本試験問題と解答・解説


平成21年度第43回通関士試験問題
  

〔関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分に限る。)〕(時間 1時間40分)

【記 述 式】 ―― 第1問〜第5問:各問題5点 第6問〜第15問:各問題1点 ――

第1問 次の記述は、関税を課する場合に適用する法令に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
  1. 関税を課する場合に適用する法令は、原則として、( イ )において適用される法令による。
  2. 収容された貨物で公売に付されるものについては、( ロ )において適用される法令による。
  3. 特定保税運送に係る外国貨物で発送の日の翌日から起算して7日以内に運送先に到着しないものについては、( ハ )において適用される法令による。
  4. 関税法第76条第3項(郵便物の輸出入の簡易手続)の規定による提示がされた郵便物であって、その課税標準となるべき価格が20万円以下のものについては、( ニ )において適用される法令による。
  5. 保税蔵置場に置かれた外国貨物で、輸入申告がされた後輸入の許可がされる前に当該貨物に適用される法令の改正があったものについては、( ホ )において適用される法令による。
@ 移入申告の日 A 運送が承認された時 B 外国貨物が発送された時
C 外国貨物が保税蔵置場に置かれた日 D 外国貨物の発送の日の翌日から起算して7日を経過した時 E 改正法令の施行の日
F 蔵入申告の日 G 公売の公告がされた時 H 公売の時
I 収容の時 J 郵便物が本邦に到着した時 K 郵便物について賦課課税する時
L 郵便物の提示がされた時 M 輸入申告の日 N 輸入許可の日


第2問 次の記述は、関税法第12条(延滞税)の規定に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
  1. 納税義務者が( イ )までに関税を完納しない場合には、当該納税義務者は、その未納に係る関税額に対し、( イ )の翌日から当該関税額を納付する日までの日数に応じ、年7.3パーセントの割合を乗じて計算した金額に相当する延滞税を併せて納付しなければならない。
  2. 延滞税の額の計算の基礎となる関税額が( ロ )未満である場合においては、上記1を適用せず、当該関税額に( ロ )未満の端数がある場合においては、これを切り捨てて計算する。
  3. 延滞税の額が( ハ )未満である場合においては、これを徴収せず、当該延滞税の額に( ニ )未満の端数がある場合においては、これを切り捨てる。
  4. 関税法第2条の3第1項、第3項又は第4項(災害による期限の延長)の規定により関税を納付すべき期限を延長した場合には、その関税に係る延滞税のうちその延長した期間に対応する部分の金額は、( ホ )する。
@ 1円 A 10円 B 100円
C 500円 D 1,000円 E 5,000円
F 1万円 G 5万円 H 10万円
I 還付 J 納期限 K 納税申告の日
L 軽減 M 法定納期限 N 免除


第3問 次の記述は、関税法第67条の13第3項に規定する認定製造者の認定の要件に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
  • 認定製造者の認定を受けようとする者(以下「申請者」という。)が当該認定を受けるためには、以下の要件を満たしている必要がある。
    1. 特定製造貨物輸出者が申請者から取得して輸出しようとする特定製造貨物について、適正な( イ )の作成及びその特定製造貨物輸出者への( ロ )その他の特定製造貨物の( ハ )が適正に行われることを確保するために必要な業務を遂行する能力を有していること。
    2. 特定製造貨物が輸出のために外国貿易船等に積み込まれるまでの間の当該特定製造貨物の( ニ )について、その状況を把握するとともに、当該特定製造貨物に係る( ハ )の内容に即して適正に行われることを確保するために必要な業務を遂行する能力を有していること。
    3. 関税法若しくは関税定率法その他関税に関する法律又はこれらの法律に基づく命令の規定に違反して刑に処せられ、又は通告処分を受け、その刑の執行を終わり、若しくは執行を受けることがなくなった日又はその通告の旨を履行した日から( ホ )を経過していない者に該当しないこと。
@ 2 年 A 3 年 B 5 年
C 運 送 D 確 認 E 貨物確認書
F 貨物受領書 G 貨物引換書 H 管 理
I 交 付 J 申 請 K 通 知
L 届 出 M 保 管 N 輸出申告


