本試験問題と解答・解説


平成18年度第40回通関士試験解答  
〔関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び
 外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分に限る。)〕
(時間 1時間45分)


【選択式】
第1問(輸出してはならない貨物)
正 解 イ−M、ロ−F、ハ−L、二−J、ホ−N

参照条文
   1 関税法第69条の2第1項(輸出してはならない貨物)
   2 同法第69条の2第2項(没収、廃棄)
   3 同法第69条の7第1項(農林水産大臣への意見の求め)
   4 同法第69条の3第1項後段(認定手続を執る旨の通知)
第2問(関税の延滞税)
正 解 イ−F、ロ−K、ハ−G、二−M、ホ−A

参照条文
   1 関税法第12条第3項(延滞税の端数処理等)
   2 同法第12条第5項(延滞税の充当)
   3 同法附則第3項(特例基準割合)
   4 同法第12条第1項(延滞税の計算)
   5 同法第12条第9項(災害による期限の延長の場合の免除)
第3問(過少申告加算税、無申告加算税及び重加算税)
正 解 イ−A(参考1)、ロ−G、ハ−E(参考2)、二−I、ホ−J

参照条文
   1 関税法第12条の2第1項、第2項(過少申告加算税)
   2 同法第12条の3第1項(無申告加算税)
   3 同法第12条の4第1項、第2項(無申告加算税)
(参考1)過少申告加算税額の計算
   @ 当初申告税額 100万円
         当初申告税額 100万円>50万円
   A 更正による増差税額 150万円
   B 納付すべき過少申告加算税額の計算
      @.基本分 150万円×10%=150,000円
      A.加重分 150万円−100万円=50万円
                   50万円×5%=25,000円
計(@+A)                      175,000円
(参考2)無申告加算税額の計算
   @ 納付すべき関税額 355,000円
   A 納付すべき無申告加算税額の計算
      355,000円
         ↓ 1万円未満の端数切捨て
      350,000円×15%=52,500円
第4問(関税法第110条)
正 解 イ−B、ロ−E、ハ−G、二−@、ホ−L 

参照条文
   1 関税法第110条第1項第1号(関税ほ脱罪)
   2 同法第110条第1項第2号(関税ほ脱罪)
   3 同法第110条第3項第2号(関税ほ脱の予備又は未遂)
第5問(輸入してはならない貨物)
正 解 イ−J、ロ−F、ハ−N、二−L、ホ−@ 

参照条文
   1 関税法第69条の10第1項(輸入差止申立制度)
   2 同法第69条の10第1項後段(経済産業大臣の意見書の提出)
   3 同法第69条の11(専門委員への意見の求め)
   4 同法第69条の14第4項(特許庁長官の意見提示)
第6問(用語の定義)
正 解 2、3

解 説
(外国貨物とされるもの=2、3)
2 国際郵便により本邦に送付された郵便物で、日本郵政公社から名あて人に交付される前のもの(配達途上にあり、所定の手続を経て適法に引き取られる前のもの)は、外国貨物である。《関税法第74条》
3 外国から本邦に到着した貨物(本邦の船舶により外国の領海で採補された水産物)は、外国貨物とされている。《同法第2条第1項第3号》
   当該貨物が当該水産物を原料として、本邦の船舶内において加工又は製造された製品であるとしても、外国貨物であることに変わりはない。

(外国貨物とされないもの=1、4、5)
1 本邦の船舶により公海で採補された水産物は、経済的にみてなんら本邦で生産された貨物との間に差別を設ける必要はないので、内国貨物とされている。《同法第2条第1項第4号》
4 外国貨物で、没収が執行されたものについては、これらをいつでも市価(貨物に係る関税額を含んだ価格)で公売又は売却をすることができ、実質上、その貨物に対する関税は確保されているので、輸入を許可された貨物(内国貨物)とみなされている。《同 法第74条》
5 輸入の許可を受けた貨物は内国貨物である。《同法第2条第1項》 
   当該貨物が保税蔵置場から引き取られる前のものであっても、同じである。
第7問(緊急関税)
正 解 1、4

解 説
(正=1、4)
1 緊急関税の発動要件に該当するので、緊急関税を課すことができる。《関税定率法第9条第1項》
4 財務大臣、産業所管大臣及び経済産業大臣は、緊急関税に関する調査を開始することを決定した場合には、当該調査に関し常に緊密な連絡を保つとともに、当該調査に関する重要事項について協議の上定めなければならない。《緊急関税に関する政令第11条第3項》

(誤=2、3、5)
2 緊急関税に関する調査は、原則として、当該調査の開始の日から1年以内に終了することとされているが、特別の理由により必要があると認められる期間に限り、その期間を延長することができる。《関税定率法第9条第7項》
3 暫定的な緊急関税を課することができる期間は、200日以内に限られている。《同法第9条第8項》
5 緊急関税措置が終了した直後に、同一貨物について再度緊急関税を課する必要がある場合には、一定の条件の下に180日以内の期間に限り、緊急関税を課することができる。《同法第9条第13項》
第8問(関税の納税義務)
正 解 1、4、5

解 説
(正=1、4、5)
1 関税の納税義務者は、貨物を輸入する者である。ただし、関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に特定の者が納税義務者と定められている場合には、その定められている者(輸入者以外の者)が納税義務を負う。《関税法第6条》
4 保税運送された外国貨物が税関長が指定した運送期間内にその運送先に到着しない場合には、運送中の外国貨物について事実上の輸入(国内引取り)に該当する行為が行われたことになるので、当該外国貨物に係る関税については、保税運送の承認を受けた者が納税義務を負う。《同法第65条第1項本文》
5 保税工場外における保税作業は、税関長が場所及び期間を指定して許可するものであるが、その指定期間を経過した場合には、その場所に出されている外国貨物は保税工場にあるものとみなされないことになる。したがって、その指定された場所に保税工場から出された外国貨物がある場合には、その外国貨物について事実上の輸入(国内引取り)に該当する行為が行われたことになるので、当該外国貨物に係る関税については、保税工場の許可を受けた者が納税義務を負う。《同法第61条第5項》

