本試験問題と解答・解説


平成15年度第37回通関士試験解答
  

〔通関業法関係〕(時間45分)

〔解答と解説〕

〔記述式〕

第1問
(通関業の許可の消滅)

正解

1 廃止
2 解散
3 破産
4 公告
5 通関
6 相続人
7 存続する法人
8 役員
9 破産管財人
10 清算人

関係条項
(問題の項別の記述は、それぞれ次の規定に基づいて構成されている。以下、記述式において同じ。)
 1 通関業法第10条第1項(許可の消滅)
 2 同法第10条第2項(許可の消滅の公告)
 3 同法第10条第3項(現に進行中の通関手続の取扱い)
 4 同法第12条第3号(許可の消滅に関する届出)、同法施行令第3条(許可の消滅に
  関する届出義務者)

第2問
(通関業者に対する監督処分、通関士に対する懲戒処分)

正解

1 役員
2 信用
3 責めに帰すべき理由
4 戒告
5 一年
6 停止
7 許可の取消し
8 二
9 禁止
10 審査委員

関係条項
 1 通関業法第34条第1項(通関業者に対する監督処分)
 2 同法第35条第1項(通関士に対する懲戒処分)
 3 同法第37条第1項(処分の手続)


〔短答式〕

第1問(定義) 

正解 3

解説
(非該当=b、d)
 b 他人の依頼により外国貨物の仮陸揚の届出をすることは、通関業務に先行する関連業務とされている。(海貨業者等も行うことができる業務であるので、通関業者の独占業務とはされていない。)《通関業法第7条》
 d 他人の依頼により保税運送の申告をすることは、通関業務に先行する関連業務とされている。(運送業者等も行うことができる業務であるので、通関業者の独占業務とはされていない。)《同法第7条》
(該当=a、c、e)
 a 関税の額に関する修正申告は、関税の確定に関する手続として通関業法上「通関手続」とされているので、仮にその修正申告が輸入の許可後に行われるとしても、通関業者が他人の依頼により行うことは、「通関業務」に該当する。《同法第2条第1号イの(1)かっこ書》
 c 外国貿易船への船用品の積込みの申告を通関業者が他人の依頼により行うことは、「通関業務」に該当する。《同法第2条第1号イの(1)の(三)》
 e 指定外検査の許可申請は、輸出入申告からその許可を受けるまでの間に行われる手続(「通関手続」の一環としてその手続の過程において行われるもの)であるので、通関業者が他人の依頼により行うことは、「通関業務」に該当する。《同法第2条第1号イの(1)》 

第2問(通関業の許可及び許可の基準) 

正解 5

解説
(誤=d、e)
 d 通関業法には、設問のような趣旨(通関業に関連する事業を営んでいることを「許可の基準」とする旨)の規定はない。
 e A税関長の許可を受けている通関業者から新規に許可申請があった場合には、B税関長は、その者が通関業の許可の基準に適合しているかどうかの審査を行うこととされている。(他の税関の管轄区域内において適正に通関業を営んでいる通関業者から、新たに通関業務を行おうとする管轄区域内の税関に通関業の許可申請があった場合に、一部の審査基準についての審査が省略されることはある。)《通関業法第5条》
(正=a、b、c)
 次の規定により、いずれも正しい記述である。
 a 同法第5条第2号(人的構成に関する基準)
 b 同法第5条第4号(通関士の設置に関する基準)
 c 同法第5条第1号(経営の基礎に関する基準) 

第3問(許可の取消し) 

正解 4

解説
(許可を取り消すことができるもの=c、d)
 c 欠格事由に該当する者(通関業の許可をするのにふさわしくない者)に対しては、通関業の許可は行われないが、通関業の許可を受けた後、通関業者が欠格事由に該当することとなった場合(設問にあるように、法人である通関業者の役員が禁錮以上の刑に処せられた場合等)には、通関業の許可を存続させるのは適当ではないので、許可の取消しの対象とされる。《通関業法第11条第1項第2号》
 d 通関業者が、通関業の許可に付された条件に違反した場合には、通関業者に対する監督処分として許可の取消しの対象とされる。《同法第34条第1項第1号》
(許可を取り消すことができないもの=a、b、e)
 次のような場合に、税関長が通関業の許可を取り消すことができるとする旨の規定はない。
 a 6月以上通関業務を行わなかった場合 
 b 更生手続(株式会社の事業の維持更生を図ることを目的とした手続)開始の決定を受けた場合
 e 通関業者の経営の基礎が確実でなくなった場合

