〔短答式〕
第1問(関税の確定及び納付)
正解 3
解説
(正=b、c、d)
b 納税申告した者は、関税の納付前であって、かつ、輸入の許可前に限り、先に提出した輸入(納税)申告書に記載した課税標準又は税額等を補正することにより修正申告することができる。《関税法第7条の14第2項》
c 延滞税の額の計算の基礎となる関税額が1万円未満である場合には、延滞税を納付することを要しない。《関税法第12条第3項前段》
d 税関長は、関税に係る過誤納金を還付すべき場合において、その還付を受けるべき者につき納付することとなった関税があるときは、その還付すべき金額をその関税に充当することができる。《関税法第13条第7項》
(誤=a、e)
a 本邦に入国する者が、その入国の際に税関に貨物の品名、数量、輸入の予定時期及び予定地等を記載した別送品申告書を提出して確認を受け、その入国後6月以内に輸入する貨物で商業量に達しないもの関税は、専ら税関長の処分により確定する。《関税法第6条の2第1項第2号イ及び同法施行令第3条第1項》
e 貨物の輸入者(納税義務者)が複数の輸入(納税)申告をした場合においては、各輸入(納税)申告書ごとに関税の納付書を作成して、各納付書ごとに関税を納付することが原則であるが、これら各納付書に記載した関税額を合計したうえで、これに各納付書を添えて一括して納付することができる。《関税法第9条の4》
第2問(納付関税額の計算)
正解 162,700円
解説
1.特恵税率の適用
原産地である米国は特恵受益国ではないので、米国原産品には特恵税率の適用はない。
2.協定税率の適用
協定税率は、基本税率よりも低い場合に限り適用する。
基本税率を適用した場合の関税額と、協定税率を適用した場合の関税額を計算し、その関税額を比較して、その関税額の低い方の税率を適用すべき税率と決定して、その決定し た税率による関税額を納付すべき関税額とする。
(1)基本税率を適用した場合の関税額
A 従価税率を適用した場合の関税額
1,560,000円× 9.6%=149,760円 → 149,700円
B 従量税率を適用した場合の関税額
1,130㎡×160円/㎡=180,800円 → 180,800円
C 基本税率を適用した場合の関税額
149,700円 < 180,800円 したがって、180,800円
(2)協定税率を適用した場合の関税額
A 従価税率を適用した場合の関税額
1,560,000円× 8.7%=135,720円 → 135,700円
B 従量税率を適用した場合の関税額
1,130㎡×144円/㎡=162,720円 → 162,700円
C 協定本税率を適用した場合の関税額
135,700円 < 162,700円 したがって、162,700円
(3)納付すべき関税額
基本税率の関税額180,800円 > 協定税率の関税額162,700円
∴ 162,700円
第3問(輸出通関)
正解 2
解説
(誤=a、b、e)
a 輸出の許可後において積込港を変更しようとする場合には、輸出許可を受けた税関又は保税運送到着地税関に対して数量等変更申請書に輸出許可を添付して提出し、変更承認を受けなければならない《関税法基本通達67-1-12》。
b 貨物(国際郵便路線で輸出する貨物を除く。)を輸出しようとする者は、その貨物の種類又は価格の多少にかかわりなく、税関長に輸出申告書を提出してその許可を受けなければならない《関税法第67条、同法施行令第58条》。
e 外国貨物を外国へ向けて積み戻す場合には、税関長に対して積戻し申告をしてその許可を受けなければならないが、この積戻し申告は、輸出申告書の表題を積戻申告書と訂正したものにより行う《関税法第75条、同法基本通達75-1-1》。
(正=c、d)
c 輸出申告の撤回は、その輸出申告に係る輸出の許可前に限り認められる《関税法基本通達67-1-10》。
d 無償の貨物を輸出する者は、当該貨物が有償で輸出されるものとした場合の本邦の輸出港における本船(積込む外国貿易船)甲板渡し価格を輸出申告書に記載して輸出申告しな ければならない《関税法第67条、同法施行令第59条の2第2項》。
第4問(輸入通関)
正解 4
解説
(誤=4)
輸入の許可前における外国貨物の引取り承認申請は、その申請に係る貨物の輸入申告をした後に、関税額相当の担保を提供して輸入許可前引取承認申請書を提出しなければならない《関税法第73条第1項、同法施行令第63条》。
(正=1、2、3、5)
1 貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の課税価格の多少にかかわりなく、税関長に対し当該貨物の品名並びに数量及び課税標準となるべき数量及び価格その他必要な事項を申告し、必要な検査を経て、その許可を受けなければならない《関税法第67条、同法施行令第59条》。
2 関税関係法令には明文の規定はないが、輸入申告は、輸入者が税関長に対して行う輸入の意思表示であるので、法理論上当然に、税関がこれを受理した時にその効力を生じる《関税法基本通達67-3-1》。
3 貨物を輸入しようとする者は、貨物を保税地域に搬入する前に行う予備審査制に基づく予備申告を、輸入申告予定日における外国為替相場が公示され、かつ、予備申告に係る 貨物の船荷証券が発行された日以降の日から行うことができる。《財務省通達・平成12年蔵 関第251号》