(誤=2、3)
2 通関業者は、輸入者から委託を受けてその代理人として通関業務を営む者であるので、本来の納税義務者にはなり得ない。
   しかし例外として、輸入の許可を受けて引き取られた貨物について、納付された関税に不足額があった場合において、当該許可の際当該貨物の輸入者とされた者の住所及び居所が明らかでなく、又はその者が輸入者でないと申し立て、かつ、当該貨物の輸入に際してその通関業務を取り扱った通関業者が、その通関業務の委託を受けた者を明らかにすることができなかったときに限り、当該通関業者は、当該輸入者と連帯して当該貨物に係る関税の納税義務を負う。《同法第13条の3》。
3 保税蔵置場にある外国貨物が、災害その他やむを得ない事情以外の事情により亡失した場合には、事実上の輸入(国内引取り)が行われたことになるので、当該亡失した外国貨物に係る関税は、当該保税蔵置場の許可を受けた者が納付する義務を負う。《同法第45条第1項本文》
第9問(関税の納税申告、更正及び決定等)
正 解 2、4、5

解 説
(正=2、4、5)
2 税関においては、特例輸入者が輸入する指定貨物について輸入申告があった場合には、迅速な引取りを行わせるために可能な限り検査を省略し、輸入の許可をすることとしている。
   しかし、税関においては、特例輸入者が輸入する指定貨物であっても、当該貨物が関税定率法第19条の3(輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税)の規定の適用を受けようとするものであるときは、輸入の時に現品検査をしておき、再輸出の時に輸入の時の性質及び形状と変わっていないことを確認する必要がある。このため、特例輸入者は、輸入する外国貨物について関税定率法第19条の3の規定の適用を受けようとする場合には、当該貨物が指定貨物に該当するものであっても、指定貨物として指定を受けていない貨物と同じように、税関長に対して輸入申告と併せて納税申告をして、その許可を受けなければならないことになっている。《関税法第7条の2第5項、同法施行令第4条の4第1項》
4 関税の納税申告をした者は、法定された額を超える関税を納付する義務はないので、納税申告により納付すべき税額を過大に申告した場合のほか、税関長が行った更正後の税額が過大である場合には、当該税関長に対して、減額変更のための更正の請求をすることができることになっている。《同法第7条の15第1項》
5 申告納税方式における決定とは、納税申告が必要とされている貨物についてその輸入の時(特例申告に係る指定貨物については、特例申告書の提出期限)までに当該申告がないときに、税関長が、その調査したところに従って、当該貨物に係る課税標準及び税額を確定する処分である。《同法第7条の16第2項》

(誤=1、3)
1 本邦に入国する者は、輸入を業として行う者ではなく、一般に税関手続に不慣れな者であり、かつ、その手続の対象となる貨物も一般の輸入取引に係るものとは異なるところから、適正な納税申告をさせることができないので、本邦に入国する者が入国の際に携帯して輸入する貨物に対する関税は、その納付すべき税額が専ら税関長の処分によって確定する賦課課税方式の関税である。《同法第6条の2第1項第2号イ》
   したがって、本邦に入国する者は、入国に際に携帯して輸入する貨物について、当該貨物の品名並びに数量及び価格(課税標準となるべき数量及び価格)その他必要な事項を税関長に申告(輸入申告)し、その許可を受けなければならないが、その輸入申告に併せて納税申告をする必要はない。《同法第67条、第7条》
3 修正申告は、税関長の更正があるまですることができることになっており、税関長が更正を行うことができる期間は、関税の法定納期限(輸入の許可の日)から3年である。《同法第7条の14第1項本文、第14条第1項》。
   したがって、修正申告は、輸入の許可の日から3年以内に限りすることができる。
第10問(関税の納期限)
正 解 3、4

解 説
(正=3、4)
3 特例申告に係る指定貨物を輸入した特例輸入者は、当該指定貨物に係る関税を納付するための期限内特例申告書を作成して、その提出期限(指定貨物について輸入の許可を受けた日の属する月の翌月の末日)までに納付しなければならない。《関税法第9条第2項第1号》
4 本邦に入国する者が入国の際に携帯して輸入する貨物に対する 関税は、その納付すべき税額が専ら税関長の処分によって確定する賦課課税方式の関税であり、当該貨物を輸入する日までに納付しなければならない。《同法第9条の3第1〜2項、同法施行令第7条の2第1項第1号》

(誤=1、2、5)
1 税関長が発した決定通知書に記載された関税の納期限は、当該決定通知書の発せられた日の翌日から起算して1月(「10日」ではない。)を経過する日である。《同法第9条第2項第6号》
2 納税申告方式が適用される貨物について、輸入申告と納税申告とを併せて行って輸入しようとする者は、関税額に相当する額の担保の提供を条件として、3月以内(「1月以内」ではない。)に限り納期限の延長を受けることができる。《同法第9条の2第1項及び第2項》
5 関税の納付前の受取りの承認を受けた郵便物の関税の納期限は、税関長から当該関税について納税告知書が発せられた日(「当該承認の日」ではない。)の翌日から起算して1月を経過する日である。《同法第9条の3第2項、同法施行令第7条の2第1項第3号》
第11問(輸出貨物に係る質問検査権及び帳簿書類の保存義務)
正 解 2、3

解 説
(正=2、3)
2 税関職員が質問検査権に基づいて輸出貨物の輸出者に対して質問を行った場合において、当該輸出者が税関職員の質問に対して虚偽の陳述をした場合には、50万円以下の罰金に処せられることがある。《関税法第114条第5号》
   これは、税関職員の質問検査権は、適正な輸出手続の維持、輸出を条件とした関税等の軽減、免除又は払戻し等手続が適正であったかどうかの確認を行うことを目的とするものであって、こうした、税関行政上の必要性から設けられた税関職員の質問検査権を実効あるものにするため、税関職員の質問に対する不答弁及び虚偽答弁、拒否又は忌避を犯罪として処罰することとし、間接的 に正当な答弁、検査の受忍を強制するものである。
3 一般輸出貨物を業として(反復継続して)輸出する者は、輸出の許可を受けた貨物の品名、数量及び価格、仕向人の氏名又は名称その他必要な事項を記載した帳簿を輸出許可貨物の輸出の許可の日の翌日から5年間、輸出者の本店若しくは主たる事務所等に保存しなければならないことになっている。《同法施行令第83条第8項》

