本試験問題と解答・解説


平成17年度第39回通関士試験解答
  

〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分)

〔記述式〕

輸出申告書の作成問題(第1問)模範解答の補足説明

1.品名、統計番号 
(1)申告書第1欄「Frozen Bluefin Tuna,Fillets」
○ 仕入書第1項の「(Frozen Fish) Bluefin Tuna Fillets」
冷凍のくろまぐろのフィレは、第03.04項(魚のフィレ等)に該当し、冷凍したフィレであるので第0304.20号に分類する。細分番号は「― ―まぐろ」の「400」となる。
(2)申告書第2欄「Frozen Skipjack,Whole」 
○ 仕入書第2項の「(Frozen Fish) Skipjack Whole」
冷凍のかつお(全形のもの)は、第03.03項(冷凍した魚)に該当し、冷凍したかつおであるので第0303.43号に分類する。細分番号は「000」となる。
(3)申告書第3欄「Frozen Skipjack (Fillets) etc.」 
@ 仕入書第3項の「(Frozen Fish) Skipjack Fillets」
冷凍のかつおのフィレは、第03.04項(魚のフィレ等)に該当し、冷凍したフィレであるので第0304.20号に分類する。細分番号は「― ―その他のもの」の「900」となる。
A 仕入書第4項の「(Frozen Fish) Sea Bream Whole」
冷凍のたい(全形のもの)は、第03.03項(冷凍した魚)に該当し、冷凍したたいであるので第0303.79号(その他のもの)に分類する。細分番号は「― ― ―たい」の「300」となる。
B 統計番号が異なるものの申告価格が20万円以下のものを一括扱い
仕入書第3項「(Frozen Fish) Skipjack Fillets :冷凍のかつおのフィレ」と仕入書第4項「(Frozen Fish) Sea Bream Whole :冷凍のたい(全形のもの) 」は、後記3.輸出申告価格のとおり、いずれも申告価格が20万円以下であるので、これらをまとめて輸出申告書の一欄に記入することになる。
なお、これらの一括扱いに伴い、品名欄にはこれらのうち価格の大きな「Frozen Skipjack(Fillets)」を代表品名とし「etc.」を付記する。また、統計品目番号欄には「×」を記入する。

2.正味数量 
数量は、仕入書記載の正味数量(N/W)を輸出申告書に記入する。なお、申告書第3欄の単位欄には一括した複数貨物の単位が同一のものである「KG」を記入する。
(1)申告書第1欄:0304.20−400 KG 150
(2)申告書第2欄:0303.43−000 KG 200
(3)申告書第3欄:     ×      KG 120

3.輸出申告価格
輸出貨物の輸出申告価格(FOB価格)については、輸出申告書作成問題の記4により、仕入書記載価格(C&F価格)には、東京港における本船甲板渡し価格(FOB価格)に、貨物の正味重量1Kg当りUS$ 2.00に相当する額の海上運賃が加算されていると言及されていることから、米ドル建価格であるC&F価格からFOB価格への換算は下記のように計算する。
また、仕入書に記載されている外国通貨(米ドル建価格)の本邦通貨への換算は、輸出申告年月日が平成17年9月30日であるので、この輸出申告の日が属する週の前々週(平成17年9月11日〜9月17日の週)における平均値である110.00円/US$ により行う。
(1)申告書第1欄:0304.20−400 仕入書第1項の貨物
FOB US$=C&F US$11,250−(150kg×US$2.00)=C&F US$11,250−US$300
              =US$10,950
FOB      \=US$10,950×110円/US$=1,204,500円
(2)申告書第2欄:0303.43−000 仕入書第2項の貨物
FOB US$=C&F US$5,000−(200kg×US$2.00)=C&F US$5,000−US$400
              =US$4,600
FOB      \=US$4,600×110円/US$=506,000円
(3)申告書第3欄:       ×       仕入書第3項及び第4項の貨物
@仕入書第3項の貨物の計算
FOB US$=C&F US$1,890−(70kg×US$2.00)=C&F US$1,890−US$140=US$1,750
     FOB \=US$1,750×110円/US$=192,500円
A仕入書第4項の貨物の計算
FOB US$=C&F US$1,750−(50kg×US$2.00)=C&F US$1,750−US$100=US$1,650
     FOB \=US$1,650×110円/US$=181,500円
B仕入書第3項及び第4項の貨物の一括扱い(合計)
                                     @+A = 374,000円

