ホーム海外トピックス › 欧州委員会がGSPの見直しを提案(EU)

海外トピックス

研修・セミナー

社内研修にも活用できる企業別研修も承っております。

Jtrade

貿易統計Web検索システム ジェイ・トレード

FAX&COPYサービス

統計品目番号を記して申し込めば、後はFAXを待つだけ!

貿易統計
データ提供サービス

貿易統計データを表計算ソフトに取り込み二次加工が容易に!

欧州委員会がGSPの見直しを提案(EU)

EU

2021年9月22日、欧州委員会は2024年から10年間にわたって適用される一般特恵関税制度(GSP)について、これを見直すための提案を発表した。同委員会は今回の提案について、GSP受益国の新たな必要性や課題により適切に応えるとともに、社会や労働環境、気候変動等への対応を強化するためのものであることを強調している。欧州連合(EU)のGSPは経済的に脆弱な低所得国からEUに輸出される貨物に課される輸入関税を撤廃又は軽減し、途上国の貧困の撲滅、持続可能な発展、国際経済への参加を支援するためのものとされる。

 

EUのGSPスキームは、所得水準の低い途上国のためEUの関税率表の66%に当たる税目について関税を軽減(内40%)又は撤廃(内26%)するスキーム(「スタンダードGSP」)に加え、受益国に対してより有利な扱いを供与するスキームとして2種類が設けられ、その1つが持続可能な発展とグッド・ガバナンスのための特別のスキーム(「GSP∔」)で、脆弱な途上国が人権、労働権、環境、気候、グッド・ガバナンスに関連する国際協定を批准、履行することを条件に「スタンダードGSP」の対象品目のすべて(税目数の66%)に対して関税を撤廃するものである。もう1つは後発途上国(LDC)のためのスキームで、武器等を除くすべての産品に対してEU市場へ関税無税、割当なしでアクセスできるスキームである(「Everything But Arms」:EBA)。

 

EUのGSP供与の核心にあるのは、受益国の持続可能な発展で、労働権等の人権に関する国際的な基準・原則を尊重することが求められる。今回の提案では、現在の27本のILO等の国際協定に加え、環境やグッド・ガバナンスに関する6本の新たな国際協定(パリ協定、障碍者権利協定、国際組織犯罪防止協定等)が追加され、受益国において国際基準に深刻に違反するといった例外的な状況が生じた場合にはGSPの適用を一時的に撤回することを明確にしている。

 

欧州委員会の提案では、今後10年間ですべての受益国が後発途上国(LDC)の地位から卒業できるようスムーズな移行を確保し、持続可能性に関する基準の履行を約束すればGSP∔を申請できるようにすること、GSPからの卒業の基準(競争力の強い産品への特恵関税の適用を一時的に停止するための基準)を10%ポイント引き下げ、低所得国がGSPの利益を享受できる機会を最大化すること、さらに新たな要件に適応するためには一定の期間を要するため、十分な移行期間を設定し、履行計画の提出を求めること等が提案されている。

 

また、気候変動や環境保護に関する基準の遵守を強化するため、これらに関する協定の根幹を成す規定に違反し、その内容が深刻且つ組織的なものであれば、GSPの利益を撤回できるようにすることも定められている。さらにこれまでのGSPの適用から得た教訓を生かして、GSP∔の要件の遵守状況のモニタリングを改善し、その適用についての透明性を高め、一般市民の関与の度合を高め、国際基準の深刻な違反のように受益国において例外的に深刻な状況が認められ、迅速な対応が必要な場合には緊急に特恵適用を撤回できる手続きを設けるが、脆弱な立場の人々に配慮するため、GSPの撤回についてはその社会経済効果を評価することも提案されている。

 

欧州委員会の提案は今後欧州議会及び理事会の場で審議される。現行のGSPに関する規則は2023年12月31日で失効するため、欧州委員会提案が採択されれば新たなGSPの規則は2024年1月1日から施行される。

 

欧州委員会のボレル副委員長は本件に関してコメントし、新たなGSP制度によって、経済的な機会の創出に留まらず、世界中で持続可能な発展と普遍的な価値を推進する上でこれまで以上に強力に特恵制度を活用できるようになろうと述べた。

 
(出典:2021年9月22日の欧州委員会のプレスリリース等)