(誤=1、4、5)
1 税関職員が質問検査権に基づいて輸出された貨物について、その輸出者、その輸出に係る通関業務を行った通関業者、当該輸出の委託者その他の関係者に質問し、又は当該貨物についての帳簿書類を検査することができる期間については、関税法には、規定されていないので、必要があるときはいつでもできる(輸出の許可の日の翌日から2年を経過した日後においてもできる)こととされている。
   しかし、輸出者(特定輸出者以外の輸出者で貨物を業として輸出するもの)における輸出貨物についての帳簿書類の保存期間が、輸出の許可の日の翌日から5年間とされているところから(関税法第94条第2項、同法施行令第83条第8項)、この保存期間の経過後においては、税関職員が質問検査権に基づいて輸出貨物についての帳簿書類を検査することができなくなる。したがって、税関職員が質問検査権に基づいて輸出貨物についての帳簿書類の検査は、事実上、この帳簿書類の保存期間に限定されることになる。
4 税関職員は、質問検査権に基づいて、輸出された貨物について、その輸出者、その輸出に係る通関業務を行った通関業者、当該輸出の委託者その他の関係者に質問し又は当該貨物についての帳簿書類を検査することができる《同法第105条第1項第4号の2》
5 関税法第105条第1項第4号の2(輸出された貨物に対する税関職員の質問検査権)は、税関職員の質問検査権についてその対象となる貨物について「輸出された貨物について・・・」と規定しており、積戻しされた貨物については、その対象としていない。
第12問(輸入申告)
正 解 1、3、4

解 説
(正=1、3、4)
1 輸入申告は、原則として貨物を保税地域に入れた後に行うこととされており(関税法第67条の2第1項本文)、貨物が開港又は税関空港に到着してから輸入の許可を受けるまでに長時間を要することになる。
   このため、本邦に迅速に引き取る必要がある輸入貨物で、その予備輸入申告を電子情報処理組織を使用して行い、税関の審査の結果、検査が不要とされた貨物については、保税地域に搬入することなく、当該輸入貨物の到着が確認され次第に、正規の輸入申告を行えば直ちに輸入を許可する到着即時輸入許可制度が、導入されている。《関税法第67条の2第1項ただし書、同法施行令第59条の3第1項第3号》
   この到着即時輸入許可制度は、輸入貨物の輸入申告が電子情報処理組織を使用して行う場合に限り承認されるのは、その輸入貨物の予備輸入申告、到着即時輸入許可の申請(搬入前申告扱い承 認申請)、貨物に係る積荷目録の提出と貨物の到着確認及び輸入申告等の一連の手続が、電子情報処理組織を使用して行う場合に限りはじめて可能となることによる。
3 特例輸入者は、継続的に輸入している貨物としてあらかじめいずれかの税関長から指定を受けた指定貨物を輸入する場合には、まず指定貨物について輸入申告をして輸入の許可を受けて引き取った後、輸入の許可を受けた日の属する月の翌月の末日までに納税申告を行うこととされているので、輸入申告書には指定貨物の輸入に必要な事項(当該指定貨物の品名並びに数量及び価格その他必要な事項)を輸入申告書に記載してしなければならない。《同法第67条、同法施行令第59条第1項第1号》
4 絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(ワシントン条約)の附属書に掲げる種に該当する動植物及びその派生物について輸入の許可をする税関長の権限は、同条約の締約国として同条約に取引規制対象として規定されている動植物及びその派生物の輸入規制を確実に履行するため、財務大臣が指定する特定の税関官署の長に対してのみ委任されている。《同法第107条、同法第92条第3項第3号》

(誤=2、5)
2 国際郵便により輸入される貨物は、郵便路線上にある逓送の貨物であり、簡易、迅速な取扱をする必要があるので、輸入される郵便物については輸入申告が不要とされているが、輸入をしてはならない貨物の不正輸入等を阻止するともに、他の法令の規定により輸入に関して許可、承認等又は検査の合格、条件の具備を必要とするものかどうかを確認して輸入規制貨物の国内流入を防止するため、税関長は、税関職員に必要な検査をさせることになっている。《同法第76条第1項ただし書》
   このため、税関職員が日本郵政公社からの通知を受けて検査を行う貨物については、関税法第70条(証明又は確認)の規定が準用されることになっている。《同法第76条第4項前段》
5 税関長に収容された外国貨物について収容の解除の承認を受けたとしても、当該貨物が依然として外国貨物であるので、当該貨物を国内に引き取る場合には、輸入申告をし、その許可を受けなければならない。《同法第67条》
第13問(他の法令の輸出入規制の解除の証明又は確認)
正 解 2、5

解 説
(正=2、5)
2及び5 輸入しようとする貨物については、当該貨物が個人的使用に供されるものであるか否かにかかわらず、また関税の免除を受けるものであるか否かにかかわらず、他の法令の規定により輸入に関して許可、承認等を要するものである場合には、輸入規制の確実な実施を期するため、当該許可、承認等を受けていることを税関に証明し、また、他の法令の規定により輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物については、その検査の完了又は条件の具備を税関に証明してその確認を受けなければならないこととされている。《関税法第70条》