第4問 次の記述は、特恵関税制度に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
  1. 特恵原産地証明書は、( イ )を除き、その証明に係る物品の輸入申告の日において、その発給の日から( ロ )以上を経過したものであってはならない。
  2. 特恵原産地証明書は、その証明に係る物品の( ハ )の際に、当該物品の輸出者の申告に基づき( ニ )の税関(税関が原産地証明書を発給することとされていない場合には、原産地証明書の発給につき権限を有するその他の官公署又は商業会議所等で税関長が適当と認めるもの)が発給したものでなければならない。
  3. 保税蔵置場に置くことの承認の申請を行う物品に係る特恵原産地証明書は、原則として( ホ )の際に税関長に提出しなければならない。
@ 4 月 A 6 月 B 1 年
C 原産地 D 仕出国 E 税関長に届け出た場合
F 税関長の許可を受けた場合 G 税関長の承認を受けた場合 H 生 産
I 船積み J 船積国 K 保税蔵置場に置くことの承認
L 保税蔵置場に置くことの承認申請 M 輸 出 N 輸入申告


第5問 次の記述は、輸入貿易管理令に規定する輸入の承認に関するものであるが、(   )に入れるべき最も適切な語句を下の選択肢から選び、その番号をマークしなさい。
  1. 貨物を輸入しようとする者は、次のいずれかに該当するときは、原則として経済産業大臣の輸入の承認を受けなければならない。
    @ 貨物の輸入について経済産業大臣の( イ )を受けることを要するとき
    A 輸入しようとする貨物の品目について、貨物の( ロ )又は( ハ )が経済産業大臣により公表された場合において、その( ロ )を( ロ )とする貨物を輸入し、又はその ( ハ )から貨物を輸入しようとするとき
  2. 次のいずれかに該当する貨物を輸入しようとするときは、原則として経済産業大臣の輸入の承認を受けることを要しない。
    @ ( ニ )の救じゅつ品
    A ( ニ )の商品見本又は宣伝用物品であって、経済産業大臣が告示で定めるもの
    B 一時的に入国する者がその入国の際に携帯し、又は( ホ )に申告の上別送して輸入する職業用具
@ 5,000円以下 A 厚生労働大臣 B 原産地
C 財務大臣 D 事前の確認 E 仕出地
F 税 関 G 生産地 H 積替地
I 積出地 J 船積地域 K 無 償
L 有 償 M 輸入許可 N 輸入割当て


第6問 次の記述は、関税の納税義務に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 保税蔵置場にある外国貨物が亡失した場合に徴収することとされている関税については、当該貨物の所有者が納税義務を負う。
  2. 軽減税率(関税暫定措置法第9条第1項)の適用を受けて輸入された貨物が、税関長の承認を受けることなくその輸入の許可の日から2年以内に当該軽減税率の適用を受けた用途以外の用途に供するために譲渡された場合に徴収することとされている関税については、当該貨物を譲渡した者が納税義務を負う。
  3. 保税蔵置場にある外国貨物があらかじめ税関長の承認を受けることなく滅却された場合に徴収することとされている関税については、当該保税蔵置場の許可を受けた者が納税義務を負う。
  4. 輸入の許可を受けて引き取られた貨物について納付された関税に不足額があった場合において当該貨物の輸入者に関税の支払能力がないときは、当該貨物の通関業務を取り扱った通関業者がその輸入者と連帯して当該関税の納税義務を負う。
  5. 外国貿易船に船用品として積み込むことが承認された外国貨物が指定された期間内に積み込まれなかった場合に徴収することとされている関税については、当該外国貿易船の船長が納税義務を負う。

