本試験問題と解答・解説


平成21年度第43回通関士試験解答  
〔通関業法関係〕(時間50分)



【選択式】
第1問(営業所の新設)
正 解

イ−H税関の管轄区域内、ロ−M通関業務、ハ−A管轄する税関長、ニ−G審査、
ホ−E条件を付すること


参照条文
1 通関業法第8条第1項(営業所の新設)
2 同法第8条第2項において準用する第5条第2号(人的構成に関する基準)
3 同法第8条第2項において準用する第3条第2項(許可の条件)

第2問(営業区域の制限)
正 解

イ−B管轄区域外、ロ−J同一人、ハ−F通関業務、ニ−H通関書類、ホ−D口頭


参照条文
通関業法第9条(営業区域の制限)、同法施行令第2条(営業区域外において業務を行う場合の手続)

第3問(記帳及び書類の保存)
正 解

イ−K帳簿を設け、ロ−H種類、ハ−C受ける料金、ニ−J申告書、ホ−@3年間


参照条文
1 関業法第22条第1項(記帳及び書類の保存)、同法施行令第8条第1項(記帳)
2 同法第22条第1項(記帳及び書類の保存)、同法施行令第8条第2項、第3項(書類の保存)

第4問(税関長の確認)
正 解

イ−B2年、ロ−L罰金の刑、ハ−H刑の執行を終わった日、ニ−C3年、ホ−K破産者


参照条文
1 通関業法第31条第2項第1号(確認)、第6条第6号(通関業務への従事禁止処分を受けた者)
2 同法第31条第2項第1号(確認)、第6条第5号(通関業法違反で処罰された者)
3 同法第31条第2項第1号(確認)、第6条第2号(破産者)

第5問(通関業法上の罰則)
正 解

イ−D1年、ロ−K10万円、ハ−H3万円、ニ−C6月、ホ−I5万円


参照条文
1 通関業法第41条第1項第2号(許可の条件に違反する等の罪)
2 同法第44条第2号(通関士の名義貸しの罪)
3 同法第42条第2号(通関士に対する懲戒処分に違反する罪)

第6問(通関業の許可の消滅又は取消し)
正 解  1、5

解 説

(正=1、5)
  通関業の許可の消滅に関する届出義務者は、政令で定められており、設問の場合の届出義務者は、通関業者であった法人を代表する役員とされている。《通関業法第12条第3号、同法施行令第3条第1号》
  通関業を廃止したことにより通関業の許可が消滅した場合には、その営業の主体は従前どおり存続しているので、その役員が届出義務者とされている。
  法人であって、その役員のうちに欠格事由に該当する者(偽りその他不正の手段により国税を免れたことで罰金刑に処せられた者)がある通関業者は、欠格事由に該当することになる。《同法第6条第4号ロ、第8号》
  通関業者が、欠格事由に該当するに至ったときは、そのような者に通関業の許可を存続させておくことは適当ではないので、税関長は、その許可を取り消すことができることとされている。《同法第11条第1項第2号》

(誤=2、3、4)
  通関業の許可が消滅したときは、その事実を広く利用者に知らせる必要があるので、税関長は、遅滞なくその旨を公告しなければならないこととされている。《同法第10条第2項》
  このことは、設問にあるような場合においても同様(税関長は、法人Aに係る通関業の許可の消滅について、遅滞なくその旨を公告しなければならない。)である。
 通関業の許可を受けた後、1年間にわたり通関業務の取扱い実績がなかったとしても、偽りその他不正の手段により通関業の許可を受けたことにならないので、税関長はこのような理由で通関業の許可を取り消すことはできない。
(注)偽りその他不正の手段
  通関業法第11条第1項第1号に規定する「偽りその他不正の手段」とは、同法第5条(許可の基準)を適用するに際しての税関長の判断を誤らせるような重要事項に関する偽りその他不正の行為をいうこととされている。《同法基本通達11−1》
 通関業の許可の条件として付された許可の期限が経過すると、通関業の許可自体が存在しないことになる(許可の効力が消えてなくなる)ので、通関業法には明文の規定はないが、その時、通関業の許可は消滅することになる。
  なお、許可の消滅の公告は、通関業の許可が消滅したという事実を広く一般に知らせるものであり、公告が行われたことにより、通関業の許可が消滅するわけではない。

