本試験問題と解答・解説


平成17年度第39回通関士試験問題
  

〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分)

〔記述式〕

第1問 輸出申告書の作成

別紙の仕入書及び下記事項により、「冷凍魚類」の輸出申告書を作成しなさい。
なお、答案用輸出申告書への記入は、既に記入済の欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。

1 統計品目番号は、別添1の「輸出統計品目表」(抜すい)を参照して記入する。

2 統計品目番号が同一となるものがあるときは、これらを一欄にまとめる。

3 統計品目番号が異なるものの申告価格が20万円以下のものについては、これらを一括して、代表品名により、輸出申告書の一欄に記入する。
    なお、この場合には「統計品目番号」欄に×印を、また、「単位」欄及び「数量」欄については、単位が同一のものについて、正味数量に係るものを記入する。

4 別紙の仕入書に記載されている価格には、東京港における本船甲板渡し価格(FOB価格)に、貨物の正味重量1Kg当たりUS$2.00に相当する額の海上運賃が加算されている。

5 別紙の仕入書に記載されている米ドル建価格の本邦通貨への換算は、別添2の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。

6 この申告書の申告年月日は、平成17年9月30日とする。

7 この申告書の審査を行った通関士は、「財務太郎」とする。

8  押印を必要とする箇所には、○印を記入する。

(別紙)

INVOICE


     Seller                        Invoice No. and Date
     NIPPON TRADING CO., LTD.             NT-5097  Sep. 22nd, 2005
     1-1, 3-chome,Kasumigaseki           Reference No. 
     Chiyoda-ku, Tokyo, JAPAN              ORDER NO. BI-200571
 Buyer
  BRAZILIAN IMPORT CO.,LTD.
   1101 Sun Road
   Sao Paulo, BRAZIL
 Country of Origin:JAPAN
 L/C No.      Date
  LC-500025   Sep.15th,2005
 Vessel or   On or about
  TOKYO MARU Oct.5th, 2005      
 Issuing Bank
  BRAZIL BANK, BRAZIL
 From          Via
  Tokyo,JAPAN
 To
  Santos, BRAZIL
 Other Payment Terms
  
Marks and Nos. Description of Goods Quantity
(Kgs)
Unit Price
(per KG)
Amount
<BIC> FROZEN FISH
1 BLUEFIN TUNA FILLETS N/W 150.0 US$75.00 US$11,250.00
2 SKIPJACK WHOLE N/W 200.0 US$25.00 US$5,000.00
BI-200571
SANTOS
3 SKIPJACK FILLETS N/W 70.0 US$27.00 US$1,890.00
4 SEA BREAM WHOLE N/W 50.0 US$35.00 US$1,750.00
C/T NO.1-47   C&F US$19,890.00
MADE IN JAPAN      

 Total : 47 Cartons Net/W 470 Kgs

                                  NIPPON TRADING CO.,LTD.
                                   (signature)
別添1 輸出統計品目表(抜すい)

   *** こちらから ***


別添2 実勢外国為替相場の週間平均値
     (1米ドルに対する円相場)
期   間 週間平均値
平成17.9.4 〜 平成17.9.10
平成17.9.11 〜 平成17.9.17
平成17.9.18 〜 平成17.9.24
平成17.9.25 〜 平成17.10.1
¥107.00
¥110.00
¥110.50
¥113.00

第2問 輸入(納税)申告書の作成

別紙の仕入書及び下記事項により、「パスタ」を直輸入する場合の輸入(納税)申告書を作成しなさい。
なお、答案用輸入(納税)申告書への記入は、既に記入済の欄、斜線で抹消してある欄及び※印の欄以外の箇所について行うこととし、和文又は英文で記入しなさい。

