平成15年度第37回通関士試験解答 |
〔通関書類の作成要領その他通関手続の実務〕(時間1時間30分) 〔記述式〕 輸出申告書の作成問題(第1問)模範解答の補足説明 1.申告書上段 「申告月日」欄には、設問の記5の記述から「平成15年10月10日」又は「October 10,2003」と記入する。 また、仕入書の記述から、「積込港」欄には「TOKYO」、「積載船名」欄には「NIHON MARU」及び「仕向地」欄には 「LONGBEACH, U.S.A.」と、それぞれ記入する。 なお、「積込港」欄の国名の記入は要しない。 2.申告書中段 (1)統計品目分類及び単位符号 輸出申告貨物は、食品調理用の電気機器で、仕入書の貨物の内容から「レストラン(業務)用のもの」と「家庭用のもの」が区分されて記載されていることを確認し、輸出統計品目表(抜すい)と対比し、各貨物の統計品目「番号」及び「単位」符号を以下の4通りに決める。申告書中段は最大3欄であるため、いくつかの貨物をまとめる必要があることに注意する。 @仕入書第1項の輸出貨物のうち『電気式の貯蔵式湯沸器』 この貨物は、レストラン(業務)用のものである。 電気加熱式の食品調理用機器は、一般的に、「業務用のもの」は第84.19項の「加熱、調理等その他の温度変化による方法で材料を処理する機器」に分類(ただし、電気式の瞬間湯沸器及び貯蔵式湯沸器については業務用のものであっても第84.19項から除かれる。)し、家庭において使用するもの及び一部の業務用のものを第85.16項(電気式の瞬間湯沸器・・・電気アイロンその他の家庭において使用する種類の電熱機器など)に分類する取扱いである。 すなわち、第85.16項の規定から同項に記載されているもののうち「電気式の瞬間湯沸器、貯蔵式湯沸器・・・電気アイロン」については、家庭用のものに限らず業務用のものも同項に分類される。 したがって、本件の電気式貯蔵式湯沸器は、第85.16項に分類し、統計品目番号は、「8516.10−000」、単位符号は「NO」とし、仕入書記載の順序に従い申告書の第1欄に記載する。 A仕入書第1項の輸出貨物のうち『電気式のエスプレッソコーヒーメーカー』 この貨物は、レストラン(業務)用のものである。 電気式コーヒーメーカーは、家庭用のものは第8516.71号に分類されるが、「業務用のもの」は同項から除外されている。したがって、当該貨物は業務用のものであるので上記@の業務用のもののように第84.19項の「加熱による調理機器」に分類し、統計品目番号は「8419.81−000」、単位符号は「N0」及び「KG」とし、仕入書記載順序に従い申告書の第2欄に記載する。 B仕入書第2項の輸出貨物のうち『マイクロウェーブ(電磁波)オーブン』 この貨物は、家庭用のものである。 家庭用のマイクロ波オーブンは、統計品目番号「8516.50−000」、単位符号「NO」とする。(申告書への記入は下記「なお書き」を参照する。) C仕入書第2項の輸出貨物のうち『電気式のトースター』 この貨物は、家庭用のものである。 電気式トースターは、「その他の加熱機器」として統計品目番号は「8516.72−000」、単位符号は「NO」となる。(申告書への記入は下記「なお書」を参照する。) なお、上記B及びCの申告価格は、下記(4)の計算のように、いずれも20万円以下のものとなるので、これらをまとめて、申告書への記入は第3欄にする。この場合の「統計品目番号」欄への記入は必要ないことから、同欄には「×」印を付す。 (統計品目番号毎の集計で申告価格が20万円以下のものは統計計上除外とする取扱いによる。) (2)品 名 品名の記入に当たっては、設問の記3の記述により、インボイスに記載されている「MACHINERY FOR RESTAURANT PURPOSES(業務用)」及び「MACHINERY FOR DOMESTIC PURPOSES(家庭用)」旨の表示の「品名」欄への記入は不要であるので省略することとし、次のように区分して申告書の各欄に記入する。 なお、上記(1)において明らかなように、二種類の貨物に申告価格が20万円以下のものがあり、これらをまとめて申告書の第3欄に記入するが、この品名は代表的な貨物(金額の高いもの等)の品名を記入する。 