平成14年度第36回通関士試験解答 |
〔関税法、関税定率法その他関税に関する法律及び外国為替及び外国貿易法(第6章に係る部分に限る。)〕(時間 1時間45分) 〔記述式〕 第1問(特例申告) 正解 1 承認 2 継続的 3 指定 4 納税 5 輸入 6 翌月末日 7 刑 8 通告 9 3年 10 理由 参照条文 1 関税法第7条の2第1項、第2項(申告の特例)、第7条の6第1項、第3項(指定の申請) 2 同法第7条の5第1項(承認の要件)、同法施行令第4条の5第3項(特例輸入者の承認の申請の手続等) 第2問(関税の納付) 正解 1 納税申告 2 確定 3 納付書 4 日本銀行 5 輸入する日 6 担保 7 3月以内 8 賦課課税 9 納付の告知 10 納税告知書 参照条文 1 関税法第9条第1項(申告納税方式による関税等の納付)、第9条の2第1項(納期限の延長)、第9条の4(納付の手続) 2 第6条の2第1項(税額の確定方式)、第9条の3(納税の告知) 第3問(輸入申告) 正解 1 必要な検査 2 保税地域 3 指定する場所 4 積荷目録 5 仕入書 6 課税標準 7 契約書 8 処分 9 証明 10 輸入の許可 参照条文 1 関税法第67条(輸入の許可)、第67条の2(輸入申告の時期) 2 同法第68条(輸入申告に際しての提出書類) 3 同法第70条(証明又は確認) 第4問(不当廉売関税) 正解 1 輸出国 2 消費 3 同種 4 低い価格 5 輸入 6 産業 7 損害 8 保護 9 期間 10 差額 参照条文 1及び2 関税定率法第8条第1項(不当廉売関税) 第5問(加工又は修繕のため輸出された貨物の減税) 正解 1 本邦 2 輸出の許可 3 1年 4 関税 5 性質 6 課税価格 7 加工 8 困難 9 輸出地 10 承認 参照条文 関税定率法第11条(加工又は修繕のため輸出された貨物の減税)、同法施行令第5条の3(再輸入の期間の延長の承認申請手続) 〔短答式〕 第1問(用語の意義) 正解 3 解説 (該当=3) 関税定率法では、輸出の意義については、関税法第2条第1項第2号に規定する行為のほか、貨物を特定の国から他の国に向けて送り出すことを意味することとされており、ここでいう「特定の国」には、公海(排他的経済水域の海域)で採捕された水産物については、これを採捕したその国の船舶を含むこととされている。《関税定率法第2条、関税法第2条第1項第2号》 (非該当=1、2、4、5) 1 仮陸揚げした貨物は外国貨物であるが、船積み、荷繰りの都合で一時陸揚げ又は取卸しされたものであるので、その貨物が外国に向けて送り出されることがあるとしても、税関手続の簡易化を図る見地から、関税法では、「輸出」又は「積戻し」としては取り扱わないこととされている。《関税法第2条、第21条、第75条》 2 外国の領域内での行為(陸揚げ、売却)は、関税法の関知しないものであり、「輸出」には該当しない。 4 船用品自体は外国に向けて送り出されるものではないので、税関手続の簡易化を図る見地から、その積み込みに際して、承認申告手続をとらせて、「輸出」とは取り扱わないこととされている。《関税法第23条第2項》 5 設問の郵便物は、郵政官署から(名宛人に)交付されたものではないので外国貨物である。このため、当該郵便物が外国に向けて返送されることがあるとしても、「輸出」には該当しない。《関税法第74条、第75条》 第2問(納税義務) 正解 3 解説 (正=a、d、e) a 関税は、関税法又は関税定率法その他関税に関する法律に別段の定めがある場合を除き、貨物を輸入する者が納める義務がある。《関税法第6条》 d 輸入の許可を受けて引き取られた貨物について、納付された関税に不足額があった場合において、当該許可の際当該貨物の輸入者とされた者の住所及び居所が明らかでなく、か つ、当該貨物の通関業務を取り扱った通関業者がその通関業務の委託を受けた者を明らか にすることできなかったときは、当該通関業者は、その輸入者と連帯して関税を納める義 務を負う。《関税法第13条の3》 e 保税蔵置場にある外国貨物が、災害その他やむを得ない事情以外の事情により亡失し、又は税関長の承認を受けないで滅却されたときは、当該保税蔵置場の許可を受けた者が当該外国貨物の関税について納税義務を負う。