4.申告価格欄最下部
仕入書価格がFOB価格ではなくC&F価格であり、その輸出申告価格が100万円を超えているので、申告価格欄の最下部にその建値及び決済金額を記載し、アンダーラインを引くこと。
    C&F US$  19,890.00



輸入申告書の作成問題(第2問)模範解答の補足説明

1.品名、税表番号、統計細分、税表細分
(1)申告書第1欄「(ITALIAN PASTA) SPAGHETTI」 
○ 仕入書第1項「(ITALIAN PASTA) SPAGHETTI」
イタリアンパスタのスパゲッティは、輸入申告書作成問題の記3−(1)によると、「デュラム小麦のセモリナ100%で、単に1.5oの太さにしたもの」であって、「卵を含有するもの」ではないので、「第19.02項」の所属区分の記載から、第1902.19号「その他のもの(卵を含有しないもの)」に該当し、「2 その他のもの」の「− マカロニ及びスパゲッテイ」の「― ― スパゲッティ」に分類する。
したがって、税表細分は「−2」、統計細分は「093」となる。
基本税率は40円/s、協定税率は30円/sで、イタリアは協定税率適用国であるので、協定税率の30円/sが適用される。
(2)申告書第2欄「(ITALIAN PASTA) BEEF RAVIOLI & SPINACH RAVIOLI」
@ イタリアンパスタのビーフ・ラビオリは、輸入申告書作成問題の記3−(2)によると、「デュラム小麦のセモリナ100%の生地に牛肉を詰めたもので、重量割合は生地50%、牛肉50%であって、砂糖は使用していない」ものである。
「第19.02項」の所属区分の記載から、本品は詰物をしたパスタであるので第1902.20号に、また、砂糖を加えてないので税表細分の2に分類され、その2の(1)はソーセージ、肉、魚、甲殻類等の含有量が20%を超え、かつ、これらの物品のうち、えびが最大の重量を占めるものとあり、えびは入っていないので、税表細分は「―2―(2)」となる。
しかし、本品は牛の肉を含有しているので、統計細分は「222」となる。
税率は、基本税率(25%)よりも協定税率(21.3%)が低く、イタリアは協定税率適用国であるので、21.3%の協定税率が適用される。
A 仕入書第3項「(ITALIAN PASTA) SPINACH RAVIOLI 」
イタリアンパスタのスピナッチ・ラビオリは、輸入申告書作成問題の記3―(3)によると、「デュラム小麦のセモリナ100%の生地にほうれん草を詰めたもので、重量割合は生地50%、ほうれん草50%であって、砂糖は使用していない」ものであるので、上記@と同じく税表細分は「―2―(2)」となる。
本品は牛肉等を含有していないので統計細分は「229」となり、適用税率は、@と同じく、21.3%の協定税率となる。
B 統計品目番号が異なる課税価格20万円以下の貨物で適用税率が同一であるものの少額合算
仕入書第2項「(ITALIAN PASTA) BEEF RAVIOLI:イタリアンパスタのビーフ・ラビオリ」と仕入書第3項「(ITALIAN PASTA) SPINACH RAVIOLI:イタリアンパスタのスピナッチ・ラビオリ 」は、後記3.輸入申告価格(関税の課税価格相当額)のとおり、いずれも20万円以下であり、かつ、4.関税率−(2)のとおり、適用税率が協定税率21.3%であるので、これらをまとめて(少額合算して)輸入申告書1欄に記入することになる。
なお、少額合算することに伴い、税表番号欄には、それぞれに共通する税表番号である「第1902.20号」を記入し、統計細分欄には「×」を記入する。

2.正味数量
通関する数量は、仕入書記載数量と同じあるので、仕入書記載の正味数量を輸入申告書に記入する。
(1)申告書第1欄:1902.19−093「(ITALIAN PASTA) SPAGHETTI」
イタリアンパスタのスパゲッティ正味重量は、仕入書第1項から8000sである。
(2)(2)申告書第2欄:1902.20−×「(ITALIAN PASTA) BEEF RAVIOLI & SPINACH RAVIOLI」
イタリアンパスタのビーフ・ラビオリ及びスピナッチ・ラビオリの正味重量は、仕入書第2項仕入書第3項から、次のように800sである。
   イタリアンパスタのビーフ・ラビオリ     400s
   イタリアンパスタのスピナッチ・ラビオリ 400s
                              計              800s 
しかし、イタリアンパスタのビーフ・ラビオリ及びスピナッチ・ラビオリは、上記1−(2)−Bのとおり、少額合算するが、従価税品であるので、統計単位と正味数量800sについては、輸入申告書に記入する必要がない。