第1欄 「ELECTRIC STORAGE WATER HEATERS」 第2欄 「ELECTRIC ESPRESSO COFFEE MAKERS」 第3欄 「MICROWAVE OVENS ETC.」 (3)単位・数量 「単位」欄に記入すべき「単位」符号は、上記(1)のように統計品目番号ごとに設定されている。その単位の数量は次のとおりである。 なお、第3欄の単位符号は、まとめて一括した貨物に共通する「単位」とし、数量はまとめた貨物の合計数量とする。 申告書第1欄:NO 10 (仕入書の第1項の湯沸器) 申告書第2欄:NO 5 (仕入書の第1項のコーヒーメーカー) KG 175 (35kg×5pc) 申告書第3欄:NO 45 (仕入書の第2項のオーブンとトースター) (4)輸出申告価格 @輸出申告価格に適用される為替レート 輸出申告価格は、関税法施行令第59条の2第2項の規定により、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格(FOB価格)とされている。また、その価格が外国通貨により表示されている場合における本邦通貨への換算は、同条第4項、関税定率法第4条の7及び同法施行規則第1条の規定により、当該輸出貨物に係る輸出申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の当該週間の平均値に基づき税関長が公示した相場(為替レート)によることとされている。 申告年月日は、平成15年10月10日であるので、平成15年9月21日〜9月27日の週における平均値である128.00円/US$により換算する。 AFOB価格の算出の要否 仕入書記載の決済金額は、合計額欄にC&F価格で表示(設定)されていることから、一般的には、これをFOB価格へ換算する必要がある。 しかし、設問の「記」にはC&FからFOBへの換算方法が記載されていないことから、仕入書の金額欄を注意してみると、最下段の行に「Ocean Freight US$855.00」と記載されているので、海上運賃(F)はUS$855であることがわかる。 ここで、仕入書記載の貨物合計金額をチェックしてみるとUS$30,935.00である《FOB価格=C&F価格(US$31,790.00)−運賃(US$855.00)=US$30,935.00》ことから、仕入書の各項記載の貨物の価格はFOB価格であることがわかるので、C&FからFOBへの換算は不必要であることになる。 @申告書第1欄:「8516.10−000」(仕入書の第1項の湯沸器) FOB US$18,000.00 FOB US$18,000×128.00円=2,304,000円 A申告書第2欄:「8419.81−000」(仕入書の第1項のコーヒーメーカー) FOB US$11,000.00 FOB US$11,000×128.00円=1,408,000円 B申告書第3欄:「 × 」(仕入書の第2項のオーブンとトースター) 内訳の計算により二品目が20万円以下となるので、これらをまとめ合算した欄となる。 FOB=US$1,200.00(オーブン)+US$735.00(トースター)=US$1,935.00 FOB US$1,935×128.00円=247,680円 内訳:仕入書の第2項のオーブン :FOB US$1,200×128.00円=153,600円 仕入書の第2項のトースター:FOB US$735×128.00円=94,080円 仕入書の決済金額がFOB価格ではなくC&F価格で、かつ、100万円を超えている場合には、当該決済金額を申告書の最下段の色刷り部分にアンダーラインを付して記入することとされている。本設問はこれに該当するので、そのように記入する。 3. 申告書下段 (1)個数、記号等欄 まず、個数として「60Cartons」と記載し、次に仕入書の「マーク」を申告書に転記する。 (2)申告書への記入は、「1枚3欄」とし、仕入書「有」(空欄)に「×」を記入する。 (3)「通関士記名押印」欄には、「財務太郎」(印)と記入する。 >>>>>輸出申告書の解答はこちらから ![]() |
