平成16年度第38回通関士試験解答 |
〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分) 〔記述式〕 輸出申告書の作成問題(第1問)模範解答の補足説明 1.統計品目分類及び単位符号 仕入書に記載されている輸出貨物は、「スーツケース等」であるので、当該輸出貨物と輸出統計品目表(抜すい)を対比して輸出統計品目表第42.02項「旅行用バッグ、ハンドバッグ等の容器」に該当するものであることを確認したうえで、当該輸出貨物ごとに、その所属する輸出統計品目番号及びその「単位符号」を決定する。 なお、仕入書に記載されている輸出貨物は、四種類であるにもかかわらず、輸出申告書の輸出貨物の申告欄は三欄しかないので、同一輸出統計品番号に所属することとなった輸出貨物については、これらを一括して申告書の1欄に記入する必要があることに留意する。 (1)仕入書第1項の貨物 仕入書第1項の貨物は、「スーツケースで外面がコンポジションレザー製のもの」である。 スーツケースは、第42.02項に掲げられ、号の分類にも、当該品目が第11号から第19号までに入るものとして掲げられており、外面を構成する材料により各々の号が決定される。 この貨物は、外面がコンポジションレザー製のものであることから第11号に該当し、その統計品目番号は「4202.11−000」、また、単位符号は「NO」及び「KG」である。 (2)仕入書第2項の貨物 仕入書第2項の貨物は、「ブリーフケース(書類かばん)で外面が革製のもの」である。 ブリーフケース(書類かばん)は、第42.02項に掲げられ、号の分類にも、当該品目が第11号から第19号までに入るものとして掲げられており、外面を構成する材料により各々の号が決定される。 この貨物は、外面が革製のものであって第11号に該当し、その統計品目番号は「4202.11−000」、また、単位符号は「NO」及び「KG」である。 したがって、仕入書第1項と第2項の貨物は、同一の輸出統計品目番号(及び単位符号)に該当するものであるので、輸出申告書への記入に当たっては、これらをまとめて一覧に記入することになる。 (3)仕入書の第3項の貨物 仕入書第3項の貨物は、「ウォレット(財布)で外面が革製のもの」である。 ウォレット(財布)は、第42.02項に掲げられ、号の分類では「ポケット又はハンドバッグに通常入れて携帯するもの」に分類されるものとして第31号から第39号までに区分されていて、外面を構成する材料により各々の号が決定される。 この貨物は財布で、通常、ポケットやハンドバッグに入れて携帯するもので、外面が革製のものであることから第31号に該当し、その統計品目番号は「4202.31−000」、また、単位符号は「DZ」及び「KG」である。 (4)仕入書の第4項の貨物 仕入書第4項の貨物は、「シガレットケース(紙巻たばこ入れ)で外面が紡織用繊維製のもの」である。 シガレットケースは、第42.02項に掲げられ、号の分類では、「ポケット又はハンドバッグに通常入れて携帯するもの」に分類されるものとして第31号から第39号までに区分されており、外面を構成する材料により各々の号が決定される。 この貨物はシガレットケースで、通常、ポケットやハンドバッグに入れて携帯するもので、外面が紡織用繊維製のものであることから第32号に該当し、その統計品目番号は「4202.32−000」、また、単位符号は「DZ」及び「KG」である。 2.品名 仕入書に記載されている輸出貨物については、上記「1.統計品目分類」により、輸出統計品目番号の所属を決定したところにより、輸出統計品目番号ごとに輸出申告書に記載する簡潔な品名を決定する。なお、仕入書第1項及び及び第2項の貨物は、同じ輸出統計品目番号に所属するので、これらを一括して申告書の1欄に記入する必要があるところから簡潔な品名を決定する。 (1)申告書第1欄 (仕入書第1項及び第2項の貨物) 「Suit-cases with outer surface of composition leather & Brief-cases with outer surface of leather 」 (2)申告書第2欄 (仕入書第3項の貨物) 「Wallets with outer surface of leather 」 (3)申告書第3欄 (仕入書第4項の貨物) 「Cigarette-cases with outer surface of textile materials 」 3.