(誤=1、3、4)
1 特定輸出申告に係る貨物で、他の法令の規定により輸出に関して許可、承認等を要する貨物であるときは、輸出申告の際に、その許可、承認を受けていることを税関に証明し、また、他の法令の規定により輸出に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物であるときは、その検査の完了又は条件の具備を税関に証明してその確認を受けなければならないこととされている。《同法第70条》
   このような証明等の義務は、貨物を輸出しようとする者が、特定輸出者であっても、免除されることはない。
3 他の法令の規定により輸出又は輸入に関して許可、承認等を要する貨物については、輸出又は輸入の申告の際に、その許可、承認等を受けていることを税関に証明しなければならないこととされているが、他の法令の規定により輸出又は輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物については、その貨物の税関検査 又は輸出入申告書類に対する税関の審査の際に、その検査の完了又は条件の具備を税関に証明してその確認を受ければよいこととされている。《同法第70条第2項》
4 外国貨物の積戻しは、貨物を外国へ向けて送り出すことでは実質的に輸出と同じである。
   このため、他の法令の規定により輸出に関して許可、承認等を要する貨物については、積戻し申告の際に、その許可、承認を受けていることを税関に証明し、また、他の法令の規定により輸出に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物について、その検査の合格又は条件の具備は、税関が検査等をしてみないと判らないので、その貨物の税関検査又は積戻し申告書類に対する税関の審査の際に、その検査の完了又は条件の具備を税関に証明してその確認を受けなければならないこととされている。《同法第75条において準用する第70条第2項》
   当該外国貨物の性質及び形状が、当該外国貨物が本邦に到着した時の性質及び形状から変更されていないものであるとしても、このような証明等の義務が免除されることはない。
第14問(課税価格の決定)
正 解 3、4

解 説
(正=3、4)
3 買手が負担する輸入貨物の生産に使用される金型(本邦において製造されたもの)で、買手から売手に無償で提供されたものに要する費用は、輸入貨物の製造原価を構成するものであるが、買手から売手に対して無償で提供されていることにより、当該輸入貨物の輸入取引価格に反映されていない(含まれていない)ため、製造国の如何にかかわらず課税価格に算入される。《関税定率法第4条第1項第3号ロ、同法基本通達4−12(2)》
4 買手が負担した輸入貨物に係る著作権の使用に伴う対価で、当該輸入貨物の輸入取引の条件として、売手以外の第三者である著作権者に対して支払われるものは、買手が売手に対し間接的に当該輸入貨物に係る著作権の使用の対価を支払って輸入貨物を購入したこととなるので、当該著作権の使用の対価は課税価格に算入される。《同法第4条第1項第4号、同法施行令第1条の5第3項》

(誤=1、2、5)
1 買手が支払う延払金利は、輸入貨物に係る輸入取引が延払条件付取引である場合で、その金利の額が明らかなものは、関税定率法第4条第1項各号(課税価格に算入すべき費用)に規定する費用には該当しないので、課税価格に算入されない。《同法第4条第1項、同法施行令第1条の4第4号》
2 買手が、買付代理人に対して支払う買付手数料は、買手に代わって輸入貨物の買付業務を行う代理人に対して、報酬として支払われる手数料であって、買手が自己のために行う買付活動の費用であるので、課税価格に算入されない。《同法第4条第1項第2号イかっこ書》
5 買手が支払う、輸入貨物の輸入申告の後に行われる当該輸入貨物の据付けに要する役務の費用で、その額が明らかなものは、同法第4条第1項各号(課税価格に算入すべき費用)に規定する費用には該当しないので、課税価格に算入されない。《同法第4条第1項、同法施行令第1条の4第1号》
第15問(輸出貿易管理令)
正 解 2、4

解 説
(正=2、4)
2 輸出する貨物に係る許可又は承認の権限は、経済産業大臣に属するので、自ら貨物を輸出する場合には、輸出の許可又は承認をする必要はないことによる。《輸出貿易管理令第12条》
4 船用品については、輸出貿易管理令別表第一の一の項に掲げる貨物を除き、輸出の許可の特例に該当するので、輸出の許可を受 ける必要はない。《同令第1条第1項、第4条第1項第2号イ》

(誤=1、3、5)
1 仮陸揚貨物であっても、これを輸出する場合には、武器等については輸出の許可を要し、また、輸出禁制貨物等については輸出の承認を要する。《同令第4条第1項本文ただし書、同条第1項第1号、同条第2項本文ただし書、同条第2項第1号ただし書》
3 輸出の承認を要する貨物には、輸出貿易管理令別表第二に掲げる貨物のほか、委託加工貿易契約に基づく貨物がある。《同令第2条第1項第2号、輸出貿易管理規則第3条》
5 価額の全部につき支払手段による決済を要しない貨物について、税関長に委任されている輸出の承認の権限は、経済産業大臣が指示する範囲内のものに限られている。《同令第11条第2号イ》
【択一式】
第16問(特定輸出申告制度)
正 解 4

解 説
(正=4)
   輸出の許可を受けた貨物は外国貨物であるので、当該貨物を運送する場合には、保税運送の承認手続が必要である。《関税法第63条第1項》
   しかし、輸出に関する業務を適正に遂行することができる者として税関長から承認され、法令遵守の確保が担保されているので、当該特定輸出者が輸出の許可を受けた貨物(特定輸出貨物)については、特例として、特定輸出貨物の運送に際して保税運送の承認手続を要しないことになっている。《同法第63条第1項前段かっこ書》

(誤=1、2、3、5)
1 あらかじめいずれかの税関長の承認を受けた特定輸出者が特定輸出申告を行うことができる貨物については、継続的に輸出しているものとして当該税関長の承認を受けた貨物でなければならないとする規定はない。
   したがって、関税法第67条の3第3項及び第4項(特定輸出申告制度の対象とならない貨物)に規定する貨物を除き、全ての輸出貨物について特定輸出申告を行うことができることになっている。《同法第67条の3第1項、第3項、第4項、同法施行令第59条の5及び第59条の6》
2 特定輸出者は、輸出する貨物について特定輸出申告を行う場合には、その申告に係る貨物が置かれている場所の所在地を所轄する税関長に対してしなければならないことになっている。《同法第 67条の3第2項》
3 特定輸出者の承認を受けようとする者が、関税法の規定に違反して刑に処せられ、その刑の執行を終わった日から3年(2年ではない。)を経過しないものである場合には、法令遵守が期待できないので、特定輸出者の承認を受けることができないことになっている。《同法第67条の4第1項第1号イ》
5 特定輸出者が輸出する貨物が関税暫定措置法第8条(加工又は組立てのため輸出された貨物を原材料とした製品の減税)の規定の適用を受けて輸出しようとする貨物である場合には、税関においては、当該貨物の輸出通関の際に、現品検査を行いその価格とその他必要な事項等について確認しておく必要があるので、特定輸出申告を行うことができないことになっている。《同法第67条の3第4項、同法施行令第59条の6第1号》
第17問(輸入申告)
正 解 0