1 申告書中段の番号、統計細分、税表細分及び税率は、別添1の「実行関税率表」(抜すい)を参照して記入する。

2 別紙の仕入書に記載されている米ドル建価格の本邦通貨への換算は、別添2の「実勢外国為替相場の週間平均値」を参照して行う。

3 別紙の仕入書に記載されている「パスタ」の商品説明は以下のとおりである。

(1)「SPAGHETTI」
デュラム小麦のセモリナ100%で、単に1.5mmの太さにしたものである。

(2)「BEEF RAVIOLI」
デュラム小麦のセモリナ100%の生地に牛肉を詰めたもので、重量割合は生地50%、牛肉50%であり、砂糖は使用していない。

(3)「SPINACH RAVIOLI」
デュラム小麦のセモリナ100%の生地にほうれん草を詰めたもので、重量割合は生地 50%、ほうれん草50%であり、砂糖は使用していない。

4 課税価格が20万円以下となる品目については、1欄に取りまとめることとする。

5 別紙の仕入書に記載されている数量は、正味の数量である。

6 イタリアは、協定税率適用国である。

7 「パスタ」には、消費税4%及び地方消費税(消費税額の25%)が課されるものとする。

8 この申告書の申告年月日は、平成17年10月2日とする。

9 この申告書の審査を行った通関士は、「財務太郎」とする。

10  押印を必要とする箇所には、○印を記入する。

(別紙)

INVOICE


     Seller                             Invoice No. and Date
     UTALIAN PASTA PRODUCTS CO.,LTD              IPP-050419 Aug.14th,2005
     725 Central road,                       Reference No.
     La spezia, Italy .                             Order No. ZT 05-0419
 Buyer
  ZAIMU TRADING CO., LTD
  1-1, 3-Chome Kasumigaseki
  Chiyoda-ku Tokyo, JAPAN.
 Country of Origin:
  ITALY
 Vessel        Voyage
  EUROPE MARU   24 N      
 L/C No.  Date
  TOKLC-050705 Jul.5th,2005
 From          Via
  La spezia, ITALY  Aug. 17th, 2005      
 Issuing Bank
  KASUMI BANK   
 To          On or about
  Tokyo,JAPAN   Sep. 25th, 2005      
 Payment Terms
  L/C at sight
 
Marks and Nos. Description of Goods Quantity Unit Price Amount
    CTN   Kgs Per   Kgs CIF  TOKYO
<ZTC> ITALIAN PASTA
ZT 05-0419 SPAGHETTI 1,600  8,000.00 US$0.85 US$6,800.00
TOKYO BEEF RAVIOLI 80   400.00 US$2.10 US$ 840.00
MADE IN ITALY SPINACH RAVIPLI 80   400.00 US$1.50 US$ 600.00

                             Total : 1,760 8,800              US$8,240.00
B/L NO.SPTY4419724
                                 ITALIAN PASTA PRODUCTS CO., LTD.

                              (Signature) 
別添1 実行関税率表(抜すい)

   *** こちらから ***

別添2 実勢外国為替相場の週間平均値
      (1米ドルに対する円相場)
期   間 週間平均値
平成17.9.11 〜 平成17.9.17
平成17.9.18 〜 平成17.9.24
平成17.9.25 〜 平成17.10.1
平成17.10.2 〜 平成17.10.8
¥110.00
¥110.50
¥103.00
¥114.00

〔短答式〕

第1問 次の記述は、関税の納付に関するものであるが、その記述の正しいものの組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

a 修正申告により納付することとなった関税に併せて納付する延滞税は、特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する。
b 関税に過誤納金があるときは、過誤納金の還付を受ける者に他に納付すべき関税があったとしても、その還付を受けるべき金額をその関税に充当することはできない。
c 申告納税方式による関税は、納付すべき関税額が1万円未満の場合には、金銭に代えて印紙をもって納付することができる。
d 関税に過誤納金があるときは金銭で還付しなければならないが、還付加算金の額が千円未満である場合は、還付加算金は加算しない。
e 関税の担保として国債又は土地を提供した納税義務者は、担保として提供した国債又は土地をもって関税の納付に充てることができる。
  1. a、d
  2. a、e
  3. b、c
  4. b、e
  5. c、d