単位・正味数量 輸出申告書の「単位」欄に記入すべき「単位符号」は、上記1.のように輸出統計品目番号ごとに2種類が設定されている。その単位と数量は申告書の各欄ごとに集計すると、次のとおりである。 (1)申告書第1欄(NO及びKG) 第1単位 NO 1,560 ←130DZ=130×12個 第2単位 KG 1,260 (2)申告書第2欄(DZ及びKG) 第1単位 DZ 325 第2単位 KG 650 (3)申告書第3欄(DZ及びKG) 第1単位 DZ 295 第2単位 KG 236 4.輸出申告価格 (1)輸出申告価格に適用される実勢外国為替相場 輸出申告価格は、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(FOB価格)とされている。《関税法施行令第59条の2第2項》 また、仕入書に外国通貨により表示された価格の本邦通貨への換算は、輸出貨物に係る輸出申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の週間平均値に基づき税関長が公示した相場(為替レート)によることとされている。《関税法施行令第59条の2第4項、関税定率法第4条の7及び同法施行規則第1条》 申告年月日は、平成16年10月1日であるので、平成16年9月12日〜9月18日の週における平均値である109.00円/US$のレートにより換算する。 (2)仕入書記載のCIF価格からFOB価格の算出 輸出申告書に記載する申告価格は、FOB価格でなければならないが、仕入書に記載されている決済金額がCIF価格であるので、このCIF価格から輸出貨物ごとのFOB価格に算出する必要がある。 輸出申告書作成要領の記3によると、仕入書に記載されている輸出貨物のCIF価格には、東京港における本船甲板渡し価格(FOB価格)の10%に相当する額の海上運賃及び海上保険料が加算されている(CIF=FOB+FOB×10%=FOB×1.1)ので、仕入書に記載されている輸出貨物のCIF価格を1.1で除して、東京港におけるFOB価格を算出する。 @ 申告書第1欄: 仕入書第1項及び第2項の貨物 仕入書第1項 仕入書第2項 (CIFUS$9,900.00+CIFUS$22,000.00=CIFUS$31,900÷1.1=FOBUS$29,000)× \109.00/US$ = \3,161,000 A 申告書第2欄: 仕入書第3項の貨物 (CIFUS$35,750÷1.1=FOBUS$32,500)×\109.00/US$= \3,542,500 B 申告書第3欄: 仕入書第4項の貨物 (CIFUS$19,470÷1.1=FOBUS$17,700)×\109.00/US$= \1,929,300 5.仕入書記載の決済金額の記入 仕入書に記載されている輸出貨物の決済建値がFOB以外の建値(C&F、CIF建等)である場合で、かつ、その輸出申告価格の合計額が100万円を超える場合には、当該決済金額を「申告価格」欄の最下部(第3欄)の色刷部分に記入してアンダーラインを付すこととされているので、CIFUS$87,120.00と記入してアンダーラインを付する。 |
輸入申告書の作成問題(第2問)模範解答の補足説明 1.品名、税表番号、統計細分、税表細分 仕入書に記載されている輸入貨物は、「冷凍豚肉調製品(FROZEN PROCESSED PORK)」であるので、当該輸入貨物と実行関税率表(抜すい)を対比して実行関税率表の「第1602.42号・豚の肩肉及びこれを分割したもの」に該当するものであることを確認したうえで、当該輸入貨物ごとに、その所属する実行関税率表の税表番号、統計細分、税表細分を決定する。 (1)申告書第1欄 @仕入書第1項の『(FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS』 輸入申告書作成要領の記3−(1)によると、ボイルした肩ロース豚肉(50%)をパン粉等(50%)で衣付けしたカツレツであることから、第16類注2及び第1602.42号の規定により、「豚の肩肉及びこれを分割したもの」の税表細分「2その他のもの」に分類する。 したがって、税表番号は「1602.42」に、統計細分は「090」に分類して、「1602.42−090」となり、税表細分は「−2」となる。 