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米中が貿易協議を再開(USTR)

USTR

米通商代表部(USTR)タイ代表は2021年10月8日、中国の劉鶴副首相と米中間の貿易問題を巡りオンラインでの会合を開いた。今回の貿易協議はバイデン政権下での最初の協議である。USTRの発表によれば、両代表は、率直な意見交換を通して、両国間の貿易問題の重要性と両国間の関係が米中のみならず、世界経済にも影響を及ぼすとの認識で一致した。その上で、米中間の「第一段階の合意」の履行状況を検証し、さらに未解決となっている問題について協議することでも一致した。さらに、タイ代表は、米国に損害をもたらす中国の国家主導の非市場的な政策や慣行に対する懸念を表明し、近い将来再度協議を行う意向であることを強調した。USTRの発表では、今後の協議で取り上げる具体的な問題については触れていないが、中国の国有企業の弊害や、反競争的な対応、さらに補助金支給や知的財産の窃取等の問題を提起したとみられる。

 

この貿易協議再開に先立ち2021年10月4日、バイデン政権は対中貿易に関する新たなアプローチを打ち出した。この中で、まず中国政府の対応に触れ、国家主導の経済制度がもたらす貿易の歪みについて米国等多くの国が共通して懸念しているにもかかわらず、このような問題の解決には後ろ向きであるとし、さらに前政権の一方的な措置により、米国の同盟国や貿易パートナーが疎外され、また米国経済の一部に損害を発生させており、バイデン政権下ではこのような政策を見直すことを明確にし、中国との貿易上の緊張をエスカレートさせず、前政権のとった戦略の轍を踏まないようにするとの方針を打ち出している。

 

対中貿易協議の具体的な対応については、まず中国との第一段階の合意についての履行状況を検証することを挙げ、中国は農産物を含め米国産業に利する内容の約束を行っており、この合意の履行を求める。また同時に、米国民の負担となっている米通商法301条による追加関税の影響を緩和するため追加関税からの除外品目についての作業を再開することを挙げている。

 

次に第一段階の合意で取り上げられなかった問題、特に中国の国家主導的、非市場的な貿易・慣行に関連した問題を挙げ、米政権は第一段階の合意の履行を求めるが、同時に国有企業の弊害、反競争的な対応、さらに補助金支給や知的財産の窃取等の中国の非市場的な政策や慣行といったこれまで以上に広範囲な問題について中国と直接、また同盟国等とも協調して取り組むと述べ、米国の経済的な利益を守るために現在使えるあらゆるツールを動員し、さらに必要となれば新たなツールも開発するとの強い対応を表明している。最後にこのような問題の解決は米国単独では難しく、利害の共通する同盟国・貿易パートナーと協議・調整して取り組み、21世紀の貿易・テクノロジーのルール作りを共同して行い、世界市場を強化するとの立場を打ち出している。

 

(出典:2021年10月4日、8日のUSTRのプレスリリース等)