本試験問題と解答・解説


平成17年度第39回通関士試験解答
  

〔通関業法関係〕(時間45分)

〔解答と解説〕

〔記述式〕

第1問
(通関業法の目的及び通関業務等)

正解

1 適正
2 申告納付
3 迅速
4 代理
5 税関長
6 許可
7 行政不服審査法
8 財務大臣
9 管轄区域外
10 同一人


参照条文

1 通関業法第1条(目的)
2 同法第2条第1号イ(1)、第3条(通関業の許可)
3 同法第2条第1号ロ
4 同法第9条

第2問
(更正に関する意見の聴取)

正解

1 納税
2 所属
3 課税価格
4 関税
5 増加
6 機会
7 客観的
8 通関手続
9 従業者
10 立会い

参照条文
 1 通関業法第15条(更正に関する意見の聴取)
 2 同法第16条(検査の通知)



〔短答式〕

第1問(用語の定義)

正解 4

解説
(通関業務に該当しない手続=4)
 関税暫定措置法の規定に基づく関税の還付申請手続は、輸入の許可後に行われるので、通関業務に後続する関連業務とされている。《通関業法第7条》
 このため、この還付申請手続を、通関業者が他人の依頼により代理することがあるとしても、「通関業務」に該当することはない。
(通関業務に該当する手続=1、2、3、5)
  次の手続は、通関業法第2条第1号イの(1)の規定により、「通関手続」とされているので、これらの手続を他人の依頼により代理することは、いずれも「通関業務」に該当する。
 1 積戻し申告手続《同法第2条第1号イの(1)の(一)》
 2 移入承認申請手続《同法第2条第1号イの(1)の(四)》
 3 指定地外検査許可申請手続《同法第2条第1号イの(1)》
  この許可申請手続は、輸入の申告からその許可を受けるまでの間に「通関手続」の一環として行われるものであるので、「通関手続」とされている。
  5 修正申告手続《同法第2条第1号イの(1)かっこ書》
  修正申告手続(関税の確定に関する手続)は、輸入の許可後に行われることがあるとしても、「通関手続」とされている。

第2問(通関業の許可及び営業所の新設) 

正解 3

解説
(正=3)
 税関長は、通関業の許可に際しては、申請者が通関業法第6条に規定する欠格条項に該当するかどうかについて審査するほか、同法第5条に規定する許可の基準に適合するかどうかについても審査することとされているので、その場合の判断の資料とするため、許可申請書には、通関士となるべき者その他の通関業務の従業者の名簿及びこれらの者の履歴書を添付させることとされている。《通関業法第4条第2項、同法施行規則第1条第4号》
(誤=1、2、4、5)
 1 弁護士が通関業務を行う場合に、居住地を管轄する「税関長に届出をしなければならない。」とする旨の規定はない。
 2 通関業の許可に際して、「税関長が審査委員の意見を聞かなければならない。」とする旨の規定はない。
 4 通関業の経営の基礎に関する事項については、通関業の許可の際に既にその内容が審査されているので、営業所の新設の許可に際して改めてその事項に関する審査が行われることはない。《同法第8条第2項》
5 税関長は、営業所の新設の許可をしたときは、遅滞なく、許可をしたことを証する公文書を交付することとされている。《同法第3条第4項》
  (「許可を受けた者に口頭でその旨を通知しなければならない。」とする旨の規定はない。) 

第3問(欠格事由) 

正解 2

解説
(欠格事由に該当する者=a、b、d)
 a 所得税の納付を免れ罰金の刑に処せられた者は、その刑の執行を終わった日から3年間は、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることができない。 《同法第6条第4号ロ》
 b 通関業の許可を取り消された者は、その処分を受けた日から2年間は、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることができない。《同法第6条第6号》
  d 禁錮以上の刑に処せられた者は、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなってから3年間は、欠格事由に該当するので、通関業の許可を受けることができない。《同法第6条第3号》
(欠格事由に該当しない者=c、e)
 c 公務員で懲戒免職の処分を受け、当該処分を受けた日から2年を経過したものは、欠格事由には該当しないので、通関業の許可を受けることができる。《同法第6条第7号》
 e 罰金の刑に処せられた者であっても、その刑の執行を終わった日から3年を経過したものは、欠格事由には該当しないので、通関業の許可を受けることができる。《同法第6条第4号イ》

第4問(通関業の許可の消滅又は取消し) 

正解 3

解説
(正=a、d、e)
 a 通関業者が欠格事由に該当したときは、通関業の許可を存続させることは適当ではないので、税関長は、その許可を取り消すことができる。《通関業法第11条第1項第2号》
  d 通関業の許可の期限は通関業の許可の存続期間を制限するために付されるものであるので、期限が経過した場合には、通関業法には明文の規定はないが、事柄の性質上当然に、許可は消滅することとされている。
  e 通関業の許可の取消しは、通関業者に対する不利益な処分を行うものであるので、そのような処分に際しては、第三者である審査委員の意見を聞き、手続の慎重を期することとされている。《同法第11条第2項》
(誤=b、c)
 b 法人である通関業者が合併により解散したときは、その通関業の許可は、税関長が何らの処分をすることなく、消滅することとされている。《同法第10条第1項第2号》
 c 法人である通関業者の役員が破産手続開始の決定を受けたときは、当該通関業者は欠格事由に該当することになり、通関業の許可をそのまま存続させることは適当ではないので、税関長は、通関業の許可を取り消すことができることとされている。《同法第11条第1項第2号》
  (通関業の許可は消滅するのは、通関業者が破産手続開始の決定を受け、「破産者」となったときである。)

第5問(通関士の設置) 