A仕入書第3項の『(FROZEN PROCESSED PORK) COOKED MEAT & VEGETABLE』 輸入申告書作成要領の記3−(3)によると、肩ロース豚肉(30%)をピーマン、たけのこの野菜(60%)及び調味料(10%)で炒めたものであることから、第16類注2及び第1602.42号の規定により、「豚の肩肉及びこれを分割したもの」の税表細分「2その他のもの」に分類する。 したがって、税表番号は「1602.42」に、統計細分は「090」に分類して、「1602.42−090」となり、税表細分は「−2」となる。 B 仕入書第1項の『(FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS』と仕入書第3項の『(FROZEN PROCESSED PORK) COOKED MEAT & VEGETABLE』 同じ税表番号、統計細分及び税表細分に所属するので、これらを一括して申告書の1欄に記入する。 なお、申告品名は、『 (FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS(PORK 50%,OTHER 50%) AND COOKED MEAT & VEGETABLE(PORK 30%,OTHER 70%)』となる。(なお、正味重量は、5,500sとなる。) (2)申告書第2欄 ○仕入書第2項の『(FROZEN PROCESSED PORK)SEASONED PORK』 輸入申告書作成要領の記3−(2)によると、ボイルした肩ロース豚肉(95%)を調味液(5%)で味付けしたものであって、1個の重量が100グラムであることから、第1602.42号の規定により、「豚の肩肉及びこれを分割したもの」の税表細分「1・・その他の調製をし又は保存に適する処理をした物品で豚の肉(1個の重量が10グラム以上のものに限る。)のみからなるもの(調味料、香辛料その他これらに類する物品を加えてあるかどうかを問わない。)」に分類する。 更に、仕入書第2項の「調製して冷凍した豚肉」は、その課税価格は3,850,000円(後記2−(2)参照)であって正味重量は5,000sであるので、1s当たりの課税価格は770.00円となって、豚肉加工品に係る分岐点価格897.59円より低いので、「〔1〕課税価格が1sにつき、豚肉加工品に係る分岐点価格897.59円以下のもの」に属することになる。したがって、税表番号は、「1602.42」になり、統計細分は「011」に分類して、「1602.42−011」となり、税表細分は、「−1−〔1〕」となる。 2.輸入申告価格(関税の課税価格相当額) 輸入申告価格は、課税価格相当額である。(関税法施行令第59条の2第2項) 豚肉の輸入申告価格(関税の課税価格相当額)は、仕入書記載価格(CIF価格)から計算して記入する。 この場合において、仕入書に外国通貨により表示されたCIF価格の本邦通貨への換算は、当該輸入貨物に係る輸入申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の週間平均値をもって行う。(関税定率法施行規則第1条) 申告年月日は、平成16年10月3日であるので、平成16年9月19日〜9月25日の週間における平均値である110円/US$により換算する。 (1)申告書第1欄『(FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS AND COOKED MEAT & VEGETABLE』 仕入書第1項の貨物 仕入書第3項の貨物 US$40,000 + US$16,500 = US$56,500 US$56,500 × 110円/US$ = 6,215,000円 (2)申告書第2欄『(FROZEN PROCESSED PORK) SEASONED PORK』 US$35,000 × 110円/US$ = 3,850,000円 3.関税率 (1)申告書第1欄『(FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS AND COOKED MEAT & VEGETABLE』 原産国の中華人民共和国は、WTO加盟国であるので、協定税率を適用できる。そして、協定税率が基本税率よりも低いので、協定税率20%を適用する。 (2)申告書第2欄『(FROZEN PROCESSED PORK) SEASONED PORK』 申告書第2欄の豚肉の属する関税率表の「1602.42−011」には、基本税率、協定税率及び暫定税率が設定されているが、このうち基本税率及び協定税率が( )内に記載されていて適用されない旨が表示されているので、暫定税率を適用する。 なお、適用する暫定税率(1sにつき豚肉加工品に係る基準価格に1.5を乗じた得た額と課税価格に0.6を乗じて得た額との差額)は、次のように計算する。 @ 1sにつき豚肉加工品に係る基準価格に1.5を乗じて得た額 基準価格409.90円 × 1.5 = 614.85円/s A 1sにつき課税価格に0.6を乗じて得た額 課税価格3,850,000円×0.6÷5,000s = 462.00円/s B 上記の@とAとの差額 614.85円/s−462.00円/s = 152.85円/s 4.申告書各欄ごとの税額 関税の課税標準は、価格(課税価格すなわち輸入申告価格)又は数量である。(関税定率法第3条) 消費税の課税標準は、関税の課税価格(輸入申告価格)に、(100円未満の端数を切捨てた)関税額を加算した額である。(消費税法第28条第3項) 地方消費税の課税標準は、算出した消費税額の100円未満の端数を切捨てた額である。(地方税法第72条の82) (1)申告書第1欄『(FROZEN PROCESSED PORK) BREADED PORK CUTLETS AND COOKED MEAT & VEGETABLE』 @関税額 6,215,000円 × 20% = 1,243,000円 A消費税額 輸入申告価格 関税額 課税標準額 (6,215,000円+1,243,000円=7,458,000円)×4% = 298,320円 B地方消費税額 課税標準額 298,300円×25% = 74,575円 (2)申告書第2欄『(FROZEN PROCESSED PORK) SEASONED PORK』 @ 関税額 5,000s × 152.85円/s = 764,250円 A 消費税額 輸入申告価格 関税額 課税標準額 (3,850,000円+764,200円=4,614,200円) ×4% = 184,560円 B 地方消費税額 課税標準額 184,500円×25% = 46,125円 5.税額合計(納付すべき税額) (1)「 枚 欄」欄 今回の輸入(納税)申告のために、輸入(納税)申告書を1枚使用して、2欄の輸入(納税)申告をしたので、「1枚2欄」と記入する。 (2)「納付税額」欄 今回の輸入(納税)申告によって納付する各税目ごとに、申告書第1欄と申告書第2欄の端数処理前の税額を合計した後に、100円未満の端数を切り捨てた額を記入する。したがって、納付する各税目ごとの下2桁は「00」円となる。 @ 関税額 申告書第1欄 申告書第2欄 1,243,000円 + 764,250円 = 2,007,200円 A 消費税額 申告書第1欄 申告書第2欄 298,320円 + 184,560円 = 482,800円 B 地方消費税額 申告書第1欄 申告書第2欄 74,575円 + 46,125円 = 120,700円 |
〔短答式〕 第1問(関税の納付) 正解 1 解説 (正=1) 関税は、金銭をもって納付するのが原則であるが、例外として、金銭に準ずる有価証券として証券ヲ以テスル歳入納付に関スル法律(以下「証券納付法」という。)に規定する有価証券をもって納付することができる。《関税法第9条の4ただし書前段》 証券納付法は、金銭に準ずる有価証券として、納付すべき税額を超過しない国債証券の利札(記名式のものを除く。)で、支払期限が到来しているものを規定しているので、金銭に代えてこの国債証券の利札(記名式のものを除く。)をもって納付することができる。《関税法第9条の4ただし書前段、証券納付法第1条、証券納付法勅令第1条第1項第2号》 (誤=2、3、4、5) 2 証券納付法は、金銭に準ずる有価証券として、納付すべき税額を超過しない記名式持参人払小切手を規定しているので、このような小切手であれば金銭に代えて納付することができる。《同法第9条の4ただし書前段、証券納付法第1条、証券納付法勅令第1条第1項本文及び第1号》 3 印紙は、国が特定の歳入金を徴収する手段として発行する金銭上の価値を有する証券であって、その販売によりあらかじめ金銭を国庫に収納しておき、特定の歳入金等の納付のため貼付したときに納付があったものとするとともに、印紙としての価値を失わせることにより、歳入金の徴収の目的を達しようとするものである。 