《関税法第45条第1項本文》 (誤=b、c) b 保税運送の承認を受けて運送された外国貨物がその指定された期間内に運送先に到着しない場合には、当該運送の承認を受けた者から、その関税が直ちに徴収されることとされているが、災害その他やむを得ない事由により亡失したものであるときは、関税の納税義務は免除される。《関税法第65条第1項ただし書》 c 関税暫定措置法第8条の7《軽減税率の適用手続》に規定する軽減税率の適用を受けた物品を、その輸入の許可の日から2年以内に当該軽減税率の適用を受けた用途以外の用途 に供したときは、当該用途以外の用途に供した者が、軽減された関税を納める義務を負う。 《関税暫定措置法第10条》 第3問(関税の確定及び納付) 正解 5 解説 (誤=5) 輸入の許可前引取り承認を受けて引き取られた貨物に係る関税につき、関税法第7条の17 《輸入の許可前に引き取られた貨物に係る税額等の通知》の書面に記載された申告に係る税額又は当該貨物の輸入の許可前にされた更正に係る更正通知書に記載された納付すべき税額の納期限は、当該通知書が発せられた日の翌日から起算して1月を経過する日である。《関税法第9条第2項第3号》 (正=1、2、3、4) 1 国内引取りされる予定の外国貨物が、輸入される前に開港に停泊中の外国貿易船の船上 で消費されたときは、当該外国貨物に係る関税の額は、税関長の賦課決定処分により確定 する。《関税法第6条の2第1項第2号ニ、第8条第1項第2号》 2 保税工場外における保税作業の許可を受けて指定場所に出されている貨物が、指定期間を経過してもなおその指定場所に置かれているときは、当該貨物に関税の額は、税関長の 賦課決定処分により確定する。《関税法第6条の2第1項第2号ニ、第8条第1項第2号》 3 修正申告は、先に行った納税申告に係る税額につき更正があった場合において、その更 正後の税額に不足額があるときは、税関長の更正があるまでは行うことができる。《関税法 第7条の14第1項第1号》 4 決定とは、納税申告が必要とされている貨物について、その輸入の時までに納税申告が ない場合に、税関長が、その調査により当該貨物に係る税額等を決定する処分である。《関 税法第7条の16第2項(決定)》 第4問(輸出通関) 正解 2 解説 (誤=a、c、d) a 関税法には、設問のような趣旨(「輸出申告された貨物に原産地が表示されていないときは、輸出を許可しない。」とする旨)の規定はない。 c 貨物を外国貿易船に積み込んだ状態で輸出申告すること(本船扱い)につき税関長の承 認を受ける場合には、「当該貨物の性質、形状及び積付の状況が税関の検査を行うのに支 障がないこと」が承認の条件になっているので、当該貨物についての必要な税関の検査が 免除されることはない。《関税法第67条の2第1項ただし書、同法施行令第59条の3第1項第1号》 d 輸出申告書に記載すべき貨物の数量は、財務大臣が貨物の種類ごとに定める単位による 当該貨物の正味の数量である。《関税法第67条、同法施行令第59条の2第1項》。 (正=b、e) b 輸出申告書に記載すべきこととされている事項について、税関長は、貨物の種類又は価格を勘案し、記載の必要がないと認める事項の記載を省略させることができる。《関税法第67条、同法施行令第58条ただし書前段)。 e 貨物を輸出しようとする者とは、貨物を輸出する権能を有する者をいい、当該貨物の所有者ばかりでなく、およそ貨物の輸出という行為をしようとするものであれば足り、通常の手続により輸出される場合には、輸出申告書に添付されている当該貨物に係る仕入書に署名した仕出人である。《関税法第67条》 第5問(輸出通関) 正解 2 解説 (誤=2) 国際郵便により外国へ向けて発送される貨物であっても、税関の検査により、他の法令の規定により輸出に関して許可、承認若しくはその他行政機関の処分又は検査若しくは条件の具備を必要とする貨物であることが判明した場合には、当該貨物については、関税法第70条(証明又は確認)の規定が準用されるので、当該貨物の差出人(輸出者)が他の法令の規定による許可、承認等又は検査の完了若しくは条件の具備を税関に証明しない限り、郵政官署において外国に向けて発送しないこととされている。《関税法第76条第1項ただし書、第4項》 (正=1、3、4、5) 1 貨物を輸出しようとする者は、輸出申告に際し、当該貨物の品名、数量及び価格、価格の決定に関係がある契約の条件を記載して仕出人が署名した仕入書を提出しなければならない。