解 説
(正=0)
(誤=1、2、3、4、5)

1 関税法においては、貨物の輸入者が当該貨物の輸入申告の際に税関に提出する仕入書の有効期間について規定していない。《関税法第68条第1項》
2 輸入貨物の仕入書は、通常、輸入する貨物の輸入売買取引に際して売手等から買手等に対して交付される輸入売買取引の内容を明示する計算書であるので、輸入貨物の輸入(納税)申告を裏付ける書類であると同時に、申告に係る輸入貨物の課税標準を決定するための重要な書類である。《同法第68条第1項、同法施行令第60条第1〜2項》
   したがって、輸入貨物の仕入書は、輸出申告価格の総額が一定価格以下であれば提出する必要がないとされている輸出貨物の仕入書とは異なり、輸入申告価格の総額が一定金額以下であればその提出を要しないということにはなっていない。《関税法第68条第1項、同法施行令第60条第3項》
3 非居住者が、本邦において貨物を輸入するために輸入申告その他税関関係手続を行う場合には、本邦に住所又は居所(法人にあっては、本店又は主たる事務所)を有する者で当該税関関係手続につき便宜を有する者(原則として、輸入申告その他税関関係手続を行う税関の管轄区域内に住所又は居所等を有する者)のうちから、税関事務管理人を選任したうえで、当該税関管理人に係る税関関係手続に係る税関長に対してその旨を届け出なければならないことになっている。《同法95条第1項、第2項前段、同法施行令第84条第1項》。
4 特例輸入者は、特例申告に係る指定貨物について輸入申告を行う場合には、税関長が輸入の許可の判断のためにその提出の必要があると認める場合を除き、当該貨物の輸入申告の際に仕入書を税関に提出する必要がないことになっている。《同法第68条第1項ただし書》
5 コンテナーに関する通関条約に規定するコンテナーについて、同条約第2条(輸入税の免除を受ける一時輸入)の規定により輸入税の免除を受けて輸入する場合において、当該コンテナーを輸入する者がその輸入申告に際して、当該コンテナーの種類、記号及び番号等の所定の事項を記載した積卸コンテナー一覧表を税関長に提出(当該コンテナーに係るTIRカルネの提示ではない。)したときは、税関長は、関税法第67条の規定による輸入申告があったものとみなすことができることとされている。《コンテナー特例法施行令第2条》
第18問(メキシコ協定原産地証明書)
正 解 0

解 説
(正=0)
(誤=1、2、3、4、5)

1 メキシコを原産地とする貨物を輸入する場合において、経済上の連携強化に関する日本国とメキシコ合衆国との間の協定(以下、「メキシコ協定」という。)に規定する関税に関する便益の適用を受けようとする場合には、当該貨物の輸入申告の際に、税関にメキシコ協定原産地証明書を提出しなければならないことになっている。《関税法第68条第2項、同法施行令第第61条第7項》
2 メキシコ協定原産品で、その課税価格の総額が20万円以下(30万円以下ではない)の貨物については、税関手続の簡素化を図る観点から、その輸入申告の際に税関にメキシコ協定原産地証明書を提出する必要がないことになっている。《同法第68条第2項、同法施行令第61条第1項第3号イ》
3 特例輸入者は、特例申告に係る貨物がメキシコを原産地とする貨物である場合には、特例申告に際して税関にメキシコ協定原産地証明書を提出する必要はなく、当該原産地証明書を輸入許可の日の属する月の翌月末日の翌日から5年間、本店若しくは主たる事務所等に保存しなければならないことになっている。《同法第7条の9第1項、同法施行令第4条の12第2項第5〜6号、第4項》
4 メキシコを原産地とする貨物を輸入する場合において、その輸入申告の際に税関に提出するメキシコ協定原産地証明書は、原則として、輸入申告の日においてその発給の日(原産国において生産された日ではない。)から1年以上を経過したものであってはならないことになっている。《同法第68条第2項、同法施行令第61条第8項》
5 メキシコ協定原産地証明書は、税関長が災害その他やむを得ない理由があると認める場合には、その証明に係る輸入申告又は審査後相当と認められる期間内提出が猶予されることになっている。《同法施行令第61条第7項かっこ書》
   この場合において、「災害」とは、震災、風水害等の天災若しくは事変又は火災その他の人為的災害でその輸入者(その代理人を含む。)の責任によらないものをいい、「その他やむを得ない理由」とは、災害に準ずる理由をいうとされている。《同法基本通達68−5−16》
   したがって、輸入者がメキシコ協定原産地証明書を亡失等した場合には、メキシコ協定原産地証明書提出猶予を認められる「災害その他やむを得ない理由」にも該当しないので、提出猶予は認められない。まして、輸入者の誓約書をもってメキシコ協定原産地証明書に代えることはできない。
第19問(輸入の許可前における貨物の引取り)
正 解 2

解 説
(正=2)
   輸入の許可前における貨物の引取り制度は、輸入する外国貨物の課税標準等の審査に相当の日時を要する場合又は早急な引取りを必要とするにもかかわらず輸入の許可を受けるのに相当の日時を要する場合等には、当該貨物の関税額に相当する担保を提供すれば、輸入の許可前において貨物を引き取ることができることとし、関税行政の円滑な運営と輸入者の利便を図るために設けられたものである。
   なお、関税が無税の貨物であっても内国消費税を課される貨物については、その内国消費税に相当する額の担保を提供しなければ、輸入の許可前における引取りの承認を受けることができないことになっている。《輸入に対する内国消費税の徴収等に関する法律第9条第2項》
   したがって、輸入の許可前における貨物の引取りの承認申請は、その申請に係る貨物が有税品であるか無税品であるかにかかわらず、行うことができることになっている。《関税法第73条第1項》

