〔記述式〕
輸出申告書の作成問題(第1問)模範解答の補足説明
1.申告書上段
「申告月日」欄には、設問の記5の記述から「平成15年10月10日」又は「October 10,2003」と記入する。
また、仕入書の記述から、「積込港」欄には「TOKYO」、「積載船名」欄には「NIHON MARU」及び「仕向地」欄には 「LONGBEACH, U.S.A.」と、それぞれ記入する。
なお、「積込港」欄の国名の記入は要しない。
2.申告書中段
(1)統計品目分類及び単位符号
輸出申告貨物は、食品調理用の電気機器で、仕入書の貨物の内容から「レストラン(業務)用のもの」と「家庭用のもの」が区分されて記載されていることを確認し、輸出統計品目表(抜すい)と対比し、各貨物の統計品目「番号」及び「単位」符号を以下の4通りに決める。申告書中段は最大3欄であるため、いくつかの貨物をまとめる必要があることに注意する。
①仕入書第1項の輸出貨物のうち『電気式の貯蔵式湯沸器』
この貨物は、レストラン(業務)用のものである。
電気加熱式の食品調理用機器は、一般的に、「業務用のもの」は第84.19項の「加熱、調理等その他の温度変化による方法で材料を処理する機器」に分類(ただし、電気式の瞬間湯沸器及び貯蔵式湯沸器については業務用のものであっても第84.19項から除かれる。)し、家庭において使用するもの及び一部の業務用のものを第85.16項(電気式の瞬間湯沸器・・・電気アイロンその他の家庭において使用する種類の電熱機器など)に分類する取扱いである。
すなわち、第85.16項の規定から同項に記載されているもののうち「電気式の瞬間湯沸器、貯蔵式湯沸器・・・電気アイロン」については、家庭用のものに限らず業務用のものも同項に分類される。
したがって、本件の電気式貯蔵式湯沸器は、第85.16項に分類し、統計品目番号は、「8516.10-000」、単位符号は「NO」とし、仕入書記載の順序に従い申告書の第1欄に記載する。
②仕入書第1項の輸出貨物のうち『電気式のエスプレッソコーヒーメーカー』
この貨物は、レストラン(業務)用のものである。
電気式コーヒーメーカーは、家庭用のものは第8516.71号に分類されるが、「業務用のもの」は同項から除外されている。したがって、当該貨物は業務用のものであるので上記①の業務用のもののように第84.19項の「加熱による調理機器」に分類し、統計品目番号は「8419.81-000」、単位符号は「N0」及び「KG」とし、仕入書記載順序に従い申告書の第2欄に記載する。
③仕入書第2項の輸出貨物のうち『マイクロウェーブ(電磁波)オーブン』
この貨物は、家庭用のものである。
家庭用のマイクロ波オーブンは、統計品目番号「8516.50-000」、単位符号「NO」とする。(申告書への記入は下記「なお書き」を参照する。)
④仕入書第2項の輸出貨物のうち『電気式のトースター』
この貨物は、家庭用のものである。
電気式トースターは、「その他の加熱機器」として統計品目番号は「8516.72-000」、単位符号は「NO」となる。(申告書への記入は下記「なお書」を参照する。)
なお、上記③及び④の申告価格は、下記(4)の計算のように、いずれも20万円以下のものとなるので、これらをまとめて、申告書への記入は第3欄にする。この場合の「統計品目番号」欄への記入は必要ないことから、同欄には「×」印を付す。
(統計品目番号毎の集計で申告価格が20万円以下のものは統計計上除外とする取扱いによる。)
(2)品 名
品名の記入に当たっては、設問の記3の記述により、インボイスに記載されている「MACHINERY FOR RESTAURANT PURPOSES(業務用)」及び「MACHINERY FOR DOMESTIC PURPOSES(家庭用)」旨の表示の「品名」欄への記入は不要であるので省略することとし、次のように区分して申告書の各欄に記入する。
なお、上記(1)において明らかなように、二種類の貨物に申告価格が20万円以下のものがあり、これらをまとめて申告書の第3欄に記入するが、この品名は代表的な貨物(金額の高いもの等)の品名を記入する。
第1欄
「ELECTRIC STORAGE WATER HEATERS」
第2欄
「ELECTRIC ESPRESSO COFFEE MAKERS」
第3欄
「MICROWAVE OVENS ETC.」
(3)単位・数量
「単位」欄に記入すべき「単位」符号は、上記(1)のように統計品目番号ごとに設定されている。その単位の数量は次のとおりである。
なお、第3欄の単位符号は、まとめて一括した貨物に共通する「単位」とし、数量はまとめた貨物の合計数量とする。
申告書第1欄:NO 10 (仕入書の第1項の湯沸器)
申告書第2欄:NO 5 (仕入書の第1項のコーヒーメーカー) KG 175 (35kg×5pc)
申告書第3欄:NO 45 (仕入書の第2項のオーブンとトースター)
(4)輸出申告価格
①輸出申告価格に適用される為替レート
輸出申告価格は、関税法施行令第59条の2第2項の規定により、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(FOB価格)とされている。また、その価格が外国通貨により表示されている場合における本邦通貨への換算は、同条第4項、関税定率法第4条の7及び同法施行規則第1条の規定により、当該輸出貨物に係る輸出申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の当該週間の平均値に基づき税関長が公示した相場(為替レート)によることとされている。
申告年月日は、平成15年10月10日であるので、平成15年9月21日~9月27日の週における平均値である128.00円/US$により換算する。
②FOB価格の算出の要否
仕入書記載の決済金額は、合計額欄にC&F価格で表示(設定)されていることから、一般的には、これをFOB価格へ換算する必要がある。
しかし、設問の「記」にはC&FからFOBへの換算方法が記載されていないことから、仕入書の金額欄を注意してみると、最下段の行に「Ocean Freight US$855.00」と記載されているので、海上運賃(F)はUS$855であることがわかる。
ここで、仕入書記載の貨物合計金額をチェックしてみるとUS$30,935.00である《FOB価格=C&F価格(US$31,790.00)-運賃(US$855.00)=US$30,935.00》ことから、仕入書の各項記載の貨物の価格はFOB価格であることがわかるので、C&FからFOBへの換算は不必要であることになる。
①申告書第1欄:「8516.10-000」(仕入書の第1項の湯沸器)
FOB US$18,000.00
FOB US$18,000×128.00円=2,304,000円
②申告書第2欄:「8419.81-000」(仕入書の第1項のコーヒーメーカー)
FOB US$11,000.00
FOB US$11,000×128.00円=1,408,000円
③申告書第3欄:「 × 」(仕入書の第2項のオーブンとトースター)
内訳の計算により二品目が20万円以下となるので、これらをまとめ合算した欄となる。
FOB=US$1,200.00(オーブン)+US$735.00(トースター)=US$1,935.00
FOB US$1,935×128.00円=247,680円
内訳:仕入書の第2項のオーブン :FOB US$1,200×128.00円=153,600円
仕入書の第2項のトースター:FOB US$735×128.00円=94,080円
仕入書の決済金額がFOB価格ではなくC&F価格で、かつ、100万円を超えている場合には、当該決済金額を申告書の最下段の色刷り部分にアンダーラインを付して記入することとされている。本設問はこれに該当するので、そのように記入する。
3. 申告書下段
(1)個数、記号等欄
まず、個数として「60Cartons」と記載し、次に仕入書の「マーク」を申告書に転記する。
(2)申告書への記入は、「1枚3欄」とし、仕入書「有」(空欄)に「×」を記入する。
(3)「通関士記名押印」欄には、「財務太郎」(印)と記入する。
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