本試験問題と解答・解説


平成19年度第41回通関士試験解答  
〔通関業法関係〕(時間40分)


【選択式】
第1問(許可の申請)
正 解

イ−@営業所、ロ−I責任者、ハ−L通関士、ニ−K地域、ホ−F種類

参照条文 通関業法第4条(許可の申請)

第2問(許可の消滅、許可の取消し)
正 解

イ−N廃止した、ロ−C決定、ハ−H遅滞なく、ニ−I通関業の許可、ホ−F審査委員

参照条文
1 通関業法第10条第1項(許可の消滅)
2 同法第10条第2項(許可の消滅の公告)
3 同法第11条第1項第1号(許可の取消し)
4 同法第11条第2項(審査委員の意見の聴取)

第3問(検査の通知)
正 解

イ−K通関手続、ロ−F税関職員、ハ−B検査、ニ−C従業者、ホ−I立会い

参照条文 通関業法第16条(検査の通知)

第4問(通関士の設置)
正 解  2、4

解 説
(正=2、4)
2 営業所の責任者は、その営業所が通関士の設置を要する地域にあるものであっても、通関業法上、通関士であることは義務づけされていない。
  これは、営業所の責任者は、当該営業所の経営・業務執行などについて責任を有する者ではあるが、必ずしも、通関業務に従事するわけではないことによるものである。
4 通関士の設置を要する地域にある営業所には、専任の通関士1人以上を置かなければならないこととされているが、営業所で行われる通関業務の量が非常に少ない場合で、専任の通関士を置く必要がないと考えるときは、税関長の承認を受けて専任でない兼務の通関士を置くことができることとされている。《通関業法第13条第1項、同法施行令第4条第1項かっこ書》

(誤=1、3、5)
1 通関業の許可に「地域限定の条件」又は「貨物限定の条件」が付されている場合を除き、通関士の設置義務が免除されることはない。《同法第13条第1項》
3 通関士の設置を要する地域にある営業所について、税関長が、当該営業所における通関業務取扱件数に応じ、置くべき通関士の数を指定するというようなことはない。
5 通関業の許可の条件として付される期限は、営業の状態等について、一定期間、追跡又は監視を必要とする場合に付されるものである。このため、仮に、このような条件が付されることがあるとしても、通関士の設置義務が免除されることはない。  

第5問(通関業者及び通関士等に課せられている義務)
正 解  3、4

解 説
(正=3、4)
3 通関士は、通関業務の処理を通じて依頼者の秘密を知り得る立場にあるので、依頼者の利益保護を図るため、正当な理由がなしに、通関業務に関して知り得た秘密を他に漏らし、又は盗用してはならないこととされている。そして、守秘義務の実効を図るため、通関士には、退職等により通関士でなくなった後も、引き続き、秘密を守る義務が課されている。《通関業法第19条後段》
4 通関業者には、通関手続の代理を行った者として、一定期間、通関業務に関する料金の受領を証する書類の写しの保存義務が課されている。《同法第22条第1項、同法施行令 第8条第2項第3号、第3項》

(誤=1、2、5)
1 通関業者に課されている掲示義務は、通関業務(関連業務を含む。)の料金の額(「営業所の管理者及び通関士の氏名」ではない。)である。《同法第18条》
2 通関士に課せられている守秘義務と通関士の兼務とは、それぞれ別の事柄である。このため、守秘義務が課せられているという理由で、通関士の兼務が制限されるということはない。
5 通関業務に関する研修の受講は、通関業法上、営業所の責任者に義務づけはされていない。

第6問(欠格事由に該当する者)
正 解  2、3、5

解 説
(欠格事由に該当する者=2、3、5)
2 公務員で懲戒免職を受けた者は、当該処分を受けた日から2年を経過するまでの間は、欠格事由に該当する者である。《通関業法第6条第7号》
3 通関業務に従事することを禁止された者は、当該処分を受けた日から2年を経過するまでの間は、欠格事由に該当する者である。《同法第6条第6号》
5 消費税を免れ罰金の刑に処せられた者は、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過するまでの間は、欠格事由に該当する者である。 《同法第6条第4号ロ》