《関税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第2項》 3 輸出申告は、原則として、当該輸出申告に係る貨物を保税地域(他所蔵置場所を含む。) に入れた後にしなければならない。《関税法第67条の2第1項本文》 4 本邦の船舶が本邦の排他的水域の海域で採捕した水産物は内国貨物であるので、これを洋上から直接外国へ向けて送り出す場合には、輸出申告してその許可を受けなければならない。《関税法第2条第2項、第2条第1項第2号、第67条》 5 他法令の規定により輸出に関して許可、承認その他行政機関の処分又は検査の完了等を 必要としない貨物のうち、輸出申告価格の総額が100万円以下の貨物を輸出しようとす る場合には、輸出申告に際し税関に仕入書を提出する必要はない。《関税法第68条第1項 ただし書後段、同法施行令第60条第3項第1号》 第6問(輸入通関) 正解 3 解説 (正=a、c、d) a 外国貿易船へ船用品として積み込まれた内国貨物は、本邦の領海、本邦と外国のとの間の航行中又は外国の領海において当該外国貿易船内で使用されるものであって、外国へ向けて送り出されるものでないため、関税法では、その積み込みに際して承認申告手続をとらせて「輸出」とは取り扱っていないので、依然として内国貨物である《関税法第23条第2項》。 したがって、外国貿易船に船用品として積み込まれた内国貨物を不要となったことにより本邦に引き取ることは、内国貨物の引取であって輸入とはならないので、輸入申告は不要である。《関税法第23条第2項》 c 国際郵便路線を利用して輸入される小包については、不正輸入を防止するため、税関長は、税関職員に必要な検査を行わせる。《関税法第76条第1項ただし書》 d 保税地域にある外国貨物を見本として一時持ち出すことについては、所定の手続(見本の一時持出しの許可申請手続)が定められており、税関長に対し輸入申告をして、その許可を受ける必要はない。《関税法第32条》 (誤=b、e) b 課税価格の合計額が10万円以下の輸入貨物(携帯品及び別送品を除く。)に対する関税の率は、関税に関する他の法律の規定にかかわらず、原則として、簡易税率表による。《関税定率法第3条の3》 e 税関が輸入申告のあった貨物について行う検査は、申告価格(課税価格相当額)の妥当性の確認、課税標準数量と実際の数量との確認、性能・成分・用途等の把握等を目的として行うものであるので、輸入に関して植物防疫法など関税関係法令以外の法令の規定に基づく検査に合格している貨物を輸入しようとする場合であっても、当該貨物に対する税関の検査が免除されることはない。《関税法第67条》 第7問(輸入申告に際し税関に提出する仕入書) 正解 3 解説 (誤=3) 貨物の原産地は、仕入書の記載事項とはされていない。《関税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第1項》 (正=1、2、4、5) 1 輸入申告に際して税関に提出する仕入書は、当該輸入申告に係る貨物の仕出国において作成されたものでなければならない。《関税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第1項》 2 輸入申告に際して税関に提出する仕入書は、当該輸入申告に係る貨物の仕出人が署名したものでなければならない。《関税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第1項》 4 輸入申告に際して税関に提出する仕入書は、税関長がその省略を認めた場合を除き、当該輸入申告に係る貨物の記号及び番号を記載したものでなければならない。《関税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第1項》 5 輸入申告に際して税関に提出する仕入書は、その作成の年月日を記載したものでなければならないが、関税法においては、仕入書の有効期間について、何等規定していない。《関 税法第68条第1項本文、同法施行令第60条第1項》 第8問(原産地を偽った表示がされている外国貨物) 正解 4 解説 (正=b、c、e) b 税関長は、輸入の許可前における引取りの承認申請があった外国貨物について、原産地を偽った表示がされている場合には、国内への流入を防止するために、その承認をしてはならない。