貿易統計Web検索システム ジェイ・トレード
統計品目番号を記して申し込めば、後はFAXを待つだけ!
貿易統計データを表計算ソフトに取り込み二次加工が容易に!
●WTO
11月13日、米通商代表部(USTR)は、世界貿易機関(WTO)の貿易円滑化協定(TFA)の完全実施について米国とインドの両国間で共通の理解が得られたとの声明を発表しました。この両国間の実質合意によってTFAの成立の途が開かれる見通しとなりました。
TFAは、WTO発足後締結される最初の多角的協定として位置づけられます。
この協定では、通関手続に係る法令や運用等の透明性の確保、事前教示制度、不服申立て、貨物到着前の事前審査、リスク管理、認定事業者制度、書類や様式等の縮減、手続や書式の統一化等多くの通関上の項目が取り上げられています。
また、このような措置を実現するための支援措置についても詳細に規定され、後発途上国も含めすべての加盟国がこの協定を最終的に実施できるようインフラの整備、税関職員への研修等さまざまな支援措置が規定されています。
貿易円滑化措置によって世界経済にもたらされる経済的な利益として、貿易取引に要するコストが10%~15%削減され、貿易の拡大、関税等の徴収額の増加、安定的なビジネス環境の整備、外国からの投資誘因といった様々な効果によって、4,000億ドル~1兆ドルの経済効果がもたらされるとの試算も出されています。
フロマンUSTR代表は、バリ島で1年前に開催されたWTO閣僚会議では米国、インドを含むすべてのWTO加盟国はTFAや食料安全保障のための備蓄等を含む広範囲なパッケージの採択を祝ったが、今年の7月になってインドをはじめ加盟国の一部がTFAの作業の進展に比べ、食料備蓄についてのWTOの作業がほとんど進展していないことに強い危機感を抱き、TFAの採択を阻止したためTFAの実施が頓挫することとなっていたとし、今回の米国とインドの間の合意を高く評価しました。同代表はさらに、近年WTOの信頼性が揺らいできたことを踏まえ、米国のオバマ大統領とインドのモディ首相は、同首相の9月のワシントン訪問の機会を含め、この問題についての実質合意を目指して話し合いが行われ、その後両政府の高官は本件に集中的に取り組み、今回の合意に至ったとし、これまでの経緯についても触れています。そして今後TFAを含むバリ・パッケージのすべてについて完全実施ができるよう作業を進めることを期待していると述べました。
また、同代表はTFAの完全実施に向けた今回の合意に加え、WTOの情報技術協定(ITA)及び環太平洋経済連携協定(TPP)についても言及し、この1週間は貿易問題等について大きな進展をみた重要な1週間であったとし、まず米国と中国の間でITAの対象品目の拡大について進展があったことを挙げ、またTPPに関しては交渉参加国間で交渉終結が視野に入ってきたと述べています。そしてこれらの成果は世界経済の回復期の重要な時期にグローバルな貿易システムを強化する上で大きな力となるとして、この1週間の動きの重要性を強調しました。
同日、インド商務省は、インドと米国がインドの抱える懸念事項を取り上げて、食料安全保障のための公的備蓄の問題についての意見の違いを解消できたことは大きな成果であると述べ、これによってWTOの行き詰まりが打破され、TFAの実施の途が開かれることとなったとし、WTO加盟国はWTO一般理事会においてこの問題を取り上げるよう加盟国に求めたいとの声明を発表しました。この食料備蓄の問題は、WTOの協定で認められていない農産品の市場価格の支持措置ともみられ、WTOのルールとの整合性が問題とされていましたが、昨年12月にバリ島で開催されたWTO閣僚会議において採択されたバリ・パッケージにおいては、貿易歪曲的な性格を有する措置であっても、暫定的な措置として当面これを容認するとされ、今後恒久的な措置について検討することとされていました。
アゼベド事務局長も、両国間の理解が一致したことを受け、これを歓迎する談話を発表し、その中で、今回の米国とインドとの間での意見の相違が打開されたことはバリ・パッケージや多角的通商システムを本来の姿に戻す上で大きなステップとなるものである。直ちにすべてのWTO加盟国と協議を開始し、一丸となって目下の難局を乗り切らなければならない。バリ・パッケージのすべての内容を実施に移すことはその成果をすべての加盟国に行き渡らせることができることとなり、これによってWTOの存在感が大きく高められる。食料の公的備蓄についての恒久的な解決及び途上国に対する技術支援の供与を含むTFAの実施に向かって一体として作業を進める必要があると述べ、加盟国に対してこれまでの作業の遅れを取り戻す必要があることを特に強調しています。
(出典:11月13日付けのWTO、USTR及びインド商務省のプレスリリースより)
過去の関連ニュース
9月1日 「バリ・パッケージ」に対するインドの基本的立場を説明―インド商工省大臣が議会下院で説明―(インド)