本試験問題と解答・解説


平成22年度第44回通関士試験解答  
〔通関業法〕(時間50分)


【選択式】
第1問(目的)
正 解

イ−D規制、ロ−J設置、ハ−K適正、ニ−H申告納付、ホ−I迅速


参照条文
通関業法第1条(目的)

第2問(定義)
正 解

イ−H他人、ロ−B置くこと、ハ−M不服申立て、ニ−E主張又は陳述、ホ−I通関業者


参照条文
1 通関業法第2条(定義)第1号
2 通関業法第7条(関連業務)

第3問(通関士の審査等)
正 解

イ−L通関業務、ロ−E関税法第67条の3第1項第1号に規定する特定輸出者、
ハ−M特例申告、ニ−I審査を行った通関士、ホ−A及ぼさない


参照条文
1 通関業法第14条(通関士の審査等)、同法施行令第6条(通関士の審査を要する通関書類等)
   第1号、第3号
2 同法第21条(押印等の効力)

第4問(税関長の確認)
正 解

イ−F禁錮以上、ロ−L通告処分、ハ−M破産者、ニ−G禁止、ホ−@2年


参照条文
1〜4 通関業法第32条第2号
5 同法第31条第2項第2号

第5問(通関業者に対する監督処分及び通関士に対する懲戒処分)
正 解

イ−I信用を害する、ロ−N理由、ハ−C戒告、ニ−@2年、ホ−F公告


参照条文
1 通関業法第34条第1項(通関業者に対する監督処分)
2 同法第35条第1項(通関士に対する懲戒処分)
3 同法第34条第2項、同法第35条第2項、(いずれも処分の公告)

第6問(通関業務を行う営業所)
正 解  2、3

解 説

(正=2、3)
 通関士の設置を要する地域において不特定の種類の貨物の通関業務を取り扱う営業所の新設の許可をしようとするときは、許可申請に係る営業所に一人以上の通関士が設置されているかどうかを審査しなければならないこととされている。(通関業法第8条第2項において準用する同法第5条第4号、同法第13条第1項、同法施行令第4条第1項)
 通関業の許可を受けた税関の管轄区域内にある既存の施設を通関業務のための新たな営業所として使用しようとする場合には、税関長の許可を受ける必要がある。(同法第8条第1項)

(誤=1、4、5)
 他人の依頼によって船積書類を作成することは、「通関業務」には該当しない。
 このため、通関業者がその職員を派遣して取引先の施設において船積書類を作成しているとしても、当該施設は、通関業者の通関業務を行う営業所には該当しない。(同法第8条第1項、同法基本通達8−1)
 営業所の新設の許可に条件を付そうとする場合、申請者の意見聴取は必要とはされていない。
 移転後の営業所について通関業法第13条(通関士の設置)に規定する通関士の設置に係る基準について新たに審査する必要があると認められるというのであれば、移転前のものとは実態の異なる新たな営業所を設けることになるので、営業所の新設に係る許可の手続が必要である。(同法第8条第1項)

第7問(通関業の許可に係る欠格事由)
正 解  1、2、5

解 説

(正=1、2、5)
 偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたとしてその許可を取り消された者(通関業法第11条第1項第1号に該当)であって、その処分を受けた日から2年を経過しないものに該当する場合には、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることができない。(通関業法第6条第6号)
 通関業法第38条(報告の徴収等)の規定に基づき税関職員が行う通関業者の業務に関する帳簿書類の検査を拒んだとして罰金の刑に処せられた者(通関業法第43条第2号違反)であって、その刑の執行を終えた日から3年を経過しないものに該当する場合には、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることはできない。(同法第6条第5号)
 禁錮以上の刑に処せられた者であって、その刑の執行を終えた日から3年を経過しないものに該当する場合には、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることはできない。(同法第6条第3号)

(誤=3、4)
 関税法の規定に違反して罰金の刑に処せられた者で欠格事由に該当するのは、その刑の執行を終えた日から3年(「5年」ではない。)を経過しないものである。(同法第6条第4号イ)
 港湾運送事業法の規定に違反して罰金の刑に処せられたとしても、通関業の許可の欠格事由に該当することはないので、通関業の許可を受けることができる。