第7問 次の記述は、関税の修正申告、更正の請求、更正及び決定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 修正申告とは、先にした納税申告に係る税額が過大又は過少である場合に当該税額の変更を行うための申告である。
  2. 納税申告をした者から当該申告に係る貨物を買い受けた者は、当該貨物に係る関税について更正の請求をすることができない。
  3. 納税申告が必要とされている貨物についてその輸入の時までに当該申告がない場合の税関長の決定は、当該貨物の輸入の日から3年を経過した日以後においてはすることができない。
  4. 先にした納税申告に係る税額につき税関長による更正があった場合において、その更正後の税額になお不足額があるときは、当該不足額につき税関長の更正があるまでは既になされた更正に係る税額について修正申告をすることができる。
  5. 輸入の許可前にする更正のうち関税の納付前にする減額更正は、納税申告をした者に当該納税申告に係る書面に記載した税額を是正させ、又はこれを是正してその旨を当該納税申告をした者に通知することによってすることができる。

第8問 次の記述は、輸出申告の特例に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 特定輸出者が貨物を保税地域等に入れないで輸出申告をしようとする場合であっても、関税法第67条の2第1項(輸出申告又は輸入申告の時期)の規定による税関長の承認を受けなければならない。
  2. 特定輸出申告を行う場合には、関税法第67条の2第1項の規定の適用を受けないことを希望する旨を輸出申告書に記載しなければならない。
  3. 電子情報処理組織(電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第2条第1号(定義)に規定する電子情報処理組織をいう。以下同じ。)を使用して輸出申告を行う能力を有している者は、貨物を保税地域等に入れないで特定委託輸出申告をすることができる。
  4. 特定製造貨物輸出申告は、電子情報処理組織を使用して行わなければならない。
  5. イランを仕向地として輸出される貨物であって、外国為替及び外国貿易法第48条第1項(輸出の許可等)に規定する許可又は輸出貿易管理令第2条第1項(輸出の承認)に規定する承認を必要とするものについては、特定輸出申告を行うことはできない。

第9問 次の記述は、関税法第7条の2(申告の特例)に規定する特例輸入者に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 税関長は、特例輸入者に対して関税、内国消費税及び地方消費税につき担保の提供を命ずる場合には、1年を超える期間を指定することができない。
  2. 特例輸入者は、特例申告貨物で輸入の許可を受けたものについて、品名、数量及び価格その他の必要な事項を記載した帳簿を備え付け、その許可の日の属する月の翌月末日の翌日から7年間保存しなければならない。
  3. 特例輸入者は、特例申告貨物で輸入の許可を受けたものについて特例申告書を作成し、当該許可の日の属する月の末日までに当該特例申告貨物の輸入地を所轄する税関長に提出しなければならない。
  4. 特例輸入者が輸入する貨物であっても、関税暫定措置法第7条の5第1項(生鮮等牛肉及び冷凍牛肉に係る関税の緊急措置)に規定する生鮮等牛肉及び冷凍牛肉については、特例申告をすることができない。
  5. 特例輸入者は、関税法第7条の2第1項の規定の適用を受ける必要がなくなった場合における同法第7条の10の規定による届出を口頭により行うことができる。

第10問 次の記述は、関税法第12条の2に規定する過少申告加算税及び同法第12条の3に規定する無申告加算税に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 賦課課税方式が適用される貨物に係る関税について更正がされたときは、納税義務者に対して過少申告加算税が課される。
  2. 関税法第7条第1項(申告)の規定による申告に係る修正申告がされたときは、納税義務者に対して当該修正申告に基づき納付すべき税額に100分の5の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税が課される。
  3. 関税法第7条第1項の規定による申告に係る修正申告がされた場合において、その修正申告がその申告に係る関税についての調査があったことにより当該関税について更正があるべきことを予知してされたものでないときは、過少申告加算税は課されない。
  4. 本邦に入国する者がその入国の際に携帯して輸入する貨物を税関に申告することなく国内に持ち込んだときは、当該入国する者に対して、無申告加算税が課される。
  5. 期限後特例申告書の提出があった場合において、その提出がその申告に係る関税についての調査があったことにより当該関税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでなく、期限内特例申告書を提出する意思があったと認められる場合に該当してされたものであり、かつ、その提出期限から2週間を経過する日までに行われたものであるときは、無申告加算税は課されない。