《関税法第73条第2項》 c 税関長は、原産地について直接に【貨物それ自体】若しくは間接に【貨物の包装等に】偽った又は誤認を生じさせる表示がされている外国貨物については、輸入の許可をしない。《関税法第71条第1項》 e 税関長は、原産地を偽った表示がされている外国貨物について、当該貨物の輸入申告を した者が指定された期間内に当該偽った表示を消し、若しくは訂正をし、又は当該貨物を積み戻さないときは、原産地を偽った表示がされている貨物の国内への流入を防止するために、当該貨物を留置する。《関税法第87条第1項》 (誤=a、d) a 関税法には、設問のような趣旨(「原産地を偽った表示のある貨物を保税蔵置場に置くことを承認しない。」とする旨)の規定はない。《関税法第71条第1項》 d 関税法には、設問のような趣旨の規定はない。(税関長は、原産地を偽った表示を消し又は訂正するための期間は指定するが、場所については指定しない。なお、通常は、当該原産地を偽った表示がある貨物が置かれている場所(保税地域)で、表示の抹消等が行われる。)《関税法第71条第2項》 第9問(保税地域) 正解 1 解説 (正=1) 保税蔵置場の許可を受けた者(法人)がその倉庫業務部門を分離して他社に譲渡することになれば、保税蔵置場の業務を廃止することになるので、保税蔵置場の許可はその効力を失うこととされている。《関税法第47条第1項第2号》 この場合において、あらかじめ税関長の承認を受けたときは、改めて保税蔵置場の許可を受けることなく、当該分割をした法人が受けていた許可に基づく地位を承継することができる。《関税法第48条の2第4項》 (誤=2、3、4、5) 2 税関長の承認を受けて、外国貨物と内国貨物とを混して使用したときは、これによってできた製品のすべてではなく、当該外国貨物の数量に対応するものを外国から本邦に到着した外国貨物とみなすこととされている。《関税法第59条第2項》 3 総合保税地域において外国貨物が亡失した場合において、総合保税地域において亡失した貨物を管理していた者が総合保税地域の許可を受けた法人以外の者であるときは、総合保税地域の許可を受けた法人と総合保税地域において貨物を管理していた者が、連帯して関税を納める義務を負うこととされている。(総合保税地域においては、その許可を受けた者が貨物の管理者でないケースが多いことから、関税徴収の確保のためにとられている措置である。)《関税法第62条の13》 4 保税蔵置場の許可が失効した場合において、その失効の際、当該保税蔵置場に外国貨物があるときは、当該貨物については、税関長が指定する期間、その許可が失効した場所は保税蔵置場とみなすこととされており(許可を受けていた者は、指定期間内に外国貨物を搬出することになる。)、直ちにその関税が徴収されるということはない。《関税法第47条第3項》 5 保税展示場にある外国貨物が亡失した場合には、当該保税展示場の許可を受けた者(国際博覧会の主催者など保税展示場の利用者ではない。)から、直ちにその関税が徴収される。《関税法第62条の7において準用する第45条第1項》 第10問(保税地域) 正解 3 解説 (正=3) 有償で観覧又は使用に供される外国貨物を保税展示場に入れることはできないこととされている(このような貨物については、保税展示場搬入前に、輸入手続をとっておく必要がある。)が、実費を超えない対価を徴収して観覧又は使用に供される貨物は例外とされている。《関税法第62条の2第3項、同法施行令第51条の3第2項第1号、同法施行規則第7条》 (誤=1、2、4、5) 1 外国貨物について簡単な加工を行おうとするときは、税関長の許可が必要である。《関税法第40条第2項》 2 保税蔵置場に置かれた外国貨物の出し入れについては、記帳が義務付けられているが、輸入の許可を受けた貨物(内国貨物)の出し入れについては、そのような義務は課せられていない。《関税法第34条の2、同法施行令第29条の2第1項》 4 外国貨物を廃棄しようとする場合には、税関に届け出て、課税物品の有無等の確認を受ければよいこととされており、税関長の承認は要しない。《関税法第34条》 5 保税地域以外の場所に置かれている外国貨物については、取締り上の観点から、貨物を第三者の目に触れさせるような「見本の展示」や貨物自体に手を加える「簡単な加工」等は、仮に許可申請があったとしても、認められないこととされている。(関税法第36条第2項の規定において同法第40条第2項の規定が準用されていないことに留意する必要がある。) 