(誤=1、3、4、5)
1 輸入の許可前における貨物の引取りの承認申請は、輸入申告が行われていることを前提として認められるものであるので、その申請に係る貨物について輸入申告をした後に行わなければならないことになっている。《同法第73条第1項》
3 輸入の許可前における貨物の引取りは、輸入する外国貨物の関税未納のまま、保税地域等から国内の自由流通過程への引取りを認める制度であるので、税関長は、当該貨物に係る関税の徴収を確実にするために、その関税額に相当する担保の提供がない場合には、その引取りの承認をしないことになっている。《同法第73条第1項》
   したがって、税関側の事情で輸入の許可が遅延するということがあるとしても、そのようなことで担保提供義務が免除されることはない。
4 輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けた貨物は、その引取りの承認を受けることにより、事実上の輸入が行われて、国内の自由流通過程に入ることになる。この場合において、引き取られた貨物を輸入の許可前であることを理由として外国貨物であるとした場合には、その引き取られた貨物について全面的に関税法の規定が適用され、輸入の許可前における貨物の引取りの制度の目的に反することになるので、特定の規定(例えば、課税物件の確定の時期に関する第4条、適用法令に関する第5条の規定など)の適用を除いて、内国貨物とみなすこととされている。《同法第73条第3項》
5 輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けた貨物は、その引取りの承認を受けることにより、事実上の輸入が行われて、国内の自由流通過程に入ることになるので、輸入の場合と同じくそのような貨物については、輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることはできないこととされている。《同法第73条第2項》
   これは、原産地を偽った表示がされている外国貨物について、当該貨物を国内に引き取った後に当該表示を抹消させることを条件としても、その確実な実行を確保することは困難であることによる。
第20問(保税地域)
正 解 0

解 説
(正=0)
(誤=1、2、3、4、5)

1 指定保税工場においては、税関手続を簡易化するために、保税作業の開始及び終了の際の届出を要しないこととされ、保税作業の都度の届出に代えて、毎月1回「外国貨物加工製造報告書」を提出すればよいこととされている。《関税法第61条の2》
2 保税展示場以外の保税地域(指定保税地域、保税蔵置場)においても、税関長の許可を受けて、外国貨物につき、見本の展示をすることができる。《同法第40条第2項、第49条》
3 保税蔵置場にある外国貨物が亡失したときは、当該保税蔵置場の許可を受けた者から、直ちにその関税を徴収することとされているが、当該外国貨物が輸出の許可を受けた貨物である時は、その徴収をしないこととされている。《同法第45条第1項かっこ書》
4 外国貨物で、保税地域以外の場所に置くことができるものとしては、設問に掲げる貨物のほか、次のようなものがある。《同法 第30条第1項》
   @許可を受けて保税地域外に置く外国貨物(同条第1項第2号)
   A特定輸出貨物(同条第1項第5号)
5 保税地域において貨物を管理する者に記帳義務が課せられている貨物には、輸出しようとする貨物(信書を除く。)も含まれている。《同法第34条の2》
第21問(貨物の収容)
正 解 4

解 説
(正=4)
 「収容に要した費用」とは、貨物の収容について直接要した次の費用をいうものとされている。《関税法施行令第70条の2》
   @収容貨物の保管費用
   A収容貨物の運搬費用
   B公告に要した費用
   C通信費

(誤=1、2、3、5)
1 保税蔵置場、保税工場又は総合保税地域にある貨物の収容は、蔵入等承認を受けることなく保税蔵置場に入れた日から3月を経過したものについて、また、蔵入等承認を受けたものについては当該保税地域に置くことが承認された日(保税蔵置場の場合には、当該貨物を最初に保税蔵置場に置くことが承認された日)から2年(3年ではない。)を経過したものについてすることができることとされている。《関税法第79条第1項第2号、第3号、第3号の2、第3号の3》
2 収容された貨物についてその解除の承認を受けることがあるとしても、いったん税関の管理下に置かれた貨物を自己の管理下に取り戻すだけであり、当該貨物を国内に引き取るわけではないので、税関に対して当該貨物に係る関税を納付する必要はない。《同法第83条第1項》(関税は、当該貨物を実際に輸入する際、納付することになる。)
3 保税蔵置場の許可が失効した場合において、その失効の際、当該保税蔵置場に外国貨物があるときは、税関長が指定する期間、その許可が失効した場所を保税地域とみなすこととされているので、税関が当該貨物を直ちに収容することはない。《同法第47条第3項》  
5 税関長が、収容貨物を公売に付することができるのは、当該貨物が最初に収容された日から4月(1月ではない。)を経過してからとされている。《同法第84条第1項》
第22問(関税の軽減、免除又は払戻し)
正 解 2

解 説
(正=2)
   再輸出免税の適用を受けた加工用貨物を再輸出期間内に輸出する場合には、その輸出申告の際に、その加工をした者が作成した加工証明書を当該貨物の輸入の許可書等に添付して税関長に提出しなければならない。《関税定率法施行令第39条第1項》

(誤=1、3、4、5)
1 修繕のため輸出された貨物については、本邦においてその修繕をすることが困難であるかどうかを問わず、関税の軽減を受けることができる。《関税定率法第11条》
3 違約品等について、関税の払戻しを受けるために再輸出しなければならない期間は特に定められていないので、当該貨物の輸入の許可の日から6月以内に再輸出されるものに限られない。《同法第20条第1項》
4 関税定率法第19条の3の規定による関税の払戻しの額は、輸出した貨物について納付した関税の全額(附帯税の額を除く。)とされている。《同法施行令第54条の15》
5 本邦から出漁した本邦の船舶によって外国で採捕された水産物を原料として当該船舶内で製造された製品に限らず、当該採捕された水産物についても関税の免除を受けることができる。《同法第14条の3第1項》
第23問(関税の課税物件の確定時期)
正 解 3