(欠格事由に該当しない者=1、4)
1 復権を得た者は破産者ではないので、復権を得た日後の経過年数の如何にかかわらず、欠格事由に該当する者ではない。《同法第6条第2号》
4 設問に掲げられている者は、欠格事由に該当する者ではない。

第7問(監督処分、懲戒処分)
正 解  1、3

解 説
(正=1、3)
1 通関業者は、他人の依頼により通関業務を法令の規定の基づき適正に処理する職責を有するので、その行為については、利用者にいささかも疑問を持たれるというようなことがあってはならないこととされていることから、何人であっても、通関業者に監督処分に該当するような事実があると認められるときは、税関長に申し出て、適当な処置をとるべきことを求めることができる。《通関業法第36条》
3 通関業者の役員について、個人の立場で関税法に違反する行為があった場合には、通関業者の責めに帰すべき理由があるとき(当該役員の選任、日常の指導監督に手落ちがあったとき)に限り、税関長は、当該通関業者に対し監督処分をすることができることとされている。《同法第34条第1項第2号》

(誤=2、4、5)
2 通関業者の従業者が行った違反行為により当該通関業者に対し監督処分を行う場合、当該従業者の意見聴取は必要とはされていない。《同法第37条第1項》
4 通関士に対する懲戒処分を行う場合、審査委員の意見聴取は必要とはされていない。《同法第37条第1項》
5 法定された限度を超える懲戒処分(3年間の従業禁止処分)をすることはできない。《同法第35条第1項》

【択一式】
第8問(通関業務、関連業務)
正 解  0

解 説
(誤=0)
(正=1、2、3、4、5)
1 通関業者が、特例輸入者の承認申請手続及び特定輸出者の承認申請手続を他人の依頼によりすることは、通関業務に該当する。《通関業法第2条第1号イの(1)の(二)、(五)》
2 通関業者が、船用品の積込承認申告手続を他人の依頼によりすることは、通関業務に該当する。《通関業法第2条第1号イの(1)の(三)》
3 他所蔵置の許可申請手続は、通関業務に先行する関連業務です。《同法第7条》
4 消費税に関する納付申告手続は、消費税の規定に基づいて行われるものであり、関税法その他関税に関する法令の基づき税関官署に対してする手続ではないので、関連業務とされている。《同法第2条第1号イ(1)、第7条》
5 外国貨物仮陸揚届手続は、通関業務に先行する関連業務である。《同法第7条》

第9問(営業区域の制限)
正 解  4

解 説
(誤=4)
4 通関業者は、通関業の許可に係る税関の管轄区域内においてのみ、通関業務を行うことができることとされている。このため、通関手続を依頼した者の所在地が通関業の許可に係る税関の管轄区域外である場合には、通関業法第9条ただし書に該当するときを除き、当該所在地において通関業務を行うことはできない。《通関業法第9条》

(正=1、2、3、5)
1 通関業者が、営業区域外において業務を行う場合には、当該業務に該当する旨を通関書類に付記し、又は口頭で申し出なければならないこととされている。《同法第9条ただし書、同法施行令第2条》
2 設問に掲げられている事例は、通関業法第9条ただし書(営業区域の制限)に規定する「同一人から依頼を受けた通関業務その他税関官署に対する手続で相互に関連するもの」に該当するものとして取り扱うこととされている。《同法基本通達9−1(2)》
3、5 通関業の許可は、通関業務を行おうとする地域における具体的な通関業務の状況等を考慮して行われるものであるので、通関業者は、同一人から依頼を受けた通関業務その他税関官署に対する手続で相互に関連する業務を行う場合を除き、通関業の許可に係る税関の管轄区域外において通関業務を行うことはできないことされている。《同法第9条》
  このことは、設問3の事例にあるように、地域限定の条件が付されている通関業者であっても、同様である。 