正解 1

解説
(正=1)
  一定の種類に限定された貨物を定型的に反復して取り扱う通関業者の場合には、適正かつ迅速な通関業務の処理ができることになるので、通関業の許可に「貨物限定の条件」を付することにより、通関士の設置義務が免除されている。《通関業法第13条第1項第2号》
(誤=2、3、4、5)
  2 通関士が通関業務に従事している営業所において作成する所定の通関書類については、通関士の審査及び記名押印が必要である。このことは、通関士の設置を要しない地域にある営業所についても、同様である。《同法第14条かっこ書》
  3 通関業の許可の条件である「期限」は、通関業の許可の存続期間を制限するために付されるものであり、そのような条件が付されることがあるとしても、通関士の設置義務が免除されることはない。
  4 通関業者は、通関士を置かなければならないこととされる営業所ごとに、専任の通関士1人以上を置かなければならないこととされているが、税関長がその営業所における通関業務の取扱件数に応じ、指定した人数の通関士を設置しなければならないこととはされていない。《同法施行令第4条》
  5 通関業の許可に、「地域限定」又は「貨物限定」の条件が付された場合を除き、営業所において作成される通関書類が通関士の設置を要する地域に所在する税関官署に提出されることとなる場合に、通関士の設置義務が免除されることはない。

第6問(通関士の審査等) 

正解 5

解説
(通関士の審査及び記名押印を要しないもの=c、e)
 c 輸入許可前貨物引取承認申請書
通関業務に係る書類であるが、通関士の審査及び記名押印を要する書類とはされていない。(通関業務に係る書類であっても、設問の書類のほか、例えば、「指定地外検査許可申請書」「臨時開庁承認申請書」など、通関士の審査及び記名押印を要しないものもあるので、要注意。)
 e 外国貨物運送申告書
関連業務に係る書類であり、通関士の審査及び記名押印を要する書類とはされていない。
(通関士の審査及び記名押印を要するもの=a、b、d)
次に掲げる書類は、通関業法施行令第6条第1号の規定により、いずれも通関士の審査及び記名押印を要する書類とされている。
 a 積戻し申告書
 b 移入承認申請書
 d 特例輸入者承認申請書

第7問(通関業法上の義務) 

正解 5

解説
(正=5)
 通関業務の従業者は、その業務の処理を通じて、依頼者の秘密に属する事項を知ることとなることが多いので、その者が通関士以外のものであっても、守秘義務が課されている。《通関業法第19条》
(誤=1、2、3、4)
 1 税関長への定期報告書は、当該法人の事業年度ごとに、翌年6月30日までに提出しなければならないこととされている。《同法施行令第10条第1項》
 2 通関業務料金の掲示義務に、設問にあるような例外は認められていない。《同法第18条》
 3 通関業務に関する書類の保存期間は、3年とされている。《同法施行令第8条第3項》
 4 通関業者が破産手続開始の決定を受けた場合の届出義務者は、「破産管財人」とされている。《同法施行令第3条第3号》

第8問(記帳、届出、報告等) 

正解 4

解説
(誤=c、e)
 c 通関業者が設けることとされている帳簿は、通関業務を行う営業所ごと(通関業務を依頼した者ごとではない。)に設けられていればよいこととされている。《通関業法施行令第8条第1項》
 e 従業者の異動に関する届出は、異動のあったつどしなければならないこととされている。《同法施行令第9条第1項》
(正=a、b、d)
 a 通関業務に関し税関官署に提出した申告書の写しについては、電磁的記録により保存することが認められている。《通関業法基本通達22−2》
 b 不服申立書の写しの保存期間は、その作成の日後3年間とされている。《同法施行令第8条第3項》
 d 通関業者が保存すべき通関業務に関する書類には、通関業務に関し、依頼者から依頼を受けたことを証する書類が含まれる。《同法施行令第8条第2項第2号》

第9問(確認) 

正解 3

解説
(正=b、e)
 b 破産者であって復権を得ない者は欠格事由に該当する者であるので、税関長の確認を受けることができない。《通関業法第31条第1項第1号》
  e 通関士を置く場合には、当該通関士について税関長の確認を受けなければならないこととされており、通関士の設置が義務付けられていない地域であっても、例外が認められているわけではない。《同法第31条第1項》
(誤=a、c、d)
 a 通関士試験に合格した者は、どの税関の管轄区域内においても、通関士となることができることとされており、設問にあるような制限は設けられていない。《同法第25条》
 c 設問にある罰金の刑に処せられた者が税関長の確認を受けることができるのは、その刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年(違反行為があった日から3年ではない。)を経過してからである。《同法第31条第2項第1号、第6条第5号》 
 d 税関長の確認を受ける場合における通関業務への従事年数については、特別、制限は設けられていない。 

第10問(通関士の資格の喪失) 

正解 2

解説
(正=2)
 通関士が、欠格事由に該当することとなったときは、通関士でなくなることとされている。《通関業法第32条第2号、第6条第4号イ》
(誤=1、3、4、5)
 1 通関士が、通関業者の通関業務に従事しないこととなったときは、通関士でなくなることとされており、通関業者との雇用関係が継続されているとしても、通関業務以外の業務に転出したときも同様である。《同法第32条第1号》
 3 通関士が、通関業務以外の業務を兼務することとなったとしても、通関業務に従事している限り、通関士の資格を喪失することはない。
 4 通関士が、通関士に対する懲戒処分により通関業務に従事することを禁止された場合には欠格事由に該当することとなるので、通関士の資格を喪失する。《同法第32条第2号、第6条第6号》
 5 通関士が、通関士に対する懲戒処分により戒告処分を受けたとしても、通関士の資格を喪失することはない。



BACK