第11問(免税物品の用途外使用と関税の徴収) 正解 5 解説 (該当=b、c、e) 次に掲げる免税適用物品については、用途外使用に供された場合、その用途外使用に供した者から、その免除を受けた関税が直ちに徴収される。 b 国際親善のため外国の姉妹都市から本邦の市に寄贈された装飾用の織物《関税定率法第15条第2項》 c 大使館が公用品として輸入した葉巻たばこ《関税定率法第16条第2項、同法施行令第28条第2号》 e 人工衛星の打ち上げ用の装置《関税暫定措置法第9条及び第10条》 (非該当=a、d) 次に掲げる免税適用物品については、用途外使用の場合の関税の徴収に関する規定はない。 a 注文の取集めのための見本《関税定率法第14条第6号》 d 領事館の領事が自用品として輸入した革製のかばん《関税定率法第16条第2項、同法施行令第28条》 (注)外交官用貨物等のうち、用途外使用の場合に関税が徴収される物品として指定されているのは、自動車、酒類及びたばこだけである。 第12問(違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税等) 正解 4 解説 (正=4) 保税地域への搬入期間延長の承認申請書は、当該貨物の輸入地の税関長に提出することとされているが、搬入しようとする保税地域の所在地を所轄する税関長と当該輸入地の税関長とが異なるときは、当該保税地域の所在地を所轄する税関長に提出することができることとされている。《関税定率法施行令第56条の2》 (誤=1、2、3、5) 1 税関長の承認を受けて当該貨物を輸出に代えて廃棄する場合であっても、関税の払戻しを受けることができる。《関税定率法第20条第2項》 2 保税地域等への搬入期間は、原則として、当該貨物の輸入の許可の日から6月以内とされている。《関税定率法第20条第1項》 3 関税の払戻しを受けることができる輸入貨物は、その輸入の時の性質及び形状に変更が加えられていないもの(具体的には、貨物の性質及び形状に実質的な変化が加えられていないもの)であることが必要である。《関税定率法第20条第1項》 5 品質又は数量等が契約の内容と相違する貨物を輸出する場合においては、返送のため輸出するものに限られているので、当該貨物を第三者に販売する目的で輸出する場合には、関税の払戻しを受けることができない。《関税定率法第20条第1項》 第13問(特恵関税制度) 正解 5 解説 (正=c、d、e) c 原産地証明書の有効期間は、災害等の理由により税関長の承認を受けた場合を除き、その発給の日から1年以上を経過したものであってはならないこととされている。《関税暫定措置法施行令第53条》 d 原産地証明書は、その証明に係る物品の輸入申告の際に提出しなければならないが、その際に提出することができないことについて、輸入の許可前における貨物の引取りの承認を受けることを条件として税関長の承認を受けたときは、その提出を要しないこととされている。《関税暫定措置法施行令第52条》 e 本邦の排他的経済水域の海域で採捕された水産物については、その採捕した船舶の属する特恵受益国において完全に生産された物品とされる。《関税暫定措置法施行令第50条第1項第1号及び同法施行規則第8条第6号》 (誤=a、b) a 特恵受益国から非原産国を経由して本邦へ向けて運送される物品であっても、非原産国において運送上の理由による積替え及び一時蔵置以外の取扱いがされなかったもの(すなわち、積替え及び一時蔵置のみの取扱い)については、特恵関税が適用されることとされている。《関税暫定措置法施行令第55条第1項第2号》 b 特恵受益国から輸入される特恵適用物品であれば、郵便物又は入国者の携帯品(又は別送品)であるかどうかを問わず、特恵関税を適用することができることとされている。《関税暫定措置法第8条の2》 第14問(課税価格の計算) 正解 5 解説 (正=b、c、e) b 輸入貨物が輸入港に到着するまでの運送に要する運賃、保険料その他当該運送に要する 費用は、原則として課税価格に算入される。《関税定率法第4条第1項第1号》 c 輸入取引に関連して買手が負担した輸入貨物の包装に要した費用は、その費用が材料費人件費であるかを問わず、また、通常の包装の費用であるか特殊な包装の費用であるかを問わず、課税価格に算入される。