平成18年度第40回通関士試験解答 〔通関業法関係〕(時間45分) |
【選択式】 |
第1問(通関業の許可、許可の基準) |
正 解 イ−N、ロ−F、ハ−H、二−C、ホ−J 参照条文 1 通関業法第3条第1項(通関業の許可) 2 同法第3条第2項、第3項(許可の条件) 3 同法第5条第1号(経営の基礎に関する基準) 4 同法第5条第2号(人的構成に関する基準) |
第2問(通関士の設置) |
正 解 イ−D、ロ−@、ハ−F、二−L、ホ−C 参照条文 通関業法第13条第1項(通関士の設置)、同法施行令第4条第1項(通関士の設置) |
第3問(欠格事由) |
正 解 イ−G、ロ−H、ハ−E、二−M、ホ−K 参照条文 1 通関業法第6条第3号(禁錮以上の刑に処せられた者) 2 同法第6条第6号(通関業の許可を取り消された者等) |
第4問(通関業者に対する監督処分、通関士に対する懲戒処分) |
正 解 イ−B、ロ−D、ハ−A、二−C、ホ−N 参照条文 1 通関業法第34条第1項(通関業者に対する監督処分) 2 同法第35条第1項(通関士に対する懲戒処分) |
第5問(用語の定義) |
正 解 1、3 解 説 (通関業務に該当する手続又は行為=1、3) 1 輸入の許可後に特例申告(関税の確定及び納付に関する手続)をすることは、通関業法では、「通関手続」とされている。《通関業法第2条第1号イの(1)のかっこ書》 このため、通関業者が、関税法の規定に基づき税関官署に対して提出する通関手続に係る申告書(特例申告書)を他人の依頼によって作成することは通関業務に該当する。 《同法第2条第1号ロ》 3 特定輸出者の承認申請手続は、通関業法では「通関手続」とされている。《同法第2条第1号イの(1)の(五)》 このため通関業者が、特定輸出者の承認申請手続を他人の依頼によってすることは通関業務に該当する。《同法第2条第1号イ》 (通関業務に該当しない手続又は行為=2、4、5) 2 通関業法において、他人の依頼により「主張又は陳述」を代行することが通関業務に該当するのは、それが税関官署に対してするものに限られており、財務大臣に対してする主張又は陳述の代行は含まれていない。 4及び5 次の手続は、通関業法では、「通関手続」とはされていない。このため、通関業者が、これらの手続を他人の依頼によって代理することがあるとしても、通関業務には該当しない。 4 臨時開庁承認申請手続 通関業法において「通関手続」とは、輸出入の申告、申請等からその許可、承認等を得るまでの手続(関税の確定及び納付に関する手続を除く。)に限られているので、輸入申告をする前に行う臨時開庁承認申請手続は、通関手続には該当しないことになる。 5 用途外使用の届出手続 特定用途免税貨物を特定用途以外の用途に供するための届出は、当該貨物に係る輸入の許可後に行われる手続であるので、通関手続には該当しない。 |
第6問(営業区域の制限) |
正 解 1、2、3 解 説 (正=1、2、3) 1 通関業務等で相互に関連するものについては、許可を受けた税関の管轄区域外においても、所定の手続をとることにより、その業務を行うことができる場合がある。設問(特定輸出申告と当該申告に係る貨物の積込み手続)に掲げる事例はそれに該当する。《通関業法第9条、同法基本通達9−1の(2)》 2 関連業務は、誰でもすることができるものであるので、その業務をすることについて営業区域の制限を受けることはない。 3 同一人から依頼された通関業務等で相互に関連するものについては、許可を受けた税関の管轄区域外においても、所定の手続をとることにより、その業務を行うことができる。設問に掲げる事例はそれに該当する。《同法第9条、同法基本通達9−1の(1)》 (誤=4、5) 4 設問に掲げる業務は、通関業法第9条において規定する「相互に関連する業務」に該当するものであるので、税関の管轄区域を越えて行うことができる。《同法基本通達9−1の(3)》 5 同一人から依頼を受けた限定された種類の貨物に係る通関業務であっても、同法第9条において規定する「相互に関連する業務」に該当するものでない場合には、税関の管轄区域を越えて行うことはできない。 |
第7問(変更等の届出) |