第4問(通関士の設置) 

正解 4

解説
(正=4)
 通関業の許可に貨物限定の条件を付された場合には、通関業者の行う通関業務の範囲が特定の種類の貨物に限定されることとなる結果、当該限定された特定の種類の貨物の通関業務を反復して行うことになるので、従来の通関経験等により適正に通関業務を処理することができると認められるため、通関士の設置義務が免除される。《通関業法第13条第1項第2号》
(誤=1、2、3、5)
 1 通関士の設置を要する営業所については、貨物限定の条件が付されている場合などを除き、設問にあるように税関長に届け出ることにより通関士の設置義務が免除されることはない。
 2 設問のような趣旨の規定はない。(営業所における通関業務の量からみて専任の通関士を置く必要がないものとして税関長の承認を受けた場合を除き、専任の通関士の設置義務が免除されることはない。)《同法施行令第4条第1項》
 3 専任の通関士は、一人以上置けばよいこととされており、設問にあるように必ずしも複数名であることを要しない。《同法施行令第4条第1項》
 5 通関業の許可の条件としての「期限」は、通関士の設置の免除を目的とした条件ではなく、通関業の存続期間を限定するために付されるものであるので、このような条件が付されることがあるとしても、通関士の設置義務が免除されることはない。《同法第13条第1項》

第5問(通関士の審査等) 

正解 3

解説
(通関士の審査等を要しないもの=b、d)
次に掲げる申請書は、いずれも通関業法第14条(通関士の審査等)、同法施行令第6条(通関士の審査を要する通関書類等)の規定により通関士にその内容を審査させることを要する通関書類とはされていない。
 b 見本持出許可申請書
   (通関業務に先行する関連業務に係る書類であるので、通関士の審査を要する通関書類等とはされていない。)
 d 輸入許可前引取承認申請書
   (「通関手続」の一環としてその手続の過程において行われる手続に係る申請書であっても、同法施行令第6条の規定により、通関士の審査を要する通関書類等とはされていないものもあるので、要注意。)
(通関士の審査等を要するもの=a、c、e)   
 次の規定により、いずれも通関士にその内容を審査させることを要する書類とされている。
 a 同法施行令第6条第3号(特例申告書) 
 c 同法施行令第6条第1号(展示等申告書) 
 e 同法施行令第6条第2号(異議申立書) 

第6問(検査の通知) 

正解 3

解説
(通知を要しないもの=b、d)
 次の検査は、通関業者が行う通関手続に関するものではないので、いずれも税関長が通関業者又はその従業者の立会いを求めるために通知を要する検査とはされていない。
 b 保税作業に出される貨物についての検査
 d 保税運送貨物についての検査 
(通知を要するもの=a、c、e)
 通関業者が行う通関手続に関するものであるので、次の規定により、いずれも税関長が通関業者又はその従業者の立会いを求めるために通知を要する検査とされている。
 a 通関業法第16条、同法施行令第7条第2号(保税蔵置場に置かれる貨物についての検査)
 c 同法第16条、同法施行令第7条第3号(保税展示場に入れられる貨物についての検査)
 e 同法第16条、同法施行令第7条第1号(積戻し貨物についての検査)

第7問(通関業者の義務) 