第8問(通関士の設置)
正 解  4、5

解 説

(正=4、5)
 通関士の設置を要する地域において通関業務を取り扱う営業所であって、通関業の許可の条件として、取扱貨物が一定の種類のみに限られている場合には、通関士の設置義務が免除される。(通関業法第13条第1項第2号)
 通関士の設置を要する営業所であっても、専任の通関士の設置を要しないものとして税関長の承認を受けた場合には、専任の通関士の設置を要しないものされている。(同法第13条第1項、同法施行令第4条第1項かっこ書)

(誤=1、2、3)
 通関士の設置を要しない地域にある営業所で通関書類を作成する場合であっても、通関士の設置を要する地域に所在する税関官署に対して提出するときは、当該営業所には通関士を置かなければならないものとされている。(同法第13条第1項第1号)
 通関士の設置を要する地域において通関業務を取り扱う営業所にあっては、その取扱い件数が少ない場合であっても、当該営業所には通関士を置く必要があるものとされている。(同法第13条第1項、同法施行令第4条第1項)
 通関士の設置を要する営業所については、専任でない通関士が2名以上置かれている場合であっても、専任の通関士の設置義務が免除されることはない。(同法第13条第1項、同法施行令第4条第1項)

第9問(通関業者及び通関士の義務)
正 解  1、5

解 説

(正=1、5)
 通関業者は、通関業務及び関連業務に関して帳簿を設け、その収入に関する事項を記載しなければならないものとされている。(通関業法第22条第1項)
 通関業者は、通関士その他の通関業務の従業者の氏名及びその異動を税関長に届け出なければならないものとされている。(同法第22条第2項)

(誤=2、3、4)
 通関業務及び関連業務に関する書類の保存期間は、その作成の日から3年間(5年間ではない。)とされている。(同法第22条第1項、同法施行令第8条第3項)
 通関業者に、通関業務を担当する役員の異動届の写しの保存義務は課されていない。
 通関士がその信用又は品位を害するような行為をしたとすれば、その所属する通関業者の信用又は品位を害さなかったとしても、当該通関士は、通関業法第20条(信用失墜行為の禁止)に規定する信用失墜行為に該当する行為をしたことになる。(同法第20条)

第10問(通関業者の記帳及び書類の保存)
正 解  3、4

解 説

(正=3、4)
 通関業者は、税関官署に提出した関連業務に係る申告書、申請書等の写しを、その作成後3年間保存するものとされている。(通関業法第22条第1項、同法施行令第8条第2項第1号、第3号)
 通関業者は、通関業務に関し依頼者から依頼を受けたことを証する書類を、その作成後3年間保存するものとされている。(同法第22条第1項、同法施行令第8条第2項第2号、第3号)

(誤=1、2、5)
 通関業務に関し税関官署に提出した仕入書の写しは、保存を要する通関書類とはされていない。(同法施行令第8条第2項各号)
 通関業者が設けることとされている帳簿は、通関業務を行う営業所ごとに設ければよいこととされている。(同法施行令第8条第1項)
 認定通関業者に、認定通関業者の認定に係る通知書の保存義務は課されていない。

【択一式】
第11問(通関業務及び関連業務)
正 解  0

解 説

(正=0)

(誤=1、2、3、4、5)
 輸出の許可後の数量等変更申請手続は、許可の内容に変更を及ぼすこととなる手続であるので、通関手続に含まれるものとされている。(通関業法第2条第1項第1号イの(1)、同法基本通達2−2(2))
 輸入の許可後に行う関税の確定及び納付に関する手続は、通関手続に含まれるものとされている。(同法第2条第1項第1号イの(1)かっこ書、同法基本通達2−2(2))
 通関業者が税関長に毎年1回提出することとされている報告書には、関連業務に係る事項についても記載することとされている。(同法第22条第1項かっこ書)
 保税蔵置場に外国貨物を置くことの承認申請は通関手続とされており、通関業者が他人の依頼によりその手続を代理することは通関業務(「関連業務」ではない。)とされている。(同法第2条第1項第1号イの(4))
 通関士が確認を受けた通関業者の通関業務に従事しなくなったときは、その通関業者の関連業務に従事しているとしても、通関士でなくなるものとされている。(同法第32条第1号)

第12問(営業区域の制限)
正 解  5

解 説

(正=5)
 同一人から依頼された通関業務その他税関官署に対する手続で相互に関連するものについては、通関業の許可に係る税関の管轄区域外においても、当該手続に係る通関業務を行うことができる。(通関業法第9条ただし書、同法基本通達9−1(1))
設問に掲げる事例は、通関業法第9条ただし書に規定する場合に該当する。

