平成15年度第37回通関士試験解答 |
〔関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分に限る。)〕(時間 1時間45分) 〔記述式〕 第1問(輸入申告) 正解 1 記号 2 品名 3 価格 4 原産地 5 課税標準 6 便益 7 輸入申告 8 四月以上 9 担保 10 承認 関係条項 (問題の項別の記述は、それぞれ次の規定に基づいて構成されている。以下、記述式において同じ。) 1 関税法施行令第59条第1項(輸入申告の手続) 2 同第68条(輸入申告に際しての提出書類) 3 同法第68条第2項、同法施行令第61条第3項(輸入申告に際しての提出書類) 4 同法第73条第1項(輸入の許可前における貨物の引取り) 第2問(輸出申告) 1 承認 2 混載 3 外国貿易船 4 検査 5 許可 6 積付け 7 輸出申告価格 8 百万円 9 十万円 10 取締り 関係条項 1 関税法第67条の2第1項(輸出申告の時期)、同法施行令第59条の3第1項第1号(輸出申告の時期の特例・本船扱い) 2 同法第68条第1項(輸出申告に際しての提出書類)、同法施行令第60条第3項(仕入書の提出を必要としない場合) 第3問(緊急関税) 正解 1 価格の低落 2 国内総生産量 3 競合 4 本邦の産業 5 国民経済上 6 世界貿易機関 7 原産地 8 数量若しくは額 9 卸売価格 10 取引方法の差異 関係条項 1 関税定率法第9条第1項本文(緊急関税) 2 同条第1項第1号(課税限度) 第4問(特恵関税制度) 正解 1 特別の便益 2 原産地 3 完全 4 実質的 5 変更 6 本邦へ輸出する国 7 本邦 8 運送 9 輸入申告 10 二十万円 関係条項 1 関税暫定措置法第8条の2第1項(特恵関税) 2 同法施行令第50条(原産地の意義) 3 同法施行令第51条第1項(原産地の証明)、同令第52条(原産地証明書の提出)、同令第55条(特恵対象物品の本邦への運送) 第5問(外国為替及び外国貿易法及び輸入貿易管理令) 正解 1 国民経済 2 承認 3 500万円 4 告示 5 輸入割当て 6 船積地域 7 公表 8 六箇月 9 税関長 10 一箇月 関係条項 1 外国為替及び外国貿易法第52条(輸入の承認)、輸入貿易管理令第4条(輸入の承認)、同令第14条、同令別表第1第1号 2 同令第5条(輸入の承認の有効期間)、同令第18条(権限の委任) 〔短答式〕 第1問(用語の定義:輸入に該当するもの又は輸入とみなされるもの) 正解 3 解説 (該当するもの又はみなされるもの=b、c、e) b 輸出の許可を受けた貨物(外国貨物)を、保税地域を経由して本邦に引き取る場合は、「輸入」に該当する。《関税法第2条第1項第1号》 c 外国の船舶により公海で採捕された水産物(外国貨物)を本邦に引き取る場合は、「輸入」に該当する。《同法第2条第1項第1号》 e 外国貨物が輸入される前に本邦において消費される(外国貨物である酒類が保税展示場において試飲される)場合には、当該消費する行為が実質的な輸入に該当するので、消費する者がその消費の時に当該外国貨物を輸入するものとみなすこととされている。《同法第2条第3項》 (該当しないもの=a、d) a 内国貨物の引取りは、輸入には該当しない。 d 保税工場における保税作業は、保税地域において関税法により認められたところに従って外国貨物が使用、消費される場合に該当し、外国貨物を輸入するものとみなすこととはされていない。《同法第2条第3項かっこ書》 第2問(課税物件の確定:輸入申告時の現況により課されるもの) 正解 3 解説 (輸入申告時の現況により課されるもの=3) 外国貨物である船用品を国内に引き取る場合には、税関長に対して輸入申告をし、その許可を受ける必要がある。外国貨物を国内に引き取る場合には、その輸入申告の時に輸入の意思が具体化することになるので、その関税は、輸入申告の時の性質及び数量により関税が課される。《関税法第67条、第4条第1項本文》 (その他のもの=1、2、4、5) 1 指定された運送期間を経過した後に運送先に到着した外国貨物は、運送が承認された時点でその性質及び数量が確認されているので、その関税は、保税運送の承認を受けた時の性質及び数量により課される。《同法第4条第1項第5号》 2 国際郵便により本邦に送付された外国貨物については輸入申告等の手続を要しないこととされているので、その関税は、税関が日本郵政公社から当該外国貨物を受け取った旨の通知を受けた時の性質及び数量により課される。