しかし、関税法においては、関税の納付について印紙による納付を認めていない。《同法第9条の4》 (注)税関関係手数料の納付 税関関係手数料ついては、印紙による納付が認められている。《税関関係手数料令第9条第2項》 4 関税の納付に際して使用する納付書の書式は関税法に定められているので、納税義務者は、この書式により自ら作成した納付書を使用することができるほか、書式販売所等において販売されている納付書を購入して使用することができる。《関税法第9条の4、同法施行規則第1条の3》 5一の輸入申告に係る貨物について、納付すべき関税及び内国消費税の税額があるときは、これらの税額に相当する金額に、関税については関税の納付書に、内国消費税については内国消費税の納付書を添えて納付しなければならない。《同法第9条の4、同法施行規則第1条の3及び国税通則法第34条第1項、同法施行規則第6条第1項》 第2問(過少申告加算税額の計算) 正解 44,000円 解説 先ず、修正申告により納付すべき不足関税額(過少申告加算税の計算と基礎となる増差税額)を算出し、次に納付すべき過少申告加算税額を計算しなければならない。 1.修正申告により納付すべき不足関税額《関税法第7条の14、第13条の4》 @既に納付済みの関税額 5,417,800円 ↓ 千円未満の端数切捨て 5,417,000円×12.8%=693,376円 ↓百円未満の端数切捨て 693,300円 A本来納付すべきであった関税額 12,539,000円 ↓ 千円未満の端数切捨て 12,539,000円×9.1%=1,141,049円 ↓百円未満の端数切捨て 1,141,000円 B修正申告により納付すべき不足関税額 修正申告による納付関税額=1,141,000円−693,300円=447,700円 2.納付すべき過少申告加算税額《関税法12条の2》 イ.当初の納税申告により納付した関税額 693,300円 ロ.修正申告により納付すべき不足関税額(増差税額) 447,700円 @10%の過少申告加算税額 447,700円 ↓1万円未満の端数切捨て 440,000円×10%=44,000円 A5%の加重(割増し)過少申告加算税額 イ.当初納税申告関税額と足切額500,000円との比較 当初納税申告関税額693,300円>足切額500,000円 ∴当初納税申告関税額693,300円を基準額とする。 ロ.増差税額と基準額693,300円との比較 増差税額447,700円<基準額(当初納税申告関税額)693,300円 ∴5%の加重(割増し)過少申告加算税は課されない。?0円 B納付すべき過少申告加算税額 (10%分)44,000円+(5%分)0円=44,000円 第3問(輸出申告、積戻し申告) 正解 2 解説 (誤=a、d) a 貨物を保税地域に搬入する前に予備申告を行う予備審査制の対象となる輸出貨物は、全ての輸出貨物とされており、コンテナーに詰めたまま輸出申告をする貨物が除外されているということはない。《平成12年3月31日・蔵関第251号通達》 d 本邦から外国へ向けて外国貨物を積み戻す場合には、貨物を輸出する場合の関税法の規定が準用されるので、外国へ向けて積戻す外国貨物についても、税関による必要な検査が行われる。《関税法第75条で準用する第67条》 (正=b、c、e) b 航空機によって輸出される貨物については、当該貨物が航空機に搭載された時をもって船舶における欄干を越えて甲板に卸された時と同じであるものとして取り扱うので、当該貨物の輸出申告価格は、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格に準ずる条件による価格とされている。《同法第67条、同法第59条の2第1項前段》 c 輸出の許可を受けた貨物は、外国貨物であり、これを国内に引き取ることは輸入である。《同法第2条第1項第3号、第1号》 したがって、輸出の許可を受けた貨物を国内に引き取る場合には、当該貨物が外国貿易船等に積み込まれたどうかにかかわらず、輸入手続が必要である。《同法第67条、同法基本通達67−1−14−(2)》 e 輸出申告の撤回は、貨物の輸出者が自ら行った「輸出の許可を受けたい」という意思表示の効果を将来に向かって消滅させることであるので、税関長が輸出の許可をするまでの間に限り認められる。 このため、当該輸出者が行った輸出申告という意思表示に対して税関長が輸出の許可をした後は、行政処分の公定性及び安定性を維持するために、当該輸出者は、輸出申告の段階にまで遡って意思表示の効果を消滅させる撤回を行うことができない。