解 説
(正=3)
   一括して保税運送の承認を受け保税地域から引き取られて運送された外国貨物で、その指定された運送の期間内に運送先に到着しなかったものについて、関税を課する場合に基礎となる課税物件の確定の時期は、税関がその性質及び数量を確認した直近の時点、すなわち発送の時である。《関税法第4条第1項第5号》

(誤=1、2、4、5)
1 保税蔵置場に置かれている間に亡失した外国貨物については、その亡失の時に事実上の輸入(国内引取り)があったとみなされるので、これについて関税を課する場合に基礎となる課税物件の確定の時期は、その亡失の時である。《同法第4条第1項第4号》
2 輸入される郵便物については、郵便路線上にある逓送の貨物であって簡易、迅速な取扱いをする必要があるので輸入申告等の手続を要しないことになっているので、これについて関税を課する場合に基礎となる課税物件の確定の時期は、日本郵政公社から貨物を受け取った通知を受けた時である。(その陸揚げ又は取卸しの時ではない。)《同法第4条第1項第6号》
   なお、日本郵政公社から郵便物を受け取った旨の通知がされないで輸入された郵便物について関税を課する場合に基礎となる課税物件の確定の時期は、その輸入の時である。《同法第4条第1項第8号》
4 保税蔵置場に置くことの承認を受けた外国貨物で輸入されるものについては、その承認の際に、税関が、その承認申請が適正で あるか、他の法令に規定する輸入規制の解除を受けているか等を 必要に応じて検査を行い確認していることを踏まえ、これについて関税を課する場合の基礎となる課税物件の確定の時期は、その置くことについて承認を受けた時である。《同法第4条第1項第1号》
5 輸入申告された外国貨物であって、輸入の許可を受けることなく引き取られたものについては、関税を課する場合に基礎となる課税物件の確定の時期は、その引取り時(輸入の時)である。《同法第4条第1項本文及び第8号》
第24問(相殺関税)
正 解 5

解 説
(正=5)
 相殺関税を課す場合には、当該相殺関税が課される貨物、当該貨物の輸出者若しくは生産者又は輸出国若しくは原産国、期間、税率等を政令で定めることとされている。《関税定率法第7条第1項、第33項》

(誤=1、2、3、4)
1 政府は、補助金付き貨物の輸入の事実及びその輸入が本邦の産業に与える実質的な損害等の事実についての事情の変更があった場合又はこれらの事実が政令で指定する期間の満了後に継続し、又は再発するおそれがあると認める場合において、当該指定期間を延長する必要があると認めるときは、再調査が完了した日から5年以内に限り当該指定期間を延長することができるほか、更に政府が必要と認めるときは、当該延長された期間を延長することができる。《同法第7条第17項、第22項、第27項》
2 政府に対して相殺関税を課することを求めることができる者は、本邦の産業に利害関係を有する者に限られている。《同法第7条第5項、相殺関税に関する政令第3条》
3 政府は、本邦の産業に利害関係を有する者による求めがあった場合に限らず、政府自身が職権で相殺関税に関する調査を開始することができる。《同法第7条第6項》
4 相殺関税が課されている貨物について、本邦の産業の実質的な損害等の事実についての事情の変更がある場合のほか、補助金についての事情の変更がある場合においても、必要があると認める ときは、当該相殺関税を変更し、又は廃止することができる。ただし、政令で定める期間を延長する場合には、これら2つの事情の変更のいずれをも勘案して必要があると認められる場合に限られる。《同法第7条第17項》
第25問(特恵関税制度)
正 解 1

解 説
(誤=1)
   本邦に入国する者が輸入する携帯品又は別送品であっても、輸入貨物に変わりはないので、一般貨物と同様に特恵関税が適用される。《関税暫定措置法第8条の2第1項》

(正=2、3、4、5)
2 特恵関税と緊急関税はその性格を異にするので、特恵関税が適用される物品であっても、特恵関税のほか緊急関税を課すことができる。《同法第8条の5第1項》
3 特別特恵受益国は、国際連合総会の決議により後発開発途上国とされている国で、特恵関税について特別の便益を与えることが適当であると認められる国である。《同法第8条の2第3項》
4 インドネシアから本邦に輸出される物品で、当該物品の生産がインドネシア等五か国のうち二以上の国を通じて行われたものについては、当該二以上の国を一の国とみなして原産地を認定することができる。《同法施行令第26条第3項》
5 特恵関税適用のための限度額等が設けられている物品については、その輸入額等が当該限度額等を超えることとなったときは、その超えることとなった月の翌月15日の翌日から特恵関税の適用が停止される。《同法第8条の4第1項》
第26問(課税価格の決定)
正 解 5

解 説
(正=5)
   輸入貨物の課税価格を、関税定率法第4条の2(同種又は類似の貨物に係る取引価格による課税価格の決定)の規定により決定する場合、当該輸入貨物の課税価格を、同種又は類似の貨物の課税価格のより近似値(乖離しないもの)を採用するため、同種又は類似の貨物は、当該輸入貨物の本邦への輸出の日又はこれに近接する日に本邦へ輸出されたもので、当該輸入貨物の生産国で生産されたものに限ることとされている。《関税定率法第4条の2第1項かっこ書》

(誤=1、2、3、4)
1 輸入貨物と同種又は類似の貨物に係る取引価格の双方があると きは、常に同種の貨物に係る取引価格が類似の貨物に係る取引価格に優先することとされている。《同法第4条の2かっこ書》
   これは、当該輸入貨物の課税価格として採用するには、類似の貨物に係る取引価格より、同種の貨物に係る取引価格の方がより正確さが高いとする合理性があることによる。
2 輸入貨物と同種の貨物との間に運送距離又は運送形態が異なることにより輸入港までの運賃等に相当の差異がある場合であっても、その差異により生じた価格差について、政令で定めるところにより必要な調整を行えば、当該同種の貨物の取引価格を用いることができる。《同法第4条の2第2項、同法施行令第1条の9第3項》
3 輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格と、他の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格の双方があるときは、価格の高低にかかわらず、常に輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格が優先することとされている。《同法施行令第1条の9第1項》
   これは、前記1と同様に輸入貨物の生産者が生産した同種の貨物に係る取引価格の方がより正確さが高いことによる。
4 「同種又は類似の貨物は、輸入貨物の取引段階及び取引数量と同一の取引段階及び取引数量により輸入された貨物に限られる」とする旨の規定はない。
   同一の取引段階及び取引数量による同種又は類似の貨物に係る取引価格がない場合には、取引段階又は取引数量が異なっても、当該異なる差異について必要な調整を行えば調整後の取引価格を用いることができることとされている。《同法第4条の2第2項、同法施行令第1条の9第3項》
第27問(関税率表の解釈に関する通則)
正 解 5