《同法第4条第1項第6号》 4 収容された外国貨物で随意契約により売却されるものは、売却された貨物を買受人が買受けた時に事実上の輸入と同一視すべき状態におかれることになるので、その関税は、随意契約によって売却される時の性質及び数量により課される。《同法第4条第1項第7号》 5 総合保税地域に入れられた外国貨物で当該総合保税地域における販売又は消費を目的とするものについては、総合保税地域に当該販売又は消費を目的とした外国貨物を入れることを税関に届け出た時にその性質及び数量が確認されているので、その関税は、届出の時の性質及び数量により課される。《同法第第4条第1項第3号の2》 第3問(関税の確定及び納付) 正解 4 解説 (誤=4) 申告納税方式が適用される貨物(特例申告に係る指定貨物を除く。)の輸入者が、特定月において輸入しようとする貨物に課されるべき関税の納期限に関し、特定月の前月の末日までにその延長を受けたい旨の申請書を輸入予定地の税関長に提出し、かつ、特定月において輸入しようとする貨物の関税額の合計額に相当する額の担保を提供したときは、当該税関長は、特定月において当該輸入者が輸入する貨物の関税については、特定月における関税額の累計額が当該提供された担保の額を超えない範囲内において、その納期限を特定月の末日の翌日から3月以内に限り延長することができる。《関税法第9条の2第2項》 (正=1、2、3、5) 1 関税の確定方式には二つの方式があるが、賦課課税方式は、その関税の確定方式の一つであり、輸入貨物について納付すべき税額が、専ら税関長の処分によって確定する方式である。《同法第6条の2第1項第2号》 2 関税の納税申告した納税義務者は、正しい関税額を申告して納付する義務があるので、関税の納税申告後、更正があった場合においても、その更正後の税額に不足額があるときは、増額変更のための納税申告である修正申告をすることができる。《同法第7条の14第1項本文》 3 税関長は、納税申告をした者から更正の請求があった場合おいて、その請求に係る税額等について調査をした結果、更正をしないこととしたときは、更正すべき理由がない旨を当該請求をした者に対して文書により通知しなければならない。《同法第7条の15第2項》 5 関税法第7条第1項《申告》の規定による納税申告に係る関税額について修正申告がされた場合において、当該修正申告が、その納税申告に係る関税額についての調査があったことにより増額更正があるべきことを予知してされたものでないとき、すなわち、その関税額に関しての税関の呼出調査又は納税義務者の事務所等への立入調査が行われる前に修正申告をしたときは、増額更正を予知して行った修正申告ではないので、当該修正申告によって納付する不足関税額(増差税額)については、過少申告加算税は課されない。《同法第12条の2第4項》 第4問(輸出の許可) 正解 4 解説 (正=c、e) c 本邦の船舶が本邦の排他的経済水域の海域において採捕した水産物は内国貨物であり、内国貨物を外国へ向けて送り出すことは輸出である。《関税法第2条第2項、第1項第4号及び第2号》 したがって、本邦の船舶が本邦の排他的経済水域の海域において採捕した水産物を 当該海域から直接に外国へ向けて送り出す場合には、税関長に対して輸出申告をし、その許可を受けなければならない。《同法第67条》 e 本邦国籍の船舶は内国貨物であり、外国に売却する本邦国籍の船舶を引渡しのため本邦から外国に向けて回航(自力航行か曳航かを問わない)することは輸出に該当するので、税関長に対して輸出申告をし、その許可を受けなければならない。《同法第67条、同法基本通達2−5−(1)》 (誤=a、b、d) a 外国貿易船に船用品として積み込まれる重油は、当該外国貿易船が本邦の開港に停泊中及び開港を出港して外国への航行途中において消費されるものであって、外国へ向けて送り出されものではない。したがって、外国貿易船に内国貨物である重油を船用品として積み込む場合には、税関長に対して輸出申告し、その許可を受ける必要はないが、税関に対して内国貨物船用品の積込承認申告を行い、その承認を受けなければならない。《同法第23条第2項》 b 内国貨物を外国へ向けて郵便で送付する場合には、その価格の多少を問わず、また、商業貨物であるかどうかを問わず、郵便物の輸出入の簡易手続により関税法第67条(輸出の許可)の規定の適用がないので、税関長に対して輸出申告をし、その許可を受ける必要はない。