正 解 1、5 解 説 (正=1、5) 1 法人である通関業者の役員が欠格事由に該当することがあるとすれば、税関長は、通関業の許可の取消しの要否を検討することになるので、通関業者は、その旨を遅滞なく税関長に届け出なければならないこととされている。《通関業法第12条第2号》 5 許可申請事項の変更の届出は、本来は、許可に係る税関長に対してしなければならないこととされている(同法第12条)が、その届出を二以上の税関長に対して行うときは、税関相互間において変更内容を相互通報することとされているので、運用上の措置として、当該二以上の税関長のいずれか一の税関長に対して行うことができることとされている。《同法基本通達12−1の(2)(3)》 (誤=2、3、4) 2 通関業務に係る取扱貨物が一定の種類のもののみに限られる旨の条件を付されている場合に、当該貨物の種類を変更しようとするときは、条件の変更申請(届出ではない。)を行い、当該条件の変更をしてもらわなければならないこととされている。《同法基本通達3−7》 (同法第12条の規定において、第4条第4号に掲げる「通関業務に係る取扱貨物が一定の種類のもののみに限られる場合には当該貨物の種類」が除外されていることに留意が必要。) 3 通関業務を行っている営業所に係る変更等の届出事項は、「名称及び所在地」とされており、設問にある「電話番号」の変更は、届出事項とはされていない。《同法第12条第1号、第4条第1項第2号》 4 法人である通関業者が通関業を廃止したことにより通関業の許可が消滅した場合の届出義務者は、通関業者であった法人を代表する役員(従業者ではない。)とされている。《同法施行令第3条第1号》 |
第8問(通関業の許可の消滅又は取消し) |
正 解 1、4 解 説 (正=1、4) 1 通関業者の役員が関税法の所定の規定に違反する行為をして関税法の規定による通告処分を受けると、当該通関業者は欠格事由に該当することになる。《通関業法第6条第4号イ》 そして、通関業者が欠格事由に該当したときは、税関長は通関業の許可を取り消すことができることとされている。《同法第11条第1項第2号》 4 通関業の許可が消滅したときは、許可が消滅したことを広く利用者に知らせる必要があるので、税関長は、遅滞なくその旨を公告しなければならないこととされている。《同法第10条第2項》 (誤=2、3、5) 2 通関業の許可の取消しは、税関長が、通関業法第11条(許可の取消し)の規定に基いて独自の判断で行うことができることとされている。 このため、通関業の取消しをしようとする通関業者が、仮に、他の税関長の許可を受けていることがあるとしても、その取消に際して、当該他の税関長の同意を得るということはない。 3 通関業の許可の取消しは、通関業の許可の存続が適当ではないとする事由が生じたときに、通関業の許可の効力を将来に向かって失わせようとするものである。 このため、通関業の許可が消滅した際にとられている「許可を受けていた者が引き続き当該許可を受けているものとみなす」というような措置《同法第10条第3項》は、当然のことながら講じられていない。 5 通関業法では、関税法第48条の2(許可の承継)において規定されているような、通関業の許可が消滅した場合における当該許可に基づく地位の承継に関する制度は、設けられていない。(合併により設立した法人によりあらためて許可を受けなければならない。) |
【択一式】 |
第9問(通関士の審査及び記名押印) |
正 解 0 解 説 (正=0) (誤=1、2、3、4、5) 1 税関官署に提出する関連業務に関する書類については、通関士の審査及び記名押印は要しないこととされている。《通関業法第14条》 2 通関士の設置を要しない営業所であっても、通関士が通関業務に従事しているところでは、通関業者は、通関士に通関書類の内容を審査させ、かつ、これに記名押印をさせなければならないこととされている。《同法第14条かっこ書》 3 通関士が通関書類の審査をすることとされている営業所は、通関士が通関業務に従事している営業所に限られている。《同法第14条かっこ書》 4 従前においては、通関士が通関書類に押印する印章については税関長へ届出るよう通達で指導されていたが、13年度に当該通達は 廃止されている。 5 通関士の審査等を要する通関書類には、税関長に提出する不服申立書も含まれている。《同法施行令第6条第2号》 |
第10問(検査の通知) |
正 解 3 解 説 (通知を要しない貨物の検査=3) 外国貨物の運送申告に係る貨物の検査は、通関手続に関するものではないので、通関業者等の立会いを求めるための通知を要するものとはされていない。《通関業法第16条》 (通知を要する貨物の検査=1、2、4、5) 次の検査はいずれも通関手続に関するものであるので、通関業者等の立会いを求めるための通知を要するものとされている。 1 蔵入承認申請に係る貨物の検査《同法施行令第7条第2号》 2 輸入申告に係る貨物の検査《同法第16条》 4 展示等申告に係る貨物の検査《同法施行令第7条第3号》 5 積戻し申告に係る貨物の検査《同法施行令第7条第1号》 |