輸入申告書の作成問題(第2問)模範解答の補足説明 1.申告書上段 @ 「申告年月日」欄には、平成15年10月2日と記入する。 A 設問の貨物は『直輸入』するものであるので、申告種別符号欄の「IC」の箇所に「×」を記入する。 B 「積載船(機)名」「原産地」「積出地」及び「船荷証券番号」欄には、仕入書を基に、所要の事項をそれぞれ記入する。 2.品名、税表番号、税表細分、統計細分 (1)品名 設問の輸入貨物の品名は、「メントール(MENTHOL)」である。 (2)分類(税表番号、税表細分、統計細分) 設問の輸入貨物は、「メントール(MENTHOL)」である。 したがって、税表番号「2906.11」に分類し、統計細分は「000」に分類する。なお、税表細分はない。 3.輸入申告価格(関税の課税価格相当額) 輸入申告価格は、課税価格相当額であるので、仕入書価格(C&I価格)に、輸入者が輸入取引において仕入書価格とは別途に負担する(支払する)運賃を算入する。 この場合において、外国通貨により表示された仕入書価格(C&I価格)及び仕入書価格とは別途に負担する(支払う)外国通貨によって表示された運賃の本邦通貨への換算は、当該輸入貨物に係る輸入申告の日の属する週の前々週における実勢外国為替相場の当該週間の平均値として税関長が公示した相場(換算レート)により行う。《関税定率法第4条の7、同法施行規則第1条》 申告年月日は、平成15年10月2日であるので、平成15年9月14日〜9月20日の週間における平均値である190円/GBPにより換算する。 仕入書価格(C&I価格) GBP8,750.00 別払運賃 G/W40kg × GBP1.1/kg= GBP 440.00 計 GBP9,190.00 GBP9,190.00 × 190円/GBP = 1,746,100円 4.関税率 設問の輸入貨物の原産地のイギリスは、特恵受益国ではないので特恵税率の適用はないが、協定税率適用国であるので協定税率の適用ができる。 協定税率は、基本税率より低い場合に限り適用する。 基本税率と協定税率とを比較すると、協定税率が基本税率より低いので協定税率を適用する。なお、この協定税率を適用する場合においては、従価税である12.3%と、従量税である349.20円/kgとのいずれか高い税率によることになるので、従価税額と従量税額とを比較して、税額が高くなる税率を適用する協定税率として決定する。 従価税の場合 1,746,100円 ▼ 1,000円未満の端数切り捨て 1,746,000円 × 12.3% = 214,758円 従量税の場合 350kg × 349.20円/kg = 122,220円 従価税額 214,758円 > 従量税額 122,220円 従価税額が高いので、協定税率は、従価税の12.3%となる。 5.消費税及び地方消費税の課税標準(課税価格) (1)消費税の課税標準 消費税の課税標準(課税価格)は、関税の輸入申告価格(課税価格相当額)に、100円未満の端数を切り捨てた関税額を加算した額である。 (2)地方消費税の課税標準 地方消費税の課税標準(課税価格)は、100円未満の端数を切り捨てた消費税額である。 6.税額合計 (1) 「 枚 欄」欄 今回の輸入(納税)申告のために使用した輸入(納税)申告書の枚数及び欄数を、「1枚1欄」と記入する。 (2) 「納付税額」欄 今回の輸入(納税)申告によって、納付する各税目ごとの税額の100円未満の端数を切り捨てた額を記入する。 (3) 「納付税額欄数」欄 今回の輸入(納税)申告によって、納付する各税目ごとの欄数、すなわち有税品の欄数を記入する。 7.申告書下段 (1)「貨物の個数」欄 実際に通関する数量を記入する。 (2)「通関士記名押印」欄 「財務太郎」(印)と記入する。 >>>>>輸入申告書の解答はこちらから ![]() |