《同法第76条第1項》 d 輸入の許可を受けた貨物は、その置かれている場所を問わず内国貨物であり、内国貨物を外国へ向けて送り出すことは輸出である。《同法第2条第1項第4号及び第2号、第67条》 したがって、輸入の許可を受けた貨物を保税地域から引き取ることなく再び輸出する場合には、税関長に対して輸出申告をし、その許可を受けなければならない。《同法第67条》 第5問(輸出申告に際しての提出書類) 正解 2 解説 (誤=b、c、d) b 外国貨物を積み戻す(外国へ向けて送り出す)場合には、関税法第68条第1項(輸出申告に際しての提出書類)の規定が準用されるので、保税工場における保税作業により製造された製品(外国貨物)を外国に向けて送り出す場合には、その積戻申告に際して、税関に仕入書を提出しなければならない。《関税法第75条》 c 関税法には、設問のような趣旨(仕入書に記載すべき価格は、本邦の輸出港における本船甲板渡し価格でなければならないとする旨)の規定はない。 なお、通常、輸出貨物に係る仕入書に記載する価格は、輸出入契約当事者間において取り決められた契約条件に基づく価格である。 d 国際郵便により信書以外の郵便物(貨物)を輸出する場合には、当該郵便物(貨物)は国際郵便路線上にある逓送貨物であり簡易、迅速な取扱いをする必要があるので、その価格の多少を問わず、また、商業貨物であるかどうかを問わず、通常の輸出手続をとる必要はない(関税法第68条第1項(輸出申告に際しての提出書類)の規定は適用されない)ので、税関に仕入書を提出することを要しない。《同法第76条第1項》 (正=a、e) a 関税法は、仕入書には、輸出貨物を搭載する航空機の名称を記載しなければならないとする旨を規定していない。 なお、航空機により輸出される貨物に係る輸出申告書には、当該航空機の名称又は登録番号を記載しなければならない。《同法第67条、同法施行令第58条第3号》 e 輸出申告に際して税関に提出する仕入書は、貨物の仕出人が署名したものでなければならない。《同法第68条第1項、同法施行令第60条第1項》 第6問(原産地表示) 正解 4 解説 (誤=4) 関税法には、設問のような趣旨(税関長は、輸入貨物に、原産地についての表示がされていない場合には、当該貨物の輸入を許可しないとする旨)の規定はない。 (正=1、2、3、5) 1 税関長は、輸入申告があった貨物に当該貨物の原産地について直接に(貨物自体に)若しくは間接に(貨物の容器、包装等に)偽った表示がある場合には、正当な原産地表示をしている生産者及びその原産地表示を信じて購入する善良な消費者の保護を図るために、当該貨物の輸入を許可しない。《関税法第71条第1項》 2 税関長は、輸入申告があった貨物に当該貨物の原産地について直接若しくは間接に誤認を生じさせる表示がある場合には、正当な原産地表示をしている生産者及びその原産地表示を信じて購入する善良な消費者の保護を図るために、当該貨物の輸入を許可しない。《同法第71条第1項》 3 税関長は、輸入申告があった貨物に当該貨物の原産地について直接若しくは間接に誤認を生じさせる表示がった場合には、国内への流入を防止するため、輸入を許可することなく、期間を指定して、当該貨物の輸入申告した者の選択により、当該表示を消させ、若しくは訂正させ、又は当該貨物を積みもどさせる措置をとる。《同法第71条第2項》 5 税関長は、原産地を偽った表示がされている貨物について当該貨物の輸入申告をした者が税関長の指定した期間内に、虚偽等表示を消し、若しくは訂正をし、又は当該貨物を積みもどしの措置をとらないときは、国内への流入を防止するため、当該貨物を留置する。《同法第87条第1項》 第7問(シンガポール原産地証明書) 正解 2 解説 (誤=a、d) a シンガポール協定原産地証明書は、その証明に係る貨物の輸入申告の日(「輸入の許可の日」ではない。)において、その発給の日から1年を経過したものであってはならないと、有効期間が定められている。《関税法第68条第2項、同法施行令第61条第6項》 d シンガポール協定原産地証明書は、シンガポール協定の特別の規定によりシンガポールを原産地とする輸入貨物に課される関税について便益を適用するための必要な書類であるので、当該貨物の輸入申告の際に税関に提出しなければならない。《同法第68条第2項》 (正=b、c、e) b シンガポールを原産地とする輸入貨物についてシンガポール協定に規定する関税の便益の適用を受ける場合において、税関長が貨物の種類又は形状により原産地が明らかであると認めた貨物については、シンガポール協定原産地証明書の提出を必要としない。