることを目的として売買契約を締結した後、Mは、本邦のYとの間で当該家具を本邦に到着させることを目的とした売買契約を締結し、当該家具は、Mの指示により、XからYへ向けて輸出され、Yにより本邦に輸入されたと記述されている。この場合、MとYとの間の売買が「現実に当該貨物が本邦に到着することとなった売買」となることから、MとYの間の売買が、輸入取引となる《関税定率法基本通達4−1(2)イ》。 したがって、設問3の「MとYとの間の売買契約における当該家具の価格(FOB価格:1,800,000円)が、当該輸入貨物の現実支払価格となる。 また、設問5イ〜ハに記載されている費用が加算要素に該当するので、これらの費用の合計額を現実支払価格に加算する必要がある《同法第4条第1項第1号、第2号ハ、同法基本通達4−11なお書》。 なお、設問4に記載されている「Mは、Xからの請求に基づき、当該家具の価格とは別に、当該家具の生産に使用された工具に係る費用として支払った80,000円」は、すでにMとYとの間の取引価格(FOB価格)に含まれていることから、当該家具の課税価格の計算において考慮する必要はない。 課税価格の計算=1,800,000円+250,000円+40,000円+60,000円=2,150,000円 |
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第12問(課税価格の計算) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》3,056,000円(3056000) 〈解説〉 1.現実支払価格(設問2イ及びロ) 2,000枚×1,500円/枚=3,000,000円 ・・・・ ① 2.加算要素 (1)A国のYの倉庫における当該セーターの保管に要した費用(設問4イ) 50,000円・・・・ ② (本件輸入貨物の契約は、CIF条件ではあるものの、当該貨物は、A国のX工場で生産された後にA国のYの倉庫で保管され、その保管に要する費用をMが負担する旨がMとXとの売買契約に明記されていることから、当該費用は、MによるXに対する間接支払に該当し、課税価格に含める必要がある。) (2)当該セーターに取り付けられている値札の取得費用及びその提供に要した費用 5,000円+1,000円=6,000円・・・・・ ③ (値札は、関税定率法第4条第1項第3号イに規定する「材料、部分品又はこれらに類するもの」に含まれる《同法基本通達4−12(1)》。) 3.非加算要素 (1)前回の不良品に係る損害の求償額(150,000円)(設問3)については、この問題では、課税価格として契約価格を採用していることから、実際の決済時に、Mが本来支払うべき金額からMが受け取るべき求償額を控除した残額をMがXに対して支払っていることは、本件輸入貨物の課税価格の計算に当たって考慮する必要はない。 (2)設問4ニに記載している「当該セーターの販売促進活動に要した費用」は、Mが自己のために行った活動に係る費用であるため、課税価格には含まれない《同法基本通達4−2(4)》。 4.課税価格の計算=①+②+③=3,000,000円+50,000円+6,000円=3,056,000円 |
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【択一式】 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
第13問(輸出通関) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》0 〈解説〉 (正=1、2、3、4、5) 1 輸出の許可後に貨物の価格を変更しようとする場合において、輸出申告書に記載した価格が20万円未満であり、かつ、本来輸出申告書に記載すべきであった価格が20万円未満であるときは、税関長は、当該価格の訂正を省略させることができる《関税法基本通達67−1−14(3)》。 2 輸出申告を行う時点において、当該申告に係る貨物代金が未確定(輸出後において値引きが発生する場合、又は貨物の品質若しくは性能の確認を経て貨物代金が変更される場合を含む。(以下「値引き等」という。))である場合における輸出申告書に記載すべき価格は、当該申告に係る貨物の製造原価又は調達原価に、通常の利潤、一般管理費及び船積みまでに要する費用等を加えた額又は値引き等の調整が加えられる前の額とし、これに必要な調整を加えて計算した価格とすることができる《同法基本通達67−1−4(1)ニ》。 3 輸出貨物が複数の保税地域に分散して置かれている場合において、 ① 輸出貨物が置かれている複数の保税地域が同一の税関の管轄区域、かつ、同一都道府県に所在していること。 ② 輸出貨物を一の保税地域に置くことが困難であるためにやむを得ず複数の保税地域に分散して置かれている等、一の輸出申告により通関する必要があると認められること。 4 税関職員は、関税法第67条の規定により輸出貨物の開装検査を行った場合において、その貨物につき税関検査のため開装した旨の証明を必要とする旨の申出があったときは、税関職員が押印した開装検査票を申出者に交付し、検査貨物の中に封入させる取扱いとされている《同法基本通達67−1−17》。 5 再梱包が困難な貨物(例えば、プラント貨物、美術品等)を輸出する場合であって、仕入書により当該貨物の内容が明らかであり、当該貨物が保税地域に搬入される前に関税法第67条の規定による検査(搬入前検査)を実施することに支障がないときは、輸出者からの申出により、税関職員は、輸出申告の後、搬入前検査を行うことができる《同法基本通達67−1−7(4)》。 |