〔短答式〕 第1問(関税等の確定及び納付) 正解 3 解説 (正=b、d) b 関税は、金銭に代えて、「証券ヲ以テスル歳入納付ニ関スル法律」(以下、この項において「証券納付法」という。)に規定する証券である記名式持参人払式小切手をもって納付することができる。なお、この場合において、記名式持参人払式小切手は、納付すべき金額を超過しないものでなければならない。《関税法第9条の4、証券納付法第1条、証券納付法勅令第1条第1項第1号》 d 税関長により更正がされた場合には、当該更正により関税額が確定し、既に確定した納付すべき税額を増加させる増額更正は、既に確定した納付すべき税額に係る部分の関税についての納税義務に影響を及ぼさない。一方、既に確定した納付すべき税額を減少させる減額更正は、その更正により減少した税額に係る部分以外の部分の関税についての納税義務に影響を及ぼさない。《関税法第7条の16第5項において準用する国税通則法第29条第1項、第2項》 (誤=a、c、e) a 修正申告により納付することとなった関税と併せて納付する延滞税は、修正申告により納付することとなった関税と併せて納付する延滞税は、修正申告により納付すべき関税額が確定すると、特別な手続(申告納税又は賦課課税の手続)を要することなく、延滞税債務が成立し同時に納付すべき税額が確定する。《関税法第6条の2第2項》 c 一品目で関税及び内国消費税が課されるものについては、関税は関税の納付書に、内国消費税は内国消費税の納付書に、それぞれ納付すべき税額を記載した上で所定の収納機関に納付しなければならない。《関税法施行規則第1条の3、国税通則法施行規則第6条》 e 算出して得た延滞税の額が1,000円未満である場合には、延滞税を納付する必要はない。《関税法第12条第4項》 第2問(適用法令及び税額計算) 正解 188,100円 解説 輸入貨物に関税を課する場合に適用する法令は、原則として、輸入申告の日において適用される法令(関税率)である。《関税法第5条本文》 しかし、総合保税地域に置かれた外国貨物で、輸入(総保出)申告がされた後輸入の許可前における貨物の引取りの承認がされる前に当該貨物に適用される法令(関税率)の改正があったものについては、適用法令の特例として、輸入の許可前における貨物の引取り承認の日の法令(改正後の税率)が適用される。《関税法第5条第2号》 本設問は、総合保税地域に置かれた外国貨物を国内に引き取る場合であって、輸入(総保出)申告がされた後輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けてはいるものの、当該貨物に適される法令(関税率)の改正は、輸入の許可前における貨物の引取り承認の日の後に行われているので、適用法令の特例の適用はなく、原則どおり、輸入申告の日の法令(改正前の税率)が適用される。 1,568,569円 ▼ 1,000円未満の端数切り捨て 1,568,000円 × 12% = 188,160円 ▼ 100円未満の端数切り捨て 188,100円 第3問(輸出通関) 正解 4 解説 (正=4) 保税工場において外国貨物を原料として製造した貨物は、外国貨物であり、外国貨物を外国へ向けて送り出すことは積み戻しである。 したがって、保税工場において外国貨物を原料として製造した貨物を外国へ向けて送り出す場合には、関税法第67条(輸出又は輸入の許可)の規定が準用される。《関税法第75条》 (誤=1、2、3、5) 1 貨物を輸出する場合には、国際郵便で輸出する場合を除き、その価格の多少を問わず、また、有償で輸出するか無償で輸出するかを問わず、税関長に輸出申告し、必要な税関の検査を経て、その許可を受けなければならない。《関税法第67条》 2 輸出通関に係る包括事前審査制度の有効期間は、3年間である。《財務省通達・平成12年蔵関第245号「包括事前審査制度」》 3 コンテナーに詰めたまま輸出申告することが認められた貨物であっても、当該貨物に係る輸出申告書には、当該貨物の記号及び番号を記載しなければならない。《関税法第67条、同法施行令第58条》 5 輸出の許可後において貨物を積み込もうとする船舶を変更する場合には、改めて輸出申告をすることなく、輸出許可を受けた税関官署又は船積みのために保税運送した貨物の到着地の税関官署に『船名・数量等変更申請書』に輸出許可書を添付、提出して、船名変更を認めてもらうことができる。