第7問(更正に関する意見の聴取又は検査の通知)
正 解  2、3、4

解 説

(正=2、3、4)
  税関長が増額更正をする場合であっても、関税の額の増加が「転記の誤り」に基因するものであるときは、納税者の正当な利益を害するおそれはなく、そのつど通関業者の意見を聞く実益もないことから、通関業者に意見を述べる機会を与える必要はないこととされている。《通関業法第15条ただし書》
  保税運送申告に係る貨物の検査は、関税法第67条の検査その他これに準ずる関税に関する法律の規定に基づく検査で政令で定めるものには該当しない。《同法第16条、同法施行令第7条》
  このため、設問の場合には、通関業者に対して検査の立会いを求めるための通知をする必要はない。
  検査の立会を求めるための通知は、書面又は口頭のいずれによっても差し支えないものとされている。《同法基本通達16−1(1)》

(誤=1、5)
  意見の陳述は、書面又は口頭のいずれによっても差し支えないものとされている。《同法基本通達15−1》
  検査の立会を求めるための通知は、通関業者に対してしなければならないこととされている。《同法第16条》

第8問(通関業法上の通関業者の義務)
正 解  3、5

解 説

(正=3、5)
  法人である通関業者が提出する「定期報告書」には、当該法人の報告期間に係る事業年度の貸借対照表及び損益計算書を添付しなければならないこととされている。《通関業法第22条第3項、同法施行令第10条第2項》
  通関業者は、通関士の設置を要しない地域にある営業所に通関士を任意に設置し、その通関士が通関業務に従事している場合には、その通関士に通関書類の内容を審査させなければならないこととされている。《同法第14条かっこ書》

(誤=1、2、4)
  通関業者は、通関業者でなくなった場合でも、引き続き(「通関業者でなくなった日から3年間」ではない。)秘密を守る義務を負うこととされている。《同法第19条後段》
  この種の義務の性質上当然のことであり、制度の実効を図るためのものである。
2、4  通関業法には、設問にあるような趣旨の規定はない。

第9問(通関業法上の罰則)
正 解  1、2、3、5

解 説

(正=1、2、3、5)
  秘密を漏らす等の罪
  通関士等による秘密の漏洩を防止し、依頼者の利益を保護するための罰則で、違反者は、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金に処せられることがある。《通関業法第41条第1項第3号》
  通関士の名義貸しの罪
  通関士による名義貸しを禁止し、通関士制度の確実な実施を期するための罰則で、違反者は、3万円以下の罰金に処せられることがある。《同法第44条第2号》
  通関業者の名称を使用する罪
  通関業者でないものが通関業者の名称を使用することを禁止することにより、通関業法の目的とする通関に関する手続の適正な実施を確保するとともに、通関業者を信頼して業務を依頼する者の利益を保護するための罰則で、違反者は、3万円以下の罰金に処せられることがある。《同法第44条第3号》
  財務大臣の定めに違反して料金を受ける罪
  通関業務料金の額が妥当なものでないときは、依頼者の利益を害することになるので、財務大臣の定めの履行の確保を図るための罰則で、違反者は、5万円以下の罰金に処せられることがある。《同法第43条第1号》

(誤=4)
 通関業者が通関業法第12条(変更等の届出)の規定に基づく所定の手続を履行しなかった場合には、当該通関業者に対しては監督処分をすることによって、十分に、その防止及び取締りをすることが期待できるので、このような手続の不履行は、罰則の対象とはされていない。
  このように罰則の対象とされていないものには、設問にある場合のほか、次のようなものがある。
  @ 所定の手続を経ないで営業区域外で業務を行った場合(第9条ただし書違反)
  A 通関士の設置を要する営業所に通関士を設置しない場合(第13条違反)
  B 通関士でない者に通関士として業務を行わせた場合(第14条違反)
  C 料金の掲示義務に違反した場合(第18条第1項違反)
  D 記帳、届出、報告等の義務に違反した場合(第22条違反)


第10問(審査委員)
正 解  1、2、3

解 説

(正=1、2、3)
  通関業の許可の取消しは、通関業者の既存の利益を剥奪する処分であるので、特に慎重に手続を進める必要がある。このため、許可の取消しをしようとするときは、審査委員の意見を聞かなければならないこととされている。《通関業法第11条第2項》
  通関業法第37条第1項に規定する処分に際しての審査委員の意見聴取については、設問に記述されているように取り扱うこととされている。《同法基本通達11−2において準用する37−2(1)》
  審査委員は、通関業務に関し学識経験のある者のうちから3人以内を税関長が委嘱するものとされている。《同法第39条》