第2問 輸入統計品目番号が異なるA及びBの貨物を一の申告書で輸入(納税)申告したが、納税後に おいて、下表のとおり課税標準に誤りが判明し、修正申告をすることとなった。
この場合において、当該修正申告により納付すべき関税額(附帯税の額を除く。)を計算し、その額をマークしなさい。
 貨物の品名 輸入(納税)申告時の課税標準 修正申告時の課税標準 適用税率
A 356,400円 457,800円 12.5%
B 121,800円 155,800円 8.7%

第3問
 次の記述は、輸出申告又は積戻し申告の手続に関するものであるが、その記述の正しいものの組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

a 輸出の許可を受けて積載予定船舶に積み込まれた貨物の一部がその船舶の出港前、かつ、船荷証券発行前に船卸しされた場合には、数量変更の申請を行うことにより、当該輸出の許可数量の変更が認められる。
b 輸出申告の際に関税法第70条第1項(証明又は確認)の規定による証明を要する貨物であっても、積戻し申告の際には、当該証明を要しない場合がある。
c 輸出申告の撤回は、その申告に係る輸出の許可後には認められない。
d 逆委託加工貿易契約に基づいて輸出される貨物が無償である場合の申告価格は、有償で取引される同種又は類似の貨物の価格が判明している場合であっても、当該輸出貨物の製造原価に船積みまでに要する費用等を加えた価格である。
e 保税展示場から他の保税地域に運送された外国貨物の積戻しを行う場合には、一般の輸出申告書の表題を「積戻し申告書」と訂正したものにより行わなければならない。
  1. a、c
  2. a、d
  3. b、c
  4. b、e
  5. d、e

第4問 次の記述は、輸入通関に関するものであるが、その記述の正しいものの組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

a 関税が無税とされている貨物であって、課税価格の合計額が1万円以下のものであれば、納税申告を要しない。
b 郵便物として輸入される貨物が商業量に達する貨物である場合には、輸入の許可を要する。
c 輸出の許可を受けた貨物を積載予定船舶へ積み込む前に輸出しないこととなった場合で、当該貨物が商業量に達しないときは、その引き取りに際して輸入の許可を要しない。
d インターネットを利用して売買契約した物品を、個人の使用に供するために本邦に引き取る場合であっても、輸入の許可を要する。
e 本邦の船舶により公海又は外国の排他的経済水域の海域において採捕された水産物を本邦に引き取る場合には、輸入の許可を要しない。
  1. a、b
  2. a、d
  3. b、c
  4. c、e
  5. d、e

第5問 次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。

  1. 輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)から金属加工機械を輸入する。
  2. 当該金属加工機械の仕入書価格は、FOB価格6,000,000円である。
  3. Mは、当該金属加工機械を輸入するに当たり、仕入書価格とは別に、次の費用を支払うこととなっている。
    • イ 輸出港から輸入港までの運賃・・・・・・・・・・・300,000円
    • ロ 輸入港からMの倉庫までの国内運賃・・・・・・・・・・・200,000円
    • ハ 輸出港からMの倉庫まで一括して緬結した保険契約に係る保険料・・・・・・・50,000円
    • ニ 輸入後に行われる当該金属加工機械の据付けの費用・・・・・・・・500,000円
    • ホ 当該金属加工機械を購入するために支払った買付手数料・・・・・・・・・・・180,000円
  4. Mと]との間に特殊関係はない。