《関税法基本通達67−1−11》 第4問(輸入通関) 正解 4 解説 (正=4) 行政機関の休日又はこれ以外の日の税関の執務時間外において、税関の臨時の執務(輸入申告を前における貨物の引取りの承認に係る事務)を求めようとする者は、税関に臨時開庁承認手数料を納付した上で税関長の承認を受けなければならない。《関税法第98条第1項、第100条第4号、同法施行令第87条第1項第6号、税関関係手数料令第6条》 (誤=1、2、3、5) 1 郵便物については、その簡易迅速な取扱いをする必要があるので、当該貨物が商業貨物であるかどうかを問わず、また、その価格の多少を問わず、輸入申告手続を要しない。《関税法第76条第1項》 2 不当廉売関税が課される貨物については、関税定率法別表の税率による関税のほか、輸出国における正常価格(輸出国における通常の国内価格)と不当廉売価格(輸出国において正常価格よりも不当に低価格で販売された価格)との差額に相当する額と同額以下の額が不当廉売関税として課される。《関税定率法第8条》 3 輸入申告において申告すべき数量は、財務大臣が貨物の種類ごとに定める単位による当該貨物の正味数量、すなわち純重量である。《関税法第67条、同法施行令第59条の2第1項》 5 輸入貨物を保税地域に搬入する前に行う予備審査制に基づく予備申告は、予備申告に係る貨物の船荷証券が発行され、かつ、税関長から輸入申告予定日における外国為替相場が公示された日以降の日から、当該予備申告に係る貨物が搬入予定の保税地域に搬入される日まで間に、行うことができる。《財務省通達・平成12年蔵関第251号「予備審査制」》 第5問(課税価格の計算) 正解 1,280,000円 解説 1 仕入書価格(FOB価格)・・・・・・・・・・・・・・1,000,000円 @ 2 化粧箱に使用した意匠権の使用の対価 ・・・・・・・・・・100,000円 A 買手が、仕入書価格とは別途に輸入取引の条件として輸入貨物(菓子)の小売用化粧箱に係る意匠権の使用の対価を支払う場合には、当該意匠権の使用の対価をも含めた額で輸入貨物(菓子)を購入したことになるので、当該意匠権の使用の対価を課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第4号》 3 仲介者Aに対する仲介手数料・・・・・・・・・・・・・・・100,000円 B 買手が、仕入書価格とは別途に輸入取引の仲介業務を行った者に対して報酬として仲介手数料を支払う場合には、当該仲介手数料をも含めた額で輸入貨物を購入したことになるので、当該仲介手数料を課税価格に算入する。《同法第4条第1項第2号イ》 4 輸出港から輸入港までの運賃・・・・・・・・・・・・・・・・50,000円 C 買手が、仕入書価格とは別途に負担する輸出港から輸入港までの運賃は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 5 輸入港からMの倉庫までの国内運賃・・・・・・・・・・・・・・・・不算入 買手が、仕入書価格とは別途に負担する費用であるが、輸入港到着後の費用であり、かつ、関税定率法第4条第1項各号(限定列挙加算費用)に規定する課税価格に算入すべき費用以外の費用である。 6 輸出港からMの倉庫まで一括締結した保険契約に基づく保険料・30,000円 D 買手が、仕入書価格とは別途に負担する保険料には輸出港から輸入港までの保険料の外に、輸入港到着後Mの倉庫までの保険料も含まれているが、その含まれている額が明らかでないので、その額をも含めて課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 7 課税価格(合計) @+A+B+C+D =1,280,000円 第6問(課税価格の計算) 正解 1,150,000円 解説 1 DDP(Delivered Duty Paid)条件価格・・・・・・・・1,100,000円 @ (注)DDP(Delivered Duty Paid)条件価格 DDP条件価格は、「輸入国指定仕向地持込渡し、輸入税込み価格」であり、貨物を輸入国の契約指定場所まで持込んで引き渡すまでの全ての費用(貨物代金の外に、輸出地から輸入港までの運賃・保険料、輸入港から売手の指定した貨物の引渡場所までの運賃・保険料及び輸入税等)を含んだ価格である。