《関税定率法第4条第1項第2号ハ》 e 売手において買手に対して負っている貨物代金支払債務と買手に対して有する今回の貨物代金受取債権とを相殺したことは、金銭の支払及び受取の事務負担を軽減するための方法をたまたま採っただけであり、売手と買手との間に成立した取引価格を引き下げ変更(更改)したものではなく、取引価格は、あくまでも相殺値引前の価格であるので、その相殺値引額は、課税価格に算入される。《関税定率法第4条第1項本文、同法施行令第1条の4本文》 (誤=a、d) a 輸入貨物と同種の貨物の取引価格から当該輸入貨物の課税価格を決定することができる場合には、当該同種の貨物の取引価格により当該輸入貨物の課税価格を決定する。《関税定率法第4条の2第1項前段》 d 買手が輸入貨物の輸入取引に関して買付代理人に支払う買付手数料は、買手のための活動(買手の名において買付業務を行う)についての費用であるので、課税価格に算入しない。《関税定率法第4条第1項第2項イかっこ書》 第15問(課税価格の決定方法) 正解 4 解説 bは、関税定率法第4条第1項で規定されており、課税価格の決定の原則であり、課税価格の決定に際して最も優先して適用される方法である。dは、同法第4条の2で規定されており、bにより課税価格を決定できない場合に適用される方法である。cは、同法第4条の2で規定されており、b又はdにより決定できない場合に適用される。aは、同法第4条の3第2項で規定されており、b、d又はc若しくは同法第4条の3第1項で規定する「輸入貨物又はこれと同種若しくは類似の貨物の国内販売価格から逆算する方法」により決定できない場合に適用される方法である。 したがって、設問の課税価格の決定の方法を適用順序に並べ変えると、次のようになる。 b 輸入貨物の取引価格による方法 d 輸入貨物と同種の貨物の取引価格による方法 c 輸入貨物と類似の貨物の取引価格による方法 a 輸入貨物の製造原価に通常の利潤及び一般経費等を加える方法 第16問(関税率表の解釈に関する通則) 正解 5 解説 輸入される物品が二以上の構成要素から成り、関税率表の二以上の項に属するとみられる場合には、@「関税率表の解釈に関する通則」(通則)3(a)の規定により、最も特殊な限定をして記載している項が最優先で適用される<f>。 この決定方法によることができない場合には、A通則3(b)の規定により、その物品に最も重要な特性を与えている構成要素から成る物品の属する項に分類する<d>。 更に、これらの方法により分類することができない場合には、B通則3(c)の規定により、該当すると認められる項のうち、数字上の配列において最後となる項に分類する<b>こととされている。 上記の記述に従って、設問の所属の決定方法を三つ選び、適用順序に並べ変えると、次のようになる。 5 f→d→b 第17問(輸出貿易管理令) 正解 3 解説 (正=3) 米国向けに輸出する冷凍のあさりは、輸出貿易管理令別表第2の34の項に該当する貨物であるので、経済産業大臣の輸出の承認を要する。《輸出貿易管理令第2条第1項第1号》 (誤=1、2、4、5) 1及び2 本邦の大使館に送付する公用の貨物及び仮陸揚貨物を輸出する場合であっても、輸出貿易管理令別表第1の1の項(武器等)に掲げる貨物は、特例から除外されているので、経済産業大臣の輸出の許可を要する。《輸出貿易管理令第1条第1項及び第4条第1項本文ただし書》 4 一時的に出国する者が携帯して輸出する象牙(ワシントン条約附属書Tに該当する輸入割当品目)については、経済産業大臣の輸出の承認を要しないこととされている。なお、一時的に入国して出国する者がワシントン条約附属書T又はUに該当する貨物を輸出する場合には、経済産業大臣の輸出の承認を要することとされている。これは、ワシントン条約の規定により、入国の際に携帯又は別送して輸入したワシントン条約該当貨物を再輸出する場合、その輸入の事実が確認できるものについては、ワシントン条約に基づく輸出許可書の発給を受ける必要がないこととされているので、その輸入の事実(輸出国の管理当局が発給した輸出許可書等)を確認するため、経済産業大臣の輸出の承認を要することとしている。《輸出貿易管理令第4条第2項第4号》 5 イラクを仕向地とする貨物を輸出する場合には、貨物の種類にかかわらず(すなわち、輸出貿易管理令別表第2に掲げる貨物以外の貨物を含め、すべての貨物について)、経済産業大臣の輸出の承認を要することとされている。