第11問 次の記述は、特定保税運送に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 特定保税運送者は、特定保税運送に際しては、船荷証券を税関に提示しその確認を受けなければならない。
  2. 特定保税運送に係る外国貨物が発送の日の翌日から起算して7日以内に運送先に到着しないときは、当該貨物が災害その他やむを得ない事情により亡失した場合又はあらかじめ税関長の承認を受けて滅却された場合を除き、特定保税運送者から直ちにその関税を徴収する。
  3. 特定保税運送者は、特定保税運送に係る外国貨物が運送先に到着したときは、船荷証券を遅滞なく到着地の税関に提示し、その確認を受けた後に当該船荷証券を当該船荷証券の発送の確認をした税関に提出しなければならない。
  4. 税関長は、関税法施行令第55条の2第4号ロに該当する者(港湾運送事業法第4条(許可)の規定により一般港湾運送事業の許可を受けている者でその許可の日から3年を経過している者)として関税法第63条の2第1項(保税運送の特例)の承認を受けた者が港湾運送事業法の規定に違反して刑に処せられたときは、その承認を取り消すことができる。
  5. 特定保税運送に関する業務を電子情報処理組織(電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第2条第1号(定義)に規定する電子情報処理組織をいう。)を使用して行わない者であっても、貨物のセキュリティ管理と法令遵守の体制が整備された者であれば、特定保税運送の承認を受けることができる。

第12問 次の記述は、認定通関業者制度に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 複数の通関業の許可を受けている者であれば、これらの許可のうち最初に受けた許可の日から3年を経過していない場合であっても認定通関業者の認定を受けることができる。
  2. 人的構成に照らしてその行おうとする通関業務を適正に遂行することができる能力を有している者であっても、十分な社会的信用を有していない場合には、認定通関業者の認定を受けることができない。
  3. 禁錮以上の刑に処せられた者であっても、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから2年を経過している場合には、認定通関業者の認定を受けることができる。
  4. 関税法第109条(輸入してはならない貨物を輸入する罪)の規定に違反して通告処分を受けた者であっても、その通告の旨を履行した日から2年を経過している場合には、認定通関業者の認定を受けることができる。
  5. 認定通関業者の認定を取り消された日から3年を経過していない者は、認定通関業者の認定を受けることができない。

第13問 次の記述は、課税価格の決定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 輸出国において買手に代わり貨物の買付業務を行う買付代理人に対して買手により支払われる買付手数料は、その額の多少にかかわらず課税価格に算入される。
  2. 買手が自己のために実施する輸入貨物の広告宣伝活動が当該輸入貨物の売手の利益になると認められる場合には、当該広告宣伝活動に係る費用の額は課税価格に算入される。
  3. 買手が売手に対し輸入貨物につき現実に支払った価格に、当該輸入貨物の課税物件確定の時の属する日以後に本邦において行われる当該輸入貨物に係る整備に要する役務の費用の額が含まれている場合であっても、当該役務の費用の額を明らかにすることができるときは、当該費用の額は課税価格に算入されない。
  4. 輸入貨物の生産に必要な触媒を買手が無償で提供する場合であっても、当該触媒が輸入貨物の生産の過程で消費されるときは、当該触媒に要する費用の額は課税価格に算入されない。
  5. 輸入貨物の輸入取引の条件として買手が売手以外の第三者である特許権者に支払う当該輸入貨物に係る特許権の使用に伴う対価の額は、課税価格に算入される。

