| 2010年4月23日更新 |
| ●USTR |
■綿花紛争でブラジルが決定した米国への制裁措置の発動は回避、今後交渉へ■ 4月6日に発表された米通商代表部(USTR)のプレス・リリースによれば、米国産高地綿花への補助金の支出を巡って世界貿易機関(WTO)の場等において長年米国とブラジルの間で争われてきた綿花紛争に関して、米国に対する報復措置としてブラジルが決定していた制裁の発動は見合わされることで合意され、今後両国間で交渉することとなった。発表文によれば、本件合意は、本年4月1日に行われた米国(USTR及び農務省)とブラジル外務省との会合の結果成立したものとされている。 本件綿花紛争は、2002年にまでさかのぼることができ、米国政府が国内の高地綿花に対して国内補助金や輸出信用保証を供与していることはWTOの補助金・相殺措置協定、農業に関する協定等に違反しているとして、ブラジルがWTOの紛争解決機関に提起したことに始まる。 2005年及び2008年、WTO紛争解決機関は米国の供与している補助金等はWTO協定に違反しているとの裁定を下した。具体的には、販売ローン・プログラムや価格変動補填プログラムに基づく高地綿花生産者への支払い、及びGSM-102プログラム(綿花を含む指定農産物の外国バイヤーに対する銀行の輸出信用を保証することを内容とする米農務省のプログラム)に基づく輸出信用保証が問題とされた。 米国がWTOの裁定を履行しなかったため、2009年8月31日、WTO紛争解決機関は、ブラジルが米国に対して報復措置をとることを認め、その規模は、@国内生産者への支払いについては、年間147.3百万ドル(固定)、及びAGSM-102に対してはプログラムの利用状況に基づいて算出した額(年々変動)とされた。米国がブラジルに示したデータによれば、この二つの額を併せると、制裁措置の規模は現在の水準で800百万ドルを超える額となる。 この制裁措置で特に注目されるのは、その規模の大きさに加え、クロス・セクトラルの報復措置で、関税の賦課等による物品の貿易に対する制裁措置とは別に、他のセクター(知的財産権やサービスのセクター)での制裁がWTOで認められたことである。制裁措置の規模は年々変動することとなるが、米国の発表では、総額820百万ドルの制裁規模は、560百万ドルと260百万ドルに分けられ、ブラジルの2010年3月8日の発表によれば、まず米国から輸入される物品への高関税の賦課が挙げられている(その対象品目としては、自動車、医薬品、医療用器具、エレクトロニクス製品、繊維製品、小麦、果実、ナッツ、及び綿花)。またクロス・セクトラルな制裁としては知的財産権に対する措置が検討されているが、具体的にどのような米国の知的財産権が制裁の対象となるかについては最終決定に至っていないとしている。 本年4月1日の米・ブラジル間の協議の結果、ブラジル政府が4月7日から適用するとしていた制裁措置を見合わせることで合意されたが、米国は147.3百万ドルの基金を年々設け、技術支援等を行うこととなった。この支援措置は、新たな農業法が成立するか、綿花紛争が相互に合意できる内容で解決が図られるか、いずれかの早い時点まで継続することとなっている。さらに、輸出信用保証の運用についても両国間で検討されることとなり、またブラジルのサンタカタリーナ州の家畜について国際獣疫事務局(OIE)のガイドラインに基づいてその安全性(口蹄疫、牛疫、豚水疱病、豚コレラ等)を検証し、同地域を清浄地域のリストに追加するため、4月16日までに輸入規制を定めた規則の改正案を発表するとしている。 両国は、本件紛争を6月までに解決したいとしている。 (出典: 4月6日付のUSTRのプレス・リリースより) |