第6問 次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。
  1. 輸入者M(買手)は、A国の輸出者X(売手)から家具を継続的に輸入する。
  2. 今回輸入する家具の仕入書価格は、C&F価格7,000,000円である。は、当該家具を輸入するに当たり、仕入書価格とは別に、次の費用を支払うこととなっている。
  3. Mは、当該家具を輸入するに当たり、仕入書価格とは別に、次の費用を支払うこととなっている。
    • イ 当該家具に係る実用新案権者である第三者に対して支払う当該実用新案権の使用料で、当該支払いが輸入取引の条件となっていると認められるもの・・・・2,000,000円
    • ロ 当該家具の生産に関して、MがXに対し無償で提供した当該家具に組み込まれている材料の費用・・・・・・・・500,000円
    • ハ MがA国において自己のために行った当該家具に係る検査費用・・・・・・・・・・・・・・300,000円
    • ニ 当該輸入取引が延払条件付取引であることによる延払金利・・・・・・・・・・50,000円
  4. 当該家具には国際運送貨物保険は付保されていないが、同種の家具を通常輸入する場合の国際運送貨物保険料は、70,000円である。
  5. MとXとの間に特殊関係はない。
第7問 関税定率法第4条の3第1項(国内販売価格に基づく課税価格の決定)の規定により、次の取引内容に係る輸入貨物の課税価格を計算し、その額をマークしなさい。
  1. 輸入者M(買手)は、生産者でかつ輸出者であるX(売手)から精密機器(関税無税)100台を輸入した。
  2. 課税物件確定の時の属する日における輸入貨物と類似の貨物(当該輸入貨物の生産国で生産されたもの。)に係る国内販売の状況は次のとおりである。
    • 単 価 単価ごとの総販売数量
      21,000円 150台
      31,500円 430台
      36,250円 420台
  3. 輸入貨物と同類の貨物で輸入されたものの国内販売に係る通常の利潤及び一般経費は、750,000円である。
  4. 輸入貨物と類似の貨物に係る輸入港に到着するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用は、150,000円である。
  5. 輸入貨物と類似の貨物に係る輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該運送に関連する費用は、100,000円である。
  6. 輸入貨物と類似の貨物に係る本邦において課された消費税は、150,000円である。

第8問 下表の右欄に掲げるaからcまでの三つの物品のうち、下表の左欄に掲げるイからホまでの関税率表の類に含まれないものの正しい組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。
   関税率表の類 物 品
第3類  魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物 a 冷凍のえび(加熱してないもの)
b キャビア
c 冷凍のえび(蒸気による調理をしたもの)
第7類 食用の野菜、根及び塊茎 a 生鮮の豆
b しょうが
c 乾燥きのこ
第22類 飲料、アルコール及び食酢 a オレンジジュース
b ウイスキー
c ミネラルウォーター(鉱水)
第40類 ゴム及びその製品 a 乗用自動車のゴムタイヤ
b ゴム製の長靴
c ゴム製の外科用手袋
第61類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。) a 中古のジーンズ
b パンティストッキング
c 模様編みのセーター
  1. イ― a、ロ― a、ハ― b、ニ― b、ホ― b
  2. イ― b、ロ― b、ハ― a、ニ― b、ホ― a
  3. イ― b、ロ― c、ハ― a、ニ― c、ホ― a
  4. イ― c、ロ― b、ハ― c、ニ― c、ホ― c
  5. イ― c、ロ― c、ハ― c、ニ― a、ホ― a


第9問 次の記述は、関税率表の所属の決定に関するものであるが、その記述の正しいものの組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

a アイススケートを取り付けたスケート靴は、履物として第64類に分類する。
b 第22.02項において「アルコールを含有しない飲料」とは、アルコール分が0.5%以下の飲料をいう。
c 活性炭は、木製品として第44類に分類する。
d 革製の帽子は、革製品として第42類に分類する。
e 香味を付けた茶は、茶として第9類に分顛する。

  1. a、d
  2. a、e
  3. b、c
  4. b、e
  5. c、d

第10問 下表のA欄に掲げる物品をB欄に記載されているように処理又は加工し、C欄に掲げる物品とした場合、C欄の物品がA欄の物品と同じ関税率表の類に分類されるものの正しい組合せはどれか。一つを選び、その番号をマークしなさい。

A 欄 B 欄 C 欄
a 生鮮のにしん
(第3類)
くん製にする くん製のにしん
b ばれいしょ
(第7類)
すりつぶして乾燥させる ばれいしょ粉
c ごま
(第12類)
しぼる ごま油
d 金の塊
(第71類)
成型加工する 金の指輪
e 未記録磁気テープ
(第85類)
データを記録する ソフト記録済みのテープ

  1. a、b、e
  2. a、c、d
  3. a、d、e
  4. b、c、d
  5. b、c、e


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