売手は、通関手続を終え、輸入税を納付し、指定仕向地まで貨物を持ち込んで買手の自由処分に任せる(引き渡たす)までの一切の危険と費用を負担する。 2 輸入港到着までの運賃及び保険料・・・・・・・・・控除しないし、算入もしない 現実支払価格(DDP条件価格)に含まれている輸入貨物の輸入港到着までの運賃及び保険料は、本来課税価格に算入しなければならない費用であるので、控除してはならない費用である。《関税定率法第4条第1項第1号》 3 輸入港からMの指定場所までの運賃及び保険料・・・・・・▲ 30,000円 A 買手が売手に対して支払う現実支払価格(DDP条件価格)に輸入港到着後の国内運送のための運賃及び保険料が含まれていて、かつ、その含まれている額が明らかであるので、控除しなければならない。《同法第4条第1項本文、同法施行令第1条の4第2号》 4 無償提供した生産原材料の費用・・・・・・・・・・・・・・250,000円 B 買手が輸入貨物の生産に関連して輸入貨物の生産に必要な原材料を無償で提供した場合には、買手は当該無償提供した原材料の費用をも含めて輸入貨物を購入したことになるので、当該無償提供した原材料の費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第3号イ》 5 輸入時に課される関税、消費税及び地方消費税・・・・・・▲170,000円 C 買手が売手に対して支払う現実支払価格(DDP条件価格)に当該輸入貨物の輸入時に課される関税、消費税及び地方消費税が含まれていて、かつ、その含まれている額が明らかであるので、控除しなければならない。《同法第4条第1項本文、同法施行令第1条の4第3号》 6 課税価格(合計) @−A+B−C =1,150,000円 第7問(課税価格の計算) 正解 3,650,000円 解説 1 仕入書価格(CIF価格)・・・・・・・・・・・・・・・・3,000,000円 @ 2 額が明らかな帰属収益 (販売価格3,800,000円−3,500,000円=300,000円) × 1/2 =・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・150,000円 A 買手が行う輸入貨物の販売による収益で、(輸入取引の条件として、すなわち輸入取決めによって)直接又は間接に売手に帰属するものとされている額が明らかな場合には、買手は当該額が明らかな売手帰属収益をも含めて輸入貨物を購入したことになるので、当該額が明らかな売手帰属収益は、課税価格に算入する。《関税定率法第4条第1項第5》 3 第三国における輸入貨物の積替費用・・・・・・・・・・・・200,000円 B 買手が、仕入書価格とは別途に負担する輸入港までの運賃、保険料その他運送に関連する積替費用は、課税価格に算入する。《同法第4条第1項第1号》 4 輸入港からMの倉庫までの国内運賃・・・・・・・・・・・・・・・不算入 買手が、仕入書価格とは別途に負担する費用であるが、輸入港到着後の費用であり、かつ、関税定率法第4条第1項各号《限定列挙加算費用》に規定する課税価格に算入すべき費用以外の費用である。 5 輸入許可後における当該機械の組立て及び調整の費用・・・・・・・不算入 買手が、仕入書価格とは別途に負担する費用であるが、輸入申告後の費用であり、かつ、関税定率法第4条第1項各号《限定列挙加算費用》に規定する課税価格に算入すべき費用以外の費用である。 6 特許権の使用の対価・・・・・・・・・・・・・・・・・・・300,000円 C 買手が、仕入書価格とは別途に輸入取引の条件として輸入貨物に係る特許権の使用の対価を特許権所有者に支払う場合には、当該特許権の使用の対価をも含めた額で輸入貨物を購入したことになるので、当該意匠権の使用の対価を課税価格に算入する。《同法第4条第1項第4号》 7 課税価格(合計) @+A+B+C =3,650,000円 第8問 (関税率表の所属の決定) 正解 3 解説 (1)A欄とB欄の物品に係る関税率表の所属(類)の関係は、次のとおりである。 |