第14問 次の記述は、「関税率表の解釈に関する通則」に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。
  1. 関税率表の適用に当たっては、物品の所属は、号の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定並びに当該号の属する部、類又は節の表題に従って決定する。
  2. 特定の材料又は物質から成る物品には、別段の定めがある場合を除き、一部が当該材料又は物質から成る物品を含む。
  3. 物品が二以上の項に属するとみられる場合には、最も特殊な限定をして記載をしている項がこれよりも一般的な記載をしている項に優先する。
  4. 楽器を収納するために特に製作されたケースは、収納する楽器とは別に単独で提示された場合であっても楽器としてその所属を決定する。
  5. 関税率表の適用に当たっては、項のうちのいずれの号に物品が属するかは、号の規定及びこれに関係する号の注の規定のみに従って決定する。

第15問 次の記述は、関税法上の罰則に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。すべてを選び、その番号をマークしなさい。

  1. 関税法第110条(関税を免れる等の罪)に該当する違反行為をした者が法人の代表者であるときは、行為者である代表者が罰せられるほか当該法人に対して罰金刑が科されることがあるが、当該違反行為をした者が法人でない社団の代表者であるときは、当該社団に対して罰金刑が科されることはない。
  2. 火薬類を不正に輸出した者は、関税法第108条の4第1項(輸出してはならない貨物を輸出する罪)の規定により7年以下の懲役又は3千万円以下の罰金に処せられることがある。
  3. 関税法第105条第1項(税関職員の権限)の規定による税関職員の質問に対して答弁するか否かは任意であるが、答弁しないことにより処罰されることがある。
  4. 関税法第32条(見本の一時特出)の規定に違反して税関長の許可を受けずに保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出した場合には、当該貨物を保税地域に戻したとしても、1年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処せられることがある。
  5. 重大な過失により関税法第67条(輸出又は輸入の許可)の許可を受けるべき貨物について当該許可を受けないで当該貨物を輸出した場合には、関税法第116条(重過失)の規定により罰金刑が科されることがある。

【択 一 式】 ―― 各問題1点 ――

第16問 次の記述は、関税法における用語の意義に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 保税展示場において観覧者が外国貨物である酒類を試飲する行為は、関税法上の輸入とみなされる。
  2. 外国から本邦に到着した貨物のうち、輸入の許可を受けた貨物で保税地域から引き取られる前のものは、関税法上の外国貨物である。
  3. 輸出の許可を受けた貨物で外国貿易船又は外国貿易機に積み込まれる前のものは、関税法上の内国貨物である。
  4. 本邦の船舶により公海で採捕された水産物を原料として当該船舶内で加工してできた製品を本邦に引き取る行為は、関税法上の輸入とみなされる。
  5. 保税蔵置場に蔵置されている外国貨物の所有者が当該保税蔵置場内で当該外国貨物の一部を分析のための見本として消費する行為は、関税法上の輸入とみなされない。

第17問 次の記述は、関税の修正申告及び更正の請求に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 修正申告は、輸入の許可の日から6月を経過した日以後は行うことができない。
  2. 先にした納税申告に係る税額に不足額がない場合であっても、当該納税申告の課税標準に誤りがあるときは、修正申告を行うことができる。
  3. 修正申告は、輸入の許可前に行う場合であっても、修正申告書を税関長に提出して行わなければならない。
  4. 更正の請求は、輸入の許可の日から6月を経過した日以後は行うことができない。
  5. 更正の請求は、先にした納税申告に係る税額等の計算に誤りがあったことにより納付すべき税額が過少である場合に行うことができる。

第18問 次の記述は、関税の納期限に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 輸入の時までに納税申告がなかった貨物について発せられた決定通知書に記載された関税の納期限は、当該決定通知書が発せられた日の翌日から起算して7日を経過する日である。
  2. 入国者の携帯品に係る関税の納期眼は、当該携帯品の輸入の日である。
  3. 賦課課税方式が適用される郵便物に係る関税の納期限は、当該郵便物の交付の日である。
  4. 特例輸入者が期限後特例申告書により納税申告をした場合の関税の納期眼は、当該期限後特例申告書を提出した日である。
  5. 輸入の許可後にした修正申告に係る関税の納期眼は、当該修正申告をした日である。