解 説
(正=イ−2、ロ−3、ハ−15、ニ−8、ホ−10)
   1.の記述は、通則1に基づくものであり、次のようになる。
   部、類及び節の表題は、単に参照の便宜のために設けたものである。関税率表の適用に当たっては、物品の所属は、項の規定及びこれに関係する(イ−部又は類の注)の規定に従い、かつ、これらの項又は(ロ−注)に別段の定めがある場合を除くほか、「関税率表の解釈に関する通則」の2から6までの原則に定めるところに従って決定する。
   2.の記述は、通則6に基づくものであり、次のようになる。
   関税率表の適用に当たっては、項のうちのいずれの(ハ−号)に物品が属するかは、(ハ−号)の規定及びこれに関係する(ハ−号)の(ロ−注)の規定に従い、かつ、「関税率表の解釈に関する通則」の1から5までに定める原則を(ニ−準用)して決定するものとし、この場合において、同一の水準にある(ハ−号)のみを(ホ−比較)することができる。
第28問(輸入貿易管理令)
正 解 3

解 説
(正=3)
   特定有害廃棄物等は輸入の承認の特例から除外されているので、当該貨物を輸入する場合には、輸入の承認を受けなければならない。《輸入貿易管理令第4条第1項第2号、輸入公表二の表の第2の3、同令第14条ただし書、経済産業大臣告示》

(誤=1、2、4、5)
1 輸入割当品目であっても、輸入の承認の特例に該当する貨物については、輸入の承認を要しない。《同令第4条第1項第1号、第14条》
2 税関長は、輸入の承認の有効期間を1月以内において延長することができる。《同令第18条第2号》
4 本邦に入国する巡回興行者が輸入する興行用具であっても、輸入の承認の特例から除外されている貨物については、輸入の承認を要する。《同令第4条第1項、同令別表第一第19号、同令第14条ただし書、経済産業大臣告示》
5 ワシントン条約附属書Uに掲げる種に属する動植物を輸入する場合には、特定の貨物を除き、その輸入申告の際に、輸出国の管理当局が発給した輸出許可書又は再輸出証明書の原本を税関に提出しなければならない。《同令第4条第1項第2号、第4条第2項、輸入公表三の表の8の(2)》
第29問(輸入してはならない貨物に係る専門委員への意見の求め)
正 解 2

解 説
(正=2)
   税関長は、輸入差止申立てがあった場合には、その輸入差止申立てが正当であるか否かを判断するために、その申立ての際に提出された証拠が当該申立てに係る侵害の事実を疎明するに足りると認められるか否かについて、専門委員に意見を求めることができることになっている。《関税法第69条の11》

(誤=1、3、4、5)
1 税関長は、輸入貨物が特許権を侵害する物品に該当するか否かの認定手続において、当該特許権の技術的範囲に関し、特許庁長官(「専門委員」ではない。)に対して意見を求めることができることになっている。《同法第69条の14第2項》
3 税関長は、輸入貨物の育成者権を侵害するか否かの認定手続において、育成者権を侵害するか否かの認定をするために必要があると認めるときは、農林水産大臣(「専門委員」ではない。)に意見を求めることができることになっている。《同法第69条の15第1項》
4 税関長は、商標権、著作権又は著作隣接権を侵害する貨物(以下、同じ。)であるか否かの認定手続において、商標権、著作権又は著作隣接権を侵害する貨物であるか否かの認定をするため、必要があると認めるときは、専門委員に意見を求めることができることになっている。《同法第69条の16》
5 税関長は、専門委員の厳正な中立性を確保して適正な意見を求める必要があるので、知的財産権に関し学識経験を有する弁護士又は弁理士であって、事案の当事者と特別の利害関係を有しない者に、専門委員に委嘱することになっている。《同法第69条の11第1項》
第30問(NACCS特例法)
正 解 2

解 説
(誤=2)
   関税法第30条第1項第2号(許可を受けて保税地域外に置く外国貨物)の規定により税関長が指定した場所への貨物の出し入れに関する業務は、電子情報処理組織を使用して行うことができる。《NACCS特例法第2条第2号、同法施行令第1条第5号》

(正=1、3、4、5)
1 電子情報処理組織を使用して行われた輸入(納税)申告に対する関税法第7条の16第4項ただし書(輸入の許可前における減額更正)の規定による税額等を是正させるための税関長の通知は、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律第3条第1項に規定する処分の通知とされているので、電子情報処理組織を使用して行うことができる。《同法第3条第1項、同法施行令第3条第1号》
3 電子情報処理組織を使用して行われる輸入(納税)申告は、輸入申告に必要なデータを電子送信することにより行われるので、電気通信の技術的側面をも考慮し、独立行政法人通関情報処理センターの使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に税関に到達したものとみなされる。《同法第3条第2項前段》
4 関税法第7条の14第1項(修正申告)の規定による修正申告は、その適正かつ迅速な処理を図るため、電子情報処理組織を使用して行うことができることになっている。《同法第3条第1項、同法施行令第2条、別表第2号》 
5 納税申告の適正かつ迅速な実施を確保するため、通関業者が電子情報処理組織を使用して他人の依頼による関税法第7条第1項(申告)に規定する納税申告を行う場合には、当該申告の入力内容を通関士に審査させなければならない。《同法第5条、同法施行令第7条》 

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