A 欄 | B 欄 | |||
a | 革製の手袋 | 第42類 | 毛糸製の手袋 | 第61類 |
b | プラスチック製のおもちゃの人形 | 第95類 | 木製のおもちゃの人形 | 第95類 |
c | デジタルカメラ | 第85類 | フィルム式光学カメラ | 第90類 |
d | 生きている牛 | 第1類 | 冷凍した牛の肉 | 第2類 |
e | 手のこぎり | 第82類 | 電動式のこぎり | 第84類 |
f | 窒素ガス | 第28類 | 液体窒素 | 第28類 |
(2)同じ類に分類されるもの(b、f) b おもちゃの人形は、構成材料が異なっても同じ類に分類され、プラスチック製も木製もともに第95類に分類される。《第9502.10号》 f 窒素ガスは、ガス状のもの及び液化された状態のものも共に、第28類に分類される。《第2804.30号》 (3)異なる類に分類されるもの(a、c、d、e) a 手袋の所属は、構成材料によって変わる。《第42類注3、第3926.20号》 (注)分類事例 革製のもの(第42類)、毛糸又は織物製のもの(第61又は62類)、プラスチック製のもの(第39類)、ゴム製のもの(第40類) c 第90類の「写真機」には、「デジタルカメラ」を含まないこととされており(第90類注1(h))、デジタルカメラは第85類に分類される。《第85.25項》 d 生きている牛は第1類に分類されるが、牛肉に加工し、冷凍されたものは第2類に分類される。《第0102項、第02.02項》 e 手のこぎりは第8202.10号に、電動式のこぎりは第8467.22号に分類される。《第84類注1(k)》 第9問 (関税率表の所属の決定) 正解 4 解説 (自動車の部分品及び附属品として第87類に分類されるもの=c、e) c 自動車用のハンドル 第8708.94号に分類される。《第8708.94号》 e 自動車用のバンパー 第8708.10号に分類される。《第8708.10号》 (第87類に分類されないもの=a、b、d) a 自動車用のフロントガラス 「車両用の安全ガラス」として、第7007.11号(車両用の強化ガラス)及び第7007-21号(車両用の合せガラス)に分類される。なお、車両用バックミラーも第7009.10号に分類される。《第7007.11号等》 b 自動車用のエンジン 「第87類の車両の駆動に使用する種類のエンジン」として、第8407.31〜90号及び第8408.20号に分類される。《第17部注(e)》 d 自動車用のエアコン 「自動車用に使用する種類のエアコンディショナー」として、第8415.20号に分類される。《第8415.20号、第17部注(e)》 第10問 (関税率表の所属の決定) 正解 3 解説 (正=b、d) b フェルトにゴムを染み込ませたものは、紡織用繊維(フェルト)の重量が全重量の50%を超えるものである場合には、第56.02項(フェルト)に分類される。したがって、当該フェルトは、第56類の大分類である第11部(紡織用繊維の製品)に該当する。《第56類注3(a)》 d 電気絶縁をした銅線は、第85.44項(電気絶縁した線、ケーブル等)に分類されるので、第85類に該当する。《第85.44項》 (誤=a、c、e) a 関税率表の第1類には、「動物(生きているもの)」との表題が付けられているが、同類注の規定により、この類には、第3類の「魚、甲殻類等」を含まない(除く)こととされている。《第1類注1(a)》 c 竹で作られた「組物」は、組物材料(竹等)の製品が分類される第46類(わら等の組物材料の製品等)に分類され、木製品には分類されない。《第44類注1(f)》 e 整形外科用機器は、第90類の医療用機器として第90.21項(整形外科用機器等)に分類されることから、第84類の機械類には分類されない。《第16部注1(m)、第90類注6》 |