第10問(通関士の審査、記名押印)
正 解  3

解 説
(通関士の審査、記名押印を要しない書類=3)
3 「輸入許可前貨物引取承認申請書」は通関手続に関するものであるが、通関士の審査、記名押印を要しない書類とされている。
  通関士による通関書類の審査は、通関手続の適正、迅速化に資するためには広範囲にわたって行われることが望ましいが、通関士の数との関係もあり、すべての書類について審査することは事実上困難であることから、通関士の審査を要する書類は、通関業法施行令第6条各号において規定されているもの限られている。
  なお、通関士の審査、記名押印を要しない書類(通関手続に関するもの)の例として通関士試験において出題されているものには、設問に掲げられている書類のほか、次のようなものがある。
 @ 指定地外検査許可申請書
 A 臨時開庁承認申請書

(通関士の審査、記名押印を要する書類=1、2、4、5)
 次に掲げる書類は、それぞれ次の規定により、いずれも、通関士の審査、記名押印を要する書類とされている。
1 異議申立書 同法施行令第6条第2号
2 特例申告書 同令第6条第3号
4 積戻し申告書 同令第6条第1号
5 特定輸出者承認申請書 同令第6条第1号

第11問(帳簿、書類の保存)
正 解  2

解 説
(保存義務が課されていない書類=2)
2 通関業者が、一定期間保存しなければならない通関業務に関する書類は、通関業法施行令第8条第2項各号に掲げられているものに限られており、設問に掲げられている「通関士の異動内容を記載した届出書の写し」は、保存を要する書類とはされていない。
 《通関業法第22条第1項、同法施行令第8条第2項》

(保存義務が課されている書類=1、3、4、5)
  次に掲げる帳簿、書類は、それぞれ次の規定によりいずれも、一定期間保存すべき義務が課されている書類である。
1 通関業務に関し、依頼者から依頼を受けたことを証する書類…同法施行令第8条第2項第2号
3 通関業務に関する料金の受領を証する書類の写し…同法施行令第8条第2項第3号
4 通関業務に関し、財務大臣に提出した審査請求書の写し…同法施行令第8条第2項第1号
5 通関業務の収入に関する事項を記載した帳簿…同法施行令第8条第1項

第12問(通関士の資格の喪失)
正 解  5

解 説
(通関士が資格を喪失する場合=5)
5 通関士が偽って所得税を免れ、所得税法の規定により罰金の刑に処せられると、当該通関士は欠格事由に該当することとなり、その結果、通関士でなくなることとされている。《通関業法第6条第4号ロ、第32条第2号》

(通関士が資格を喪失しない場合=1、2,3、4)
1 通関士が従業停止処分を受けた場合、当該通関士は従業停止期間中、通関業務に従事することはできないが、通関士でなくなることはない。
2 通関士が通関業務以外の業務を兼務することがあるとしても、確認を受けた通関業者の通関業務に従事している限り、通関士でなくなることはない。《同法第32条第1号》
3 通関士が戒告処分を受けることがあるとしても、通関士でなくなることはない。
4 通関士が疾病により、長期間、通関業務に従事できなくなることがあるとしても、通関業務に従事する意思がありながらやむを得ず休んでいる場合であるので、通関士でなくなることはない。《同法基本通達32−1(2)》

第13問(両罰規定の適用)
正 解  3

解 説
(両罰規定が適用されない罪=3)
3 両罰規定が適用されるのは、通関業法に定められている罰則のうち、通関士又は従業者を犯罪の主体とする罪を除いたすべての罪とされている。
  設問にある「通関業務に従事することの停止処分に違反して通関業務に従事する罪」は、通関士を犯罪の主体とする罪であるので、両罰規定は適用されない。《通関業法第45条》
 (通関業法第45条において、第42条第2号に規定する罪が除外されていることに、要注意!) 

(両罰規定が適用される罪=1、2、4、5)
 次に掲げる罪は、いずれも、通関士又は従業者を犯罪の主体とする罪ではないので、両罰規定が適用されることになる。《同法第45条》
1 通関業者が、その名義を他人に使用させる罪(同法第44条第1号)
2 通関業者が、財務大臣がした定めに反して料金を受けた罪(同法第43条第1号)
4 許可を受けないで通関業を営んだ罪(同法第41条第1項第2号)
5 通関業を営むことができる地域以外の地域において通関業を営んだ罪(同法第41条第1項第2号)


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