《同法基本通達67−1−10》(参考:民法第407条第2項等) 第4問(輸入通関) 正解 1 解説 (正=a、b、e) a 輸入申告に際して税関に提出する仕入書は、関税法施行令第60条第1項(仕入書の記載項)に規定する記載すべきとされている事項を記載したものでなければならないが、仕出人における仕入書の作成事務負担の軽減を図るため、これらの記載すべき事項のうち税関において検査及び課税標準の決定に支障がないと認めるものについては、その記載を要しない。《同法第68条第1項、同法施行令第60条第1項ただし書》 b 貨物を保税地域に搬入する前に行う予備審査制に基づく輸入貨物に係る予備申告は、輸入申告予定日における外国為替相場が公示された日又は当該貨物に係る船荷証券が発行された日のいずれか遅い日以降の日から行うことができる。《財務省通達・平成12年蔵関第251号「予備審査制」》 e 申告納税方式が適用される貨物については、その納付すべき関税額又は納付すべき関税額がないことが納税義務者である輸入者の行う納税申告によって確定するので、当該貨物を輸入する者は、当該貨物の関税が無税とされている場合であっても、税関長に対し、関税の納付に関する申告を行わなければならない。《同法第6条の2第1項第1号、第7条第1項》 (誤=c、d) c 税関の執務時間外において、輸入の許可前における貨物の引取りの承認申請を行う場合には、税関の臨時の執務を求めるために、税関長の承認(臨時開庁の承認)を受けなければならない。《同税法第98条第1項、同法施行令第87条第1項第6号》 d 輸入貨物は、その市況や需給状況に応じて随時分割して引き取られることがある。 このため、このような商取引の便宜を図るために、実務上、一の仕入書に係る外国貨物を分割して輸入申告を行うことが認められている。 第5問(課税価格の計算) 正解 1,070,000円 解説 (注)( )内の数字は、設問の番号である。 1 仕入書価格・Xの工場における工場渡し価格(2) 1,000,000円@ 2 Xの工場から輸出港までの運賃(3−イ)11,000円A 輸入取引契約における貨物の引渡場所から、本邦の輸入港まで国際運送する運賃及び保険料等の 運送関連費用は、課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第1号》 3 輸出港から輸入港までの運賃(3−ロ)50,000円B 輸入取引契約における貨物の引渡場所から、本邦の輸入港まで国際運送する運賃及び保険料等の運送関連費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 4 輸入の許可後における当該製品の調製費用(3−ハ)不算入 買手が支払う輸入の許可後における当該製品の調整費用は、関税定率法第4条第1項 各号に規定する限定列挙加算費用ではないので、課 税価格に算入しない。 5 輸入港からMの倉庫までの国内運賃(3−ニ)不算入 買手が支払う輸入港から買手の倉庫までの国内運賃は、輸入港到着までの国際運送に要する運賃ではないことから、課税価格に算入しない。《同法基本通達4−8−(4)》 6 輸出港から輸入港までの保険料(3−ホ)9,000円C 輸入取引契約における貨物の引渡場所から、本邦の輸入港まで国際運送する運賃及び保険料等の運送関連費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 7 計(課税価格)@+A+B+C=1,070,000円 (参考)上記の(3−ハ)及び(3−ニ)の費用の課税価格への不算入 これらの費用は、買手が負担しても、輸入貨物の貨物代金(輸入価格)の一部を構成しないので課税価格に算入しない。しかし、買手は、これらの費用を当該輸入貨物の仕入(調達)に要する費用として仕入原価に算入して、当該輸入貨物の国内販売価格の一部とすることになる。 なお、これは、次の第6問の(3−イ)及び(3−ニ)についても同じである。 第6問(課税価格の計算) 正解 3,250,000円 解説 (注)( )内の数字は、設問の番号である。 