第19問 次に掲げる貨物のうち、関税法第74条の規定により輸入を許可された貨物とみなされないものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、該当するものがない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 関税法第69条の11第2項(輸入してはならない貨物)の規定により没収された外国貨物
  2. 刑事訴訟法の規定により売却された外国貨物
  3. 銃砲刀剣類所持等取締法の規定により国庫に帰属した外国貨物
  4. 関税法第138条第1項(通告処分)の規定により納付された外国貨物
  5. 関税法第76条第5項(郵便物の輸出入の簡易手続)の規定により通知された郵便物

第20問 次の記述は、関税法第73条第1項に規定する輸入の許可前における貨物の引取りに関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 関税の率が無税とされている貨物については、関税法第73条第1項の承認を受けることはできない。
  2. 特例輸入者以外の輸入者が関税法第73条第1項の承認を受けようとする場合には関税額に相当する担保を提供しなければならないが、特例輸入者が同項の承認を受けようとする場合には関税額に相当する担保を提供する必要はない。
  3. 特例委託輸入者に係る特例申告貨物については、関税法第73条第1項の承認を受けることはできない。
  4. 関税法第73条第1項の承認を受けて引き取られた貨物については、税関職員は検査をすることはできない。
  5. 関税法第73条第1項の承認を受けて引き取られた貨物には、過少申告加算税が課されることはない。

第21問 次の記述は、保税蔵置場に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 税関長は、保税蔵置場の許可を受けようとする者が暴力団員又は暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者である場合には、その許可をしないことができる。
  2. 税関長は、保税蔵置場の許可を受けた者が暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯し、罰金の刑に処せられた場合には、その許可を取り消すことができる。
  3. 保税蔵置場において外国貨物につき見本の展示、簡単な加工その他これらに類する行為をしようとする者は、税関長の許可を受けなければならない。
  4. 保税蔵置場において貨物を管理する者は、輸出の許可を受けた貨物を除き、その管理する外国貨物についての帳簿を設け、必要な事項を記載しなければならない。
  5. 保税蔵置場の許可を受けた者は、当該許可の期間内に当該保税蔵置場の業務を廃止しようとする場合には、あらかじめその旨を税関長に届け出なければならない。

第22問 次の記述は、輸入通関に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 特例輸入者が関税暫定措置法第8条の2第1項(特恵関税等)の規定の適用を受けて特例申告貨物を輸入しようとする場合には、当該特例申告貨物の輸入申告の際に特恵原産地証明書を税関長に提出する必要はない。
  2. 輸入貨物自体に真正な原産地が表示されている場合であっても、その包装に虚偽の原産地が表示されているときは当該輸入貨物について輸入の許可を受けることができない。
  3. 特例輸入者が関税暫定措置法第8条の2第1項(特恵関税等)の規定の適用を受けて同項第2号に規定する特定鉱工業産品等である特例申告貨物を輸入しようとする場合には、当該特例申告貨物の輸入申告の際に申告すべき数量及び価格は課税標準となるべき数量及び価格としなければならない。
  4. 輸入しようとする貨物が本邦に到着する前に輸入申告をする際には、特例委託輸入者は、電子情報処理組織(電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律第2条第1号(定義)に規定する電子情報処理組織をいう。)を使用して仕入書を税関長に提出しなければならない。
  5. 特例申告貨物の輸入申告に際しては、特例輸入者は、税関長が輸入の許可の判断のために提出の必要があると認める場合を除き、仕入書を税関長に提出する必要はない。

