2008年6月4日更新
●WTO

■WTO紛争解決/ホルモン食肉問題■

−EU、WTOのパネルの決定を不服として上級委員会に申立て−

   5月29日、EUは、本年3月31日に出されたWTOの紛争解決小委員会(パネル)の決定内容の一部を不服として、(紛争解決)上級委員会に対し、申立てを行ったと発表した。
   本件ホルモン食肉の問題は、WTOにおいて最も長く争われている紛争で、EU発表によるこれまでの主な経緯は次の通り。

■ 1980年代、EUは成長促進ホルモン剤の使用禁止及びこれを使った食肉の輸入禁止を決定。

■ 1996年、輸出国である米国とカナダは、このEUの措置はWTOのルールに違反するとしてWTOに提訴。

■ 1998年、WTOの上級委員会は、EUのルールは、科学的根拠が不十分だとしてWTOの「衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)」に一部抵触すると判定。

■ その後、米国とカナダは、WTOに申請し、報復措置としてEUからの輸入品(主に農産品で、一部工業製品も含まれる。
   そのカバレッジは、米国116.8百万ドル、カナダ11.3百万カナダドル相当)に対して100%の関税を適用することを認められた。この措置は、1999年夏から適用。

■ 2003年10月14日、EUは科学的な根拠に基づくものとして、新たな指令を採択。
   問題となっていた6種類のホルモンの内、1種類(oestradiol 17β)については発がん性がはっきりしているとして成長促進目的に同ホルモンを使用することを恒久的に禁止。
   それ以外の5種類のホルモン(testosterone, progesterone, trenbolone acetate, zeranol, melengestrol acetate) については、現状では正確なことはいえないとしながらも、人体にとって潜在的に有害であることを示す証拠があるとし、予防的措置として、EU域内ではこの5種類のホルモンの使用とホルモン処理された食肉の販売を暫定的に制限することとした。

■ 同年11月、上記新指令をWTOに通報。

■ これに対し、米国及びカナダは、EUの示した証拠を認めず、EUへの制裁を継続。
   そのためEUは2004年11月8日、米国及びカナダに対し、報復措置を撤回することを求めて協議を申し立て、その後2005年6月にパネルが設置された。

■ 本年3月31日に出されたパネル報告では、EUの新指令は、WTO協定に合致した内容のものではないとし、また、ホルモンの使用基準をEUが厳格化した2003年以降も米国及びカナダが報復関税の適用を続けていることには問題があるとしている。


   EU側が今回特に問題としているのは、パネルの下した決定において、米国及びカナダの報復的な関税の賦課をWTO協定上問題ありとしている点については歓迎するとしながらも、EUのホルモンに関する新たな指令の内容が、WTOのSPS協定と整合していないとした点であるとしている。
   さらに、米国及びカナダに対し、報復的な措置の撤廃の必要性について十分明確な形で勧告していないとも指摘している。

(出典:欧州委員会プレスリリース、http://ec.europa.eu/trade/issues/




BACK  ビジネスに役立つ、日本の貿易統計情報サービスはコチラ→貿易統計磁気媒体サービス