第11問(確認) |
正 解 2 解 説 (誤=2) 通関士試験に合格した者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとする場合には、その者が自己の通関業務に通関士として従事していた経験がある者を、再び自己の通関業務に通関士として従事させようとするときであっても、税関長の確認を受けなければならないこととされている。《通関業法第31条第1項》 (正=1、3、4、5) 1 通関士試験に合格した者は、どの税関の管轄区域内においても、通関士となる資格を有しているので、通関業者は、通関士試験に合格した者について、当該合格した者が受験した地を管轄する税 関長以外の税関長の確認を受けることができる。《同法第25条、第31条》 3 通関士が同一税関の管轄区域内にある通関業者の他の営業所に通関士として異動することがあるとしても、通関士でなくなることはない。《同法第32条第1号》 このため、通関業者は、上記のような異動をさせた場合、改めて税関長の確認を受ける必要はない。 4 設問に掲げられている者は欠格事由に該当するので、刑の執行を終わった日から3年を経過しなければ、税関長の確認を受けることができない。《同法第6条第4号イ、第31条第2項第1号》 5 関税法の所定の規定に該当する違反行為をした者は、法令遵守が期待できない者であるので、当該違反行為があった日から2年を経過しなければ、税関長の確認を受けることができない。《同法第31条第2項第2号》 |
第12問(通関士の資格の喪失) |
正 解 5 解 説 (誤=5) 通関士が懲戒処分を受けることがあるとしても、2年間その者が通関業務に従事することを禁止され、通関業法第6条に規定する欠格事由に該当することにならない限り、通関士でなくなることはない。《通関業法第32条第2号》 (正=1、2、3、4) 1 地方税を免れ罰金の刑に処せられた通関士(《通関業法第6条》に規定する欠格事由に該当することになったもの)には、通関業務の適正な処理は期待できないので、その資格を喪失することとされている。《同法第32条第2号》 2 通関士が、確認を受けた通関業者の通関業務に従事しなくなった場合には、その資格を喪失することとされている。《同法第32条第1号》 3 通関士が疾病により通関業務に従事することができなくなったとしても、当該業務に従事する意思を有しながら、やむを得ず休んでいるものであるので、通関業務に従事しないこととなったときには該当しない取扱いとされている。 《同法基本通達32−1の(2)》 4 通関士が他の税関の管轄区域にある同一法人の営業所に異動することになれば、確認を受けた通関業者の通関業務に従事しないことになるので、その資格を喪失することとされている。《同法第32条第1号》 |
第13問(処分の手続) |
正 解 0 解 説 (正=0) (誤=1、2、3、4、5) 1及び3 税関長は、通関士に対する懲戒処分をしようとするとき、審査委員の意見を聞く必要はない。《通関業法第37条第1項》 2 税関長は、通関業者に対する監督処分をしようとする場合、当該違反行為を行った従業者の意見を聞く必要はない。《同法第37条第1項》 4 税関長は、通関業者に対して監督処分をしようとするときは、処分が公正を欠くことのないよう手続上慎重な配慮をするため、審査委員の意見を聞かなければならないこととされている。《同法第37条第1項》 5 通関士に対する懲戒処分をする場合、処分理由を付記した書面によるその旨の通知は、当該処分を受ける者(通関士)に対してしなければならないこととされている。《同法第37条第1項》 |
第14問(法人罰) |
正 解 4 解 説 (両罰規定の対象とされていない罪=4) 両罰規定(通関業法第45条の規定)は、通関業法に定められた罰則のうち、通関士又は従業者を犯罪の主体とする罪(例えば、同法第44条第2号(通関士の名義貸しの罪))については、適用されないこととされている。《通関業法第45条》 (同法第45条において、第44条第2号の適用が除外されていることに要注意。) (両罰規定の対象とされている罪=1、2、3、5) 次の罪については、いずれも両罰規定が適用されるものとされている。《同法第45条》 1 監督処分(通関業務の全部又は一部の停止)に違反して通関業務を行う罪(第41条第1項第4号) 2 偽りその他不正の手段により通関士の確認を受ける罪(第42条第1号) 3 名称の使用制限に違反して通関士という名称を使用する罪(第 44条第3号) 5 税関職員の質問に答弁しない罪(第43条第2号) |