第23問 次の記述は、関税の軽減又は免除に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 落花生油の製造に使用するために輸入された落花生で、その輸入の許可の日から1年以内に税関長の承認を受けた製造工場でその製造が終了するものについては、関税定率法第13条第1項(製造用原料品の減税又は免税)の規定の適用を受けることができる。
  2. 修繕される貨物で輸入され、その輸入の許可の白から1年以内に輸出されるものについては、関税定率法第17条第1項(再輸出免税)の規定の適用を受けることができる。
  3. 見本用にのみ適すると認められる注文の取集めのための見本で輸入されるものについては、関税定率法第14条(無条件免税)の規定の適用を受けることができる。
  4. 本邦から出漁した本邦の船舶によって外国で採捕された水産物及び本邦から出漁した本邦の船舶内において当該水産物に加工し、又はこれを原料として製造して得た製品で、輸入されるものについては、関税定率法第14条の3第1項(外国で採捕された水産物等の減税又は免税)の規定の適用を受けることができる。
  5. 航空機の発着を安全にするため使用する機械のうち政令で指定するもので輸入され、その輸入の許可の日から3年以内にその用途以外の用途に供されないものについては、関税定率法第15条第1項(特定用途免税)の規定の適用を受けることができる。

第24問 次に掲げる貨物のうち、物品の一時輸入のための通関手帳に関する通関条約(ATA条約)の実施に伴う関税法等の特例に関する法律第3条第1項の規定に基づき通関手帳(ATAカルネ)による輸入をすることができないものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、該当するものがない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 関税定率法第17条第1項第4号に掲げる修繕される貨物
  2. 関税定率法第17条第1項第5号に掲げる学術研究用品
  3. 関税定率法第17条第1項第6号に掲げる試験品
  4. 関税定率法第17条第1項第7号に掲げる注文の取集めのための見本
  5. 関税定率法第17条第1項第9号に掲げる博覧会に出品するための物品

第25問 次の記述は、関税定率法第20条に規定する違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 関税定率法第20条の規定による関税の払戻しを受けるためには、当該払戻しに係る貨物の品質及び数量が契約内容と相違していなければならない。
  2. 輸入後において法令によりその販売又は使用が禁止されるに至った貨物については、あらかじめ税関長の承認を受けることなく直ちに廃棄することにより、関税定率法第20条の規定による関税の払戻しを受けることができる。
  3. 違約品である輸入貨物は、輸入の許可の日から3月以内に保税地域に入れ、又は、廃棄することにより、関税定率法第20条の規定による関税の払戻しを受けることができる。
  4. 品質又は数量等が契約の内容と相違している貨物については、輸入者が第三者へ販売する目的で当該貨物を輸出する場合であっても、関税定率法第20条の規定による関税の払戻しを受けることができる。
  5. 関税定率法第20条の規定による関税の払戻しを受けようとする者が当該払戻しに係る貨物を保税地域に入れるときは、その旨をその保税地域を所轄する税関長に届け出る必要はない。

第26問 次の記述は、関税定率法第4条の3第1項に規定する国内販売価格に基づく課税価格の決定に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 輸入貨物の国内販売価格に基づき課税価格を計算する場合の当該輸入貨物の国内販売価格は、当該輸入貨物の課税物件確定の時の属する日後90日以内に当該輸入貨物が国内販売された場合の最も低い価格である。
  2. 輸入貨物の国内販売価格に基づき課税価格を計算する場合の当該輸入貨物の国内販売価格は、国内において販売された当該輸入貨物に係る国内販売価格であり、国内における販売の売手と買手が特殊関係にあるか否かを問わない。
  3. 輸入貨物の国内販売価格に基づき課税価格を計算する場合の当該輸入貨物の国内販売価格は、当該輸入貨物の国内における最後の取引段階における販売に係る単価に基づいて計算した場合に得られる価格である。
  4. 輸入貨物の国内販売価格に基づき課税価格を計算する場合には、当該国内販売価格から当該輸入貨物と同類の貨物で国内生産されたものの国内における販売に係る通常の手数料又は利潤及び一般経費の額を控除する。
  5. 輸入貨物の国内販売価格に基づき課税価格を計算する場合には、当該国内販売価格から国内において販売された輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る本邦において課された関税その他の課徴金の額を控除する。