《同法第68条第2項、同法施行令第61条第1項第2号イかっこ書》 c シンガポールを原産地とする輸入貨物についてシンガポール協定に規定する関税の便益の適用を受ける場合において、課税価格の総額が20万円以下の貨物については、シンガポール協定原産地証明書の提出を必要としない。《同法第68条第2項、同法施行令第61条第1項第2号イかっこ書》 e シンガポールを原産地とする輸入貨物についてシンガポール協定に規定する関税の便益の適用を受ける場合において、税関に提出するシンガポール協定原産地証明書は、その証明に係る貨物の輸出者の申告に基づきシンガポールにおいて当該証明書の発給につき権限を有する機関が発給したものでなければならない。《同法第68条第2項、同法施行令第61条第4項》 第8問(他法令の輸出入規制解除の証明又は確認) 正解 2 解説 (誤=2) 他の法令の規定により輸入に関して検査又は条件の具備を必要とする貨物については、税関が当該貨物の現物に即して確認等をする際(税関の検査その他輸入申告に係る審査の際)、当該法令の規定よる検査の完了又は条件の具備を税関に証明し、その確認を受けなければならない。《関税法第70条第2項》 (正=1、3、4、5) 1 他の法令の規定により輸入に関して許可、承認その他行政機関の処分等又はこれに準ずるものを必要とする貨物(わが国へ引き取ること自体が規制されているもの)については、輸入申告の際、当該許可、承認等を受けている旨を税関に証明しなければならない。《同法第70条第1項》 3 輸入に関して他法令の証明又は確認を必要とする貨物については、輸入に関して許可、承認等を受けている旨(輸入規制の解除を受けている旨)を税関に証明をし、又は税関の確認を受けなければ、輸入の許可を受けることができない。《同法第70条第3項》 4 本邦から外国へ向けて外国貨物を積み戻すことは、他の法令においては輸出されており、当該他の法令の規定により輸出(積戻し)が規制されることがあるため、輸出(積戻し)に関しての許可、承認等の証明又は検査合格等の確認を必要とする貨物については、当該証明をし、又は当該確認を受けなければ、輸出(積戻し)の許可を受けることができない。《同法第75条において準用する第70条》 5 国際郵便により輸出入する貨物で税関職員の検査を受けるものについては、関税法第70条(証明又は確認)の規定が準用されるので、その輸出入に関しての許可、承認等を必要とする貨物については、他法令の輸出入規制の解除の証明をし又は確認を受けなければならない。《同法第76条4項において準用する第70条》 第9問(保税展示場) 正解 1 解説 (正=1) 国際博覧会に関する条約の適用を受けて開催される国際博覧会の会場である保税展示場においては、当該保税展示場の施設の建設又は撤去のため使用される機械、器具及び装置は、「国際博覧会に関する条約」第2条の規定の趣旨に即し、外国貨物のままで使用することができることとされている。《関税法第62条の2第3項、同法施行令第51条の3第1項》 ただし、国際博覧会に関する条約の適用を受けて開催される国際博覧会以外の博覧会等の会場である保税展示場においては、当該保税展示場の施設の建設又は撤去のため使用される機械、器具及び装置は、外国貨物のままで使用することができないので、これらの貨物を保税展示場の施設の建設の用に供しようとする場合には、あらかじめ輸入の許可を受けておく必要がある。《同法第62条の2第3項、同法施行令第51条の3第2項ただし書》 (誤=2、3、4、5) 2 税関長は、保税展示場に入れられた外国貨物で販売される見込みのあるものについては、関税徴収の確保を図るために、必要があると認めるときは、あらかじめ、その関税の額に相当する金額の範囲内で担保の提供を求めることができることとされている。 しかし、設問にある「消費される見込みのあるもの」については、外国貨物を消費する行為が行われたとき、関税法の規定に基づく手続をとることとなるので、担保の提供を求められることはない。《同法第62条の4第2項》 3 保税展示場に入れられた外国貨物で保税展示場外で使用(展示)することが必要となったものについては、博覧会等の円滑な運営に資するために、税関長の許可(「承認」ではない)を受けければ一時搬出ができることとされている。《同法第62条の5》 4 関税法には、設問のような趣旨の規定はない。 5 保税展示場に入れられた外国貨物について、税関長が、その使用状況の報告を求めることができるのは、性質若しくは形状に変更が加えられる貨物についてである。