(誤=4、5)
  税関長は、通関業者に対する監督処分をしようとするときは、処分が公正を欠くことのないよう手続に慎重を期するため、審査委員の意見を聞かなければならないこととされているが、認定通関業者に対する処分をする際、この手続が免除されているわけではない。《同法第37条第1項》
  通関士に対する懲戒処分をしようとする際、当該通関士が従事する通関業者の意見を聞かなければならないが、審査委員の意見聴取は要しないこととされている。《同法第37条第1項》

【択一式】
第11問(関連業務)
正 解  5

解 説

(正=5)
  通関業者は、通関業務のほか関連業務を行うことができることとされているが、これらの業務を行うことが無制限に認められているわけではなく、道路運送法、港湾運送事業法等他の法律においてその業務を行うことが制限されているときは、当然のことながら、その制約に従うことになる。《通関業法第7条ただし書》

(誤=1、2、3、4)
  通関業者が他人の依頼により「異議申立て」手続の代理をすることは、通関業務に該当する。《同法第2条第1号イの(2)》
  したがって、この手続の代理をすることは関連業務には含まれない。
  通関業者が他人の依頼により「輸入の許可後に行う関税に関する修正申告」手続の代理をすることは、通関業務に該当する。《同法第2条第1号イの(1)かっこ書》
  したがって、この手続の代理することは関連業務には含まれない。
  なお、通関業者が他人の依頼により設問にある@外国貨物を仮に陸揚げする場合の届出、A外国貨物を運送する場合の承認申告の各手続の代理をすることは、いずれも通関業務に先行する関連業務に該当する。《同法第7条》
  料金の額は、関連業務に係るものについても、その掲示が義務づけられている。《同法第18条第1項かっこ書》
  通関業者に関連業務の料金の額の掲示義務が課されているのは、通関業者の多くは港湾運送事業、運送業、倉庫業等を兼業しており、通関業務について依頼を受ける場合には、関連業務についてもあわせて依頼を受けるのが通例であることによるものである。
  通関業者には、通関業務に関する帳簿のほか通関業務に関する書類を、一定期間、保存しなければならない義務が課されている。《同法第22条第1項》

第12問(通関業の許可及び営業所の新設の許可)
正 解  1

解 説

(正=1)
  弁護士が弁護士法の規定によりその職務として通関業務(不服申立て手続の代理)を行うときは、通関業の許可を受けることを要しないこととされている。《通関業法第3条第5項》

(誤=2、3、4、5)
  通関業法には、設問にあるような趣旨の規定はない。
  税関長は、通関業の許可をしたときは、その事実を広く周知するために、遅滞なく、その旨の公告をしなければならないこととされている。《同法第3条第4項》
  しかし、通関業の許可をしなかったときには、その旨の公告をしなければならないこととはされていない。
  「経営の基礎が確実であること」についての審査は、通関業の許可の際に行われているので、営業所の新設の許可に際して改めて行われることはない。
 (同法第8条第2項の規定では、同法第5条第1号の規定は準用しないこととされているので、要注意!)
  営業所の新設の許可申請の際、通関士試験合格者を現に雇用しているか、又は通関士試験合格者を雇用することが雇用契約等により確実と認められる場合には、通関業法第13条第1項の要件を備えることとされている。《同法第8条第2項において準用する第5条第4号、同法基本通達8−2(3)において準用する5−4》
  したがって、上記のような要件を充足する場合であれば、税関長は、通関業務を行う営業所に通関士が設置されていないときであっても、当該営業所の新設の許可をすることができる。

第13問(通関業の許可の欠格事由)
正 解  0

解 説

(正=0)

(誤=1、2、3、4、5)
  法人の役員以外の従業者のうちに禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から3年経過していない者があるとしても、当該法人は、欠格事由に該当することはない。《通関業法第6条》
  したがって、当該法人は、通関業の許可を受けることができる。
  設問に掲げる者が、通関業の許可を受けることができるのは、通関業の許可の取消処分を受けた日から2年(「1年」ではない。)を経過した場合である。《同法第6条第6号》
  通関業法第6条第7号に規定する「公務員」には、国家公務員及び地方公務員のほか、法令の規定により公務に従事する職員とみなされる者を含むこととされている。《同法第6条第7号、同法基本通達6−4》
  設問に掲げる者は、欠格事由に該当する者ではないので、通関業の許可を受けることができる。
(注)欠格事由に該当する者
  通関業法第6条第4号イの規定に該当する者は、関税法第108条の4から第112条までの規定に該当する違反行為をして罰金の刑に処せられた者とされているが、設問に掲げる者が違反行為をして罰金の刑に処せられたのは、第113条の2の規定についてのものであるので、欠格事由に該当する者ではない。
  通関業の許可申請の際、通関士試験合格者を現に雇用しているか、又は通関士試験合格者を雇用することが雇用契約等により確実と認められる場合には、通関業法第13条第1項の要件を備えることとされている。《同法第5条第1項第4号、同法基本通達5−4》
  したがって、上記のような要件を充足する場合であれば、通関士試験合格者を雇用していない者であっても、通関業の許可を受けることができる。

