2010年7月5日更新
●WTO

■エアバスへの補助金に関するWTOのパネル裁定■

 −EU加盟国等のエアバスへの補助金は、一部WTOルール違反−


   6月30日の米通商代表部(USTR)の発表によれば、米国がWTOに提訴したエアバス開発に対する補助金の問題に関して、WTO紛争解決小委員会(パネル)は、同日裁定を下し、これまで何十年間にもわたって交付されてきたエアバス開発のためのEU及びその加盟国の補助金の一部はWTOのルールに違反するとした。また、A380スーパージャンボに交付された一部の融資もWTOのルールで禁止されている輸出補助金に該当するとした。

   しかしながら、同時にパネルの報告書では、米国から補助金とされたものであっても市場金利で返済されるものであればWTOのルールに違反するものではないとしており、また、補助金による航空機の価格面への引下げ効果や米国の国内産業が被ったとされる損害が立証されていない部分もあるとしている。

   パネル報告では、欧州共同体、フランス、ドイツ、スペイン、英国の措置が補助金協定に違反している範囲で、米国の協定上の利益を損なっているとし、遅滞なく、遅くとも90日以内に禁止されている補助金を廃止するよう勧告している。

   このパネルの裁定を受け、USTRのカーク代表は、「この大きな勝訴は、40年間以上にもわたって巨額の補助金をエアバスが受け取るのを見守る以外になかった米国の航空業界の関係者にとって利益をもたらすものである。この補助金によってボーイング社の販路やマーケットシェアが失われ、米国にとって極めて有害なものであった。本日下された裁定によって、米国はエアバスと共通の土俵で競争できることとなる」と述べた。

   一方、欧州委員会の域外貿易担当のグフト委員は、「この最終報告書は、米国がボーイング社に提供している補助金に関してまもなく出される予定の中間報告書とあわせて検討する必要がある。そのときに初めて、本件紛争の全体像なり、よりバランスの取れた姿が見えてくる」と述べた。

   WTO文書によれば、本件は、2004年10月6日、米国がドイツ、フランス、英国、スペインの加盟国政府並びに欧州共同体に対して、大型旅客機の貿易取引に影響する措置に関してWTO協議を申し入れたことに端を発している。米国からの協議の主な内容は、WTOの補助金協定及び1994年GATTに基づく義務に違反する補助金がEC及び加盟国から提供されているとするもので、具体的には、エアバスに対するデザインや開発のための融資、エアバスの開発及び製造のためのインフラの整備、拡張等のための無償資金提供や政府からの物品や役務の提供、優遇金利での融資、その他エアバスへの資金提供に絡む措置とされている。問題とされた補助金は、エアバスの製品全体(A300からA380までを含む)に係わる。2005年7月20日、紛争解決機関(DSB)はパネルの設置を決定し、豪州、ブラジル、カナダ、中国、日本及び韓国が第三国としての権利を留保した。パネルの最終報告書の提出時期は、再三にわたって延期され、今回ようやく提出にこぎつけたものである。
   米国及びEUはいずれも、パネルの裁定について上級委員会に上訴する権利を有する。



   (出典: 6月30日付のUSTR及び欧州委員会のプレス・リリースWTOの報告書等)





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