1 仕入書価格(FOB価格)(2) 3,280,000円@ 2 債権債務の相殺の否認(3) 前回輸入農産物FOB価格1,300,000円×10%=130,000円A 売手が、買手に対して輸出した貨物の代金受取債権と買手に対して負っている不良品値引額の支払債務を相殺して、仕入書価格を設定したことは、輸出貨物代金の受取り及び不良品値引額の支払という二重の事務負担を排除するための方法をたまたま採っただけであり、買手と売手との間に 成立した今回の農産物の取引価格を、相殺後の価格に変更したものではない。 したがって、今回の農産物の取引価格は、あくまでも相殺前の価格であるので、相殺額は課税価 格の決定上否認されることになり、その相殺額を、課税価格に算入しなければならない。《関税定率法第4条第1項本文、同法施行令第1条の4本文、同法基本通達4−2−(3)−ハ》 3 買付代理人であるAに支払った買付手数料(3−イ)不算入 買手が支払う買付代理人の買付手数料は、買手が自己のために行う輸入貨物の買付活動を買手に代わって行った買付代理人に対して支払う報酬であるので、課税価格に算入しない。《同法第4条第1項第2号イかっこ書》 4 Xに支払った農産物農家からの集荷費用(3−ロ)90,000円B 買手が買手の依頼により農産物農家からの集荷を行った売手に対して支払う集荷費用は、仲介手数料及び販売手数料以外の「その他の手数料」であるので、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第2号イ》 5 輸出港から輸入港までの運賃(3−ハ)140,000円C 輸入取引契約における貨物の引渡場所から、本邦の輸入港まで国際運送する運賃及び保険料等の運送関連費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 6 輸入港からMの倉庫までの国内運賃(3−ニ)不算入 買手が支払う輸入港から買手の倉庫までの国内運賃は、輸入港到着までの国際運送に要する運賃 ではないことから、課税価格に算入しない。《同法基本通達4−8−(4)》 7 輸出港から輸入港までの保険料(3−ホ)20,000円D 輸入取引契約における貨物の引渡場所から、本邦の輸入港まで国際運送に要する運賃及び保険料等の運送関連費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 8 計(課税価格)@+A+B+C+D=3,250,000円 第7問(関税率表の所属の決定) 正解 4 解説 (1) 表の左欄と右欄の関係は次のようになる。 |
関税率表の類 | 物 品 | ||
イ 第1類 | 動物(生きているものに限る。) | a 生きている両生類 b 巡回サーカスに使用される動物で、生きているもの c 生きているかたつむり |
第01.06項 第95.08項 第03.07項 |
ロ 第5類 | 動物性生産品(他の類に該当するものを除く。) | a バター b 羽毛 c 毛皮 |
第04.05項 第05.05項 第43.02項 |
ハ 第20類 | 野菜、果実、ナットその他植物の部分の調製品 | a ぶどう酒 b マーマレード c コーヒーのエキス |
第22.04項 第20.07項 第21.01項 |
ニ 第30類 | 医療用品 | a せつけん b 食餌療法用の食料 c 人血 |
第34.01項 第4部 第30.02項 |
ホ 第64類 | 履物及びゲートルその他これに類する物品並びにこれらの部分品 | a ローラースケートを取り付けたスケート靴 b 整形外科用の履物 c スキー靴 |
第95.06項 第90.21項 第64類 |
(2)上表の左欄の類に含まれないものの組合せは、次のとおりである。(これらの組合せが含まれていないものが、正しい組合せ(4)である。) (イ−b、c) b 巡回サーカスに使用される動物で生きているものは、第95.08項に分類される。《第1類 注1(c)》 c 生きているかたつむりは、軟体動物に属することから、第03.07項に分類される。《第1類 注1(a)》 (ロ−a、c) a バターは、第04.05項の規定により、同項に分類される。 c 毛皮は、第43.02項に分類される。《第5類 注1(b)、第43類 注1》 (ハ−a、c) a ぶどう酒は、第22.04項の規定により、同項に分類される。 c コーヒーのエキスは、第21.01項の規定により、同項に分類される。 (ニ−a、b) a せつけんは、第34.01項の規定により、同項に分類される。 b 食餌療法用の食料は、第30類に分類されず、第4部に分類される。