3.輸入申告価格(関税の課税価格相当額)
輸入貨物の輸入申告価格は、従価税品は課税価格であり、従量税品であっても課税価格相当額である。《関税法施行令第59条の2第2項》
輸入貨物の輸入申告価格(関税の課税価格相当額)は、仕入書記載価格(CIF価格)から計算して記入する。
仕入書に記載されている外国通貨(米ドル建価格)の本邦通貨への換算は、輸入申告年月日が平成17年10月2日であるので、この輸入申告の日が属する週の前々週(平成17年9月18日〜9月24日の週)における平均値である110.50円/US$ により行う。
(1)申告書第1欄:1902.19−093「(ITALIAN PASTA) SPAGHETTI」
CIF US$6,800 × 110.50円/US$ =   751,400円
(2)申告書第2欄:1902.20−×「(ITALIAN PASTA) BEEF RAVIOLI & SPINACH RAVIOLI」
BEEF RAVIOLI      CIF US$840×110.50円/US$=  92,820円
SPINACH RAVIOLI   CIF US$600×110.50円/US$=  66,300円 
                                              計     159,120円

4.申告書各欄ごとの税額
輸入貨物の輸入申告価格は、前記3(輸入申告価格(関税の課税価格相当額))のとおり課税価格相当額である。《関税法施行令第59条の2第2項》
消費税の課税標準は、関税の課税価格相当額に、関税額(端数処理済みのもの)を加算した額である。《消費税法第28条第3項》
地方消費税の課税標準額は、消費税額(端数処理済みのもの)である。《地方税法第72条の82》
(1)申告書第1欄:1902.19−093「(ITALIAN PASTA) SPAGHETTI」
@ 関税額
                       課税数量
                        8,000s × 30円/s  =  240,000円
A 消費税額
  輸入申告価格    関税額     課税標準額
  (751,400円+240,000円= 991,400円)
                                                     ↓ 千円未満の端数切捨て
                                           991,000円 ×4% = 39,640円
B 地方消費税額  
                                  課税標準額
                                      39,600円 × 25% =       9,900円
(2)申告書第2欄:1902.20−×「(ITALIAN PASTA) BEEF RAVIOLI & SPINACH RAVIOLI」
@ 関税額
     輸入申告価格(課税価格相当額)
                 159,120円
                                ↓ 千円未満の端数切捨て
                  159,000円  × 21.3% =   33,867円
A 消費税額
    輸入申告価格 関税額   課税標準額
  159,120円+33,800円= 192,920円
                                                   ↓ 千円未満の端数切捨て
                                            192,000円 ×4%=7,680円
B 地方消費税額 
                        課税標準額
                    7,600円 × 25% =   1,900円

5.税額合計(納付すべき税額)
○「納付税額」欄
今回の輸入(納税)申告によって納付する各税目ごとに、申告書第1欄と申告書第2欄の端数処理前の税額を合計した後に、100円未満の端数を切り捨てた額を記入する。したがって、納付する各税目ごとの下2桁は「00」円となる。
@ 関税額
申告書第1欄 申告書第2欄
  240,000円 +   33,867  =  273,867円
                                    百円未満の端数切捨て↓
                                                                 273,800円
A 消費税額
申告書第1欄 申告書第2欄
  39,640円  +   7,680円 =   47,320円
                                   百円未満の端数切捨て↓
                                                                  47,300円
B 地方消費税額
申告書第1欄   申告書第2欄
  9,900円  +   1,900円 =    11,800円
                                  百円未満の端数切捨て↓
                                 11,800円





〔短答式〕


第1問(関税の納付)