正解 4

解説
(誤=4)
 通関業法には、設問のような趣旨の規定はない。(料金掲示義務は、適正な料金の収受を図るために設けられているものであるので、特定の依頼者に係る通関業務のみを取り扱う通関業者であっても、免除されることはない。)《通関業法第18条第1項》
(正=1、2、3、5)
 1 通関業者は、通関業務について依頼を受ける場合には、関連業務についても併せて依頼を受けることがあるので、通関業務等の依頼者にその業務を依頼することによって支払うことになる料金の額を知ってもらうために、通関業務に係る料金の額のほか関連業務に係る料金の額についても、その掲示義務が課されている。《同法第18条第1項》
 2 通関士が通関業務に従事している営業所においては、その営業所が通関士の設置を要しない地域にある場合であっても、貨物の通関に関する手続の適正かつ迅速に行うために、通関士に通関書類の審査をさせる義務が免除されることはない。《同法第14条かっこ書》
 3 通関業界全体に対する社会的な評価の保持、通関手続の適正な遂行を阻害する要因を排除する観点から、法人である通関業者の役員には、信用失墜行為が禁止されている。《同法第20条》
 5 税関は、通関業務を担当する役員の動静を常に把握しておく必要があるので、その者に異動があった場合には、その異動を、そのつど税関長に届け出なければならないこととされている。《同法第22条第2項、同法施行令第9条第1項》 

第8問(帳簿、書類の保存) 

正解 3

解説
(保存を要しないもの=3)
 「定期報告書」は、それに所定の事項(その取扱いに係る通関業務の件数、これらについて受けた料金等)が記載され、所定の時期に税関長に提出されればその役割を達成することになるので、提出後における保存は義務付けられていない。
(保存を要するもの=1、2、4、5)
 次の規定により、いずれも3年間その保存が通関業者に義務付けられている。
 なお、通関業務に関する書類は、通関手続の代理を行った者に、その責任の帰属関係を明確にするとともに、手続完結後発見される誤りの原因や料金の収受状況の調査の便宜を考慮して、その保存が義務付けられているものである。
 1 通関業法第22条第1項、同法施行令第8条第2項第1号(税関官署に提出した申告書の写し) 
 2 同第22条第1項、同法施行令第8条第1項第2項(収入に関する事項を記載した帳簿) 
 4 同第22条第1項、同法施行令第8条第2項第1号(財務大臣に提出した審査請求書の写し)
 5 同第22条第1項、同法施行令第8条第2項第2号、第2項(依頼者からの依頼を受けたことを証する書類)

第9問(確認) 

正解 4

解説
(正=4)
 通関業者は、通関士試験に合格した者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとするときは、その者が、設問にあるように、他の通関業者の専任でない通関士であったとしても、税関長の確認を受けなければならないこととされている。《通関業法第31条第1項》
(誤=1、2、3、5)
 1 確認については、通関士試験合格後の通関業務従事期間に関する規定はない。 
 2 通関士の設置を要しない地域にある営業所に通関士を置くことについて、確認を要しないとする旨の規定はない。
 3 通関士が確認を受けた通関業者の通関業務に従事している限り、同一税関の管轄区域内の他の営業所に異動になったとしてもその資格を失うことはないので、改めて確認を受ける必要はない。
 5 通関業者は、通関士でない者を通関士という名称を用いてその通関業務に従事させようとするときは、その者が、設問にあるように、通関士として自己の通関業務に従事していた経験があるものであっても、改めて確認を受けなければならない。《同法第31条第1項》

第10問(通関士の資格の喪失) 

正解 5

解説
(喪失しないもの=d、e)
 d 通関士が疾病のため通関業務に従事できなくなったとしても(それがたとえ長期療養の場合であったとしても)、通関業務に従事する意思はありながら、やむを得ず休んでいる場合であるので、「通関業務に従事しないこととなったとき」には該当しない取扱いとされている。《通関業法第32条第1号参照。》
 e 通関士が、通関業務以外の業務(例えば、庶務事務など)を兼ねることがあるとしても、通関業務に従事しないこととならない限り、通関士でなくなることはない。
(喪失するもの=a、b、c)
 次の規定により、当該者はいずれも、通関士でなくなる。
 a 同法第32条第1号(確認を受けた通関業者の通関業務に従事しなくなった場合)
 b 同法第6条第4号イ、同法第32条第2号(欠格事由に該当→資格喪失)  
 c 同法第6条第4号ロ該当、同法第32条第2号(欠格事由に該当→資格喪失) 


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