(誤=1、2、3、4)
 認定通関業者であっても、第9条ただし書に規定する場合を除き、通関業の許可に係る税関の管轄区域外において通関業務を行うことはできない。
 通関業法第7条に規定する関連業務は、誰でもすることができるものであるので、その業務をすることについて営業区域の制限を受けることはない。
 通関業者は、通関業の許可に係る税関の管轄区域内においてのみ、通関業務を行うことができることとされている。このため、通関手続を依頼した者の所在地が通関業の許可に係る税関の管轄区域外である場合には、通関業法第9条ただし書に該当するときを除き、当該所在地において通関業務を行うことはできない。
 通関業法第7条に規定する関連業務については、営業区域の制限は設けられていないので、地域限定の条件を付された通関業者であっても、その限定された地域以外の地域において、関連業務を行うことができる。

第13問(通関業の許可の消滅又は取消し)
正 解  0

解 説

(正=0)

(誤=1、2、3、4、5)
 通関業の許可は、通関業者が通関業を廃止したとき(「廃止の届出をしたとき」ではない。)、消滅することとされている。(通関業法第10条第1項第1号)
 通関業務の休業は、通関業の取消し事由とはされていない。(同法第11条第1項各号)
 通関業者が解散したときは、通関業は消滅することになるが、その事実を利用者に知らせる必要があるので、税関長は、遅滞なくその旨を公告しなければならないこととされている。(同法第10条第2項)
 このことは、設問にあるようなみなし規定の期間中であっても同様である。
 税関長は、通関業者の役員が破産手続開始の決定を受けたときは、当該通関業者は欠格事由に該当することになるので、その許可を取り消すことができることとされている(「許可が消滅する。」のではない。)。(同法第11条第1項第2号)
 通関業者の経営の状態が極端に悪化し、経営の基礎が確実でなくなったとしても、そのこと自体は、通関業の取消し事由とはされていない。(同法第11条第1項各号)

第14問(変更等の届出)
正 解  4

解 説

(正=4)
 通関業者が、通関業以外に営む事業の種類を変更したときは、遅滞なく届け出るものとされている。(通関業法第12条第1号)

(誤=1、2、3、5)
 「資本金の額の変更」は、届出事項とはされていない。
 「通関業者の役員の住所変更」は、届出事項とされている。(同法第12条第1号、第4条第1項第1号)
 通関業者が、会社更生法の手続の開始の決定を受けたとしても欠格事由に該当することはないので、その旨の届出は要しない。
 通関業者が破産手続の開始の決定を受けたことにより通関業の許可が消滅した場合の届出義務者は、破産管財人(「代表する役員」ではない。)である。(同法第12条第3号、同法施行令第3条第3号)

第15問(更正に関する意見を聴取、検査の通知)
正 解  2

解 説

(誤=2)
 通関業者が行った納税申告について、単なる計算の誤りに基因する増額更正を行う場合には、依頼者の正当な利益に影響を及ぼすことはないので、通関業者に対して意見を述べる機会を与える必要はない。(通関業法第15条ただし書)

(正=1、3、4、5)
 通関業者が行った納税申告について、課税価格の相違に基因して増額更正を行う場合には、依頼者の正当な利益に影響を及ぼすことから、通関業者に対して意見を述べる機会を与える必要がある。(同法第15条)
 関税法第75条(外国貨物の積戻し)において準用する同法第67条(輸出又は輸入の許可)の規定に基づく検査の通知は、当該貨物に係る通関手続を行った通関業者に対してするものとされている。(同法第16条)
 関税法第61条第3項(保税工場外における保税作業)の規定に基づく検査は、通知を要する検査とはされていない。(通関業法第16条及び同法施行令第7条)
 検査の通知の有無は、当該検査に係る処分の効力に影響を及ぼさないものとされている。(同法第21条)
 これは、検査その他の手続又は処分を前提として行われる事後の行為その他取引きの安全がそこなわれることのないよう考慮した措置である。

第16問(通関業者及び通関士の義務)
正 解  1

解 説

(誤=1)
 通関業者の役員及び通関士その他の従業者について異動があった場合には、異動の内容を税関長に届け出なければならないが、異動のあった日からいつまでとした制限は設けられていない。(通関業法第12条第1号、第22条第2項、同法施行令第9条第1項)