正解 1

解説 
(正=a、d)
a 修正申告により納付することとなった関税に併せて納付する延滞税は、その計算 が単純であること、通常その計算の基礎となる期間が予測し難いことの理由等から、その額の確定について特別の手続を要しないで納付すべき税額が確定する。《関税法第6条の2第2項》
d 税関長は、過誤納金を還付する場合には、利子として還付加算金を加算して還付しなければならないが、関税の納付遅延による遅延利息に当たる延滞税の徴収において延滞税額が千円未満の場合には徴収しないことになっていることとのバランス等を図る目的から、その還付加算金の額が千円未満である場合は、還付事務の簡易化、能率化に資するために、還付加算金を加算しない。《同法第13条第5項》
(誤=b、c、e)
b 関税に過誤納金があって金銭で還付する場合において、その過誤納金の還付を受けるべき者について納付すべき関税があるときは、税関長が過誤納金を還付して関税を徴収し、過誤納金の還付を受けるべき者が過誤納金の還付を受けて関税を納付するという過誤納金還付とこれに引き続く関税の徴収の事務の簡易化、能率化を図るため、税関長は、その還付すべき金額をその関税に充当して、その還付すべき金額と納付すべき関税を対等額において相互に消滅させることができる。《同法第13条第7項》
c 関税は、金銭又法定の証券をもって納付しなければならないことになっており、納付する関税額が1万円未満である場合のように少額であっても、収入印紙をもって納付することはできない。《同法第9条の4、第77条第4項》
e 提供された担保が国債又は土地であった場合には、税関長がこれを換価処分するのに相当な時間を要し、またその換価代金をもって必ずしも関税額を満足させることができることにならないので、関税の担保を提供した者は、担保として提供した国債又は土地をもって関税の納付に充てることはできない。《同法第10条第1項、同法施行令第8条の5》

第2問(修正申告により納付する関税額の計算)

正解 15,600円

解説 
修正申告により納付する関税額は、修正申告後の関税額(本来納付すべき関税額)から修正申告前の関税額(過少に申告し又は納付した関税額)を控除した額である。
@ 修正申告前の関税額(過少に申告し又は納付した関税額)
  貨物A  
       356,400円 
          ↓ 千円未満の端数切捨て
       356,000円 × 12.5% = 44,500円   
  貨物B
       121,800円 
          ↓ 千円未満の端数切捨て   
       121,000円 × 8.7% =  10,527円
  ∴ 納付済み関税額 
    44,500円 + 10,527円 =   55,027円 
               百円未満の端数切捨て ↓
                                  55,000円
A 修正申告後の関税額(本来納付すべき関税額)
  貨物A  
       457,800円 
           ↓ 千円未満の端数切捨て
         457,000円 × 12.5% =  57,125円   
  貨物B
       155,800円 
                   ↓ 千円未満の端数切捨て
        155,000円 × 8.7% =   13,485円
  ∴ 本来納付すべき関税額 
       57,125円 + 13,485円=  70,610円 
                百円未満の端数切捨て ↓
                                       70,600円
B 修正申告により納付すべき関税額
  Aの関税額70,600円−@の関税額55,000円 =15,600円


第3問(輸出申告又は積戻し申告の手続)

正解 1

解説 
(正=a、c)
a 輸出の許可を受けて積載予定船舶に積み込まれた貨物の一部がその船舶の出港前で、かつ、船荷証券発行前に船卸しされた場合には、輸出許可を受けた税関官署又は船積のために保税運送した到着地の税関官署に対して所定の書類(船名・数量等変更申請書)に輸出許可書等を添付して提出することにより当該輸出の許可数量の変更が認められる。《関税法基本通達67−1−13》。
c 輸出申告の撤回は、貨物の輸出者が自ら行った「輸出の許可を受けたい」という意思表示の効果を将来に向かって消滅させることであるので、税関長が輸出の許可をするまで間に限り認められる。《同法基本通達67−1−10》
(注)貨物の輸出者が行った「輸出の許可を受けたい」という意思表示に対して、税関長が輸出の許可をした後においては、行政処分の公定性及び安定性を維持するために、当該輸出者は、輸出申告の段階にまで意思表示の効果を消滅させる撤回を行うことができない。《同法基本通達67−1−10》
(誤=b、d、e)
b 外国へ向けて送り出す外国貨物が、他の法令の規定により輸出(積戻し)に関して許可、承認等、検査又は条件の具備を必要とするものであるときは、当該許可、承認等を受けていることを積戻し申告に際して税関に証明し、又は当該検査の完了若しくは条件の具備を税関による積戻し申告書の審査又は貨物の検査の際に証明しその確認を受けなければ、積戻し許可を受けることができない。(「輸出」も「積戻し」も貨物を外国に向けて送り出すことという点では、両者は同じであり、また他の法令(関税関係法令以外の法令)において規定する「輸出」には、関税法にいう外国貨物の積戻しも含まれている。)《同法第75条において準用する第70条》
d 逆委託加工貿易契約に基づいて輸出される貨物が無償である場合の申告価格は、当該貨物が有償で輸出されるとした場合における本邦の輸出港における本船甲板渡し価格に準じる条件による価格でなければならない。(当該輸出貨物の製造原価に船積みまでに要する費用等を加えた価格ではない。)《同法第67条、同法施行令第58条及び第59条の2第2項前段》
e 保税展示場にある外国貨物を他の保税地域に運送して積戻しを行う場合には、所定の「積戻し申告書」(展示等承認貨物積戻し申告書)により積戻し申告を行うこととされており、一般の輸出申告書の表題を「積戻し申告書」と訂正したものにより行うのではない。《同法基本通達62の3−7−(2)》