第14問(変更届の届出)
正 解  1

解 説

(正=1)
  通関業者が新たな事業を開始した場合には、許可申請書に記載した「通関業以外の事業の種類」に変更があったことになるので、遅滞なくその旨を税関長に届け出なければならないこととされている。《通関業法第12条第1号、第4条第1項第5号》

(誤=2、3、4、5)
  通関業務を行う営業所における通関士試験合格者の数の変更は、税関長への届出事項(届出を要するのは、通関士の数の変更である。)とはされていない。《同法第12条第1号、第4条第1項第3号》
  設問の場合(通関業者である法人が合併により解散した場合)における許可の消滅に関する届出義務者は、通関業者であった法人Bを代表する役員であった者とされている。《同法第12条第3号、同法施行令第3条第4号》
  設問に掲げる事項は、税関長への届出を要するものとはされていない。《同法第12条》
  設問の場合には、「許可の条件の変更」の申請が必要とされており、取扱貨物の種類を変更する旨の届出は要しないこととされている。《同法基本通達3−7(2)》
 (同法第12条第1号の規定では、第4条第4号に掲げる事項が除かれているので、要注意!)

第15問(通関士の設置)
正 解  0

解 説

(正=0)

(誤=1、2、3、4、5)
  通関業の許可に「地域限定」又は「貨物限定」の条件が付されている場合には、通関士の設置を要する地域において通関業務を行う営業所であっても、通関士の設置を要しないこととされている。《通関業法第13条第1項》
  通関士の設置を要する地域において通関業務を行う場合(設問にある輸入申告書の提出先となる税関官署が通関士の設置を要する地域にある場合)には、申告書が作成される営業所が通関士の設置を要しない地域にあるときであっても、通関士の設置が必要である。《同法第13条第1項第1号》
  通関士の設置義務が免除されるのは、通関業務を行う営業所において取り扱う通関業務が通関業法第9条ただし書の場合を除き、通関士の設置を要しない地域においてのみ行われることとなっている場合である。
  通関業の許可に「貨物限定」の条件が付されている場合であっても、通関士を任意に設置することが制限されているわけではない。《同法第13条第2項》
  通関士の設置を要する地域において通関業務を行う営業所の責任者が通関士であることは、通関業法において、義務づけられていない。
  設問の場合に、通関士を設置しなければならないのは、2月(「1月」ではない。)以内である。《同法施行令第4条第2項》

第16問(通関士の審査)
正 解  2

解 説

   設問に掲げられている書類が、通関士の審査を要するものであるかどうかについてみると、次の表のとおりとなり、三種類の書類がいずれも通関士の審査を要することとされているのは、「2」である。《通関業法第14条、同法施行令第6条》

   審査を要するもの=◎     審査を要しないもの=▲
番号 書          類
◎ 蔵入承認申請書 ◎ 関税更正請求書 ▲ 外国貨物運送申告書
◎ 異議申立書 ◎ 移入承認申請書 ◎ 外国貨物船用品積込承認申告書
▲ 輸入許可前貨物引取承認申請書 ◎ 積戻し申告書 ◎ 特定輸出者承認申請書
◎ 輸出申告書 ◎ 展示等申告書 ▲ 延滞税免除申請書
◎ 特例輸入者承認申請書 ▲ 搬入前申告扱い承認申請書 ◎ 関税修正申告書

第17問(通関業法上の業務)
正 解  3

解 説

(正=3)
  通関業者の役員及び通関士その他の通関業務の従業者は、通関業務の処理を通じて依頼者の商取引上の秘密等を知り得ることが少なくないので、正当な理由がなくて、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないこととされている。《通関業法第19条》

(誤=1、2、4、5)
  通関業務を行う営業所の責任者が、その職に就く前に、通関業務に関する研修を受けることは、通関業法において、義務づけられていない。
  通関業務に関する帳簿の保存期間は、3年間(「5年間」ではない。)とされている。《同法第22条第1項、同法施行令第8条第3項》
  従業者等に関する届出は、通関業務を担当する役員、通関士その他通関業務の従業者に異動があったつど(「毎年1回」ではない。)しなければならないこととされている。《同法第22条第2項、同法施行令第9条第1項》
  信用失墜行為の禁止義務は、法人である通関業者の役員にも課せられている。《同法第20条かっこ書》