第27問 次の記述は、輸出貿易管理令に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 受取人の個人的使用に供される家庭用品を国際郵便により輸出する場合には、すべて輸出貿易管理令の規定に基づく経済産業大臣の輸出の承認を要しない。
  2. 国立国会図書館が輸出する出版物は、すべて輸出貿易管理令の規定に基づく経済産業大臣の輸出の承認を要しない。
  3. 輸出貿易管理令の規定に基づく経済産業大臣の輸出の承認の有効期間は、原則として、その承認をした日から6月である。
  4. 経済産業大臣は、貨物を輸出した者から報告を徴することはできるが、貨物を生産した者から報告を徴することはできない。
  5. 税関長が貨物を輸出する場合には、輸出貿易管理令の規定に基づく経済産業大臣の輸出の承認を要しない。

第28問 次の記述は、関税法第69条の11に規定する輸入してはならない貨物に関するものであるが、その記述の正しいものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、正しい記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 税関長は、輸入されようとする貨物のうちに郵便切手の偽造品がある場合であっても、判決に基づかなければ当該郵便切手の偽造品を没収して廃棄することができない。
  2. 回路配置利用権者は、税関長に対して、自己の回路配置利用権を侵害すると認める貨物に関し認定手続を執るべきことを申し立てることができない。
  3. 税関長は、輸入されようとする貨物のうちに実用新案権を侵害するおそれのあるものがあるときは、当該実用新案権を侵害するおそれのあるものを直ちに没収して廃棄することができる。
  4. 税関長は、輸入されようとする貨物のうちに児童ポルノに該当するものがあるときは、当該児童ポルノに該当するものを輸入しようとする者に対して積戻しを命ずることができる。
  5. 著作隣接権者は、税関長に対して、自己の著作隣接権を侵害すると認める貨物に関し認定手続を執るべきことを申し立てることができない。

第29問 次に掲げる貨物のうち、関税法第69条の2に規定する輸出してはならない貨物に該当するものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、該当するものがない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 回路配置利用権を侵害する物品
  2. けん銃
  3. 児童ポルノ
  4. 有価証券の偽造品
  5. 郵便切手の偽造品

第30問 次の記述は、関税定率法第9条に規定する緊急関税に関するものであるが、その記述の誤っているものはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。なお、誤っている記述がない場合には、「0」をマークしなさい。
  1. 指定された期間内に輸入される指定された貨物の全部につき、関税定率法別表の税率による関税のほか、当該貨物の課税価格とこれと同種の貨物の本邦における適正と認められる卸売価格との差額から同表の税率による関税の額を控除した額以下の関税を課することは、同法第9条第1項の規定による措置(以下「緊急関税措置」という。)の一つである。
  2. 緊急関税措置をとる場合において、関税定率法第9条第1項の規定により指定しようとする期間が1年を超えるものであるときは、当該措置は、当該指定しようとする期間内において一定の期間ごとに段階的に緩和されたものでなければならない。
  3. 関税定率法第9条第6項の規定に基づく調査は、特定貨物の輸入増加の事実及びこれによる本邦の産業に与える重大な損害等の事実についての十分な証拠がある場合において必要があると認めるときに、これらの事実の有無につき政府により行われるものとされている。
  4. 関税定率法第9条第8項の規定により同条第6項の調査の完了前に関税を課する措置(以下「暫定的な緊急関税措置」という。)がとられた場合において当該措置により課された関税は、その後緊急関税措置がとられた場合には還付されることはない。
  5. 内閣は、緊急関税措置をとったときは、当該緊急関税措置に係る暫定的な緊急関税措置をとらなかった場合であっても、遅滞なく、その内容を国会に報告しなければならない。


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