使用状況の報告は、これらの貨物が輸入等される場合に備えて、その内容を明らかにしておくために求められるものである。《同法第62条の4第1項後段》 なお、販売され、使用され、又は消費される貨物については、関税法の実施を確保するため必要があるときは、保税展示場内で当該貨物を蔵置する場所を制限されることはあるが、その使用状況について報告を求められることはない。 第10問(保税地域における記帳義務) 正解 4 解説 (正=4) 保税展示場の許可を受けた者は、保税展示場にある外国貨物についての帳簿を設け、保税展示場に入れられた外国貨物で販売される見込みがある貨物について、その蔵置場所の制限が行われた場合には、その蔵置場所その他当該制限に係る事項を記載しなければならないこととされている。《関税法第62条の7において準用する第61条の3、同法施行令第51条の7第1項第3号》 (誤=1、2、3、5) 1 指定保税地域において貨物を管理する者は、その管理する外国貨物又は輸出しようとする貨物についての帳簿を設けて所定事項を記帳しなければならないが、廃棄した貨物に係る設問にあるような事項は、帳簿に記帳すべき事項とはされていない。《同法第34条の2、同法施行令第29条の2第1項》 2 保税蔵置場から輸出の許可を受けた貨物を出した場合には、当該貨物の記号、番号、品名、数量等所定の事項を帳簿に記載しなければならないが、設問にあるように当該貨物に係る許可書に所要の事項を追記した上で保管することは認められていない。《同法第34条の2、同法施行令第29条の2第1項第7号、第4項》 3 設問のような趣旨の規定はない。(保税工場の許可を受けた者は、税関長の許可を受けて保税工場にある外国貨物を保税工場以外の場所に搬出した場合には、当該搬出に係る所定の事項を帳簿に記載しなければならないこととされている。)《同法第61条の3、同法施行令50条第1項第4号》 5 設問のような趣旨の規定はない。(総合保税地域において貨物を管理する者は、税関長の許可を受けて総合保税地域から外国貨物を見本として一時持ち出した場合には、当該貨物に係る所定の事項を帳簿に記帳しなければならないこととされている。)《同法第34条の2、同法施行令第29条の2第2項第8号》 第11問(無条件免税) 正解 2 解説 (適用できるもの=a、c、e) 次に掲げる貨物は、関税定率法第14条(無条件免税)の規定の適用を受けることができるものである。 a 本邦の在外公館から送還された公用品《同法第14条第9号》 c 見本用にのみ適すると認められる注文の取集めのための見本《同法第14条第6号》 e ユネスコから寄贈された教育用の物品《同法第14条第3号の2》 (適用できないもの=b、d) 次に掲げる貨物は、関税定率法第14条(無条件免税)の規定の適用を受けることができないものである。 b 本邦にある外国の大使館に属する公用品。なお、当該公用品については、関税定率法第16条(外交官用貨物等の免税)の規定の適用を受けることができる。 d 入国者が引越貨物として個人的な使用に供するため別送して輸入する自動車。なお、当該自動車については、入国者(又は入国者に随伴して入国する家族)が入国前に既に使用したものである場合には、関税定率法第15条第1項第9号(自動車等の特定用途免税)の規定の適用を受けることができる。 第12問(関税の軽減、免除又は還付) 正解 2 解説 (正=a、b、e) a 航空機部分品等については、本邦において製作することが困難と認められるものに限り、関税の免除を受けることができる。《関税暫定措置法第4条》 b 石油化学製品製造用の揮発油等は、税関長の承認を受けた製造工場で使用される場合に限り、関税の還付を受けることができる。《同法第6条第1項》 e 軽減税率の適用を受けた物品を用途外使用に供した場合には、特定の用途に供することを要件としない税率により計算した関税の額と当該軽減税率により計算した関税の額との差額が徴収される。《同法第10条第2号》 (誤=c、d) c 関税の還付を受けようとする者は、原油等から製造した石油アスファルト等を製造工場から移出し、又は製造工場内において燃料として消費した月の末日の翌日から6月以内に、当該製造工場の名称及び所在地等を記載した申請書(関税還付申請書)を当該製造工場を所轄する税関に提出しなければならない。《同法施行令第25条》 なお、この関税の還付は、関税納付済みの原油等を使用して石油アスファルト等を製造した場合、当該原油等を輸入した者に限らず、その製造業者に適用されるものであるので、当該原油等の輸入の際には、特段の手続を要しないこととされている。 