5 税関は、輸入申告に際し提出された仕入書により輸入貨物の課税標準を決定することが困難であると認められるとき、又は税関において仕入書を提出することができないと認めたときは、課税標準の決定のため、運賃明細書、保険料明細書、又は包装明細書の提出させることができる。《関税法第68条第2項《課税標準を決定するための書類の提出》
第5問(課税価格の計算)
正解 3,105,000円
解説
1 FOB価格・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1,000,000円・・A
2 肩代わり弁済費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2,000,000円・・B買手が、輸入取引の条件として、第三者に対し売手が負っている債務を肩代わり弁済する場合には、当該肩代わり弁済する債務額をも含めた額で輸入貨物を購入したことになるので、当該肩代わり弁済する債務額を課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項本文、同法施行令第1条の4本文前段》。
3 輸出港から輸入港までの運賃・・・・・・・・・・・・・・90,000円・・C買手が負担する輸出港から輸入港までの運賃は、課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第1号》。
4 輸入港からMの倉庫までの国内運賃・・・・・・・・・・・・不算入
買手が負担する費用であるが、輸入港到着後の費用であり、かつ、関税定率法第4条第1項《限定列挙加算費用》に規定する課税価格に算入すべき費用以外の費用である。
5 輸出港から輸入港までの保険料・・・・・・・・・・・・・15,000円・・D
買手が負担する輸出港から輸入港までの運賃は、課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第1号》
6 輸入港での検疫費用・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不算入
買手が負担する費用であるが、輸入港到着後の費用であり、かつ、関税定率法第4条第1項《限定列挙加算費用》に規定する課税価格に算入すべき費用以外の費用である。
7 課税価格(合計) A+B+C+D= 3,105,000円
第6問(課税価格の計算)
正解 66,300,000円
解説
1 販売価格(FOB価格)
10,000枚×6,600円/枚= 66,000,000円・・A
輸入する貨物は、映画をソフトウェアとして記録したDVD-ROMであって、データ処理機器(電子計算機等)に使用されるソフトウェア【データ処理機器の運用に関係する計算機プログラム、手順、規則又はデータ処理機器に使用されるデー又は命令をいう。】ではないので、仕入書価格に『ソフトウエアの費用』が、「DVD-ROM自体の費用」及び「ソフトウェアのDVD-ROMへ記録する費用等」と明確に区分されている場合であっても、その『ソフトウエアの費用』は、DVD-ROMの課税価格に算入しなければならない。《関税定率法第4条第1項本文、同法基本通達4-5(データ処理機器に使用されるソフトウエアを記録した媒体の課税価格の決定)、GATT(現WTO)評価委員会決定》。
(ポイント)データ処理機器に使用されるソフトウエアを記録した媒体の課税価格
データ処理機器に使用されるソフトウエアを記録した輸入媒体【キャリアメディア】の課税価格には、輸入媒体自体のコスト又は価格が区分されることを条件として、輸入媒体自体のコスト又は価格、データ 又はソフトウエアを輸入媒体に記録する費用等を算入するものとし、データ又はソフトウエアのコスト又は価格は算入してはならない。
データ又は命令【ソフトウエア】には、データ処理機器に組み込まれているもの又はサウンド、シネマチック及びビデオ・レコーデイングを含まない。
2 輸入港までの運賃及び保険料 300,000円・・B
輸入貨物の輸入港までの運賃及び保険料は、課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第1号(課税価格に算入する輸入港までの運賃等)》。
3 課税価格(合計) A+B = 66,300,000円
第7問 (関税率表の所属の決定)
正解 2
解説
(正=a、d)
a 革製のサッカーボールは、競技その他の運動に使用する物品であるので、第95類(運動用具)に分類する。《第95.06項》なお、革製品のカテゴリーの第42類の注1(l)には、第95類の物品を除外する旨が規定されている。
d 特別な廃棄処理を要求される薬剤で汚染された使用済み注射針は、2002年度改正で新設された第38・25項(化学工業において生ずる残留物、都市廃棄物、下水汚泥等の廃棄物)に入り、医療廃棄物(第3825.30号)に分類する。《なお、第38類注4「都市廃棄物」の欄を参照》
(誤=b、c、e、)
b 鉄鋼製のボルト、ばね等の汎用性のある物品の分類は、それぞれの該当する項に分類し、機械等の部分品として第16部(機械類及び電気機器等)には分類しない。《第15部注2》
c 化学的に純粋なぶどう糖は、糖類に分類されることから、第17.02項のその他の糖類に分類し、第29.40項からは除かれる。《第17類注1(b) 》
e 乗用自動車用のゴム製の空気タイヤは、ゴム製品に分類されることから、第40.11項に分類し、自動車の部分品には分類しない。《第41類注2の除外規定に該当しない》
第8問 (関税率表の所属の決定)
正解 3
解説
(1) 表の左欄と右欄の関係は次のようになる。 |