第4問(輸入通関)

正解 5

解説 
(正=d、e)
d 個人がインターネットを利用した売買契約によって購入した物品が本邦に到着したことにより、これを使用するため本邦に引き取ることは輸入であるので、当該物品の購入者は、税関長に対して輸入の申告をし、その許可を受けることを要する。《同法第2条第1項第1号、第67条》
e 本邦の船舶により公海又は外国の排他的経済水域の海域において採捕された水産物は内国貨物であるので、この水産物を本邦に引き取る場合には、輸入の許可を要しない。《同法第2条第1項第4号、第2項、第67条》
(誤=a、b、c)
a 申告納税方式が適用される貨物については、その納付すべき関税額又は納付すべき関税額がないことが納税義務者である輸入者の行う納税申告によって確定するので、当該貨物を輸入する者は、当該貨物の関税が無税とされている場合であっても、税関長に対して関税の納付に関する申告をしなければならない。《同法第6条の2第1項第1号、第7条第1項》
b 郵便物として輸入される貨物は、万国郵便条約により国際郵便路線上を逓送される貨物であって簡易、迅速な取扱をする必要があるので、関税法第67条《輸入の許可》の規定が適用されないため、当該貨物が商業量に達するかどうかに関わりなく、また課税価格の多少に関わりなく、税関長に対して輸入の申告をして、その許可を受けることを要しない。《同法第76条第1項》
c 輸出の許可を受けた貨物は外国貨物とされているので、設問の貨物が商業量に達するものであるかどうかにかかわらず、当該外国貨物を国内に引き取る場合には、税関長に対して輸入の申告をして、その許可を受けることを要する。《同法第2条第1項第3号及び第1号、第67条》


第5問(課税価格の決定の原則による課税価格の計算)

正解 6,350,000円

解説 (注)( )内の数字は、設問の番号である。
1 仕入書価格(売手工場渡価格)(2)                     6,000,000円 @
2 輸入港から輸入港までの運賃(3−イ)                     300,000円 A
買手が支払う輸入取引契約における貨物の引渡場所から本邦の輸入港までの国際運送に要する運賃は、当該輸入貨物の課税価格に算入しなければならない。《関税定率法第4条第1項第1号》
3 輸入港からMの倉庫までの国内運賃(3−ロ)                      不算入
買手が支払う本邦の輸入港から買手の倉庫までの国内運賃は、本邦の輸入港までの国際運送に要する運賃ではないので、課税価格に算入してはならない。《同法施行令第1条の4第2号》
4 輸出港からMの倉庫まで一括した締結した保険契約にかかる保険料(3−ハ)
                                                       50,000円 B
買手が支払う輸出港からMの倉庫まで一括した締結した保険契約に係る保険料については、輸出港から本邦の輸入港までの国際運送に要する保険料の額と、本邦の輸入港から買手の倉庫までの国内運送に要する保険料の額とを、明確に区分することができないので、輸出港からMの倉庫まで一括した保険料の全額を課税価格に算入しなければならない。《同法第4条第1項、同法施行令第1条の4ただし書》
5 輸入後に行われる当該金属加工機械の据付けの費用(3−ニ)   不算入
輸入貨物の輸入申告の時の属する日(輸入申告の日)以後に行われる当該輸入貨物の据付け費用は、関税定率法第4条第1項各号(課税価格に算入すべ費用)に規定する費用ではないので、課税価格に算入してはならない。《同法施行令第1条の4第1号》
6 当該金属加工機械を購入するために支払った買付手数料(3−ホ) 不算入
買手が輸入貨物の買付業務を行った者に対して支払う手数料は、買手が行う輸入貨物の購入に関して買手に代わり貨物の買付を行う買付代理人に対して報酬として支払う手数料であって、買手が自己のために行う買付活動の費用であるので、課税価格に算入してはならない。《同法第4条第1項第2号かっこ書》
7   計(課税価格)   @+A+B =                     6,350,000円