d 関税の軽減を受けようとする貨物の輸出の際に、当該貨物に係る加工又は組立ての契約の全部又は一部が行われていない場合には、当該貨物が加工又は組立てのため輸出するものであることを証する書類(契約書、注文書等)を輸出申告書に添付する必要はない。《同法施行令第46条第2項》 なお、この場合には、当該輸出された貨物による製品の輸入の際に、加工又は組立てを証する書類(契約書、注文書等)を提出することになるが、当該製品の輸入申告は、当該貨物を輸出した者の名をもってしなければならない。 第13問(輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税) 正解 3 解説 (正=3) 延滞税及び過少申告加算税は、一種の行政制裁として課される関税であるので、関税の払戻しの額から除かれることとされている。《関税定率法施行令第54条の15》 (誤=1、2、4,5) 1 関税の払戻しを受けようとする貨物については、当該貨物の輸入の許可の日から原則として1年以内に再輸出しなければならない。《同法第19条の3第1項》 2 関税の払戻しを受けようとする貨物を輸入しようとする者は、当該貨物の輸入申告の際に、当該貨物の再輸出の予定時期等を記載した書面(輸入申告書ではなく、再輸出貨物確認申請書)を税関長に提出して、その確認を受けなければならない。《同法施行令第54条の13第1項》 4 関税の払戻しを受けようとする貨物を輸出した場合に限り、関税の払戻しを受けることができる。《同法第19条の3第1項》 5 関税の払戻しを受けようとする者は、当該払戻しに係る貨物の輸出申告の際に、輸出の理由等を記載した申請書(関税払戻し(減額)申請書)を輸出申告をした税関(輸入申告をした税関ではない。)の税関長に提出しなければならない。《同法施行令第54条の16》 第14問(特恵関税制度) 正解 5 解説 (正=5) 限度額等が設けられている物品については、特恵関税適用の輸入額等が当該限度額等を超えることとなった月の翌月15日の翌日から特恵関税の適用が停止される。《関税暫定措置法第8条の4第1項》 (誤=1、2、3、4) 1 農水産物に係る特恵税率は、その物品ごとに、実効税率からおおむね5%から100%引き下げたものとされている。《同法第8条の2第1項第1号、同法別表第2》 2 特恵関税適用のための限度額等は、鉱工業産品のうち特定の物品についてのみ設けられている。《同法第8条の4、同法別表第3》 3 本邦に輸入される特恵関税適用物品であれば、入国者の別送品であっても特恵関税が適用される。《同法第8条の2》 4 本邦から輸出された物品を原料として生産された物品であっても、完全に生産された物品とみなされる場合又は当該輸出された物品について実質的な変更が行われた場合には、特恵関税が適用される。《同法第8条の2、同法施行令第50条第1項、第2項》 第15問(課税価格の決定の原則) 正解 5 解説 (正=5) 売手又は買手のいずれか一方の者が他方の者の使用者である場合には、使用する者がその使用関係を利用して輸入貨物の取引価格に影響を与える(取引価格を歪める)おそれがあるので、関税定率法第4条第2項第4号に規定する売手と買手との間に特殊関係がある場合に該当する。《関税定率法第4条第2項第4号、同法施行令第1条の8第2号》 (誤=1、2、3、4) 1 輸入貨物の輸入取引に関し、買手が自己に代わって買付業務を行う買付代理人に支払う買付手数料は、買手に代わって輸入貨物の買付を行う代理人に対して報酬として支払われるものであるので、その額の多少にかかわらず課税価格に算入してはならない。《同法第4条第1項第2号イかっこ書》 2 輸入申告の時までに輸入貨物に変質又は損傷があったときは、輸入取引の時から輸入申告の時までに生じた変質、損傷による減価に相当する額にも課税することは合理的でないので、当該変質又は損傷がなかったものとした場合に計算される課税価格からその変質又は損傷による減価に相当する額を控除して当該輸入貨物の課税価格を決定する。《同法第4条の5》 3 買手による輸入貨物の販売が認められる地域についての制限がある場合であっても、当該制限は、「買手による輸入貨物の処分等についての制限に該当しない制限」であるので、関税定率法第4条第1項に規定する課税価格の決定の原則により課税価格を決定することができる。