《輸出貿易管理令第2条第1項第2号》 第18問(輸入貿易管理令) 正解 3 解説 (正=b、c) b 仮陸揚貨物については、貨物の種類にかかわらず、経済産業大臣の輸入の承認を要しない。《輸入貿易管理令第14条第3号》 c 税関長に委任されている輸入の承認の権限は、無償の貨物に係る承認に限られている。《輸入貿易管理令第18条第1号及び輸入貿易管理規則第5条》 (誤=a、d、e) a 輸入の承認の有効期間は、その承認をした日から6月とされている。ただし、経済産業大臣が特に必要があると認めるときは、その期間と異なる有効期間を定め、又は輸入の承認の有効期間を延長することができることとされている。《輸入貿易管理令第5条》 d 輸入承認証の交付を受けた者は、当該輸入承認証を必要としなくなった場合、当該輸入承認証を経済産業大臣に返還することは義務付けられていない。なお、この場合、経済産業大臣は、輸入の承認を受けた者に輸入承認証の提出を求めることができることとされている。《輸入貿易管理規則第2条第3項》 e 輸入割当てを受けるべき貨物については、当該貨物に係る輸入割当てを受けた後でなければ、輸入の承認を受けることができないこととされている。《輸入貿易管理令第9条第1項》 第19問(不服申立て) 正解 3 解説 (誤=3) 税関長に対して行った異議申立てについての(当該税関長の)決定になお不服があるときは、当該決定があったことを知った日の翌日から起算して1月以内(「2月以内」ではない。)に限り、財務大臣に対して審査請求をすることができる。《関税法第90条》 (正=1、2、4、5) 1 税関長が関税法の規定により行った関税の滞納処分について不服がある者は、当該処分 があったことを知った日の翌日から起算して2月以内に限り、当該処分をした税関長に対 して異議申立てをすることができる。《関税法第89条第1項及び第2項》 2 関税法又は他の関税に関する法律の規定による税関職員の処分は、当該職員の属する税関長がした処分とみなされるので、その処分に不服がある者は、当該職員の属する税関長に対して異議申立てをすることができる。《関税法第89条第3項、第89条 第1項及び第2項》 4 財務大臣は、税関長が行った関税の確定に関する処分又は関税の徴収に関する処分について審査請求があった場合には、裁決の適正を期するため、必ず関税等不服審査会に諮問しなければならない。《関税法第91条、同法施行令第82条》 5 税関長が関税法の規定に基づいて行った関税の確定に関する処分又は関税の徴収に関する処分についての取消しの訴えは、関税に関する専門的、技術的特質を考慮し、財務大臣に対して行った審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない。《関税法第93条》 第20問(NACCS特例法) 正解 3 解説 (正=3) 通関業務の料金の計算又は請求に関する業務は、NACCS特例法に規定する「国際貨物業務」に含まれる。《NACCS特例法第2条第2号、同法施行令第1条第6号》 (誤=1、2、4、5) 1 電子情報処理組織を使用して行われた輸入申告に対する処分の通知は、通関情報処理センターの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された時に、税関から発せられたものとみなし、当該記録がされた後通常その出力に要する時間が経過した時に当該通知の相手方(国際貨物業務を行う者)に到達したものと推定される。《NACCS特例法第3条第2項》 2 NACCS特例法には、設問のような趣旨(「通関業者は、電子情報処理組織を使用して輸入申告を行う場合に、あらかじめ税関長に届け出た入出力装置で行わなければならない。」とする旨)の規定はない。 4 電子情報処理組織を使用して入出力装置から輸入申告を行う者は、関税法等に関する法令において書面に記載すべきこととされている事項と同一の事項を入出力装置から入力しなければならないが、税関長が通関情報処理センターの電子計算機に備えられたファイルへの記録により明らかにすることができる事項その他入力の必要がないと認める事項については、その入力を省略することができる。《NACCS特例法第4条第1項ただし書》 5 NACCS特例法において「関税等」とは、関税、とん税、特別とん税及び輸入する物品に対する内国消費税の徴収等に関する法律第2条第1号《内国消費税の定義》に規定する内国消費税をいう。《NACCS特例法第2条第3号》 |