第18問(通関業者の記帳、届出、報告等)
正 解  5

解 説

(正=5)
  通関士が新たに置かれた場合に提出する「従業者等の異動(変更)届」には、その者の履歴書その他参考となるべき書面を添付しなければならないこととされている。《通関業法第22条第2項、同法施行令第9条第2項》

(誤=1、2、3、4)
  通関業者には、「通関業務に関して依頼者から依頼を受けたことを証する書類」の保存義務が課されている。《同法第22条第1項、同法施行令第8条第2項第2号》
  通関業務に関する帳簿への記載の便法(通関業務に関して税関官署に提出した申告書等の写しに所要の事項を追記する方法)は、認定通関業者に限らず、すべての通関業者について認められている。《同法第22条第1項、同法施行令第8条第1項、第4項》
  法人である通関業者が提出する「定期報告書」の提出期限は、翌年6月30日(「事業年度の終了後6月以内」ではない。)とされている。《同法第22条第3項、同法施行令第10条第1項》
  「通関業務に関する料金の受領を証する書類の写し」の保存期間は、その作成後3年間(「当該通関業務の依頼を受けた日から3年間」ではない。)とされている。《同法第22条第1項、同法施行令第8条第3項》

第19問(通関士の資格)
正 解  4

解 説

(正=4)
  偽りその他不正の行為により所得税を免れて罰金刑に処せられた通関士は、欠格事由に該当し、通関士でなくなるものとされているが、通関業務に従事することを停止し、又は禁止する処分を受けたわけではないので、通関士以外の従業者として通関業務に従事することができる。

(誤=1、2、3、5)
  通関業者が、通関士試験に合格した者を通関士以外の従業者として通関業務に従事させようとする場合(通関士という名称を用いずに通関業務に従事させようとする場合)には、税関長の確認を受ける必要はない。
  通関業者は、通関士試験に合格した者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとするときは、税関長の確認を受けなければならない。《通関業法第31条第1項》
  このことは、通関業者が、他の通関業者の通関士を自己の通関業務に通関士として従事させようとするときにおいても、同様である。
  通関業務に従事することを停止された通関士が通関業務に従事することができないのは、当該停止の期間が終了するまでの間(「当該停止の期間が終了した後2年間」ではない。)である。《同法第35条第1項》
  通関士は、確認を受けた通関業者の通関業務に従事しないこととなったとき、通関士でなくなるものとされている。《同法第32条第1号》
  設問にある「届出」は、通関業者がその従業者が通関士でなくなった事実を税関長に知らせるものであり、その届出が受理されることにより、通関士でなくなるのではない。

第20問(通関業者に対する監督処分及び通関士に対する懲戒処分)
正 解  5

解 説

(正=5)
  通関業者、通関士は、その職責に顧み、その行為については、一般の利用者にいささかも疑問をもたれるようなことがあってはならない。
  このため、何人であっても、通関業者に対する監督処分、通関士に対する懲戒処分の事由となるべき法令違反の事実があると認めたときは、税関長にその事実を申し出て、適当な措置(懲戒処分など)をとるよう求めることができることとされている。《通関業法第36条》
  このような申出は、通関業務の依頼者の保護を図るためにとられているものである。

(誤=1、2、3、4)
  監督処分として通関業務の全部又は一部の停止を命ずることができるのは、1年以内の期間とされており、設問にあるような法定された限度を超える処分(2年以内の期間を定めて行う業務停止処分)をすることはできない。《同法第34条第1項》
  通関業者の役員につき、通関業者の信用を害するような行為があったことにより通関業者に対して監督処分を行うことができるのは、その通関業者の責めに帰すべき理由があるときに限られている。《同法第34条第1項第2号》
  業務主体である通関業者の意思とはかかわりなく行われた違反行為(通関業者の信用を害するような行為)について、事情の有無を問わずその責任をとらせることはできず、通関業者の責めに帰すべき理由があるときに限り、監督処分をすることができることとされている。
  通関業者に対し監督処分をしようとするとき、当該処分をする原因となった違反行為を行った従業者の意見聴取は要しないこととされている。《同法第37条第1項》
  通関士に対する懲戒処分をする旨の通知は、当該処分を受ける者に対してしなければならないこととされている。《同法第37条第2項》


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