《同法第4条第2項第1号、同法施行令第1条の7第1号》 4 関税定率法第4条第1項第3号ニに規定する「当該輸入貨物の生産に関する役務」とは、当該輸入貨物の生産のために必要とされる技術、設計、考案、工芸及び意匠であって本邦以外で開発されたものである。《同法施行令第1条の5第2項》 したがって、設問のアルバイトの雇用に要する費用は、当該輸入貨物の生産に関する役務の費用には該当しない。 第16問(課税価格の決定の特例) 正解 5 解説 (誤=5) 輸入貨物の製造原価により課税価格を決定する場合においては、当該輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物の製造原価に、当該輸入貨物の生産国で生産された同類の貨物の本邦への輸出の販売に係る通常の利潤及び一般経費並びに当該輸入貨物の輸入港までの運賃等の額を、加えた価格である。《関税定率法第4条の3第2項》 (正=1、2、3、4) 1 輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物と同種の貨物に係る取引価格により課税価格を決定する場合において、同種の貨物の取引価格は、当該輸入貨物と同一の取引段階及び実質的に同一の取引数量により輸入取引がされた取引価格によるが、当該輸入貨物と当該同一の取引段階及び取引数量による同種の貨物との間に、運送距離又は運送形態が異なることにより輸入港までの運賃等に相当の差異があるときは、その差異により生じた価格差につき、必要な調整を行った後の取引価格により課税価格を決定する。《同法第4条の2第1項》 2 輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物と同種の貨物に係る取引価格により課税価格を決定する場合において、当該輸入貨物と同種の貨物との間に取引段階又は取引数量が異なることにより価格差があるときは、その差異により生じた価格差につき、必要な調整を行った後の同種の貨物に係る取引価格により課税価格を決定する。《同法第4条の2第2項》 3 輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物の国内販売価格に基づいて決定する場合においては、当該国内において販売された輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物に係る本邦において課された関税その他の課徴金は、当該国内販売価格から控除する。《同法4条の3第1項第1号ハ》 4 輸入貨物の課税価格を当該輸入貨物の国内販売価格に基づいて決定することができる場合であっても、当該輸入貨物の製造原価を確認することができ、かつ、輸入者が当該輸入貨物の製造原価に基づいて課税価格を決定することを要請するときは、当該輸入貨物の課税価格は、当該輸入貨物の国内販売価格に基づいて決定する方法に先立って、当該輸入貨物の製造原価に基づいて決定する。《同法第4条の3第3項》 第17問(関税率表の解釈に関する通則(通則)) 正解 3 解説 (正=a、d、e) a 物品の所属の決定に際しては、まず項の規定及びこれに関係する部又は類の注の規定に従って行うこととされている。《通則1》 通則1の規定は、多くの物品の所属が通則の規定を当てはめるまでもなく、項の規定等によって物品の所属を決定することができることを示唆している。 d 各項に記載するいずれかの材料又は物質は、「純粋に当該材料又は物質のみで構成するものではない」と規定を広く解釈することから、当該材料又は物質に「他の材料又は物質を混合し又は結合した物品」を含むこととされており、項の範囲を拡大する規定となっている。《通則2(b)》なお、別段の規定がある場合に当該規定が適用されないものとしては、第31類(肥料)注2〜4において、「この類には、特定の物品を含まない。」旨が規定されている例がある。 e 通則1から3までの原則により所属の決定ができない「特殊で例外的な物品」については、「最終的にいずれかの項に当てはめる」必要があることから、当該物品に最も類似する物品が属する項に分類することとされている。《通則4》 (誤=b、c) b 完成した物品で、提示の際に分解してあるものは、「組立てると完成品となるものも完成品とする」と広く解釈することから、当該完成した物品の属する項に含まれることとされており、項の範囲を拡大する規定となっている。《通則2(a)》 c 通則3(a)及び(b)でその所属を決定することができない物品は、分類の検討で「選ばれた項の中から決定」することが必要なことから、当該物品の等しく考慮に値する項のうち、数字上の配列において最後となる項に分類することとされている。