(正=2、3、4、5)
 法人である通関業者の役員には、信用失墜行為禁止の義務が課されている。(同法第20条)
 通関業者には、関連業務を含む通関業務の料金の掲示義務が課されている。(同法第18条)
 通関業を行うに当たって依頼者の陳述又は文書等から知りえた事実であっても一般に知られているものであれば「通関業務に関して知りえた秘密」には当たらないものとされている。(同法第19条、同法基本通達19−1(2))
 通関士が自ら通関書類の審査を行うことなく他人に自己の記名押印をさせることは、通関士の名義貸しに当たるものとされている。(同法第33条、同法基本通達33−1(1))

第17問(税関長の確認)
正 解  1

解 説

(正=1)
 通関士に対する懲戒処分の規定により通関業務に従事することを停止された者であっても、その停止期間が経過した者については、税関長の確認を受けることができるものとされている。(通関業法第31条第2項第3号ロ)

(誤=2、3、4、5)
 通関士試験に合格した者が、通関士として税関長の確認を受ける場合における通関業務への従事年数については、特別、制限は設けられていない。
 公務員で懲戒免職の処分を受けた者で、税関長の確認を受けることができないものは、その処分を受けた日から2年(「3年」ではない。)を経過しないものとされている。(同法第31条第2項第1号、第6条第7号)
 通関士試験に合格した者は、どの税関の管轄区域内においても通関士となる資格を有する(税関長の確認を受けることができる)ものとされている。(同法第25条)
 通関業者が、他の通関業者の通関業務に従事する通関士について確認を受ける場合、当該確認に係る届出の際に併任について異議がない旨の当該他の通関業者の承諾書の提示を求められることはない。

第18問(通関業者に対する監督処分及び通関士に対する懲戒処分)
正 解  0

解 説

(正=0)

(誤=1、2、3、4、5)
 設問にあるような趣旨の規定はない。
(通関業の許可を取り消された場合には、現に進行中の手続があるときは、その手続を依頼者の指定する他の業者に引き継がなければならない。(通関業法基本通達10−1))
 通関士が関税法の規定に違反したとしても、通関士試験の合格の決定を取り消されることはない。(同法第35条第1項)
 通関士が名義を他の通関士に通関業務のため使用させた場合には、通関業法第33条(名義貸しの禁止)の規定に違反したことになるので、懲戒処分の対象となるものとされている。(同法第35条第1項)
 通関業者でない者が通関業法の規定に違反したとしても、その者に対し監督処分をすることはできない。
 設問にあるような趣旨の規定はない。

第19問(罰則)
正 解  4

解 説

(正=4)
 通関業者が通関業務に関して帳簿を設けなかった場合には、当該通関業者に対しては監督処分をすることによって、十分に、その防止及び取締りをすることが期待できるので、このような手続の不履行は、罰則の対象とはされていない。

(誤=1、2、3、5)
 通関士がその名義を他人に通関業務のために使用させた場合には、3万円以下の懲役に処せられることがある。(通関業法第44条第2号)
 通関士がその他の通関業務の従業者が、正当な理由なくて通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らした場合には、1年以下の懲役又は10万円以下の懲役に処せられることがある。(同法第41条第1項第3号)
 通関業者でない者が通関業者という名称を使用した場合には、3万円以下の罰金に処せられることがある。(同法第44条第3号)
 通関業者が通関業務の全部又は一部の停止の処分に違反して通関業務を行った場合には、1年以下の懲役又は10万円以下の懲役に処せられることがある。(同法第41条第1項第4号)

第20問(処分の手続)
正 解  3

解 説

(正=3)
 通関士に対して懲戒処分をするときは、その理由を付記した書面により、当該通関士が従事する通関業者を経由して当該通関士に通知しなければならないこととされている。(通関業法第37条第2項、同法基本通達35−3)

(誤=1、2、4、5)
1、4 税関長が通関業者に対する監督処分をしようとするときは、審査委員の意見を聞かなければ
    ならないこととされている。(同法第37 条第1項)このことは、認定通関業者に対して監督処分をし
    ようとするときであっても同じである。
 通関士に対して懲戒処分をしようとするときは、審査委員の意見の聴取は必要とされていない。(同法第37条第1項)
 通関業者に対する監督処分について意見を聞くために委嘱する審査委員の数は、3人以内(5人ではない。)とされている。(同法第39条第1項)


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