第6問(課税価格の決定の原則による課税価格の計算)

正解 9,500,000円

解説 (注)( )内の数字は、設問の番号である。
1 仕入書価格(C&F価格)(2)                             7,000,000円  @
2 実用新案権者である第三者に対して支払う当該実用新案権の使用料(3−イ)
                                                     2,000,000円  A
買手が、輸入貨物の輸入取引の条件として、売手の指定した実用新案権者に対して実用新案権の使用の対価(ロイヤルティ)を支払うことは、売手に対して実用新案権の使用の対価を間接的に支払うことであり、買手は当該実用新案権の使用の対価をも含めて輸入貨物を購入したことになるので、当該実用新案権の使用の対価は、当該輸入貨物の課税価格に算入しなければならない。《同法第4条第1項第4号》
3 無償で提供した当該家具に組み込まれている材料の費用(3−ロ)
                                                       500,000円 B
買手が輸入貨物の生産及び輸入取引に関連して、無償で売手に対して輸入貨物の原材料を提供した場合には、買手は無償で提供した原材料をも含めて当該輸入貨物を購入したことになるので、無償で提供した輸入貨物の原材料の取得費用及び提供費用(輸出通関料、海上運賃、保険料等)は、その当該輸入貨物の課税価格に算入しなければならない。《同法第4条第1項第3号イ》
4 MがA国において自己のために行った当該家具に係る検査費用(3−ハ)
                                                                                                         不算入
買手が自己のために行った輸入貨物の検査の効果が売手に及ぶこと(輸入貨物の検査が売手の利益となること)になったとしても、当該検査に要した費用は、その多少にかかわらず、売手に対する間接的な支払とはみなされず、かつ、関税定率法第4条第1項各号(課税価格に算入すべき費用)に規定する費用ではないので、当該輸入貨物の課税価格に算入してはならない。《同法基本通達4−2−(4)》
5 輸入取引が延払条件付取引であることによる延払金利(3−ニ)    不算入
輸入取引が延払条件付取引であることにより支払う延払金利は、関税定率法第4条第1項各号(課税価格に算入すべき費用)に規定する費用ではないので、課税価格に算入してはならない。《同法第4条第1項》
6 同種の家具を通常輸入する場合の国際運送貨物保険料(4)      不算入
買手が輸入取引契約における貨物の引渡場所から本邦の輸入港までの国際運送に要する保険料を負担し又は負担すべき場合には、その国際運送に要する保険料は、当該輸入貨物の課税価格に算入しなければならない。(輸入貨物に保険が付されていない場合には、通常必要とされる保険料を見積もって、その見積額を課税価格に算入することをしてはならない。)《同法第4条第1項第1号、同法基本通達4−8−(5)》
7  計(課税価格)      @+A+B =                     9,500,000円

第7問(国内販売価格に基づく課税価格の決定)

正解 2,150,000円

解説 (注)(  )内の数字は、設問の番号である。
1 輸入した精密機器(関税無税)              100台
2 類似の貨物の国内販売の総額(2)
販売数量が最大となる販売の単価  輸入貨物の輸入数量
      31,500円  ×   100個   =   3,150,000円・・@
類似の貨物の国内販売が2回以上にわたって行われて、その販売の単価が異なる場合においては、当該異なる単価ごとの販売に係る数量が最大となる販売の単価によって、輸入貨物の全量が国内販売されたものとして国内販売価格を決定しなければならない。《関税定率法第4条の3第1項、同法施行令第1条の10第2項》
3 国内販売価格から控除する同類の貨物の国内販売に係る通常の利潤等(下記の5の費用を除く。)(3)                                                    △  750,000円・・A
輸入貨物と同類の貨物の国内販売に係る通常の利潤等(下記5の費用を除く。)は、国内販売価格から控除しなければならない。《同法第4条の3第1項第1号イ》
4 同種貨物の輸入港到着までの通常の運賃、保険料その他運送関連費用等 (4)
                        算入もしないし、控除もしない
類似の貨物の運賃及び保険料等は、「類似貨物の課税価格を構成している運賃及び保険料等であって、本邦の輸入港到着後国内販売するまでの通常の運送関連経費ではない。!」ことに注意する。
5 国内販売額から控除する類似の貨物に係る輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する費用(5)
                                                            △  100,000円・・B
類似の貨物の輸入港到着後国内において販売するまでの運送に要する通常の運賃、保険料その他当該当該運送に関連する費用は、国内販売価格から控除しなければならない。《同法第4条の3第1項第1号ロ》
6.国内販売額から控除する類似の貨物に本邦において課された消費税(6)
                            △  150,000円・・C
類似の貨物について本邦において課された消費税は、国内販売価格から控除しなければならない。《同法第4条の3第1項第1号ハ》
7. 計(課税価格)   @−A−B−C=  2,150,000円