《通則3(c)》 第18問(輸出貿易管理令) 正解 1 解説 (正=1) 輸出貿易管理令別表第1(輸出許可の対象貨物)に掲げる貨物を輸出する場合には、同令第4条第1項(特例)の規定に該当する場合を除き、その貨物を使用する目的のいかんを問わず、輸出の許可が必要である。《外国為替及び外国貿易法第48条第1項、輸出貿易管理令第1条第1項、別表第1》 (誤=2、3、4、5) 2 本邦から輸出された貨物であって、本邦において修理された後再輸出されるものについては、無償で輸出すべきものとして無償で輸入した場合に限り、特例に該当するので、有償で再輸出される場合には、輸出の許可が必要である。《輸出貿易管理令第4条第1項第2号ホ、経済産業大臣告示》 3 総価額100万円以下の貨物を米国に輸出する場合であっても、同令別表第1の1から4まで又は14の項(武器、核燃料物質、軍用化学製剤の原料物質等)に掲げる貨物等は特例から除外されているので、輸出の許可が必要である。《同令第1条第1項、第4条第1項本文ただし書、第4条第1項第4号》 4 在外日本大使館あてに貨物を輸出する場合であっても、同令別表第1の1の項(武器等)に掲げる貨物は特例から除外されているので、輸出の許可が必要である。《同令第1条第1項、第4条第1項本文ただし書》 5 猟銃は、同令別表第1の1の項(武器等)に掲げる銃砲に該当し、輸出の許可が必要である。《同令第1条第1項、同令別表第1の1の項》 第19問(不服申立て) 正解 4 解説 (誤=4) 関税定率法第21条第3項(輸入禁制品に該当する旨の通知)の規定による通知の対象となった物品は、憲法上保障されている思想又は表現に関わる物品であるので、行政部内において輸入禁制品に該当するか否かを慎重に再検討をさせるため、その通知の取消しの訴えは、財務大臣の審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができないこととされている。《関税法第93条》 (正=1、2、3、5) 1 異議申立期間は、税関長の処分があったことを知った日の翌日から起算して2月以内である。《同法第89条第2項》 2 審査請求期間は、異議申立てについての税関長の決定があったことを知った日の翌日から起算して1月以内である。《同法第90条》 3 関税法又は他の関税に関する法律の規定によって税関職員が一定の処分を行う場合もあるので、この場合の税関職員が行う処分については、その税関の税関長が行った処分とみなして不服申し立ての対象とし、広く行政救済を図ることとされている。《同法第89条第3項》 5 審査請求が滞納処分に関するものであるときは、関税に関する専門的、技術的特質を考慮し、また、裁決の適正を期するために、財務大臣は、必ず関税等不服審査会に諮問しなければならないこととされている。《同法第条91条》 なお、関税等不服審査会に諮問しなければならない審査請求としては、滞納処分に関するもののほか、関税の確定若しくは徴収に関する処分又は関税定率法第21条第3項(輸入禁制品に該当する旨の通知)の規定による通知に関する審査請求がある。 第20問(電子情報処理組織を使用して行うことができる税関手続) 正解 2 解説 電子情報処理組織(NACCS)を使用して行うことができる税関手続は、電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律(NACCS特例法)第3条第1項(電子情報処理組織による申告又は処分の通知)及び同法施行令第2条(申告等の指定)に規定する手続に限られている。 設問に掲げる税関手続のうち、電子情報処理組織を使用して行うことができるもの又はできないものの内訳及びその根拠条項等は、次のとおりである。 (NACCSを使用してできるもの=a、b、d) a 関税法第70条第1項(他の法令の規定による許可、承認等の証明)の規定による証明NACCS特例法施行令別表第32項 b 関税法第70条第2項(他の法令の規定による検査の完了又は条件の具備の証明)の規定による証明 NACCS特例法施行令別表第33項 d とん税法第5条第1項(申告による納付)及び特別とん税法第5条第1項(申告及び納付等)の規定による申告 NACCS特例法施行令別表第37項 (NACCSを使用できないもの=c、e) c 関税法第23条第1項(外国貨物である船用品又は機用品の積込み)の規定よる申告規定なし e 関税法第42条第1項(保税蔵置場の許可)の規定による許可の申請 規定なし |