《第30類 注1(a)》 (ホ−a、b) a ローラースケートを取り付けたスケート靴は、第95.06項に分類される。《第6 4類注1(f)》 b 整形外科用の履物は、第90.21項に分類される。《第64類注1(e)》 (参考)「cスキー靴」について スキー靴については、本底及び甲の材質等により分類が異なる。 本底及び甲がゴム製又はプラスチック製のものは、第64.01項及び6402項、本底がゴム製、プラスチック製、革製又はコンポジションレザー製で、甲が革製のものは、第64.03項に分類される。 第8問 (関税率表の所属の決定) 正解 4 解説 (誤=4) 取手付きのプラスチックシート製の袋(長期間の使用を目的としないもの)は、第42.02項の容器に含まれず、第39.23項のプラスチック製の運搬用の製品として分類される。《第42類 注2(A)(a)》 (正=1、2、3、5) 1 ココアを含有する砂糖菓子は、第17類の砂糖菓子に含まれず、第18.06項に分類される。《第17類 注1(a) 》 2 炭素繊維は第11部の紡織用繊維には含まれず、第68.15項に分類される。《第68.15項、第11部 注1(q) 》 3 自動車用のじゆうたんは、第87類の自動車の附属品より第57類のじゆうたんの方がより特殊な限定をして記載しているため、第57類のじゆうたんとして分類される。《通則3(a) 》 5 第11部の衣類については、男子用の衣類か女子用の衣類か判別することができない場合には、女子用の衣類が属する項に属することとされている。《第61類 注9及び第62類 注8》 第9問 (関税率表の所属の決定) 正解 4 解説 (正=a―ニ、b―ロ、c―イ) a 本品は自動車用のエンジン及びトランスミッションに使用する完成品のガスケットであり、非多泡性の加硫した合成ゴム65%とコルク35%を構成材料とする物品であるが、通則3(a)までの規定により所属を決定することができないため、当該物品に重要な特性を与えている材料からなるものとしてその所属を決定することになる。 本品の構成材料である非多泡性の加硫した合成ゴムは、含有量が65%と高くコルクの単なる結合剤とは認め難い。また、ガスケットの特徴とされる弾力性並びに耐熱性及び耐衝撃性を付与しているのは、専ら合成ゴムと考えられる。 したがって、本品は非多泡性の加硫した合成ゴム及びコルクからなる完成品のガスケットであるが、本品に重要な特性を与えている材料は加硫した合成ゴムと考えられることから、ゴム製のガスケットして第40.16項に分類される。《通則3(b)》 b 本品は未完成のクランクシャフトであるが、未完成の物品であっても完成した物品としての重要な特性を提示の際に有するものは完成した物品の属する項に分類する旨の規定を適用し、完成したシャフトとして第84.83項に分類される。《通則2(a)》 c 本品は縦横20センチ、厚さ5センチの長方形の織物製の袋に使い捨てかみそり、歯ブラシ、小型の練り歯磨きチューブ、香りをつけたハンカチ及び1組のメリヤス編みの靴下を入れたセット商品である。物品の所属の決定に際しては、まず項の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定に従うこととされているため、本品は項の規定により化粧用トラベルセットとして第96.05項に分類される。《通則1》 第10問 (関税率表の所属の決定) 正解 2 解説 (誤=2) 詰物をしたパスタで肉の含有量が全重量の20%を超えるものは、第16類の肉の調製品に分類されず、詰物をしたパスタとして第19.02項に分類される。《第16類注2》 (正=1、3、4、5、) 1 牛肉及びえびの含有量がそれぞれ全重量の20%以下であっても、牛肉及びえびの含有量の合計が全重量の20%を超えるピラフの場合には、第16類(肉、魚又は甲殻類の調製品)に分類される。 《16類注2》 3 完成した物品で提示の際に分解してあるものは、「組み立てると完成品となるものを完成品とする」と解釈することから、1台の自転車を便宜上10個の部品に分解し、一つの箱に入れたものであっても完成した自転車として第87.12項に分類される。《通則2(a)》 4 鉄鋼製のボルト、ばね等のはん用性のある物品の分類は、それぞれの該当する項に分類し、機械類及び電気機器の部分品であても第16部には分類されない。《第16部注1(g)》 5 毛皮を裏張りした毛織物製のコートは、毛皮製品として第43類に分類される。《43類注4及び第11部注1(k)》 |