第8問 (関税率表の所属の決定)

正解 2

解説
(1) 表の左欄と右欄の関係は、次のようになる。
関税率表の類 物  品
イ  第3類 魚並びに甲殻類、軟体動物及びその他の水棲無脊椎動物 a 冷凍のえび(加熱してないもの)
b キャビア
c 冷凍のえび(蒸気による調理をしたもの)
第03.06項
第16.04項
第03.06項
ロ 第7類 食用の野菜、根及び塊 茎 a 生鮮の豆
b しようが
c 乾燥きのこ
第07.08項
第09.10項
第07.12項
ハ 第22類 飲料、アルコール及び食酢 a オレンジジュース
b ウィスキー
c ミネラルウォーター(鉱水)
第20.09項
第22.08項
第22.02項
ニ 第40類 ゴム及びその製品 a 乗用自動車のゴムタイヤ
b ゴム製の長靴
c ゴム製の外科用手袋
第40.11項
第64.01項
第40.15項
ホ 第61類 衣類及び衣類附属品(メリヤス編み又はクロセ編みのものに限る。) a 中古ジーンズ
b パンティストッキング
c 模様編みのセーター
第63.09項
第61.15項
第61.10項
(2)上表の左欄の類に含まれないものの組合せは、次のとおりとなる。
イ−b 「キャビア」は、魚の調製品として第16類に属し、第16.04項の規定により同項に分類される。《第3類注1(d)》
ロ−b 「しようが」は、香辛料として第9類に属し、第09.10項の規定により同項に分類される。
ハ−a 「オレンジジュース」は、果実の調製品として第20類に属し、第20.09項に分類される。《第20.09項》
ニ−b 「ゴム製の長靴」は、履物として第64類に属し、防水性のゴム長靴であれば第64.01項に分類される。《第40類注2(b)》
ホ−a 「中古のジーンズ」は、中古の衣類として第63類に属し、第63.09項に分類される。《第61類注2(b)》
(3) したがって、左欄の関税率表の類に含まれない右欄の物品の正しい組合せは、上記の組合せを含む2(イ−b、ロ−b、ハ−a、ニ−b、ホ−a)となる。


第9問 (関税率表の所属の決定)

正解 4

解説
(正=b、e)
b 第22.02項において「アルコールを含有しない飲料」とは、アルコール分が0.5%以下の飲料をいうこととされている。《第22類注3》
e 茶は、香味を付けてあるかないかを問わず、第09.02項に分類される。《第09.02項》
(誤=a、c、d)
a アイススケートを取り付けたスケート靴は、運動用具として第95類に分類され、履物として第64類には分類されない。《第64類注1(f)》
c 活性炭は、第38.02項に分類され、木製品として第44類には分類されない。《第44類の注1(d)》
d 革製の帽子は、帽子として第65類に分類され、革製品として第42類には分類されない。《第42類注1(e)》



第10問 (関税率表の所属の決定)

正解 3

解説
(処理又は加工によりC欄の物品の分類が変更しないもの=a、d、e)
a 第3類の生鮮のにしんをくん製のにしんにしたものは、第03.05項の規定により同項に分類される。《第03.05項》
d 第71類の金の塊を成型加工し、金の指輪にしたものは、貴金属製の身辺用細貨類として第71.13項に分類される。《第71類注9(a)》
e 第85類の未記録磁気テープにデータを記録したソフト記録済みのテープは、第85.24項に分類される。《第85.24項》
(処理又は加工によりC欄の物品の分類が変更するもの=b、c)
b 第7類のばれいしよをすりつぶして乾燥させ、ばれいしよの粉にしたものは、第11.05項に分類される。《第7類注3(c)》
c 第12類のごまをしぼり、ごま油にしたものは、その他の植物性油脂として第15.15項に分類される。《第1515.50号》




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