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第14問(輸入通関) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》2 〈解説〉 2 使用中の船舶であって本邦外において本邦の国籍を取得した船舶を輸入する場合におけるその輸入の具体的な時期は、当該船舶が初めて本邦に回航されて使用に供される時又は当該船舶に係る輸入の許可の時のいずれか早い時である《関税法基本通達2−1(2)イ》。 (誤=1、3、4、5) 1 予備申告を行った場合において、当該予備申告に係る貨物の輸入申告予定日までに当該予備申告に係る税関の審査が終了したときであっても、当該予備申告に係る貨物の輸入申告を行うことができることとなった時期(例えば、貨物が保税地域に搬入された時)以降に輸入申告の意思表示を行い、関税法第67条の規定による輸入申告を行わなければならない《予備審査制について(平成12年、蔵関第251号)4(1)》。 3 税関官署の開庁時間以外の時間における事務の執行の求めは、「開庁時間外の事務の執行を求める届出書」を提出しなければならない。恒常的にその求めの届出を口頭により行う取扱いはない《関税法第98条第1項、同法施行令第87条第3項、同法基本通達98−1(2)》。 4 輸入の許可前における貨物の引取りは、輸入申告の後、輸入の許可前に貨物の引取りの承認申請を行うものであり、輸入申告に併せて輸入の許可前における貨物の引取りの承認申請を行う場合であっても、輸入申告書の提出に併せて、輸入許可前貨物引取承認申請書を提出しなければならない《同法第73条第1項、同法施行令第63条、同法基本通達73−3−1》。 5 貨物を輸入しようとする者は、必要な事項を記載した輸入申告書を税関長に提出して、輸入申告をしなければならない。本邦の政府機関が公用に供するために輸入する貨物であって、経済産業大臣が定めるものについて、輸入申告書の提出に代えて、適宜の書面により輸入申告を行うことができる旨の取扱いはない《同法第67条、同法施行令第59条第1項、同法基本通達67−3−2》。 |
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第15問(関税率表の所属の決定) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》2 〈解説〉 2 プラスチック製のろうそく型ランプ(AC電源コネクター付き)は、第94.05項に属する。 (誤=1、3、4、5) 1 薄型テレビのバックライト等に使用される光源部品(制御回路なし)は、第85.41項に属する。 3 直管型ランプ(室内照明の交換用)は、第85.39項に属する。 4 ヘルメットに取り付けるように設計された安全灯(電池交換式)は、第85.13項に属する。 5 自動車本体に組み込みナンバープレートを上部から照らす機器は、第85.12項に属する。 |
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第16問(関税率表の所属の決定) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》0 〈解説〉 (誤=1、2、3、4、5) 手袋の所属については、第95類の注1(v)により、当該手袋を構成する材料により該当する項に属することとされている。 1 ゴルフ用の手袋(紡織用繊維編物製)は、第61.16項に属する。 2 野球用のグローブ(革製)は、第42.03項に属する。 3 剣道用の小手(紡織用繊維織物製)は、第62.16項に属する。 4 スキー用の手袋(紡織用繊維織物で補強した多泡性ポリウレタンシート製)は、第39.26項に属する。 5 水中ダイビング用の手袋(ゴム加工した紡織用繊維織物製)は、第62.16項に属する。 |
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第17問(オーストラリア協定の原産品申告書等に記載すべき原産性の基準に係る記号) | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
《正解》4 〈解説〉 設問のAからEまでの記号及びaからfまでの記号の意義の対応は、次の表のとおりである《税関様式C第5293号の記載要領》。
したがって、正しい組合せは、4(A−b、B−a、C−d、D−f、E−c)となる。 |